恋ちゃんと、翠ちゃんのHappy birthday to you♪
恋ちゃんと、翠ちゃんのHappy birthday to you♪
恋ちゃんと、翠ちゃんのHappy birthday to you♪
翠「恋ちゃん、恋ちゃん! いつかのモンブランのことなんだけど」
恋「ま、まさか、まだ作ってたの?」
翠「ううん。シンくんが買ってきた」
恋「何よそれ」

カパッ

恋「ちょっと、翠。これのどこがモンブランなのよ? 真っ白じゃない」
翠「えっとね、ホワイトレアチーズモンブランって言うらしいよ?」
恋「へぇ、森羅が間違えたのかと思ったけどそんなケーキもあるのね……悪くない♪」
翠「ね、恋ちゃん」
恋「まだ何かあるの? 早く食べたいんだけど」

翠「私が買ってきたケーキじゃないけど……誕生日、おめでとうなんだよ! 恋ちゃん!」
C84参加情報 すぴぱら×夏ペル本「夕月の恋」
イベント時期にしか更新しなくなって久しい日記ですが、今年も夏コミの季節が近づいてきたということで参加情報を書いておこうと思います。既にサイトとかpixivの方は済ませているので、この日記が最後になりますね。まあ、最近は何をしていたかというとやっぱり原稿を書いていたのだけど、年々執筆速度が鈍ってきているというか、スケジュール管理が破綻したりして散々な目にあってます。それでもなんとか本とかグッズは出せそうなので、当日何もないってことはなそうです。

以下が当日の頒布物になります。今年の夏コミは昨年の夏以来になるグッズを作ってみました。
イベント名:コミックマーケット84
日時:2013年8月12日(月)
会場:東京ビッグサイト
スペース番号:東チ-29a
サークル名:シャリテクロワール

新刊
夕月の恋
ジャンル:すぴぱら×夏空のペルセウス
イベント価格:500円
総ページ数:60P
サイズ:A5判

ゲスト:中田瑠美(サークル・眼帯少女中毒)

備考:すぴぱら×夏ペル本第2弾。今回はもみっちと恋の話です。

新作グッズ
すぴペルB2タペストリー
ジャンル:すぴぱら×夏空のペルセウス
イベント価格:3500円
サイズ:B2縦型
生地:スエード

イラスト:中田瑠美(サークル・眼帯少女中毒)


当日の諸注意
イベント当日は釣り銭不足が予想されます。
1万円等の大きなお札の使用は控え、小銭を用意し、なるべくピッタシに払って頂けると売り子が大変助かります。


尚、当日の午前中、いつもならサークル主のMLWはスペースにいないことが多いですが、今夏はいつもと周辺ジャンルが違うこともあり、比較的スペースに居ると思います。ただ、それでもいないことはあるので、御用の方は売り子に呼び出してもらってください。知り合いに限り、スペースへ戻ります。


今回は新刊と新作グッズの2種のみで、既刊の頒布予定はありません。ただし、春日野穹イラスト集に関しては最後の在庫を2日目、友人であるwingheartさんのサークルに委託しております。
スペースNo.:東セ-16b
サークル名:Will be Here
新刊:PROPOSE / Recieve(合同フルカラーイラスト本)500円、Clarification(フルカラーイラスト本)500円。
委託:春日野穹イラスト集-蒼穹-(ポストカード付き)

URL:http://iwillbehereforyou.blog.fc2.com/

委託しているイラスト集にはおまけとしてポストカードも付けていますが、完売したら再販の予定はありませんので、まだ持っていないという方がいらっしゃいましたら、2日目にwingheartさんのスペースに足を運んで頂ければと思います。
それから、新刊にゲストで参加して頂き、タペストリーのイラストを描いてくださった、中田瑠美さんのサークルも、私と同じく3日目に配置されています。
スペースNo.:東パ-15b
サークル名:眼帯少女中毒
新刊:ROOMMATE LABYRINTH(クドかな百合本)500円、かんこれみっくすLite(艦これらくがき本)200円。
既刊:中二病本、よろずフルカラーイラスト集、リトバス本等。

URL:http://gantaifeti.web.fc2.com/

突発で艦これ本を出すそうです。中田さんには大変お世話になったので、皆様是非お立ちよりください。すぴペルB2タペストリーに関しては私のサークルでしか頒布予定はありませんから、タペストリーが欲しい人はうちのスペースまで来てください。

さて、何だかんだで新刊1冊、新作グッズ1つに落ち着いてしまいましたが、本当はもう少し用意したかった……落としてしまったごちうさ本も含めて、書いてみたいジャンルというのはいくつかあったんですけど、執筆速度が思うように上がりませんでした。けれど、新刊の方は表紙や装丁、加工などにかなり拘りましたし、グッズの方も昨年と同じく関西美術印刷で印刷しているので、クオリティの面で心配はないと思います。
近くをお立ち寄りの際は、是非シャリテクロワールのスペースも覗いてくださると幸いです。なにせ、今年の夏コミはサークル参加日が平日なので、どんな感じになるか未知数な部分がありまして。幸い、冬コミでは戻るみたいですが。
兎にも角にも、夏コミではサークル・シャリテクロワールを宜しくお願い致します。東京ビッグサイトで私と握手!
夏空のペルセウス、恋ルートの感想を書きます。始めに言っておくと、私はこのシナリオが凄く好きです。minori通信ではヒロインの話としてどうなんだという意見もありましたが、私は否定しないし、むしろ全力で肯定したいとさえ思った。結局どれほどの御題目を並べらところで、私は恋が好きなんです。遠野恋という少女が大好きで、彼女の幸せを、森羅と結ばれる未来に祝福をしたかった。それがどんな結果によってもたらされるにせよ、結ばれることに意味があるのだと信じていたし、今も信じ続けている。だからこそ、透香ルートではなく、恋ルートを私は推すのでしょう。

夏ペルの看板ヒロインにして、「裏ヒロイン」と称されていた遠野恋は、主人公である遠野森羅の実の妹、たった一人、唯一残された家族です。彼女にもまた森羅と同じ、森羅以上に強い他人の痛みを自分に移す能力が備わっており、幼少時から言いように利用されてきたという過去があります。そんな彼女は自然と兄の森羅にべったりな性格となり、世界で信じられるのは森羅だけという少女に育ったのも、無理は無いと言えるでしょうし、それは森羅も認めるところです。
森羅にとって、妹は大切な存在です。唯一残された家族にして、最後の肉親。厄介な能力を抱えながらも、お互いだけは気にすることなく触れ合えるというのは、二人にとって大きなことだった。恋の時に過剰とも言えるスキンシップは、勿論森羅への好意の表れであるのだろうけど、それ以上に、二人が人肌に温かさを求めるなら、お互いが接する以外にはあり得ないという現実があった。故に恋はあやめルートで、「この世で森羅のことを本当に理解できるのは私だけ」と言い切り、「森羅にも私しかいない」と言い張り、「森羅の隣にいていい人間は、わたしじゃなきゃいけないわよね?」と断言できたのでしょう。
何故なら森羅と恋は、彼女が自身のルートで言うようにお互いを除いて「本当の意味では支え合えない」のだから。排他的な言葉であっても、それは紛れもない事実でしかなかった。過去が、記憶が、現実が、森羅と恋に逃げようのない事実を突きつけてくる。自分の能力に希望や展望を抱く森羅と違い、どこまでも否定的な恋は、それを完全に受け入れてしまってるのでしょう。抗うことは無駄なのだと、諦めているのかも知れない。

さて、恋ルートは選択肢を選ぶことによって進むことが出来るわけですが、選んだ際の森羅の気持ちには考えさせられるものがあります。誰かに自分の力を使うことで、他でも無い自分自身に意味を持たせたいと思っていた彼ですが、力のことを考えていた彼の脳裏に浮かんだのは、他でもない“妹”の恋だった。ふと冷静になってみると、誰かを選べば――誰を選んだとしても、それは妹を切り捨てることになるのではないだろうか?と、たとえそれが森羅の本心でなくとも、恋がそう感じてしまうだろうことに彼は気付きます。実際、森羅はあやめルートにおいて、恋を捨ててあやめを選び、最悪の場合はあやめと共に村を出るつもりでしたし、そうした予想や推測は、決して間違っていません。
森羅は妹を守らねばならず、そして、守るものは少ないほうがいい。恋は彼にとって、この世界にたった二人だけの家族なのだから。
ある種の結論出した森羅は、「なにかあったら、ここに探しに来てね」と言われた花畑へ向かいます。言葉通り恋はいて、彼女は朝からどうにも変だったことを告げます。腹痛らしいですが、夏風邪や食あたりの類いでは無いらしい。それどころか体調不良ですらないといい、かといって慣れない環境に引っ越したことでの気疲れというわけでもないようです。恋自身、そうした自分の状態に判然としていないようでしたが、彼女は話を切り替えて、森羅の変化について言及します。「妹を心配してなにが悪いんだ」と言う彼に対し、「妹、ね」と受け答えながら、たった数日間で森羅が優しくなってしまったと言います。

元々、他人のことなんてどうでも良かった遠野兄妹にとって、今の状況は、たまたま、運がいいだけでしかないと語る恋。転校生にはとりあえず好意的な、無条件にこちらを受け入れてくれる時期だからこその平和でしかないと言い切る彼女は、相手が自分たちを値踏みしているのではないか? とさえ言います。実際に値踏みをしているのは、むしろ恋の方なのにね。翠に対する態度などは、まさにそれが現れていた。
けれど、森羅は痛みの無い天領村での暮らしを悪くないと思っていたし、それは自分にとって、なにより恋にとって有益なことだと考えていたのでしょう。だけど、恋はそんな森羅の考えを矛盾しているといって突き放します。
「他人がいることで痛みを覚える。痛みがなければ他人に優しくなれる――根本的に吊り合わないのよ」
確かに、森羅が今一度自分能力と向き合い、そこに意味や価値を見出したいと感じたのは、結局のところ彼が誰かに利用されることのない、押しつけられる痛みのない世界に来たからです。そんな場所だからこそ、彼は生来のお人好しを存分に発揮できたし、翠やあやめの事情、そして透香の問題などに自分から首を突っ込むことが出来た。つまり、自分の中に余裕が生まれていたんですね。
恋の言葉に、「支え合うことが悪いことなのか?」と疑問を呈する森羅。常識的な、一般論としてなら、彼の意見や感情は間違っているはずもない。だけど、森羅と恋は……
「わたしたちは、本当の意味では支え合えない、と言ってるの」
唯一お互いを除いて。突きつけられた事実に、森羅は返す言葉もありませんでした。だって、どんなに希望や展望、願望を並べ立てたところで、恋の言ったことは真実であり現実であり、事実だったから。でも、それ以上に、森羅は恋がこんな話を急に始めたのが不思議だった。元々が排他的だったとしても、今日の態度はどこかおかしいと、そう感じていた。このときの恋の心理は、要するに天領村に来て優しくなった森羅が、誰か別の女に取られるのではないか? という不安を抱え始めていたのではと思う。そして、この時期の恋の心理を良く表しているのが、ソフマップの特典ドラマCDである「恋のメモ帳」のように私は感じるのです。

