煉瓦の日記によるとまだ発売していないはずあきば浪漫ス!最終巻ですが、何故か先週の金曜日の時点で書店に並んでいました。横浜のとらのあなとメロンで見かけて、私はいつも特典付けているゲマ屋で買おうとしたんだけど、ゲマ屋にはなくて。店員に訊いたら「明日入荷です」と言われた。てっきり、とらやメロンが早売りしていたのかと思ったんだけど、書籍情報だけ見ると一週間以上も前から売ってることになるんだね。

まあ、私は貴島煉瓦大好きだから、この人の作品は大抵買ってしまうんだけど……この作品もダメだったかぁ。本当のところはどうだか知りませんけど、まあ、まず間違いなく打ち切りでしょう。角川の狙いとしてはらき☆すたでピークを迎えた、オタク系漫画の一角として売り出して行きたかったんでしょうけど、如何せん煉瓦の作風とは合っていなかったと思う。
煉瓦は絵描きとして人気はかなりある方ですが、それは商業ではなく同人世界においてです。ここ数年は常にシャッター前を維持している完全な大手サークルですし、毎回繰り出してくる奇抜な本やグッズの数々に惚れ込んだファンがドッと押し寄せることでも有名です。私も最近は煉瓦を始め行くことを前提に計画建ててますからね。
けれど、同人で圧倒的な人気を誇った人が、同じく商業でもその人気を発揮できるのかと言えば、実のところそうでもないわけで。この辺り、他の大手サークルにも言えることですが。煉瓦はなんて言うか、二次創作を独自にアレンジし、煉瓦流の世界観に組み替えてしまうことに関しては天才的才能を持っているんだけど、それが商業作品には組み込まれてこないと言いますか。
私が、というよりファンの大半が好きだったのは未完の放棄されてしまったブラフマンだと思いますが、後の伊吹にしろなににしろ、やりたいことは同じだと思うんですよ。表現方法、話の内容、そういうのを変えつつも色々やっていますけど、根本はそれほど変化していないんじゃないかなと。ガジェット的な意味でもね。

煉瓦の力は典型的な二次創作特化型というか、元からある作品の設定やキャラを弄って、独自の色合いや雰囲気を出すのは本当に巧いし、そのなんとも言えない空気に魅了される人も本当に多いんだけど、如何せん商業、つまりオリジナル作品では通用しないのですね。ブラフマンの受けがよかったのは、煉瓦作品にしてはまだしも判りやすい話だったからだと思うんだけど、そう考えるとあきば浪漫ス!はなんでダメだったんでしょうね。やっぱり、ラブコメは無理だったんだろうか。いや、話としては決してつまらなくはないんだけど、煉瓦にしては当たり障りがなさ過ぎたんじゃないかと。もうちょっとこう、開き直ってエロラブコメとかにすればなんらかの影響もあった気がするけど、秋葉原が作中で密接に関わってくるわけでもないし、主人公や想い人のオタク設定もそれほど強烈じゃないし、なんとも中途半端感が出てしまった気がする。
そもそも、煉瓦としては初めてのラブコメだったはずだし、もう少し奇抜な設定で挑んでも良かったんじゃないかなと。それまでの煉瓦作品にはない至って普通のキャラや内容だったわけだけど、それだと従来のファンは着いてこないし、平々凡々な内容だけに新規ファンも作りにくかったと思う。
私としてはいい加減ブラフマンを、同人誌でも良いから再開して欲しいんだけど……煉瓦は不本意かも知れないけど、あれが一番煉瓦らしさ出てたもの。だからこそ、伊吹とかその辺の作品が劣化版のように見えてしまうわけで。まあ、ブラフマンに関しては編集部と和解しない限り無理だろうけどさ。すっかり角川の人になっちゃったし。

あきば浪漫ス!はもう少しキャラと作品の流れに拘りを見せた方が面白かったと思う。金持ちのお嬢様も、たまーに出てくるだけじゃなくて積極的に三角関係のお相手にするとかさ。親友のキャラも良かったんだけど、色々キャラを活かせてなかった感じがする。
まあ、それでも完結させたこと自体は評価できるんだろうか。煉瓦本人も言ってますけど、とりあえずはきちんと終わらせたし、主人公と想い人の恋愛模様にもちゃんとした結末が付いたから。
この次は春風桜花を再開させるらしいですが、個人的には今までで一番微妙な作品なんだよね。ブラフマン、伊吹と来て、さらに下がった感じがする。もう角川に掛け合って、ブラフマンの版権をジャイブから取ってくればいいじゃないか……それが一番手っ取り早いよ。個人的には、鳴と佳弥の関係がどうなるのか凄く気になってます。

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