久しぶりに新宿まで行ってきました。恩師に呼ばれて同じ一門の親友と、新宿中央公園を抜けるようにブラブラと。日差しは暑く、丁度噴水前でフリーマーケットみたいなのをやっていましたね。古着ばかりが置いてあったけど、特に興味はなかったんでスルーしました。目的地の少し手前で軽く昼食を食べて、目当てのメニューの期間が終わっていたことに少し落ち込む。まあ、期間中は少なからず食べたからいいんだけど。

月に一度か二度は恩師と会うことにしている私だけど、ここ最近は原稿の締切だなんだと色々押していたからすっかりご無沙汰してしまった。まあ、正確にいえば先日のSFセミナーで会ってるんだけど、あの日はめちゃくちゃ忙しなかったですからね。ろくに挨拶もできなかったという。
改めて出向いた先では幾人かの先客がいたけど、私の用事といえば顔見世とこの前作った逆襲の救世主下巻を恩師に渡すぐらいだったので、後は先客たちとの会話をしていた。驚いたのは同門の中に私の同人誌の存在を知っている人がいて、兄弟子か弟弟子かも分からない程度の間柄なので、私の作品であると認識はしていなかったようだが、私が作者であると知って大層驚いていた。なんでも上巻を探しているらしい。秋葉の本店にはあると思ったが、既に返送準備に入ってしまったんだろうか。丁度そのときは手持ちの1冊しかなったので、そんな状態の悪いものを渡しても失礼だろうと思い断念。
しかし、世間ってのは狭いですね。ロクゼロクロスはハッキリ言うとアクセス数から考えてそれなりに人気の作品だと思いますけど、それでも同門の人間が読んでいるとは……恥ずかしくはないが、なんか意外だった。何人かプロ作家もいたけど、ネットのSSとか読むものなんですね。新進気鋭の若手ラノベ作家が一人来てたが、今にも倒れそうな顔してたな。6月刊行らしいが間に合うんだろうか。まあ、間に合わなければクビが飛ぶだけだが。新人なんてそんなものです。
私はそんな作家先生方の姿を見て親友と、「作家も大変だねぇ」と他人事のように言っていたわけだけど……これは負け惜しみ、なんだろうか。

ラノベ作家に夢を持っている人間というのは幾人もいて、その数はなかなか減らないどころか常に増えていると言われています。灼眼のシャナとか禁書とか、そういったもののクリアファイル持っているようなガキンチョがプロ物書きの門扉を叩き、弟子にしてくれというわけですが……んー、なんだろうね、それでいいのかなと思わないでもない。
別にラノベ作家を否定するつもりはないし、デビューへの近道としてラノベは確かに有効な手段だと思うけど、あれは本当に商業作家の典型ですからね。ファミ通文庫こと、えんための編集者と話してるときに相手がぼやいてたんだけど、
「最近の若い奴は、こっちが指示して書かせいている原稿を書いているとき、『これが終わったら好きな作品を書いていいんですか?』と聞いてくる。そんなわけないことに、何故気付けないのか」
当たり前の話、ライトノベルは商業エンターテイメントですから書いている作品が売れれば続編を書かなければいけませんし、常に求められるのは作者が書きたいものではなく、出版社が売りたいものです。どうにも最近の若い連中はそれを分かっていないというか、作家は書きたいものを書いてメシを食う職業だと、本気で勘違いしているのが多いらしい。よっぽどの筆力や才能があるならまだしも、普通に考えてそんなの無理に決まってるじゃんと。ラノベは作品ではなく商品であることを、まず第一に理解するべきなんじゃないかと、その話を聞いたときに思った。
後、これは全然違う人から聞いた話だけど、ろくに働きもせず、とにかく小説だけを書きまくってデビューしようとしている人がいて、いわゆる社会人を経験せずに作家になりたがっている人がいるという。社会人になること、組織人となることを否定し、ひたすら小説だけを書く。そういうのに限ってろくな文章なんて書けやしないんですが、私は一度ぐらいは組織に入って、上下及び社会人としての常識、通年、人付き合いの仕方は覚えておくべきだと思う。そんなものが文章を書く上で必要なのかと言われれば、まあ、必要ないんだけど、作家ひとりだけでは本を出版することなんて出来ないということを、社会人にもならずに小説書いている奴はもう少し考えるべきではないかと。

なんか否定的な文章になっちゃったけど、まあ、世の中いろいろですよ。気楽に考えている奴もいれば、堅苦しく考えている奴もいる。結局は運と実力の世界だし、実力に見合った結果が出せても、実力に相応した成果を出せない作家だって沢山いる。ただ、一握りの天才を夢見ている時点で、そいつに目はないというだけで。天才を参考にする時点で、自分が天才でないことに気づき、早く自分の文章を見つけるべきなんだ。
それが出来るか出来ないか、ライトノベルだけ読んでいる若者にはもっと視野を広げてもらいたいですね。

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