恋の言葉を言い返せずにいた森羅は、不意に花畑で血の臭いを覚えます。病院などで重傷者の相手をすることも多かった森羅は、否応にもそういった臭いに対し敏感になっていたのでしょう。恋も花の匂いではなく、血の臭いがすることを嗅ぎ取ります。私はてっきり、誰か他キャラが吐血でもしてその辺で倒れているのではないかと思ったけど、そんなことは全然なく、花畑にいるのは森羅と恋の二人だけだった。そして、森羅に外傷などがないのだとすれば……
「……恋。その足、どうした?」
恋の白い足を伝って一筋の血が垂れていました。しかし、彼女は足を怪我していたのではなく、血は彼女の股の内側。アイスグリーンの下着を染める形で流れていたのでした。
帰宅後、なにかと思えば生理だったことに安堵する森羅だけど、家には生理用品が存在しなかったため、彼は買いに走らされるなど大変な目に遭っており、女性ならば前もって準備しておいて、こっそり処理しているものではないのかと訊ねます。まあ、つきのものは兆候がありますから、森羅の言っていることは間違っちゃいないはずだけど、対する恋はこんなことを言い出します。
「知らないわよ。わたしだって初めてだったんだから」
初めて、と言葉に反応してしまう森羅ですが、恋はこともなげに「初潮、ね」と微笑みかけます。目を丸くする森羅ですが、恋は特に隠していたわけでもなく、本当に生理はなかったと言います。遅すぎないか? と思う森羅だけど、エロゲの登場ヒロインは18歳以上だとか、そういう戯れ言を抜きにしても、確かに遅いでしょう。恋の胸の成長度合いから見ても第二次性徴は当に迎えているはずだし、初潮の平均年齢は12歳程度だと言います。無論、今までろくな暮らしをしてこなかった遠野兄妹ですから、環境面の問題で遅くなったと言う可能性もあるけど、恋には股別の考えがあるらしい。

「わたしも、自分には生理なんてこないって思ってた。わたしたちは普通じゃないから」
あたかも自分たちが人間であることすら否定している妹に、森羅は思わず語気を強めて注意しますが、彼よりも力が強く、人間の精神的な痛みまで移してきた恋のことです。人間の暗い面ばかりを押しつけられた彼女の心に歪みが生じないはずもなく、人間という存在に何らかの拒絶反応を起こしているのではないかと、そう考えました。
「ねえ、森羅。それよりも大事なこと忘れてない?」
その言葉に兎にも角にもおめでたということで、レトルトでもいいから赤飯を用意しようかなど? 時代外れなことを言い出す森羅に対して、「そうじゃないわ」と返しながら、
「わたし、女になった」
ずっと妹を子どもだと、わがまなな子どもだと思っていた森羅の認識が、崩れ去った瞬間でした。ずっと自分が守っていかなければいけないと思っていた存在は、しかし、自分の目の前で女に変わり、蠱惑のささやきをするようになっていた。だからこそ、森羅は恋を生まれて初めて、異性として意識せざるを得なかったのです。
ところで翠ルートをやると、選択肢で翠を選んだ翌日、家で恋と会話をすると、「あの後、私がどれだけ大変だったか、わかってないんだから」という台詞があります。ここから察するに、花畑で待っていた恋は、自身のルートと同じくそこで初潮を迎えたのでしょう。でも、森羅が側にいないものだから全部自分で処理する羽目になってしまい……なかなかにえっちぃ状況ではないですか。
minoriは今日日のエロゲメーカーに珍しく、作中に登場するキャラは全員18歳以上ですとか、そういう記述を本編開始前にしていませんが、だからといって実年齢が書いてあるわけでもありません。ただ、推測すること自体は出来ますから、森羅を高二とするなら、妹の恋は高一でしょう。誕生日は3月29日とギリギリ早生まれなので、そこから導き出して15歳……初潮の年齢としては、最低限ってところだろうね。下品な考察であれだけどさ。

恋が初潮を迎えた翌日、制服姿の妹に起こされた森羅は、今日が平日であると勘違いをしますが、恋は単に着るものがなかったから制服を着ただけであり、普通に休日だったらしい。10時頃起こされ、昼くらいまで寝るつもりだった彼の計画は潰えます。恋の血の臭いを嗅いだことで、古い記憶を悪夢としてみてしまった森羅は、恋にも分かるほどうなされており、彼女はそれを心配しますが、昨日女になった妹に対して、森羅はどうしても異性を意識してしまっている。それがよくない傾向だと分かっていながら、頭の本能的な部分が恋の存在にしびれていた。
休日でも特に予定があるわけではない森羅を、恋はピクニックに誘います。都会にいた頃はあり得なかった恋の誘いに、彼女の変化を実感した森羅は応じ、天領村へと引っ越してきたことが、恋にとって良いことだったのではないかと思うようになる。恋ルートの森羅は……という言い回しや表現は、本当のところしたくないのだけど、とにかく恋のシナリオにおける森羅はやはり彼女のことを深く、そして強く考えており、自分のこともさることながら、まず第一に恋のことを考えています。他のルートの彼なら、ピクニックなど誘われたところで面倒くさいと固辞していたことでしょう。
花畑でピクニックと言っても、弁当を食べる以外は特にすることがあるわけでもなく、森羅は日陰で休みながら恋のことを観察します。恋にしたところで立ち尽くすか、思い出したように歩くだけで、何をしているわけでもありません。けれどそれは絵になる光景に違いなく、森羅をして今の恋は野花と同じぐらいの清楚さを感じていました。花がきれいだという恋の言葉を、きれいという部分を恋と結び付けてしまうぐらいには、森羅は妹に見惚れていたのです。
森羅がつまらなくないか心配する恋ですが、彼は既に花を、花畑の中にいる恋を愛でることに集中しており、つまらないわけがありません。仮につまらなければ鬼ごっこをしないといけないと言う恋に、やっても良いと応じる森羅。それに乗っかり、座り込んでいた花畑から立ち上がった恋ですが、鬼ごっこのつもりで近づく森羅から、後ろ歩きで離れようとした瞬間、バランスを崩して倒れてしまいます。森羅が止める間もなく転び、恋は左足の膝頭を怪我していた。普通の掠り傷に安堵する森羅に、もっと優しくしてと囁く恋。唾でも付けておけば治ると嘯く森羅に対し、恋は言いました。「舐めて」と――

森羅が恋の血を舐めた晩。彼はなかなか寝付けずにいました。そもそも時刻はまだ夜の10時過ぎであり、昨今では小学生でも寝ない時間です。しかし、森羅は起きていることが出来なかった。花畑で怪我をした恋、彼女は能力による治癒を拒否して、森羅に傷口を舐めるように言った。森羅は、自分の血の味を知りたいはずだと。痛みを受け取るために傷口に当てていた手から、逆になにかを吸い取られるかのように、あるいは恋に引き寄せられるかの如く、森羅は恋の要求を呑んでしまった。
自分でも信じられない欲望の発露。それも実の妹にぶつけたという事実が、森羅の精神を混乱させ、絶望させていた。留まることを知らない気持ちの高まり、性欲を解消したい森羅だけど、その対象がやはり恋となることに拒否感を覚え、歯を食いしばって耐える。妹をオカズにすることが珍しいことなのかはともかく、忌避すべきことであると森羅は思っており、もっと言えば、それをしてしまえば自分に歯止めが利かなくなるのでは、と感じていたのかも知れない。けど、そんな森羅の気持ちをまたしても打ち破ったのは、恋だった。
森羅の部屋へとやってきた恋は、彼に覆い被さるとただ一言だけ、「……感じて」と、それだけですべてを言い切りました。身体を通して伝わる恋の感情。胸が張り裂けそうなほどの不安と寂しさ。恋を近づけまい、妹を女として意識しまいとしていた森羅は、人のぬくもりを欲し、飢えや渇きに近い感情を抱いている恋を知ってしまった。そして恋には、森羅の中にある目の前にいるひとりの女を、自分のものにしたいというという欲望が伝わっているはずだった。森羅は今、心の底から妹の恋を汚したいと、その身体が欲しいと思っていたのです。
先に行動を起こしたのは、恋でした。彼女は素早く自分の上着をまくり上げ、僅かに手を震わせながらブラジャーを外し……森羅は自分の欲望の限りをぶつけ始めます。ここで一つ、また品のない話になって恐縮なんだけど、私が安堵したことが一つ。いや、恋って処女だったんですね。ハッキリと明記されてたし、破瓜もしてたので安心したんだけど、だってほら、冬空のペルセウスとか読んじゃうとさ、あんまり良い想像出来ないじゃないですか。恋はefで言うところの優子ルートと事前に言われていたぐらいですから。森羅に初めてを上げることが出来て、本当に良かったと思います。

恋を抱いた翌日、生まれ変わったように気分の良い目覚めを迎える森羅だけど、そりゃあ、溜まりに溜まってものを解放したわけですから、気分が悪いはずもありません。実の兄妹で性行為をしたことへの後ろめたさはあるにせよ、彼は自分の欲望を満たすことが出来た。恋というひとりの女を物にして、初潮を迎えたばかりの彼女の処女を奪い、散らしたという事実は、ある種の征服感のようなものに近いかも知れない。
行為の後は互いにシャワーを浴びて、特に2ラウンド迎えることもなく、手を繋いでネタという二人だけど、起きてみると恋の姿が隣にありません。恋は自らの能力を駆使して、墓の傷みを森羅に移すことなく自分の中に抱えました。故に、感覚としてはごく一般的な処女喪失と変わらないはずですが、彼女は満足感に浸って眠りこける兄よりも早起きし、なんとビックリ朝食の支度をしていました。
恋はおよそ自分の衣類さえも森羅に買ってこさせるなど、とかく生活力に欠如した娘です。森羅の作った物は冷凍食品でも美味しいと言い切る姿には可愛げがありますけど、裏を返せば自分ではその程度のことも出来ないと言うことで、森羅は妹が炊飯器で米を炊く以外のことをしている記憶がありませんでした。流石に米は研げるのか、あるいは森羅が研いだものをセットし、スイッチを押しているだけかは分かりませんが、現実に今の恋はそれ以上のことを、包丁を片手に料理をしているのです。
普通、妹の手料理ともなれば兄なら喜びそうなものだけど、森羅はあまりに異様な光景を前に、人生で一度しか訪れない初体験の翌日に、情緒を感じられなくなってしまったらしい。そしてあろう事か、食材は無駄にしてないかなどと訊くのだから、恋の料理がどれだけ信頼されてないか分かります。確かに、今まさにきゅうりを切ろうとしているにも関わらず、直食のメニューはおにぎりとお味噌汁だけだったし、卵は既に全滅させていたことからも、森羅の予想は当たっていたのだけどね。
「わたし、料理なんてしたことないし」と開き直る恋だけど、ここで重要なのは料理なんてしたことない、しようと思ってこなかった彼女が、どうしてわざわざ早起きしてまでそんなことをしているのか、という話だよね。分かりやすい心境の変化であると言えばそれまでだけど、しかし、「出汁とったか?」と訊かれて、「ダシってなに?」と聞き返す恋とのやりとりは、本当に可愛かった。これをペルらじに送っても良いと思ってしまうほどには。

