DVD-BOXを買ってしまいそうなほどデス種がマイブームなんだけど、予想としては種のBOXほど売れないと思うんだよね。それはデス種が不人気だからというわけではなくて、この作品は放送当時に出たDVDの売り上げが結構良かったんですよ。5年前をどれぐらい昔と捉えるかは人それぞれだろうけど、ファンなら単体でDVDを持っていそうな作品であるし、わざわざBOXを買うってことはないんじゃないかと思う。私みたいに、DVD持ってない人間は別としてね。

昨日の日記でアスラン・ザラについて語ると書きましたが、これにはちょっとしたわけがあります。というのも、今から4ヵ月ぐらい前の話になるんですが、アニメ会社のサンライズがやっているネットラジオで、夜のサンライズアワーというのがあるんですよ。種に出演してた千葉一伸と鳥海勝美がパーソナリティで、主にサンライズ作品の宣伝を兼ねて毎回ゲストを読んでトークするんですが、その番組にアスラン・ザラの中の人である石田彰がやってきまして。その際、アスランの俗に言う女難についての話になり、石田彰的にはどのヒロインが一番好きか、ということに言及したんですよ。
まあ、石田彰的にはメイリンが好きであるという結論だったんですが、これに関しては前々からイベント等でよく言っていることですし、私としては不思議でも何でもなかったんですけど、この話をした際のアスラン及びアスランの周囲の女性達に対する石田彰の分析が凄く面白くって。冷静にして的確で、なんだかんだいってアスランの事良く分かっているなぁと、そう感じました。
なんで、私も石田彰の非の打ち所が無い分析を踏まえつつ、デス種のもうひとつの争点でもあった、結局アスランは誰とくっついたのか、誰が好きだったのかということについて語ってみようと思います。まあ、実のところ先日悲恋堂と議論したばかりなので、それの書き出しみたいなもんなんですけどね。

デス種におけるアスランは、まずカガリ・ユラ・アスハの護衛官アレックス・ディノとして登場し、主要ヒロインとはアレックスとして出会います。カガリは正体知ってるからともかくとして、ルナマリアやメイリンは違いますよね? まあ、話の都合もあるんでしょうが、割とあっさり正体はバレるんですけど。そのタイミングというのが、例えばシンよりも早くアスランと出会ったルナマリアは2話の時点で、カガリがアレックスをアスランと呼びかけたことで疑惑を持ち、メイリンは3話の最後、議長の発言でそれを知ることになります。二人が明確に正体を知るのは4話の後半ですか。
ルナマリアは最初からアスランを強く意識ていて、割と挑発的な言動をしてみせたり、結構積極的な態度で接していました。これはザフトの英雄であるアスランとはどんな人なのかと、まあ、探りを入れる意味もあったのでしょう。現にユニウスセブンでの共闘後は、アスランのことをこちら側の人間として受け入れる姿勢を見せましたしね。アスランがザフトにどれだけ愛着を持っているのかはしりませんが、ルナマリアにせがまれて射撃を見せてやる辺り、まんざらでもない部分があったのでしょう。ルナマリアは白兵戦最強であるアスランの射撃の腕に純粋に感動し、メイリンも呆然と見てしまう。まだ実感はわいてないんでしょうが、英雄としてのアスラン・ザラを僅かながらにも垣間見るんですね。ルナマリアの場合はこの時点でアスランをアスランであると認識して、その点に関してはメイリンよりも一歩先に進んでました。そう、ルナは早かったんですよ。早すぎたゆえに、終わるのもまた早かったと言いますか。これに付いては後述します。

次に登場するヒロインは、放送開始以前にラクツーとか言われていた少女、ミーア・キャンベルです。石田彰の分析によれば、ミーアがアスランのことを好きな理由はラクスという役になりきるがあまり、ラクスの婚約者であるアスランのことも好きにならなければいけないという、いわば役作りの一環のようなものだったのではないか、ということです。これはあながち間違っていないというか、ミーアに関して言えばアスランに対する純粋な好意は半分ぐらいだったんではないかと思う。元々がファンだったという設定があるにせよ、例えば19話で再登場したミーアは、役作りにしては少々過剰にアスランへと接近していましたよね。単にラクス役に慣れただけだとも言えるけど、少なくとも初登場時の謙虚さは抜けて、アスランへの自分なりの好意を明確にしだしたと思う。
そして21話の添い寝イベントが発生するんだけど、これはミーアの言葉をそのまま受け取るなら、ラクス役としてやるべきことをやった、ということになるのかな。けど、ここで問題なのはミーアがアスランに抱かれことをまるで拒否しなかったことで、そもそも自主的にあのような行動に出たことでしょう。アスランのことが嫌いなら例えお役目でも抱かれたくなんてないだろうし、そう考えるとミーアは身体を捧げるほどにはアスランのことを好きだったのではないだろうか。ミーアの貞操観念がどうなってるのかはしらないけど、仮に処女だとすれば相当アスランのことを……ただまあ、ミーアはアスランのことを好きではあったけど、ミーア個人として愛し切ることが出来なかったんじゃないだろうか。36話でアスランの手をとらなかったとき、ミーアは多分後悔はしたんでしょう。後悔はしたけど、それでもアスランに付いていくという選択肢を選ぶことが出来ず、結果として44話の没落に繋がるわけです。
私の中でミーアは、アスランのことを愛し切ることが出来なかった少女ですね。彼女はミーア・キャンベルとして、もっとアスランと接するべきだった。

