終わってしまいましたね。まあ、言いたいことは山のようにあるし、書きたいことも沢山あるわけだけど、一体どれから始めればいいのか。アニメ版全体を振り返るとか、そんなことも考えないではなかったんですが、所詮は2万字しか打つことの出来ない日記ですからね。素直に最終回だけを書くことにしようと思います。全体的なまとめというのも、まあ、機会があればしてみたいけど、今は正直これを書くだけでも手一杯だからさ。ろくな結末やラストにはならないだろうと覚悟していたはずなのに、まさにその最悪を極められてしまいました。

前回からの続きで、委員長と奈緒にセックスの現場を目撃されたハルと穹。最近読んだエロ漫画によく似たシュチエーションがあったんですが、玄関でのセックスというのはそれほどおかしい描写ではないのかも知れませんね。逆に言えば、エロ漫画レベルでしかないってことにもなるけど、今更アニメ版の質の悪さについて言及しても意味のないことです。
委員長は発狂して取るものも取り敢えず逃げ出した、と言いたいところですがちゃんと自転車に乗って帰りました。前回から気になってたんですけど、なんで奈緒は委員長のことを梢ちゃんなんて呼んでるんでしょうか? そりゃ、上級生でクラスも違いますから委員長と呼ぶことはないでしょうけど、原作だと普通に苗字で呼んでるはず。他人との間に距離を作りがちだった奈緒が、後輩を馴れ馴れしく名前呼び出来るというのも妙な話です。1話以外に接点もなさそうな2人、これはどういう改変なのだろうか。
奈緒は錯乱して逃げ出した委員長を呼び止めるけど、本当に止まっていたらどうするつもりだったんだろうね。自分もまたハルと穹に対してなにも言えなかったのに、委員長に対して弁解や弁明でもするつもりだったのか。まあ、あのまま行かせてはいけないと思っただけなのかも知れないけど。性欲という熱病から覚めたハルは事の重大さに言葉もありませんが、奈緒も掛ける言葉がないのか「ごめん……」とだけ言って立ち去りました。謝られるような問題なのかといえば、まあ、間が悪かったというのはあるでしょうし、色々な意味で委員長を止めきれなかったわけだしね。奈緒に責任がないわけじゃない。
愕然としたハルに対し、穹には何故だか余裕があった。
「こっち見て、ハル。私のことだけ見てて」
頬にする口づけは、下手な呪いよりもずっと強烈な情愛の塊。しかし、それを以てしても、動揺しきったハルの心に平静を取り戻すには、しばらくの時間がかかったのだった。

最終回だからかOPはカットされ、すぐさま本編に突入しましたけど、いきなり裸の穹を出されたときはどうしようかと思った。無駄なエロ描写といえばその通りだけど、ハルと穹が着実に性生活を送っていることの現れでもあり、エロだけしかないアニメ版では仕方のない光景なのかも知れない。というか、原作と同じようにシーツ一枚羽織った穹がいたのなら裸というのも分かるけど、一夜明けて裸ということは結局昨晩もセックスをしたということになりますね。まあ、動揺や混乱からの逃避手段として肉体的な快楽による誤魔化し選択するのは、別に間違ってはいないと思うが。
ハルは穹に対して、学校をサボってどこかに行かないかといいますが、これは単に学校へ顔を出すのが怖いだけでしょうね。原作だと割とすぐに穹を拒絶し、関係の巻き戻しをはかろうとしますから、そういった意味ではアニメ版のハルはヘタレではない……のか? 単に今ある肉体的快楽を失いたくないだけかも知れないけど、それに付いては後述します。穹は委員長と奈緒に目撃されたことをなんとも思っておらず、これはある意味で当然の話です。委員長はともかく、奈緒は過去にハルを逆レイプしており、穹はそれを目撃している。けれど奈緒は普通に生活しており、当時のこともさして大事にはならなかった。事情や状況は全然違いますが、穹が現状というかハルとの性的な関係を大したことではないと想っているのは事実であり、むしろ穹にとっては当然であり自然の流れなのです。委員長にしてもいくらでも黙らせる方法はあると思ったのか、それとも周囲に広める勇気など持ち合わせていないと思ったのか、とにかく穹には余裕があった。周りが見えていないだけとは思えないほどに。
仕方なく学校へ向かうハルだけど、その足取りが軽いわけもなく、穹に引きずられるように登校していきます。辿り着いた教室では目を真っ赤に充血させた委員長がいますけど、正直怖いなんてものじゃなかった。生々しいというほどリアルではないけど、むしろ、アニメキャラという目が大きく描かれる存在であるからこその怖さみたいのがあった。その異様な姿に亮平のみならずクラスメイトもなにかあったことを気付きましたが、訊ねられても答えられるわけがありませんでした。

