展開の速さが凄まじすぎて、例の2巻完結が現実味を帯びてきました。元々ヨスガノソラは物語として長い話ではないんですが、コミカライズはそれを更に省略化している感じです。瑛シナリオなんかは上手く纏めていましたけど、穹シナリオに関しては駆け足過ぎるというか、原作やってないとなにがなんだか分からないんじゃないだろうか。いや、話として破綻しているわけではないけど、原作ユーザー以外でこの展開の速さに付いていくことは出来るのか。

先月号からの続きで原作にもある禁断の関係が奈緒と委員長にばれるシーン。隠し通すことが出来るか? なんて柱には書いてあったけど、ハルがなにか言葉を発するより先に穹が口を開きました。
「誰かと思えば委員長と奈緒じゃない」
呼び捨てについてとか、勝ち誇った穹の表情に関してとか、言いたいことは色々あるんだけど、真っ先に目が行くのは髪型ですよね。前回の話しを読んだときにも思ったんですけど、水風天は髪を下ろした穹の資料を持っていないんですかね? なんで、髪はリボンで結わいたままなのか、シーツ1枚裸体に羽織って出てくるような娘が、なんだってリボンだけはしっかり結んでいるのか。前回の時点で解いてないからなんだけど、仮にも原作シーンの再現だというのに、そんなに髪を解いた穹って描くのが難しいんですかね? 資料がないだけかも知れないけど、こうやってシーンを再現している以上は、該当部分の画像なりは見てるんだろうし、そう考えると不思議な話です。拘りというわけじゃないだろうし、まさか画力の問題……いや、知り合いの絵描きなんかがよく言ってるですが、髪型とか崩しすぎると自分の絵ではそのキャラと認識できなくなることがあるらしく。つまり、髪結んでいないと穹に見えないとか、そういうことなのかな。水風天は別に画力が低い人ではないと思うんだけど、こればっかりは本人に直接訊かないと分からないね。ハルキノソラのゲストに来ることはないだろうけど、例えばブログとか。私はこういう立場の人だから無理だけど、機会がある人は訊いてみるのもいいかもしれません。
穹の勝ち誇った笑みは、危険なほどの魅力を含んでいると思う。原作のCGだと変化がないものも、漫画という媒体では少なからず動きがありますからね。あの挑戦的な、戦いに勝ったという絶大な自信をみなぎらせている穹を描くことの出来た水風天は凄いと思う。正直、今月号は作画だけ見ると微妙じゃないかな、と思う部分も多いんだけど、穹や瑛は1枚、1枚が強烈でインパクトがある感じですね。それ以外は……まあ、なんでしょうかね、重要な回だっただけに残念かなと。

委員長の拒絶はともかくとして、「委員長も奈緒もどうしたの?」と事態の最悪さまるで理解していない穹は、病んでいることを強調するための描写なんですかね。ハルはとりあえず穹を自室に戻して、何故か自分の手で服を着せてあげるんだけど、その後はこれまた原作と同じ展開、「終わりにしよう」というハルから穹への突き放し。原作通りの展開と言ってしまえばそれまでなんだけど、ちょっと待ってくれよとも言いたい。
だって、よく考えてみてください。原作では穹と関係を結んだハルが、情欲に溺れてしまった結果、関係が奈緒や委員長に発覚するわけで、それに対してハルは深い後悔をするわけじゃないですか。それに引き替えコミカライズは昨日の今日、穹と関係を結んだ翌日ですよ? 前回の日記でも書いたと思うけど、一晩で180度考えを転換させてどうするんだと。終わりにしようって、まだ始まっているかも分からない段階じゃないか。
要するにコミカライズは過程が足りないんですよ。そこに至るまでの、今回で言うなら発覚してハルが穹を突き放すまでのですか。駆け足も駆け足の急展開で、そういった大事な部分が全部削られてしまってる。もちろん、コンプエースが少年誌である以上は情欲に溺れるハルと穹なんて描きようもなかったんだろうけど、それならそれで夏休みを切り上げて、学園における異常なまでの穹のアプローチを描くとか、色々とやりようはあったはずじゃないですか。いくらなんでも展開が早すぎますよ。
ハルは原作と同じく部屋に引きこもるんだけど、そこに委員長を捜していた奈緒から連絡があって、そこでハルは穹が家から姿を消していることを知る。まあ、原作と同じような流れですね。亮平や渚さんたちが駆けつけて、一緒になって穹のことを捜してくれるのも同じです。
驚いたのは委員長との和解すらも今回の話の中でやってしまったことで、原作ではなんだかんだ言って日を置きましたからね。穹が登校拒否を敢行して、委員長とも距離が出来て、それを1日で消化してしまおうと言うんだからコミカライズは本当に速い。朝起こったことがその日の夜前には解決してしまうんですから。僅か2ページの和解ですよ。あれだけのことを穹から言われたのに、委員長は少し物分かりが良すぎるんじゃないだろうか。家に引きこもって泣いてたっておかしくないのに、よくもまあ穹の捜索に参加できるものだ。
そして今回のキーキャラクターは、やはり瑛でしょうか。原作と違って笑顔以外の表情を見せることが多いコミカライズの瑛ですが、猫の師匠にいざなわれて辿り着いた神社にて、ハルの前に姿を見せます。一見すると穏やかそうな表情ですが、瑛はどうやら穹の捜索に参加していないらしい。意外かも知れないけど、彼女には分かっているんですよね。穹が今どこにいるのかが。
ハルに山の方へ、湖まで行くことを勧める瑛だけど、昼間でも歩くのがやっとだった場所に夜になってから登るなんて無茶だと言います。裸足の穹が登れるとも思えない、そのように考えていたハルに1通のメールが届く。確認して、携帯を握りしめて震え出すハルに対し、瑛の表情は醒めきっていた。メールの文面を見たわけでもないのに、ハルに向ける視線はどこまで冷ややかで、ぞっとするものがあった。
「急いだ方がいいみたいだね」
ポツリと呟く瑛と、穹から届いたメッセージ。そこに書かれていたのは、ただ一言。

「さよなら」


原作ならこの後湖で穹を発見して、一悶着合った末に下山するわけだけど、SEXシーンを描くことが出来ないコミカライズであることを考えると、来月が最終回でも別に不思議はないんだよね。次号最終回とか、クライマックスとか言う文字はなかったし、まさかアニメ版と入れ替わりで終了するとは思いにくいけど、コミックス2巻の発売日は来年になると言われてますし。仮にコミカライズが後1~2話ぐらいで終わるのだとすれば、コミックスの観光日が来年だというのにも納得がいきます。分厚くして、一気に全話収録してしまうつもりなんでしょう。
そもそも、水風天はハルカナソラを持っていないという話ですし、ハルカナソラ編を期待するのには無理があると思う。さすがに今はもう貰っている可能性もあるけど、後6話やるとは考えにくいので。アニメがやっている最中に完結して、アニメ終了と共に最終巻を出すという商法でくるんじゃなかろうか。コミカライズは結構好きだけど、継続は多分無理でしょうね。アニメ化もすることだし、最後ぐらい表紙と巻頭カラーを担当して貰いたいもんだ。

表紙がなのはばかりで飽きたとは言わないし、今回の展開には少しだけ心惹かれたけど、私のルーテシアが「おいーす」などという下品な言葉を発した時点で私の心は折れた。どうしてだ、何故ルーテシアはあんな娘になってしまったんだ。ああしなくてはいけない理由がどこにあった。そしてなんだって新キャラは全員女の子なんだ、ミッドチルダの女尊男卑に乾杯!

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