恋の変化は朝食だけに留まらず、教室に入るなり他のヒロイン達に挨拶をしたり、僅かながらの社交性さえ見せ始めます。これには恋イコール無愛想と思っていたヒロイン達も衝撃を受け、恋は一転して好奇の的になってしまう。森羅も学校では二人の関係、つまり兄妹なのにセックスをして結ばれてしまった事実などを悟られまい、隠そうとしていたことから、恋の送る合図などは尽く無視し、それが原因で恋はすぐに元の無愛想な姿に戻ってしまいます。とはいえ、恋だって森羅の考えは分かっているので、さほど深刻なものではなかったんだけど、この時点で既に、二人はお互いの関係を肯定してしまっていることが見て取れます。それは学校狩りの商店で、森羅が意図的にコンドームを買わなかったことからも見て取れる。買わなかった理由は単純に狭い村の中、そんな物を買えばどういうことになるかは目に見えていた。ただでさえ森羅は余所者であり、女の子だけが通っている学校に籍を置く、唯一の男子です。商店主の口が緩いのか堅いのかは分かりませんが、一体どの娘に手を出したのかと、いらぬ邪推を受ける可能性があった。
だから森羅はコンドームを見つけても買うことが出来なかったわけですが、彼は既に今後避妊具が必要になるという前提で考えているんだよね。つまり、今後共に恋とそういうことを、セックスするつもりがあるってことなのです。開き直ったのか割り切ったのか、森羅は妹とこれからセックスライフを送ることに、少なくとも拒絶感を持ってはいなかった。変化しているのは、なにも恋だけではなかったのですよ。
森羅はそうした変化を受け入れ、自分たちは変わっていかなければならないと感じます。それまでの二人は、周囲の人間を油断させるために演技ばかりをして生きてきました。いらぬ力を持っていたばかりに、他人から利用されるばかりだった二人にとって、素の感情というのはお互いにのみ見せるものであり、そこに他者の存在なんてなかった。でも、森羅はいつまでも自分を偽って、演技ばかりして生きていくぐらいなら、多少変だと思われても愛想良くするべきなのではないかと、そんな結論を出します。森羅は天領村を自分たちの終着点と考えていましたから、その視点は何年、あるいは何十年か先まで向いていたことでしょう。

けれど恋は、森羅が真面目に考えていることを理解しつつも、他人の存在を否定します。そんなものはいらないと、拒絶したのです。
「世界で信じられるのは森羅だけで、あとのことなんて、誰がどうなっても、どうでもいい」
嫌いにすらなれないと言い切る恋の言葉は、紛れもなく彼女の本心でしょう。本音かどうかはともかくとしても、彼女の孤独や人間不信は、ちょっとした言葉で解消されるほど根の浅いものでなかった。
そんな恋の気持ちが爆発したのは、分かりやすさで言えばあやめルートであり、より核心的、本質的な意味では透香ルートになります。まあ、後者には色々と言いたいこともありますが、じゃあ、肝心の恋ルートではどうなのか? 恋は他人に対する感情を見せることなく、ひたすらに森羅のことだけを考え、想い続けるんですね。文章で書くと綺麗な響きだけど、言ってしまえば他ルートで森羅の恋人になったヒロイン達、彼女たちに向けた歪んだ感情さえもが森羅に向かっていると思えば、手放しに喜べる事態でもないでしょう。時に包丁を持ちだし、またある時は相手の死を心の底から願うなど、恋は森羅のこととなれば、箍が一気に外れるのです。
しかし、恋ルートでは、彼女が憎悪や歪んだ感情を見せるライバルが、明確な敵が存在しません。翠や透香、あやめと言った少女たちは脇役であり、森羅の言葉を借りるなら、好きか嫌いかの土俵にすら上がっていない存在に過ぎません。だからこそ、恋は自分の中にあるすべてを森羅にぶつけることが出来た。勿論、この時点ではまだすべてにはほど遠い、ほんの片鱗に過ぎないのだけど。恋が最初から自分の歪みを全部さらけ出していたら、如何に森羅といえど欲望に忠実なままではいられなかったでしょうが、恋は意外なほど理性的で、歪みに嵌まるような真似はしなかった。何故なら彼女には、もっと大きな、絶対に果たさねばならない目的があったから。
その晩、森羅は恋が部屋にやって来ることを期待していました。自分から行かないのは、一線を越えたことは理解していても、それが気の迷いによるものだと思うところもあったからで、たとえどんなに恋を抱きたくても、森羅は動くことが出来ず、ただ恋を待つことしか出来なかった。しかし、恋が彼の部屋に訪れることはなく、彼女が来たときのことを考えて自慰行為も控えざるを得なかった森羅は、悶々とした気持ち、欲求を抱え込んだまま朝を迎えねばなりませんでした。

朝になって、自分と同じように眠そうな恋を森羅は不思議に思いますが、これは単純に恋の方も森羅が来るのを待っていたのでしょう。恋は長い付き合いと、そして能力の影響もあって森羅の感情や考えが手に取るように分かるわけだけど、彼が昨日の今日で欲求不満に陥ったことを悟りつつも、敢えて自分から赴くことはしなかったのです。それには理由があり、後述されるわけですが、このときの森羅はそこまでのことに気付かない。
というより、一線を越えて以来、恋が明確に変化してきていることばかりに目が行って、他の部分に視線が傾かなかったのでしょう。普段の言動にあったトゲが抜け落ち、上機嫌な姿を見て、森羅は自然と恋は可愛いと口に出してしまう。それはお世辞などではなく、森羅が今の恋に感じた素直な印象だったに違いない。勿論、恋が昔から可愛い妹であったのは自明の理ですから、これはむしろ再確認や、再認識に近い言葉だと思いますが。
学校においても周囲に合わせることを始めた恋は、確実に森羅が思う良い方向へと変わってきていました。けれど、二人が兄妹としての一線を越えてからと言うもの、恋はそれまであった性的アピール、森羅に胸を押しつけるなど、過剰なまでのスキンシップを控えるようになりました。手を繋いだり、軽く腕に触れるなどの健全な接触ばかりで、森羅はそれが少し物足りなくなっていた。失ってみて初めて分かる、ではないかと思いますが、恋の身体に飢えている森羅としては、彼女の積極的な性的アピールに期待する部分もあったのでしょう。にもかかわらず、恋は自分からそれをしてくることがないのです。以前は、あんなにも激しかったというのに。
森羅は不安に思います。仮に恋が自分とセックスしたことを後悔しているのだとしたら? 恋の熟れた身体を強く求めながらも、その肉体的欲求が満たされないことでの精神的隔たり。森羅は自問自答します。俺の理性は――恋を犯さずにいられるまで、あと何日もつだろうか?と。

欲求不満も2日続けば我慢の限界で、生殺し状態の森羅は恋と距離を置こうとします。勿論、家を出るとかそういう深刻なものではなく、放課後の時間を一人で過ごし、少なからず恋から離れようとしました。そんなことで彼の欲求が収まり、精神的に落ち着けるのかは分かりませんが、用事があると言って恋と一緒に帰宅するのを拒むのに対し、恋はそれが嘘であるとすぐに見抜きます。しかしまあ、自分だって一人になりたいときはあるからと、意外なほどあっさりと認めてしまう。
物足りなささえ感じるやり取り森羅は裏があるのではないかと疑いますが、彼は恋だけでなく、翠や透香とも距離を置く必要があると考えていました。翠は親戚にして世話焼き、噂好きで気のおけない相手なので、どうしても自分と恋の関係を問い質してきそうだし、透香は抜群の鋭さを持っています。接触しないに越したことはなく、沢や望楼に近づかないことを森羅は決めました。けれど、そもそも天領村は一人で時間を、暇を潰せるような場所がありません。都会ならゲームセンターや漫画喫茶、あるいは適当な商業ビルに入るだけでも時間を潰せますが、この村には本屋すらないのです。
背に腹は代えられないと、森羅は二つの行く宛てを定めます。一つは町に出てしまうことであり、確かに1時間もバスに乗っていれば町には行けるわけで、おかず用の本やDVDを購入することを考えれば、それほど悪い考えでもありません。けれど森羅は、手近で済むならそれに越したことはないと、もう一つの方、学園の図書室へと行きました。ここには当然居眠り部……もとい、図書委員のあやめがいるわけですが、森羅は彼女もまた勘が鋭いものの、それ以降が鈍いので、自分と恋の関係が悟られることはないだろうと考えたのでした。
あやめに協力して貰い暇つぶしの本を見つけて貰う森羅ですが、ふと、本当にしみじみとあやめの身体を見ます。良い体をしている、恋よりも豊満な肉体は抱けば良い弾力と重みを返してくれそうだなどと思った挙げ句、箱入り娘で純朴な彼女を汚すのも悪くないなど、そんな評価をしてしまいます。無論、森羅は手を出すつもりなどありませんが、恋を抱いて童貞を卒業して以来、女を見るとそんなことを考えずにはいられなくなっていたのです。森羅はあやめから目を逸らすと、会話を続けることもなく本を読むことにします。あやめは森羅にはクライムノベル、つまり犯罪小説が相応しいと良い、選んだ『OUT』という作品もまた、クライムノベルの金字塔でした。ちなみにこの本、実在する小説であり、98年の日本推理作家協会賞を受賞した名作だったりします。

女の怖さを描いた小説の内容にため息を吐きつつ、気付けば夕方になっていた。まあ、放課後の話ですから時間にして30分程度しか立っていないのだけど、その30分の間にあやめはすっかり寝入っており、図書室の定位置で寝息を立てていました。そんなあやめを見ながら、森羅はまるで成人向けのエロ漫画みたいな妄想、あやめはどこまでやれば目を覚ますだろう? などという下卑た妄想を浮かべます。胸を触る、半開きの口にペニスを突っ込む、スカートをめくって写真を撮るぐらいならバレないだろうと、割と本気で思っているところが怖いですね。森羅は透香や他のヒロインに優しい人だと言われることが多いですけど、殺伐とした人生を歩んできたこともあって、気の優しい純粋な心をを持った少年というわけではありません。犯罪すれすれの行為に手を染めたことだってあり、恋ほどではないにしろ、他者に対するどす黒い感情というのは常に持っていて、それが欲求不満と重なり、前述のような妄想に結びつくことは不思議じゃない。
大体、先日まで童貞だったとは言え、森羅は性的なことに対しての抵抗感がそれほど強い方ではありません。裸を見ただけで顔が真っ赤になるようなウブな性格はしていませんし、かつて出会った心愛に対しても、強姦まがいの妄想を働かせたことがあります。もし彼女が生きるか死ぬかの瀬戸際という巨大な痛みを抱えていなければ、森羅は心愛を襲っていたかも知れないしね。
「襲うの?」
あやめに欲情し始める森羅に対して、唐突に恋が声を掛けてきました。驚く森羅に、恋は誰か入ってこないか見張っていてあげてもいいなど、余裕の笑みさえ浮かべているのです。扉を開ける音どころか、気配すらまったくしなかった恋は、森羅曰く必要とあらば気配や情念を外に一切発散させることがなく、体内にずっと溜め込み、爆弾のように抱え込むことが出来るらしい。それにしては余裕がありすぎるというか、落ち着きすぎていると感じなくもないけど、森羅はそこに疑問を感じることなく、もっと単純な問いかけをしました。何故、ここに恋がいるのかと。しかし、恋はこちらの台詞だと言い返し、森羅は自分の行動が監視されていたか、それに近い状態だったことを悟ります。

