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ヨスガノソラ コミックス1巻画像レビューページ
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コンプエース版ヨスガノソラも第3話ということで、今回は待ちに待ったハルと穹の仲直りです。前回は白い部分が目だった原稿も、アシスタントを背景アシスタントでも動員したのか、前回より質の良い物になっていました。というか、ハルと穹が可愛すぎる。
失礼ながらクオリティに対してはそこまで期待していなかったんだけど、前回が嘘のように絵と内容が素晴らしいものになっていた。この1ヵ月、なにがあったというのだろうか。

移動スーパータカノで買い物をするハル、おばちゃん集団に揉みくちゃにされている中、救世主奈緒が現れて買い物を手伝ってくれました。原作はスーパーを紹介したのが奈緒ですけど、漫画版は違うのかな。奈緒とタカノで会うのは始めていったときを覗くと、穹と行ったときに遭遇したぐらいか。結構外でも会うキャラだけど、そもそもタカノ自体それほど行かないんだった。行ってきた、という描写はあるんだけど。
買い物からの帰り道、奈緒は先日穹を怒らせてしまったことをハルに詫びます。しかし、ハルは奈緒のせいじゃないと擁護しますが、実のところ未だに原因不明。なおのせいじゃないもなにも、奈緒のせいでしかないんだけど、ハルはそれに行き当たらない、思い付かない模様です。奈緒は昔を回想する中で、自分の中で穹はまだ小さい頃のままだといい、当時のことを振り返ります。当時は楽しかった、けど……

「あの日以来ハルちゃんたちは来なくなった」

軽く動揺するハルに、奈緒は「あの後……なんともなかった?」と問いかけます。ハルがそれにどう答えたのかは不明ですが、表情を見るにあまり良い想い出ではないと感じているようです。ところで、この昔を振り返る会話の中で、ハルは川で溺れた経験があり、それがトラウマとなって後述のカナヅチに繋がっているみたいです。原作では、沼か田んぼだったと思いますが、今回は設定における原作との差違が目立ちましたね。
帰宅したハルは台所で穹に遭遇しますが、相変わらず穹は会話をしてくれず、さっさと部屋に引っ込んでしまいます。この時期の食事とか登校とか、どうしてたんでしょうね。一緒だとは思うんですが。

日にちが移って舞台は穂見学園。プール開きと言うことで、体育の授業が水泳になった模様です。原作にもあるプールイベントですね。女子のスク水を覗き見しようとした亮平がお嬢にボコボコにされているのを眺めるハルに、瑛が話しかけてきます。泳がないの、と訪ねる瑛に、見ているだけで楽しいからと返すハル。そこに委員長がやってきて、瑛に後で使う備品を一緒に運んでくれないかと頼んできました。プールで使うと言うことは、ビート板かなにかでしょうか。それを聞いたハルは自分も手伝うと言いますが、プールから上がってきた渚さんが割り込みます。

「私が手伝います。春日野くんは、来なくていいから」

第2話における神社での一件以来、どうにも渚さんはハルに厳しい態度を取っているみたいです。亮平は「まあ、機嫌の悪い日もあるさ。特に女子はな」と、女子が聞いたらぶっ飛ばされそうな一言を口にしますが、それと同時にハルが全然泳いでいないことを指摘。焦るハルがカナヅチをカミングアウトする寸前、プールへと突き飛ばしてしまいます。
トラウマによる恐怖から、混乱状態となるハル。息が出来ないのは当たり前ですが、身体を動かすことすら出来ずに意識が遠いのいてしまいます。
なかなか上がってこないハルに、突き落とした張本人である亮平がやっと自体に気付きます。ハルの名前を叫び、それは穹の耳にも届く。

水の中で、ハルは過去を回想します。電話が鳴っていて、救急病院から、両親の訃報を知らせる電話です。葬儀と、親戚の会話。可哀想に、まだ学生なのに、かといって二人一緒に引き取るのは、一人ずつなら大丈夫でしょう? 口調は女言葉なのに、話しているのが明らかに男性二人なのが気になるけど、それは置いて置いて。
ハルはかつて住んでいたマンションのリビングで、涙を流して泣いている穹を発見します。喪服姿の女は美人に見えるなんて言いますけど、このときの穹は悲痛なほど儚げだった。両親のことを想って泣く穹。