話をルナマリアに戻しますけど、ルナマリアがアスランに明確な好意を持ったのはおそらく7話です。英雄として、ザフト軍人としての凄さをアスランの中に垣間見て、それが15話でフェイスとしての形になって戻ってきた。初期のメイリンはただのミーハーですけど、ルナマリアは同じモビルスーツパイロットとして、尊敬以上の好意を割と自然に出すことが出来たんですね。15話で突然積極的になったと思われがちですが、それ以前にもフラグ用なものはあったんですよ。
ルナに欠点があったとすれば、それはアスラン・ザラという人物の内面をあまり見なかったことだと思う。まあ、アスランは自分自身の心の中を他者に見せない人でもあったけど、ルナは基本的に英雄としてのアスランと、軍人としてのアスランを見ているんですよ。もちろん、彼の中に悩みや葛藤があることも分かっているんだけど、それがアスランの弱さであることに気づかない。ルナの中で、アスランは強い英雄なわけですから。ルナはアスランのことを尊敬していたし、序盤ではかなりの好意を持っていたんだろうけど、それが概念的な、英雄としての強さに惹かれていたんではないかと、そう思うのです。
ルナマリアがアスランとの間に距離を置き、やがて離れるきっかけとなったのは間違いなく19話と21話ですけど、19話においてルナマリアがミーアに感じたのは最初は嫉妬心で、次に困惑だと考えています。まあ、ミーアというよりラクス・クラインに対してなんですが、アスランの婚約者としての知識はあっても、あんまり実感は湧きにくかったと思うんですよ。連絡を取り合っていなかったという指摘は色々な意味で正しいけど、これはルナにとっての余裕の表れで、今アスランともっとも近い存在は自分だという意識があった。けれど、すぐにラクスことミーアが現れたことでその余裕が揺らぎ、嫉妬を覚えた。そして畳み掛けるようにアスランが今夜ミーアと共に過ごすという事実を知って、急に婚約者としてのラクスの存在を強く認識してしまい、困惑するんですよ。
21話の冒頭は、そうした嫉妬や困惑を、ルナマリア並に仕切り直したかったんだと思うんです。けれどそこにあったのは、アスランの部屋で彼と一夜をともにした、一緒に寝たようにしか見えないラクスことミーアの姿。ルナマリアはミーアの勢いに圧倒されてフラフラになるわけだけど、実はアスランに対して怒っているわけじゃないんですよ。これはミーアが、そしてルナマリア自身も言ってましたが、事実はともかくアスランとラクスが婚約者である以上、久方ぶりにあった二人がそういうことをしていても、なんら不思議なことはない、普通なことなんです。まあ、ルナマリアが性的に潔癖な人であれば、そういうことそれ自体に不潔感を覚えたとも考えられるけど、それが理由のすべてだとも思えない。
ルナマリアにとってアスランは英雄だったけど、21話でとても人間臭い一面を見てしまったんでしょうね。アイドルはトイレに行かないじゃないけど、ルナはアスランを英雄視していて、英雄が性的にふしだらであるはずがないと思い込んでいた。まあ、事実なにもなかったわけだからルナが憤ることはないはずなんですが、ルナはアスランを信じることが出来なかった。仮にルナがミーアとの対決に勝っていれば違ったんでしょうが、ミーアという存在に、ラクスという婚約者に圧倒されてしまったルナには、アスランを信じきれなかった。ルナは負けたんです。ラクスという存在になっていた、ミーア・キャンベルに。
アスランという英雄像が砕かれた結果、ルナマリアとアスランの関係は複雑なものに変化します。元々、アスランはルナのことを自分好意的な後輩ぐらいの認識でしか見ていなかったし、元より女性心理、いわゆる乙女心に鈍感な男です。多分ですが、自分がルナマリアにとっての恋愛対象であり、恋愛感情を向けられていたことにも気づかなかったんではないでしょうか。ミーアはあれで普通の女の子としての感覚を持ってますから、それを察知してルナを追い払うわけですが、アスランはどこまでも鈍感だった。
思うにルナは、自分の気持をもっと正直にぶつければ良かったんですよ。これはシンにも言えることだけど、この二人は明確にアスランへ求めているものがあって、でも英雄であるという認識がそれを邪魔してしまう。英雄なら、英雄と呼ばれるほどの人なら自分でなんとかするはずだ、出来るはずだと、もちろんルナが告白したとしてアスランがそれを受け入れたとも考えづらいんだけど、その後におけるアスランの行動に一定の影響や変化は与えたに違いない。まあ、あれだよね、アスランには年長者としての自覚が足りなかった。英雄としての意識があるのは問題かもしれないけど、虚名にせよ頭の片隅に置いておくべきだったんですよ。自分が他者からどう見られて、なにを期待されているのか。ルナにしろ、シンにしろ、二人はアスランの二重の意味で裏切られたと感じているはずですから。

そうしたルナマリアとミーアに続いて、いよいよメイリン・ホークが現れたわけだけど、長くなったので明日の日記で書くことにします。アスランは何故カガリと別れたのか、そもそもこの二人は好き合っていたのか、どうしてメイリンはアスランにとってのヒロインになれたのかという本題です。まあ、この時点で私がどのヒロイン好きかバレバレですね。アスカガなんて滅んでしまえばいいんだ、ほんと。カガリ・ユラ・アスハほど好きになれないキャラもいないよ。

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