あやめとはなにもないと弁解する森羅ですが、恋はその言葉を素直に受け入れた。翠や透香ならまだしも、あやめは逢瀬どころか、気持ちよさそうに寝ている最中です。幾ら嫉妬深い恋でも、彼女との間に、なにかあるようには見えないでしょう。そう、恋はそもそも嫉妬深い性格をしています。兄を他の女に取られやしないか、常に不安や心配をしており、森羅が他の女に目を向ける、あるいは仲良くしようもなら、それが些細なことであっても嫉妬心を隠すことがありません。
にもかかわらず、今の恋は森羅があやめを襲いたいと思ったことを、その気持ちを否定せず、あまつさえ彼があやめにしたであろう妄想、その全てを叶えてあげるとまで言い切るのです。「お人形さんみたいに滅茶苦茶にしてもいい」とは、もはや口説き文句や誘惑のの域を超越した言葉でしょう。自分の思い通りになる美少女、そんな存在を男が求めないわけない。情欲に塗れた表情や言葉遣いなどは一切なく、あくまで清楚にして可憐な微笑みを向けてくるのだから。まともな男であればあるほど、理性など、すぐさま吹っ飛ぶでしょう。ましてや森羅は、数日間恋にお預けを食らっていた身です。たとえそれが言葉であっても、性的なものならば身体は敏感に反応し、飢えや渇きを身体が思い出してしまう。
そして彼は、ついに、やれるのではないかという欲望を、勃起という形で表現してしまった。しかし、森羅はなけなしの理性と、兄としての意識から恋の言葉をからかいに過ぎないと避けようとします。だけど、恋はどこまでも本気でした。彼女は本当に、森羅のためだったなんでもするのでしょう。それは他ルートでも明言していることですし、今更驚くことではない。でも、今回はまだ続きがあった。
「森羅がお願いしてこない限り、絶対にわたしからは手を出さない」
その言葉の意味は、説明しなくても分かるものでした。
「男性の限界は3日くらいって聞いたことがあるけど、どうなのかしら?」
ここに来て、森羅は最近の恋の態度が何だったのか気付きます。自分の言葉が最後の一線になることも、彼は十分に理解していた。でも、それに対して彼が覚えた葛藤は、常軌を逸するものだった。森羅は既に、恋をその場で犯すことしか考えていなかったのだから。

罪悪感などとは全く異なる森羅の葛藤。しかし、それでも最後の一線を踏みとどまろうとした彼は、ふとあやめの方を見てしまう。まだ寝ている、寝ているのなら出来るのではないかと、常識が抜け落ちたかのような考えまで抱き始めてしまった。
「あ、もしかしてあやめも混ぜてしたい?」
森羅が本気でしたいなら、そうなるように手を回すという恋は、冗談など言っていませんでした。森羅が“男”になったように、恋は“女”になっている。もはや、それを完全に認めざるを得ない状況になっていた。「帰ってもいい?」という、恋の言葉を、森羅は「……待て」と止めました。答えるまでは触れさせてもくれない恋に、遂に彼は折れました。したい、セックスをさせろと、自分でも信じられないほどに理性の箍が外れてしまっていた。そして恋は、眠り姫のいる図書室で……森羅にフェラを行うのです。
そこから先の日々は、“猿のように”という比喩の通りに恋とセックスをしまくったと森羅は言います。イベントシーンとして描かれてないだけで、部屋、風呂場、台所、それに社務所の裏で青姦など、時と場所など選ばない。ある日は二人揃って風邪を引いたことにして、朝から何度も恋を犯すなど、森羅は恋の言葉通りに、彼女に何でもしたし、彼女は望めば何でもさせてくれたのでした。
これらのシーンは前述の通りゲーム内で文章のみ書かれていることですが、想像すること自体はそれほど難しくなく、むしろ容易とも言えます。何故なら、丁度この時期の真都連の関係を書いてであろうSSが、PUSHの12月号に掲載されていたからです。あれに描き下ろされた「夏空のソフトクリーム」が、まさに該当する話なのだと思います。今から読むのは難しいと思いますが、森羅と恋の関係が既に爛れていることが、よく分かりますね。

でも、そんな関係が長くも続くわけはなかった。いや、森羅はこっそり隠れながら、騙し騙し恋とのセックスを繰り返してきましたが、遂にその範囲は学校内にまで及んでしまった。一度、眠り姫の前でフェラをしているとは言え、空き教室などではなく、いつも授業をしている教室でセックスを行う二人。猿のようにとはよく言ったもので、学校でしたいという恋の誘いに森羅が応じ、もはや彼に歯止めなど利かなくなっていた。勿論、学校に誰も残っていないことは、あやめすら帰宅していることは確認済みだけど、エロゲで良くあるはずのシチュエーションが、ここまで背徳的に感じられるのも凄い。多分にBGMの力が大きいのではないかと思っているのだけど、いつも騒がしい教室に蠱惑の音楽が流れ、そこで艶めかしく森羅と恋が絡む。演出って大事だなぁと、エロを楽しむよりも先に感心してしまった。
深い関係になっていこう、森羅は恋が恥じらいを覚えるようになったとしてきます。昔はあからさまな性的アピールをしてきたのに、実際にやると落ち着いてきたと、そのように評価する。おそらく森羅は、昨今における恋の態度は彼女が“女”になったからだと考えたに違いなく、彼は彼女の変化をそう定義づけていた。確かに正しいものの見方だろうし、以前のそれが子どもとしての情緒不安定と思えば、納得出来なくはない。
だが、しかし……果たして本当にそれだけなのか? さっさと性欲を満たしたい、それだけに支配されつつあった森羅は、いつの間にか深く考えると言うことを放棄していた。自分でも気付かぬうちに、いや、気付いているにも関わらず、性欲に忠実となること、欲望にひた走ることを疑問に思わなくなっていたのです。
教室で激しいセックスを繰り広げる最中、恋は突如として高笑いを始めます。突然のことに驚く森羅だけど、それは彼に向けられたものなどではなかった。
「すごかったでしょ!? 感じちゃったんじゃない!? ねえ、ねえ!? 答えてよ――!」
恋の叫んだ先に、そこにいたのは。
「翠!」
名指しされ、息を呑む翠だった。全身を震わせ、顔を青くし、今にも倒れてしまいそうな状態になっても、彼女は森羅と恋から目を逸らせなかった。逸らすことが、出来なかったのでしょう。慌てた森羅は、恋を押しのけて翠に弁解しようと駆け寄りますが、翠は顔を歪めると、そのまま走り去ってしまった。

森羅は恋を初めて抱いたときから、この様な機会が訪れるのではないかとずっと恐れていました。だから最初の内は二人の関係を周囲に隠したし、翠や透香を避けてみるなど、可能な限りの手を打っていた。けれどいつからか、おそらくを二度目のセックス以降、森羅の中でなにかが、箍としか言いようのない物が外れてしまっていた。故にこれは、ある意味で彼の油断が招いた結果と言えるかも知れない。
……本当にそうだろうか? 翠に恋とのセックスを見られた。言葉にすれば単純で、普通なら混乱して頭を抱えたくなるような、そんな絶望的な状況にも関わらず、森羅は「だからどうした」と感じていたのです。世界が一変したことや、翠に見られたことの驚きすらも、森羅にはどうでも良いことになっていた。あまりのショックにおかしくなったのかと森羅は自問自答するけど、それと同時にこんなことを考えている人間は狂っていると言えるのかと、そんな疑問さえ湧いてくる。
恋は森羅に、自分がいつから翠に気付いていたのか、その事実を告げます。私は何となく、セックスを始める前の雰囲気から、恋は最初の時点で気付いていたんじゃないかと思ったのだけど、実際はそうでもなかったらしい。となれば、最初の「あ……」は、足こきを思いついただけか。森羅は気付いていたのなら何故言わなかった、そして追い掛けなくて良いのかという当然の疑問を抱くけど、恋はそれに対してただ一言、『今さらどうしようもない』と返します。確かに、行為を始める前ならまだしも、セックスの最中に目撃されていたのなら、言い訳のしようもありません。だから言わなかったし、止めなかった。翠を追い掛けたところで、なかったことに出来るはずもない。
森羅は恋の答えが自分の導き出したものと同じであることを悟り、今更なにをやっても変わらないから続きをしようという恋の誘いを、あろう事か受けてしまうのです。翠に見られたことを考えながらセックスするのは最高に興奮すると良い、森羅もまたそれに賛同した。それどころか、翠を逃がさず、自分たちの行為を見せ付けてやれば良かったとさえ思った。だからそのまま恋を抱いたし、自分の性を全て解放することに躊躇いがなかった。
そしてその結果、森羅は自分の心に生まれた違和感に気付いてしまったのでした……

長くなったので、2回に分けます。恋ルートは非常に思い入れが強いので、ダイジェスト形式での感想になりましたが、妹モノのシナリオとしては良く出来ていると思います。近親相姦であることを無視しているかのように見えて、実はそうでなかった。後、これは誰のルートを先にやるかで印象が変わってくるでしょうが、翠やあやめルートでの伏線が回収されていたのも良かったですね。元々シリアスだったものが、更に緊迫してきた恋ルート。続きはまた、次回の日記で書くことにしましょう。
夏空のペルセウス感想、2回目は菱田あやめです。彼女のルートに入る前に、私は一応ロードで選択肢画面を開くのではなく、ニューゲームで新しくゲームを始めて見ることにしました。もしかしたら、どこかしらで透香ルートが解放されているかも知れないと淡い期待を抱いたのですが、そんなことは決してなく、何をどうしても選択肢が増えることはありませんでした。試しに10分間画面放置とかもしてみたんだけど、どうやらそんな旧世代機ゲームみたいな仕掛けはないらしい。まあ、そんな物合ったら逆にビックリだけど、これでいよいよ最悪の事態について想定しなければいけなくなった。

あやめルートは、先に結論から言ってしまえば人の痛みとはなにか? ということだと思いました。翠が抱えていた物理的と見せた精神的、あるいは感情的な痛みと違い、あやめのそれは心理的な側面の強いものです。あやめは両親を交通事故で亡くしており、それが心の傷となっている少女です。普段のどこか間の抜けた態度からは想像も付きませんが、あやめは共通ルートの時点で「家ではよく寝られない」など、片鱗自体は見せているんですよね。
森羅はそんなあやめの心の傷を癒やしたいと考えるわけですが、このルートは、森羅があやめに好意を持つ理由が少し弱いような気がしました。森羅とあやめは共通パートでラッキースケベ的なイベントはあるものの、個人間としての付き合いは薄い方でしたし、好意を持つ、惚れるまでの過程がやや駆け足だったように思えなくもない。まあ、あやめは村一番の巨乳で、箱入りのお姫様ですから、一目惚れをしたのだと言われても、別段不思議ではないんですけど……翠はさ、昨日の感想にも書いたとおり親戚だし、性格的な面からも好感を持つ部分が多いと思うし、透香は体験版通りならば別の目的があるから、ルートへ進むことへの違和感がないのだけど、あやめだけは唯一そういうのを感じてしまったかも知れない。描写が丁寧じゃないというより、さて、森羅というキャラはあやめに好意を持って、命がけで惚れるのだろうか? なんていう疑問が生まれてしまったんだよね。勿論、あやめも良い子だけどさ。

