夏コミの展示用に制作していた抱き枕が届いたんだけど、大きい画像は既にくろのとくろえさんのブログで公開されているから、そっちで確認してください。え? 丸投げし過ぎだって? だって、私の日記は大きい画像とか載せられないし。まあ、時間があったらHPに載せようかな。サンプルというか、これが実際にコミケで展示する奴なんだけど、その展示方法を今悩んでいたりします。

一番いいのは吊るすことなんだろうけど、既にポスターの展示を決定しているので、抱き枕まで吊るす余裕が無いんだよね。壁や島角ならまだしも、所詮は島中だし。中身を入れて置いておくっていう手もあるけど、既刊の宅急便は送ってしまった後なので、まさか手で持っていくわけにもいかないから……展示方法としては畳んでおいておくぐらいしか出来ないのが現状という。まあ、触りたい人は勝手に触ってくれといいますか。ハンガーの一つでも持っていけば違うんだろうけど、それに付いては売り子とも少し話しあってみます。
肝心の抱き枕の出来ですけど、売り物じゃないのが勿体無いぐらいだ。奮発して高い生地を選んだ甲斐があったというか、2WAYトリコットはやっぱり伊達じゃないね。見事な感触と伸縮具合ですね。まだ中身は入れてませんが、多分抱き心地も最高なんだろうなぁ。凄い自画自賛してるみたいだけど、私のしたことって印刷所決めて注文だしたぐらいだからね。事情があってどこで印刷したかは言えないんですけど、まあ、版権モノは色々面倒ということで。ただ、専門のところで印刷してもらったから、質については保証付きですかね。
2WAYトリコットという生地は発色を楽しむよりは伸縮による抱き心地を楽しむものだけど、色の具合も結構良いんじゃないかな。まあ、スエードやサテンと違って光沢や滑らかさが基準とはなっていないから、好みは結構分かれるとは思うけどね。それでも抱き枕の生地としては上質であり、最高の素材であるわけだし、作って良かったと感じられるだけの出来に仕上がってくれました。多分、よっぽどのことがないと第2弾なんて作らないし。
今回の抱き枕制作に関してはくろのとくろえのくろのさんの理解があってこそ実現したものだけど、そんなくろのさんも来年あたり抱き枕を作るらしいので、後はそっちで……と、まだ展示前の抱き枕の文章を締める言葉じゃないな。

なんか、最近色々と悩んでます。生き方というか、人生というか。ここまで流れ流れてやってきたけど、さすがに精神が持たなくなってきたのかも知れない。肉体的な疲労を知らないのと、精神的な疲弊が感じないのとは、また別のことですからね。私は緩慢にして怠惰な日常を送っているわけだけど、そんなことが認められる世の中というのは、なかなかにないわけでして。飽きたと言ってしまえばそれまでなんだけど、立場や地位が強化されるごとに責任もかさんでいくし、飽きたから放り出せるような状態でもない。けど、このままこれを続けていていいのかという迷いがあるのも事実。
物凄く贅沢なことを言うと、私は誰にでもできることをしたくて生きているわけじゃない。例えそれが私のやったことであり、成果なのだとしても、結果を出すこと自体は誰にだって出来た。
「つまりあなたは、今の人生に充実感がないと思っているわけですね?」
人生とは大仰な言い方だが、金曜日に立ち寄った悲恋堂で少し店主と話をした。なにもかもが上手くいっていると思っていたのが、実は私の勘違いだったという滑稽さを、店主は鼻で笑い飛ばした。当たり前だろうと。
「あなたは自分の限界は悟っているくせに、自身の程度を弁えていないんですよ。偉そうで高慢で、本当は大したことないくせに、大した人間であると思い込んで、いえ、思い込もうとしている」
慰めるという言葉を店主は知っている。知っているが、それをすることはあまりない。常になく辛辣な言葉は、ただでさえ精神的に参っている私を打ちのめした。這い上がる隙を与えず、崖の淵に掛けた手を蹴り潰す。しかし、それでいて話だけは聴いてくれる。話だけは。
「生の充実感を仕事に求めること自体が間違ってるんですよ。仕事なんてものは、その先にある充実感を得るための道具に過ぎません」
「先にある充実感?」
「別になんだっていいんですよ。仕事の後の一杯が楽しみだとか、給料日が待ち遠しくて毎日を生きてる人だっているでしょう」
「極端だな、それは」
「人間なんてそんなもんです。あなたは、少なくとも現状では創作性のある仕事をしているわけじゃないんですし、そこに充実感を求めるわけにもいかないでしょう? 結局あなたが同人活動をやっているのだって、仕事では得られない創作者としての充実を得るためではないのですか?」
確かにその通りではあるけど、そう考えると私も随分虚しい男である。同人活動は代償行為というわけか。いや、あくまで趣味同人なのだからそれはそれで正しい形と言えるのかも知れないが……
「あなたが本当の作家になってしまえば、抱えている色々な問題も解消されるんでしょうけどね。でも、現実的にそれはまだ難しい」
「なんかもう、色々と面倒になってきたよ。前に向かって走り続けるのも」
「人生そんなに焦るもんじゃありません、とこれは私が言っても説得力ないですね」
まったくその通りである、この世捨て人が。
「とりあえず、部屋の模様替えをお勧めしますよ」
「模様替え? なんでまた?」
「そりゃあ、気分を変えるためですよ。帰りたいと思う部屋を作り、そこで過ごしたいと思う環境を作る。この前聞いた話だと、エロゲと本の山にうもれて、ほとんど寝るだけの部屋になってるんでしょう?」
壊れていると言って差し支えのないパソコンを処分し、動かないビデオデッキと写りの悪いブラウン管テレビも捨てて、金を惜しまず環境を整えてみたらどうだと、店主はそのように勧めてきた。自己意識を改革するということは、もちろん本人の意思の強さが大事ではあるが、導入部というもいべき取っ掛かりが必要なのも事実であって、形から入ろうとすることは決して悪いことではない。自分を変えようと右往左往して、空回って深みにハマるぐらいなら、空間や環境を使って刺激を受けるのも良いのではないか? どうせ、仕事の環境が劇的に変わるはずはないのだから。
「まあ、家電は買い替えの時期だと思ってたけど」
「あなたのことだから、またアニメのためかなにかでしょう?」
ヨスガノソラのアニメを見るためにAT-XのHDに加入しなおす予定であるが、その為の設備通しなら惜しむつもりはない。それが結果として自身の改革にも影響を及ぼすなら、確かに有益ではあると思うが……どうなんだろうね。

お互いに言いたいことを言い合って、私が悲恋堂を出たのは夜の20時も過ぎた頃だったか。そんなに遅い時間ではないけど、平日に長居をするのも個人的には珍しいことではあった。来週はコミケがあるから来れそうもないことを告げて、それからふと思いついたことを尋ねてみた。
「君の人生は、充実してるのかい?」
「私の余生は、楽しい毎日ですよ」
「世捨て人の生きる日々は余生というわけか」
「……疲れたら私のところへいらっしゃい。でも、あなたはまだ疲れてはいけません」
言葉の意味を理解するのに3秒も掛からなかったが、理解すると同時に腹を抱えて笑ってしまった。まったく、これだからこいつとの縁は切れないのである。悩みや迷いがすべて解消されたわけじゃないけど、少なくとも私の考えに一定の影響は与えてくれた。そのことだけは感謝して、コミケ終了後にでもなにか土産を持って行ってやろうと思うのだった。

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