「私たち、どうなのるの? 離ればなれになっちゃうの?」

突き付けられた問いに、ハルの表情が強ばります。

「ずっと、ずっと一緒にいてよ。ハル……」

そんな穹に、ハルは二人で奥木染に行くことを提案します。離れなくて済むように、二人で頑張ろうと。このシーン、原作とかけ離れているようで、そうでもない気がします。原作では両親の葬儀が終わり、店を畳んだことで嘆き悲しんでいたハルを、穹が慰める形でした。これによってハルは、穹まで失いたくはない、奥木染で暮らしたいと考えるようになるのですが、漫画版はその真逆、穹のことを案じたハルが穹を守るために決断しています。
漫画版のハルは随分大人びている印象を受けましたが、このシーンそのものは不思議じゃありません。何故なら、ハルカナソラにおいて、穹は当時の自分を振り返り、「私は泣いてばかりだった」と言っていますし、それが垣間見える光景と考えれば、原作と違いすぎるということはないと思う。

「……本当に? ハルはいなくならない?」

「一緒にいるよ。だから……」

ここで、想い出の湖からハルが現実へと帰還します。

「穹、もう泣かないで」

ハルが目覚めたとき、そこにあったのは穹の涙でした。溺れたハルを助け出し、彼のために泣きじゃくる穹。忙しさの中で忘れていた、あの日のこと。自分が穹を守るという誓い。自分のために涙を流す穹を目の前にして、ハルはそれを再確認するのでした。
亮平が渚さんと委員長に先ほどの比ではないほどボコボコにされながらも謝罪した放課後、穹は照れているのかみんなと帰ることを拒んでハルと二人だけで帰ります。亮平は、穹がどれだけ心配していたかハルは判っているのだろうかと言いますが、

「……ううん。きっと判ってるよ」

帰る二人を見つめていた瑛が、そのように呟きました。
ハルと穹は帰る道すがら夕飯のメニューの話をしており、カレーは甘いやつか辛いやつか、ニンジンは入れるか入れないかなどと話ながら、しっかりと手を繋いでいたのでした。


こんな感じの第3話ですけど、結構原作との相違点が出てきたと思います。ハルが奥木染に行くことを決めた理由が、逃避と言うより穹のことを考えてという感じになってますし、どちらかというとハルの兄らしい部分が強調されている気がする。原作では穹の想いや言葉がハルを決断させるんだけど、このシーンがないと穹のキャラが大きく変わってしまう気もするんだよね。何故なら、原作で瑛も言ってたけど、ハルが良いお兄さんであると同時に、穹もお姉さんみたいなんですよ。だから二人は双子として対等の存在なわけだけど、漫画版では穹が徹底的な弱者として描かれているため、そういう印象が薄くなってる。
話作っている人間が原作を理解していないのか、それとも意図的に差違を付けてきたのかは判りませんが、それほど不快ではないというか、漫画版独自の味として十分に楽しむことが出来ました。気になったところがあるとすれば、こちらは明確なミスでしょうが、穹が両親のことを「お父さん、お母さん」と読んでいたところでしょうか。原作ではパパとママですし、ここはしっかりとコミックスで修正して貰いたいですね。

多分、このまま瑛シナリオなりに突入するんでしょうけど、その前に奈緒との決着が付くかも知れません。原作では、この後スーパータカノで奈緒と遭遇し、その帰り道で穹が激発しますから。どういう道順、話運びになるのかはまだ判りませんが、第3話でクオリティがかなりアップしたと思うので、今から来月号が楽しみだ。
他の掲載作品は……とりえあず、あかりりゅりゅ羽はどうしたんでしょうか。I’LL調とは長い付き合いなのですが、まさか未完成原稿を載せてしまうなんて。なにかあったのか、単純に間に合わなかっただけなら良いんですけど、商売柄、職業柄、いつなにがあってもおかしくないだけに心配です。

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