恋によると、力の強い彼女が他人の精神的な痛みも自分に移すことが出来ると言います。力の弱い森羅は、未だかつてそうした経験はなかったわけだけど、仮にもし自分にも同じ事が出来れば、あやめの心の傷を、両親を失った痛みを癒やせるのではないか? と考えます。過去から今に至るまで、多くの人の痛みを自分に移してきたであろう森羅にとって、痛みが無くなるというのは相手にとっては良いことなのだという大前提があったし、物理的な傷でないのなら自分がそれほど痛みを負うことはないとも思っていました。
あやめに惹かれていることは事実であり、そんな彼女の力になりたい、そして、自分の力を誰かのために使いたいという願望を持っていた森羅は、あやめに対して能力を発動し、その心の傷を、痛みを自分へと移してしまうのです。
ここで、全く関係ない作品ですが、昔ナースエンジェルりりかSOSという魔法少女系のアニメがやっていました。もう、17年も前のアニメだから知っている人も少ないとは思うけど、私が特に好きな話に、敵の幹部デューイと最後の決闘を行うというものがあります。デューイは強敵であるナースエンジェルを倒すべく、敵の親玉であるブロスから不死身の肉体を授かり、あらゆる攻撃を物ともしない脅威の強さを見せ付けました。しかし、りりかの必殺技を何度も食らう内に段々と様子がおかしくなり、遂に激しい痛みに発狂し始めます。そう、デューイは決して不死身になどなったのではなく、ブロスによって身体から痛覚を消されていたに過ぎなかったのです。やがて限界を迎えた身体は崩壊を始め、見捨てることが出来なかったリリカによって助けられます。
この話に置いて重要なのは、リリカの優しさは勿論ですが、人にとって痛みというものが、極めて必要な感覚であるということです。人は痛みを感じることが出来るからこそ、成り立っている部分もある。痛みに気付かない、痛みを忘れてしまった人間は最終的にどうなるか? デューイが死の淵へ落ちそうになったように、必ず壊れるでしょう。

話を夏ペルに戻して、森羅はそういったことへの思慮が足りませんでした。痛みがなくなるのは良いことだ、自分なら両親の死という悲しい記憶とと心の傷を負ったあやめを癒やすことが出来ると考えた森羅は、見事能力を使用して彼女の中にある痛みを、両親が死んだ事によって生まれた強い恐怖心を自分の中へ移すことに成功してしまいます。だけど、森羅が成功を実感する間もなく、あやめはどこか惚けたように帰宅してしまい、次の日は学校に中々現れないなど、早くも変化が現れ始めた。
昼になって登校してきたあやめは、明らかに普段と変わっており、透香よりも自分のやりたいことを、自由気まま、勝手気ままにやるという性格に変貌していました。あまりに変わりように驚く周囲ですが、森羅は当然自分の能力の影響であると思いましたし、恋もそれに気づき、事情を知っている翠でさえ疑い始めます。
そして、この三人によって話し合いの場が持たれ、恋は森羅にあやめの精神的な傷や痛みを移すに当たって、「実験や練習はしたのか?」と尋ねます。そんな発想があるわけもなかった森羅は戸惑いますが、自分の能力について研究をしてきた恋は、精神的な傷や痛みを移すことの危険性を森羅に教えます。彼女自身は、森羅に対して実験を行っていたなど、とんでもないことを言いますが、今はそれよりもあやめのことです。翠の話では、現在のあやめは猟人が事故死する前のテンションに近いとのことで、これは両親が亡くなったという事実が、あやめにとって重しや足枷になり得なくなったことを意味します。それだけ聞くと良いことのように聞こえますが、実際に森羅があやめから移した、いや、奪ったものは、そんな単純ではなかったのだから。森羅は両親の死という、大抵の人にとって究極的な痛み、恐怖心というものをあやめの中から奪ってしまっていたのです。だから、あやめは何に対しても恐れを抱くことがなくなり、学校には遅刻するし、サボるし、周囲が聞いたらビックリするようなこと当然言うし、やるのです。そうした中で、あやめは森羅に告白し、彼を取られまいと彼氏彼女の関係になってしまうのです。

けれど、恐怖心を失ったあやめの人格は、徐々に壊れ始めます。いくら恐怖心が消えたからと言っても、あやめの中から常識などが完全に消えてしまったわけではなく、彼女は自分の言動や行動のギャップの数々に苦しみ、戸惑い始めます。当然、彼女の奇行とも言える姿は狭い村の中ですぐに噂となり、広まってしまう。誰かと話すだけで信じられないような言葉を平気で言ってしまうあやめは、自分に歯止めが利かなくなっていることを悟ったのか、遂には家に引きこもってしまうのです。
あやめが本来持っていたはずの痛み、恐怖心は、ただ両親を失っただけのものではありませんでした。彼女は両親が事故死した車に同乗しており、一人だけ助かった中、救助されるまでの12時間を、死に絶える両親と、その死体と共に過ごしていた言います。絶望的な状況と現実は巨大な恐怖心となり、それが深々とあやめの心に傷を付け、痛みとなっていた。これ以上にないと言うぐらいの。にもかかわらず、森羅はそうした深い事情を知ることもなく、痛みを取り除くのは良いことだと、あやめから恐怖心を奪ったのです。
そして恐怖という痛みを失った徐々に壊れていき、遂には崩壊寸前まで来てしまった。責任を感じざるを得ない森羅はあやめに本当のことを、自分があやめを壊してしまったのだという事実を告げますが。もはや感情を殺すことでしか自分を保てなくなったあやめは、さしたる動揺さえ見せませんでした。けれど、彼女は森羅に言うのです。「責任を取ってください」と。
村の中で完全に居場所を無くしたあやめは、自分と共に逃げて欲しいと森羅に告げます。それが彼女が彼に課した責任の取り方であり、森羅としては応じざるを得ません。だけど、彼は何もせずにあやめと逃げることを潔しとはせず、一計を案じて透香に相談を開始します。上手く行くかは分からないが、彼としては別の責任の取り方を、あやめを元に戻すことをしたかったのでしょう。あやめとの逃亡計画に同意しつつも、彼は独自に行動を開始します。だけどそれと同時に、彼は本当にあやめと逃げることになるのなら、それでも良いかと、妹の恋でさえ捨てていく覚悟を決めていました。自分と恋のために天領村へと逃げてきたのに、その恋を捨てて別の女とまた逃げ出すという。何とも自分勝手な話だし、私も正直オイオイと思ったけど、それほどまでにあやめへの気持ちが強くなっていたのでしょう。

そして逃亡する日、バス停で待っていたあやめの元に駆け寄る森羅。本当ならばここに透香が現れ、彼女と立てた作戦が決行されるはずだったのだけど……そこに現れたのは、凶刃を手にした恋だった。包丁を片手に森羅を切りつけ、自分を捨てて逃げようとする森羅を取り戻しに来たのです。かつてminoriのイベントで、「あやめルートは火サス」と言われていた意味が分かりました。恋はサスペンス劇場も真っ青な憤怒を持って森羅の前に現れ、自分を捨てた彼を許そうとはしません。
その憎悪と迫力に森羅は圧倒されますが、そんな中にあっても、あやめは無感情で、一切の恐怖心を持たずに恋と接しました。だって怖くないから。包丁を向けられても、自分が殺されそうになっても、彼女は怖いと思うことが出来なかった。それは頭の中から骨の髄まで、彼女が壊れてしまっている証明でした。森羅は自分のしでかしたことの重大さを改めて悟る。
あやめはずっと、ここでは無いどこかに行きたかった。両親が死んでしまったときから、元々都会への憧れもあったにせよ、彼女が翠ルートなどで村の外へ出ることを希望していたのには、そうした理由もあるのです。けどそれは、何も都会で無くてもよくて、極端な話、あの世でも構わなかった。死ぬことへの恐怖など、あやめの中からはとっくに消えていたから。
絶望的な状況の中、それでも森羅はあやめに向かって叫びます。彼女を諦めたくない、壊れたまま死んでいこうとする彼女を救いたい一心で。彼の発言自体は本当に陳腐で、大けどそれだけに分かりやすく、心に響くものがあった。自分が森羅のために死ぬこと、森羅が自分のために死ぬこと。誰かのために死ぬこととは、かつてあやめが最低だと思った、両親の最後に被るものでした。あやめが死ぬぐらいなら自分が死ぬと言って、本当に死んでしまったあやめの両親。残された彼女が負った傷と痛みは大きく、大きすぎて、僅かに残った欠片が、彼女の壊れていた恐怖心を呼び起こした。消え去った両親の死に対する恐怖心が、森羅と一緒にいられなくなるという新たな恐怖心によって、置き換えられたのです。

膝を付き泣きじゃくるあやめは、もはや完全に恐怖へ支配されていました。森羅と恋はそれに気付き、だけどあやめを許す気が無い恋はそのまま凶刃を振り下ろす。死は、彼女が望んでいたことのはずだから。
森羅はその凶刃を止め、もはや妹以上にあやめが大切である事実と、あやめを害するなら恋とて許さないと言い切ります。彼は本気で、本気すぎて、だから恋も凶刃をあっさりと、拍子抜けするほどあっさりと引っ込めてしまった。驚く森羅の前に透香が現れ、恋によって排除されていたと思われた彼女は、実のところ恋と一緒に一計を打っていたのです。本来の森羅の作戦は自分が死んだことにして、曲がりなりにも彼氏の死という事実であやめに恐怖心を取り戻させることでしたが、それに気乗りしなかった透香と、事情を知った恋の「ぬるすぎる」という判断から、まるで火サスのような修羅場劇へと急遽変更されたのだという。結果、あやめは見事恐怖心を思い出し、彼女は村を出る必要が無くなったというわけです。
恋はあやめへの敗北を認めていましたが、森羅としては一つだけ気になることがあった。つまり、恋はどこまで本気だったのか? あれは本当に全部芝居だったのか、といういこと。そんな疑問に対し、恋はどこまで明るい笑顔で、「どう思う?」と逆に聞き返すのでした。思わず聞きたくないと返す森羅ですが、長い付き合いである彼には分かってしまったのでしょう。妹はどこまでも、本気だったと言うことに。

あやめルートは、あやめという少女を通して森羅の持つ能力の側面を見せたシナリオでした。痛みを失うこと、恐怖心が無くなることの意味、そんな人間はどうなってしまうのかという、能力の空回りが表現されています。痛みを移すことは、少なくとも相手にとって都合の良いことだと思ってきた森羅の先入観や前提が、ここで大きく崩れるわけです。自分が痛い思いをすれば、誰かしらを助けられると信じていた少年にとって、それは衝撃的な経験だったでしょう。勿論、恋ほどの力があれば別の結果が生まれていたかも知れないけど、要するに森羅は失敗したのです。それを取り戻すために彼は奔走し、悩み、考え、結果連や透香の力を借りて成し遂げることが出来た。
昨日の翠ルートもそうだけど、この二人のシナリオには森羅の能力が間接的、あるいは直接的に絡んでこそいるものの、能力そのものに焦点が当たるわけではありませんでした。あくまでヒロインが抱えているもの、もしくは失ったものに対して森羅が向き合う話であって、それは自分自身には深く言及されてないんですね。彼女たちに対する想いや気持ちは別としても。だから、そういった部分、つまり核心に触れるのは、残り二人のルートで無くてはならなかった。だからこそ、翠やあやめは夏ペルという作品に置いて、脇役でありサブヒロインだったのでしょう。

明日は恋ルートについて書きます。最後にやりたかった彼女のルートを何故先にやることとなったのか、その辺りも含めた上で、恋のシナリオについて書いていこうと思います。私にとっては、遠野恋という少女こそが夏ペルの象徴であり、自分にとっての一番であるという気持ちは変わりません。あらゆることに先んじて、そのことだけは先に書いておきましょう。
夏空のペルセウス、翠ルートの感想を書きます。minori推奨のオートプレイでやりましたが、あくまで初回プレイの感想なので、二週目以降はまた感じ方が変わってくいるかも知れません。だから、これはまだ私と夏ペルの、翠ルートのファーストインプレッションでしかないことを先に明記しておきます。なにか逃げているような気もしますが、結構大事だと思うのよ。エロゲに限った話でなく、印象ってのは繰り返されるごとに、あるいは時間が経つにつれて変わってくるものですから。

ルートの感想入る前に一点だけ、私は今回の夏ペルを透香ルートからプレイするつもりでいました。理由は幾つかあるんですが、まず第一に透香がこの作品の表ヒロインであると事前の情報で伝えられていたことと、主人公の妹である恋が裏ヒロインだと言われていたからです。表と言うからには王道的なシナリオであり、恋は最後の真ルート、真シナリオみたいな扱いなんだろうと予想し、では最初に表ヒロインである透香を攻略しようと、そう考えていました。
第二の理由に、これも単純な話なんだけど、体験版の引きが透香で終わっていましたから、単純に続きが気になったんですね。あの後、森羅と透香はどうなってしまったのか? それを知りたかったこともあり、私は真っ先に透香ルートへと進むつもりだった。そう思いながら、ゲームをスタートさせた訳なんですが……最初から、「あれ?」とは思ったんですよ。序盤の回想と電車のシーンが、どことなく体験版のそれと違うように感じたから。でも、この所は忙しくて体験版をやり直す暇はなかったし、製品版故の差異か、あるいは単純に私の勘違いや錯覚だと思い直した。まさか、体験版を起動して同時にやってみるなんて無粋な真似出来ませんでしたからね。
ただ、以降の基本的な流れは、それこそ選択肢が出るまで体験版と同じようなものだったから、特筆すべき点はなかったかも知れない。妹の恋と共に天領村にやってきた、遠野森羅という少年が、そこで出会った少女たちと接する中で、自分の能力や他者というものに考えていくわけですが……体験版部分を消化し、待ちに待った選択肢を選択する場面に来て、私は思わず固まってしまった。だって、なかったんです。望楼に行くという選択肢が。

望楼とは、前述の透香が一人天文部として星を観察するために訪れている場所で、彼女に会うためにはそこへ行かなければなりません。しかし、自らの力を使い、それでも救えるのは一人だけだと思った森羅の前に現れた選択肢は、花畑、沢、図書室の3つだけだった。そう、本来入るであろう望楼への選択肢は、ルートロックが掛けられていたのです。
私はminoriがニコニコ生放送でやっているminori通信を視聴しているのだけど、あれを聴く限りでは、この夏空のペルセウスという作品にルートロックはないと思わせる発言があったので、当然の如くユーザーの好きなように、好きな順番でプレイできるものと思っていました。だからこそ、自分の中で続きが気になっていた透香ルートを最初にプレイできればと考えていたし、選択肢の画面が出るまではそのつもりでした。
しかし、現実には望楼は選択肢に存在しないロック仕様になっており、最初に透香を選ぶことは出来ませんでした。勿論、minoriは一度もルートロックを掛けていないと明言はしてませんでしたから、これは私の早とちりや勘違いなのだろうけど、出鼻を挫かれた感じがしないでもなかった。私はここで3つの仮定を立てました。つまり、どうすれば透香ルートは出現するのか、ということについて。一つ目は、誰でも良いからヒロインのルートを1人クリアすること。1人攻略したら出現する隠しルートなんて良くある話だし、透香ルートがそういう仕様になっていても不思議じゃない。二つ目は、これまた単純だけど現状出ている3つのルートをクリアすること。すべてクリアすれば、真ルートである透香が出現する、というわけです。三つ目はあり得ないけど実装ミス。単純に表示されるべき選択肢が表示されないバグやエラーが発生したと言うこと。まあ、こんなことはあるはずもないんだけどね。

このときの私は、おそらく一つ目で透香ルートは開くと考えていました。なにせ、minoriの社長であるnbkzさんは、翠→あやめ→透香→恋でプレイしたと言うし、この順番を再現するには、翠かあやめ、あるいは両方をクリアした時点で透香ルートに行けないとおかしいからです。本音を言ってしまうと、私は透香も先にやりたいが、それよりも何よりも、一番思い入れのある恋を最後にプレイしたかったんですね。これが私の好きな順番というわけで、それでプレイできるもんだと思っていただけに、たとえ勘違いであったのだとしてもガクリときてしまった。
けれど、選択肢が存在しない以上は他の3人から選ばなければならず、私が最初に選んだのは翠ルートでした。この際、minoriと同じ順番にクリアしていこうと思ったんですね。どちらにせよ、恋を最後に持ってこられることには変わりないから、最終的な狂いがないのなら、それでも良いかと考えて。でも、私は一つだけ明確な思い違いをしていた。私はユーザとしての環境でプレイしていたけど、向こうは制作としての環境でプレイできたのだと言うことを。これは後々に置いて、私の中に大きな波紋を広げることとなります。
そんなわけで翠ルートですが、数いるヒロインの中で森羅が翠の元へ向かうという選択は、それほど違和感がないように思えた。なんて言ったらいいのか、翠はこの村に来て最初に出会った人間であり、親戚であり、彼ら兄妹の事情を知りながらも気軽に接してくれる相手です。親近感とはまた違うのでしょうが、森羅が気を許すことにはそれほど違和感もなく、恋ですら翠には懐くとは行かないまでも、敵意の矛先を向けてませんでしたから。そういった意味で、まだしも安全にプレイすることの出来る、入口と言っても差し支えないルートだったかも知れない。

minoriのイベントで、夏ペルをefで例えるなら翠のルートはfirst tale.だと言っていました。ここからも分かるとおり、他のルートに比べてそれほど重苦しいものではないんですね。物語は主人公である森羅の能力がどうと言うよりは、翠の抱える個人的な問題、癒えない傷に焦点が当てられていて、それが一体何であるのかを森羅が考えていくという話です。
では、癒えない傷とはなんでしょうか? 物理的なことを言えば、現代以外では治療困難な重傷や、後遺症、あるいは大きく残った傷跡など、目に見える傷という意味では、癒えない傷は確かにあります。でも、逆に物理的なものでなかったとしたら? もっと違う、精神的な心理的なものならどうでしょう。止まない雨という言葉があるように、心の傷というものは、なかなかに癒えないものです。けど、翠のそれは違います。彼女は山で転んだ際に足を怪我しており、そのため物理的な傷がある。
主人公の森羅と恋には、人の痛みを自分に移す能力というのがあって、かなり一方通行な超能力です。治すわけでもなければ、打ち消すわけでもない。痛いの痛いの飛んでけをしたら、そのまま自分に落ちてきたとしか言い様がない力、これを使って森羅は翠の足を治療します。ここら辺、少し設定が曖昧に感じたんですが、痛みだけでなく傷も移すことが出来るらしいのです。
森羅がそんなことをした理由は単純で、自分と恋の安全を買うため。翠の足を治療することで、彼女を味方に付け、その見返りに自分たちの安寧とした暮らしを守るとしたんですね。下心というよりは、打算的といった方が適切な気もしますが、森羅が翠に好意的だった、好意的にしようとしていた理由は、最初のうちはこんな程度でしかありませんでした。けれど、翠は恋をして例外と言われるほど、二人に対して差別的でなく、能力に対する抵抗感も、精々足を触れるときの羞恥ぐらいなものです。そんな翠に対して森羅が段々と惹かれていっても、心を開いたとしても、さほど不思議ではないでしょう。自分に対してある程度理解があって、怪我があるとは言え、基本は健康的で可愛い娘なんですから、魅力を感じないわけがない。至って単純な話です。

夏ペルという作品は、minori作品特有の共通ルートの短さも相成って、主人公がヒロインに恋する理由が、少なからず軽く感じられることがあります。自分の能力に向き合うためという主目的があるとは言え、なにか壮大な話の末に恋をしたというわけでもなく、言ってしまえば恋を除いた3人のヒロインは、出会って数日と間もない少女たちです。彼女らが転校生で、それまでいなかった同年代の男子である森羅に興味を持ち、惹かれる理由は分からなくもないけど、根本的に人嫌いだろう森羅が彼女たちに惹かれる、あるいは自分から吸い寄せられていく理由が、少し弱いように思えた。まあ、翠については上記の通り、ある程度は惹かれる要因が明確化されてますから、違和感や不思議は少ないんですけどね。
勿論、森羅の人嫌いは恋のそれに比べたら軽い方だし、生来のお人好しな性格から、本質的には他人を放っておけないのだろうけど……うーん、難しい。恋が言うように、森羅はこれまでも自分から厄介ごとに突っ込むことは多かったのでしょう。それは冬空のペルセウスに出てきた心愛もそうだし、そこから先の出来事でも、森羅はお人好しな部分を見せたと言いますから、そういった性格的な部分と恋愛的感情が上手く繋がった、と考えた方が良いのかな? おそらく、恋ルート以外は全部そうなんだと思う。敢えて断定的な文章にしてしまうけど、切欠はいつも森羅の方から作っているんだよ。翠ルートはまだしも単純な、軽めの話だったけど、あやめや透香にしたところで、切欠に関して言えば、それほどの違いはないし。
唯一の例外は恋ルートだけど、彼女については、彼女のシナリオについて感想を書く際に触れようと思うので、ここでは止めておきます。それでなくとも、結構長くなってしまってますから。

翠の抱える癒えない傷、本当の痛みというのは、人間なら誰しもが持っているものだと思います。例えば子供の頃、夜中にベッドや布団に潜っているとき、ふと天井を見上げる。そうすると10年後の自分はどうなっているのかとか、何をしているんだろうみたいな考えが、不安となって押し寄せて、急に叫び出したくなるような、発狂したくなる瞬間ってあるでしょ? つまりは、将来への不安という訳なんだけど、翠はそれが自分自身ではなく、村の存亡という形で現れてしまったのだと思う。
体験版のときから語られているとおり、翠の家は大家族で、彼女は七人兄姉の末娘です。翠が所謂性的なことに興味津々なのは、年の離れた兄や姉の影響もあるみたいですが、家族が多ければ多いほど、それが離れたときのことを強く意識してしまうんでしょう。過疎化が進む村なんて珍しくもないし、余所者の森羅でさえ、天領村がなくなろうとしていることには気付いています。村の相談役を父親に持つ翠なら、もっと身近に、村の窮状に頭を痛める父やその仲間達を見てきたことでしょう。何もない田舎なんて大嫌いだったはずなのに、それでも翠にとっては故郷であり、本当は大好きな場所だった。だから森羅にも村に残って欲しいと思っていたし、故に彼に対して自分の体を許したのです。自分の目的を果たしたいが為に、森羅という少年を村に縛り付けるために、翠は彼と付き合うことにした。翠が森羅や恋の能力に対して、あまり関心を示さなかったのは当然です。だって、そんなもの村に居着いて貰うことことには関係ないから。本人がどこまで意識していたかは分かりませんが、下手に指摘し、差別でもしよう物なら、森羅も恋も村をさっさと出て行ったことでしょう。それは翠にとって、もっとも忌避すべきことだった。

翠はefで言うところのfirst tale.と言うだけあって、確かに宮村みやこのそれと近いものを感じました。要するに面倒くさい女という訳なんだけど、勿論不快な意味じゃなくて、自分自身に対する迷いや悩みから抜け出せないでいるところが、非常に分かりやすかった。みやこが紘という存在を手に入れるために身体を使ったように、翠もまた森羅を村に欲しいが為に身体を使ってしまった。自分のためと村のため、多少の違いや差はありますけど、でもそこに恋愛感情がなかったのかと言えば、これは普通にあるんです。みやこは当然としても、翠にしたところで嫌いな奴に身体を捧げるわけはありませんし、むしろ好きだからこそ、森羅に対して強い好意を抱いていたからこそ、何が何でも彼を村に残したかったんじゃないかな。前述のように森羅は自分か、それ以上に恋の安全や安寧を第一に考えていますから、恋に何かがあったらすぐに村を出たでしょう。翠もそのところは良く理解していたから、多少なりとも強引な手段に訴えなければいけなかったのではないか? みやこが景に勝てないと思ったように、森羅が恋を大切にする気持ちは、翠が村を思う気持ちに匹敵していると感じたのでしょう。だから翠は、自分を介して森羅の気持ちを村に傾かせねばならなかった。
森羅は翠と付き合う内に、そうした事実に気付き始めてしまいます。元々、色々な人間と出会い、別れを繰り返してきた少年です。妹ほどではないにせよ、人間心理に対して鋭い面もあるし、それでなくとも翠の態度があからさますぎた。森羅に対してもそうだし、あやめや、他のヒロインに対しても、翠は村の外の話を嫌い、拒絶したのだから。
大好きな村を守りたい、でも、同じぐらい翠は森羅のことも好きになってしまった。その板挟みは彼女を惑わし、自分のやっていることが正しいのか、いや、正しくないことに気付いてしまった。感傷的な部分はともかくとしても、感情的な発露では、外に羽ばたく鳥たちを止めることが出来ない。翠の両親は、自分の子供たちを独立させ、村の外で暮らすようにと家から出すと言います。外の世界に触れ、見聞を広めよと言うことなのでしょうが、その結果、誰一人として帰ってこなかった。合理的なやり方は、しかし、外の世界に馴染んだ子供たちにとって、現実を知る機会にもなってしまったのでしょう。あるいは村が長くないことを知った上で、名目を立てて先に脱出させていただけかも知れないけど、それは推測でしかないし、翠にはあるのは誰も帰ってこなかったという事実だけです。

森羅はそれが分かった上で、理解しながらも翠に村の外へ出ようと言います。結局、なくなろうとしているのは村の事情であり、村に問題があるのだから、それを探すためにも、改善するためにも、一度外に出ようと言います。そうすることで、森羅は村という存在に縛られた翠を解放し、彼女の負っていた傷を癒やしたんですね。こうして二人はお互いの将来に目標を見据えて、恋人としてまた一歩前に踏み出してくわけです。
以上が翠ルートになるわけだけど、私はちょっとばかし不安がある。話としては綺麗にまとまっているし、テーマもしっかりした翠の話だけど、将来的な部分で気になることがあるんですよ。というのも、もし翠の父親なり、村の人間が森羅や恋の正体を知ってしまったら? あるいは二人を、村のために利用しようと考えるのではないか。げすの勘ぐりなのは分かってるけど、みんながみんな、翠みたいな性格はしていないし、彼女が例外であることは恋が言及しています。森羅とて、悪人じゃないにせよ、自分の身内や親しい者のために、自分や恋を躊躇なく使った人間たちを多く見てきました。だから村の活性化に二人を利用しようと企む奴が現れたとしても、全く不思議はないはずなんです。
そういった輩が現れたとき、果たして森羅はどうするのか? 恋を守り、翠を捨てて村を出て行くのか。まさか、彼だって町興しに自分の能力を利用しようなんて考えちゃいないでしょう。たとえそれが、一番手っ取り早いのだとしても。まず第一に、恋が許すわけもないし。
話自体は綺麗にまとまったけど、先の見通したがそれほど良くもないのが、翠ルートという感じでしょうか? 勿論、そもそも過疎化が進む村の話であり、確実になくなろうとしているのは事実だから、明るい展望など待ってやしないのですが、どっちに転んでも良くないことが起きそうで、心配性の私としては、少し考えざるを得ない。翠が良い子であっても、両親が完全な人格者だとは限らず、主人公とヒロイン以外の登場人物が出てこないという本作独特の作りが、却って周囲に対する不安や不信感を生んでしまった気がして、残念でなりません。

ただ、将来的な展望を抜きにするなら翠ルートは良くまとまっていたし、何より翠はエロかった。巨乳村入村編として考えるなら、好みはあるにしても翠のそれは十分に魅力的だと思う。けど、これは全体的な話になっちゃうけど、オートプレイだとえっちぃシーンも長いね。まあ、普通にえっちぃことすればあれだけの時間は掛かるのかも知れないけど、中の人が長時間えっちぃシーンを録音ししていたのかと思うと、なんだか興奮しちゃうね。なんて、あまりメタ的なことを書いても興がさめるだけかも知れないけど。
明日はあやめルートです。こちらは翠ルートに比べると、やや複雑になっています。
今日はminori新作夏空のペルセウスの発売日と言うことで、朝っぱらから予約した分を引き取るため方々を駆けずり回ってました。結局、私は夏ペルの購入本数を13本に定め、Amazonを除くすべての特典をゲットする方向で決めました。これには幾つか理由があって、8月の末に買った某作品と違い、オリジナル特典というものが極端に少なく、描き下ろしのみで13種類+ドラマCDという非常に集めやすい数だったんですよ。これで、他のエロゲみたいにオリジナルテレカだけで10枚以上とかだったら手も足も出なかったけど、描き下ろしで13種類なら、コミケ前とはいえ別に予算組めば対応可能かなって。実際、全部手に入れましたし。

唯一オリジナル特典、作品CGを用いたポストカードを付けていたAmazonは、前日になって結構な数の注文キャンセルを行ったらしいです。店舗特典付けた上で予約を募っておいて、土壇場でキャンセルするとはちょっと酷い話な気もしますが、やっぱりエロゲは専門店で買えと言うことなんでしょうかね? 私がAmazonを購入リストから外した理由は、特典が描き下ろしでなかったことと、特典のポストカードが何故か翠2枚に透香1枚という何とも言えない攻勢だったので。恋がいれば考えたかも知れないけど、熟考した末にキャンセルされたら堪ったもんじゃなかっただろうし、これで良かったんだと思う。
私は大作や話題作と言ったエロゲが出る場合、特典を集める際にヨドバシやソフマップは地元横浜ではなく、隣の川崎で行うことが多いです。これには幾つか理由があって、横浜のソフマップはビブレの上にある関係上、開店時間が11時と、秋葉地区などの店舗に比べて遅いんですね。それに比べて川崎は10時と標準だし、それでいてどんなビッグタイトルの発売日でも混みませんから、購入までが非常に簡単で。しかも、秋葉への移動も東海道線で東京まで行けるため、移動に30分と掛からない理想的な立地なんです。
で、ヨドバシの方はどうなのかというと、こちらは基本的に開店時間が9時半とソフマップよりも早いので、先に済ませることが出来るというわけ。ただ、今回に限ってはちょっと事情が違って、夏ペルのソフマップ分は地元横浜店で予約していたんだよね。これは、夏頃行われた早期予約キャンペーンの影響で、あれの為にわざわざ川崎まで行って予約するのが面倒だったため、地元で済ませてしまったという経緯がありまして。
それでも、ヨドバシ自体は川崎で予約した方が便利だから、川崎を選択したのですが……何気なくサイトを見ていたら、私はとんでもないことに気付いてしまった。なんと、12月のヨドバシは期間限定で朝9時より営業するというのです。

思わぬ開店時間の早まりに行動予定表の修正を迫られた私だけど、30分早く秋葉原に着けると考えれば、それはそれで儲け物かも知れない。そう開き直ることにして、まずはヨドバシへと向かいました。ここはラストスパートキャンペーンのクリアファイルが、キャンペーン開始時には入荷が遅れて貰えなかったことから、発売日にソフトや特典と一緒に貰えることになっていた。記念すべき1本目だけど、ヨドバシは早期予約特典目当ての相次ぐキャンセルから全額内金に変わっていたので、予約表を見せて引き取るだけだった。通販も含めて、夏ペルは事前に全額払ったのが結構多くて、意外と当日の引取がスムーズでしたね。
ヨドバシが済んだ後は満員電車に乗り込み秋葉原まで。計算では10時より前に到着するはずでしたが、これには特に誤差もなく、45分頃には着いたんだったかな? まずは駅前のゲマ屋から攻略し、その後中央通りに繰り出すと言うことで、実はこのゲマ屋もイベントがあった関係上、既に全額内金で支払い済みでした。2Fより上の開店時間と同時に6Fへと駆け上り、恋の特典シーツ付きをゲットして中央通りへと移動。近隣のメディアランドでも予約していたんだけど、こちらはなにせ10時半の開店でしたからね。30分あれば、2店舗ぐらいは攻略できるだろうと後回しにしたんです。
流石は月末エロゲの日というだけあって、中央通りの各店はそれなりに混んでいました。道なりに進んで、ゲマ屋の次に行ったのはトレーダーなんですけど、こちらも私が並んだ以降は店の外にまで列が伸び始め、結構ギリギリだった。ここでは翠の抱き枕カバー付きをゲットして、旧メッセさんオー時代のポイントカードがあったので、それを使用して値引きできたのが嬉しかった。トレーダーになってからは、そういうサービスもなくなったのが残念ですね。まあ、50ポイント貯めても500円しか割り引きできないんだけど。1000円で1Pだから、5万円分はあの店で買い物してることになるんだけど、なにをそんなに買ったかまるで思い出せないという。

トレーダーを済ませた後は、げっちゅ屋へ向かいました。正直、当初の予定ではここが一番長く掛かると思っていた。というのも、この次に向かう予定だったメディオが店内改装の結果、かなり列捌けが良くなっていたことから、げっちゅ屋の方が時間掛かると思ったんです。実際、30分程度掛かりましたからね。恋の抱き枕付きを購入し、もう一つ、きゃんでぃそふとの新作ガンナイトガールを買いました。数ある12月の新作から、夏ペル以外にも欲しいものってのは結構あったんだけど、その中から私が唯一選んだのが、このガンナイトガールだった。きゃんでぃの作品を買うのは初めてだったと思いますけど、私は数年に一度、無性にミリタリー系のエロゲをやりたくなることがありましたね。すめらぎ琥珀の絵も嫌いじゃなかったし、買ってみるのも良いかなと思って。
げっちゅ屋では前日に書籍の注文もしていたので、それがあれば引き取りたかったのだけど、他の店舗では発売しているのに、ここだけ何故か入荷が遅れているらしい。何ともいい加減な流通みたいだけど、まあ、急ぐものではないというか、他の店舗で買った分もあるから、週明けでも良いかと思い直して次の店、メディオへと向かいました。
メディオは半ば予想していたことだけど、店舗前の列から更に伸び、別の場所で最後尾が形成されていたのですが、最近の傾向からそんなに長く掛からないだろうと考えていました。どんなに掛かってもげっちゅ屋と同じ30分かそこらで終わると、そう信じていたのだけど……甘かった。列がさ、ピクリとも動かないんですよ。実際はちょこちょこっと動いてるのかも知れないけど、感覚的には殆ど止まっているのと同じで、結局購入までは1時間から1時間半ぐらいは掛かったんじゃないかな? これが今回の夏ペル回収における最大の誤算というか、まさかメディオで今更1時間半も掛かると思ってなかっただけに、その後はかなり苦労することに。まったく、これだからあの店は回避候補筆頭だというのに。

メディオで恋のテレカ+下敷き付きを購入した後は、そのままメディアランドに向かって秋葉原地区における最後の一個を手に入れました。ここは所謂共通テレカの着く店舗で、恋&翠のテレカが付いてきます。秋葉原を出たのは12時半と、10時前からいたことを考えると、かなり時間を食われました。げっちゅ屋とメディオで2時間も掛かったから、まあ、当然の結果なのかな。
東京で東海道線に乗り換えて、可能な限りの速さで横浜へと戻った後は、そのままアニメイトへ。私がこんなに急いでいるのには、実は幾つか理由があって、AMPnetなど通販で注文した分の配達時間指定を、14時以降に設定していたんですね。流石に10時から秋葉居るんだから、14時には家帰っているだろうと、これまでの経験に照らし合わせた時間設定をしたつもりだったのだけど、今回は横浜に戻った時点で13時過ぎてましたから、全くの余裕がありません。更に言えば、夏ペルの豪華版がピザ箱に似ていることから、夏ペル買ってピザを頼もうイベントがminoriユーザーの中で開催されることとなり、私も1枚注文していたんですよ。こちらはもしものことを考えて、14時15分以降のお届けにしてたんですけど、それすら間に合わなくなってきたから、まったくどうしたもんかという感じで。
一応、家人に連絡を入れて対応するように頼みはしたけど、出来るなら自分で受け取りたかったと思いつつ、アニメイトでは透香のA3タペストリー付きを購入。A3だと、やっぱり小さいですね。透香はソフマップ通販にもタペストリーが付いてますけど、こちらはB2サイズだから差が歴然としていたように思う。意外にも私の前に並んでいた人も夏ペルを買っており、アニメイトはそれなりに注文があったみたいですね。そういや、夏のキャンペーンクリアファイルも捌けていましたから、少なくともその分は注文があったのだろうか。
アニメイトを済ませ、次は西口のソフマップ横浜店へ。夕方頃になると混み始める店内も、この時間帯はまだまだ空いており、並ぶことなく恋のタペストリー+ドラマCD付きを購入できました。秋葉原の店舗が長蛇の列であることを考えると、ソフマップは地方店で買った方が早くて便利だね。横浜は何度か改装しているとは言え、エロゲの取り扱い規模では秋葉のそれに匹敵するし、一時期は日本一だったこともありますから、結構好きな店舗だったりします。まあ、ちょっと他店舗に比べて高価格なのがアレなんですけど、これは特典の数にもよるのでしょう。

ソフマップの次はメロンブックスと言うことで、ここは店舗購入では唯一シンプル版を予約していた店です。私としては、シンプル版も一つぐらい購入しておいた方が良いだろうという考えで予約したんですが、最近のメロンはエロゲの価格が結構安いのと、私が普段利用する店舗だからポイントが貯まっていたこともあり、4000円ぐらいで買えちゃいました。勿論、特典のあやめクリアタペストリー付きで、クリアタペってどんなのだろうと思ってましたが、これはなかなか良いですね。背景を白にしたのが、却って透明感溢れる仕様になっており、良い味だしてると思いました。
そして最後はとらのあなということで、このときには私の両手も大荷物で塞がり、冬にも関わらず汗びっしょりと、かなり疲労困憊していました。見かねた店員のおねーちゃんが、大荷物を一つの袋にまとめてくれると良い、それで結構楽になったけど、ある程度は両手に分散させておいた方が軽かったりもするんだよね。とらの特典である、あやめお風呂ポスターをゲットしたわけだけど、紙ケースに入っているわけでもなく、ビニール梱包された太巻きというのが少しに気になった。幸い無事だったけど、場合によってはすぐ痛めてしまうんじゃなかろうか。
まあ、兎にも角にも全店舗購入を制覇したわけですが、この時点で時刻は14時を回っており、電車に乗る頃にはピザが届いたという知らせを家人から受けることに。降りる頃にはクロネコも佐川も到着しており、眠いだろうに迷惑を掛けてしまった。まあ、ピザ半分上げましたけどね。
しかし、Amazonを回避したから本当の意味でコンプリートしたわけじゃないにせよ、夏の末に出た作品でも果たせなかったことを、年の暮れに達成できたわけだから、私としては結構満足しています。これを記念に、来年はもう複数購入なんてバカな真似は辞めようと思っていますが、既に幾つか気になる作品もあったりと、自分の自制心に早くも陰りが見え始めている始末。まあ、それでなくてもお金がないですから、早々に複数購入など出来ないのだけど……冬コミで相当額消えちゃうだろうしね。いや、その前に電気外祭りがあるのか。あれもminoriの出すグッズを幾つか買う予定だから、予算組んどかなきゃいけないな。通販でも良いんだけど、一部グッズは通販に回らないし、そもそも高いから。コミケはトイプラブースに委託されるはずですが、あそこは並ぶし、寒空の企業ブースには良い想い出がないので。

けど、一つ思ったんだけど、今回の年末商戦ってプリコレ始め結構な数が延期したわけじゃない? もし仮に、アレが延期してなかったら、げっちゅ屋とかメディオとか、どんだけ混雑したんだろうね。考えただけでも恐ろしくなるけど、逆に夏ペルだけであれだけの数を集めたんだと思うと、minoriはやっぱり凄いなという気分にもなる。既にプレイは開始しているので、感想書くのは明日から始めていこうかと思います。体験版の感想も書いていたのだけど、アップ前にデータが吹っ飛んだから、どうしようかちょっと検討中です。
そういや、Twitterで庄名さんから秋葉でニアミスしたっぽいことを言われたけど、それも少し残念だったかな。まあ、急いでいたから仕方ないのだけどさ。
minori新作、夏空のペルセウスの体験版が昨日公開されました。料理の鉄人を観ながらTwitterをやっているときに第一報を目にし、回線が混む前にさっさとダウンロードしてしまおうと、DLを始めたのだけど、結局1時間ぐらい掛かったのかな? 確か、番組の終盤から開始して、完了したのが22時過ぎだったから、結果的に言えばそれほど苦労ではなかったのかも。深夜が近づくにつれてサーバーが重くなり、管理会社から一旦停止されてしまったそうなので、それ以前にDL出来た私は、むしろ運が良かった方なのかも知れない。

例え、買うことが決まっている作品だったとしても、体験版の公開というのは嬉しいもので、期待値が高い作品なら尚更でしょう。私は気に入った作品は雑誌情報を始め、何から何まで収集しないと気が済まない性格なんですが、まさか1年のうちに2度もそんな作品に出会うとは思いませんでした。一つはご存じ、あんな結果に終わったイモウトノカタチだけど、もう一つはこの夏空のペルセウスになります。すぴぱらに続く新作で、完全なる18禁タイトルとしてはef以来になるんでしょうか? 天使の日曜日はFDだし、edenは追加ディスクという形を取っていたから、そう考えると結構久しぶりな気がしますね。
minoriの作品は元々好きだったし、windの頃から少なからず思い入れもあったんだけど、夏空のペルセウスに関しては全くの偶然というか、意図した出会いではありませんでした。
何せ、イモウトノカタチの情報収集で雑誌買い集めていたら、たまたま速報を目にしたというのが最初だし、それまでは特に意識してなかったんだよね。すぴぱらも買うだけ買って積んでたから、何か売れなかったらしいと言う話を聞いても、「ふーん」といった感じで。まあ、イモカタに気持ちが傾きすぎていたというのもあるんだろうけど、実際に記事を読むまではminoriというブランドがあって、一応作品を持ってるぐらいでしかなかったように思える。作品全部持ってれば十分だろうという気もするけど、そこはまあ、認識の差というか何というか。

夏空のペルセウス、略して夏ペルの記事を初めて見たとき、自分の中で何か響くものがあったのは確かです。抽象的で、表現しづらい感覚ではあるのだけど、「あぁ、私はこの作品を好きになる」といった予感めいたものが、そこにあった。私は前述の通り、濃いminoriファンというわけじゃないから、minoriの新作だからという発想は、今はともかく当時はそれ程なかったと思います。
ただ単純に惹かれるものがあったというか、まあ、一目惚れだったんでしょうね。ド田舎が舞台のインタラクティブ・ノベルということで、エロゲによくある田舎モノという奴です。私は元々都会が舞台の作品よりも、田舎がメインの作品を気に入ることが多くて、古くはオレポケとか、最近ではヨスガもそうですか。まあ、私が根っからの都会っ子だからってのもあるんだろうけど、何か広いようで狭い空間に、憧れではないけど思うところがあるのかも知れません。特に主人公が都会から引っ越してきたとか、そういうタイプの話を好む傾向が、自分の中にある気がする。
夏ペルは一身上の都合から、妹と二人で親戚の元を転々としている遠野森羅という少年が主人公で、妹の遠野恋を始め、四人のヒロインが登場する物語です。根無し草が基本の兄妹というのも珍しいですが、そこには他者の痛みを自分に移すという兄妹が持つ特殊能力が関係していて……と、僅かながらのファンタジック要素も入っています。

長くなったので体験版の感想は明日に回しますが、これからプレイするという人は、是非前日譚である冬空のペルセウスを一読した方が良いと思う。minoriのサイトで公開中なのですが、主人公の森羅に焦点を当て、彼がどんな人生を送り、どんな性格をしているのか、その一端が明らかになっています。これを読むと読まないでは、体験版の印象がまるで変わってしまうと言っても過言ではなく、個人的にも好きな話だからオススメです。私はとりあえず、夏ペルを何本買うのか、その計算をしようかなと。もしかしたら、全特典コンプリートを目指すかも知れない。それぐらい、惹かれるものがあったから。