放課後の屋上、呼び出されたのか呼び出したのか、穹の前に奈緒が対峙しました。まあ、この時期の穹がハル以外を気にかけることなんてありえませんから、普通に呼び出されたんでしょうね。どんな会話がなされたのか、それは語られることなくシーンはハルへと切り替わります。今日はすぐ帰りたかっただろうに、掃除当番なのかゴミ出しをしているところに委員長が現れました。
「安心してください、あんなこと誰にも言いません」
泣きはらした瞳は異様なほど鋭く、口調は気圧されるほどに強い。後ずさるハルに対して畳み掛けるように、委員長は言葉を続けます。
「けど、あんなの変だと思います。人としておかしいです」
ハルと穹の関係を否定しながら、自分の中にあったハルへの想いを吐露し始める委員長。正直、全12話観てきた中でちっとも伝わってきませんでしたけど、始まりが一目惚れであったように、好きになったのも表面的な部分だけらしいね。まあ、それもまたハルの本質の一部であるとは思うけどさ。
「でも、もう二度と話しません!」
自らの想いを吐露しながら、それでいてハルとの関係を完全に断絶しようとする委員長は、原作のそれと明らかに違うものがありました。委員長は確かに普通人ではありますが、普通人なりにハルと穹の関係をわかろうと、良い友人であろうと努力をしてくれる娘だったはずなのに、まったく酷い改悪ですね。荒川が当初考えていた、否定者としての一面だけが残ってしまった感じですよ。
委員長の痛烈すぎる批判を受けたハルの前に、今度は奈緒が姿を見せました。場所を音楽室に移して行われた話は、ハルと穹の関係に付いて。やはり奈緒は、前々から感づいてはいたらしい。間違いであって欲しいという気持ちが、それを認められなかっただけで。ハルは奈緒に謝罪をしながら、長年自分の中にあった穹への想いを口にしました。
「ずっと、別々だったから。久しぶりに戻ってきた穹は、僕の知っている妹じゃなかった。見たこともない儚げな女の子になっていて、凄くドキドキした」
こんな風にハルの積年の想いが語れることは、結構珍しいことだったりします。原作でもコミカライズでも、そりゃあ穹のことは昔から好きですが、アニメ版のように異性としてずっと意識していたということはなく、ここに来てハルの気持ちを深く掘り下げ始めたというのは大きな意味があるよね。
「色んなことがあって、そのたびに意識して……あいつ、素直じゃないけど、だから余計、頼られたとき、ドキドキして」
ドキドキしっぱなしだね、というのはともかく、ハルの根底に穹を守りたいという気持ちがあったのは事実で、原作やコミカライズと違い、それが恋愛方面まで発展していたというのは真実らしい。それに気づいた奈緒はなにかを言おうとハルに対して向き直りますが、それより先にハルの方が叫びました。
「でも、妹だから! 妹だから、それ以上はダメだってずっと思い続けて……二年後の夏に、僕は別の恋をした」
それは紛れもなくハルのことを逆レイプした奈緒のことですが、これについては改悪し過ぎではないかと思った。つまり、ハルは奈緒との関係、逆レイプ含めた奈緒という存在を利用して、穹への想いを断ち切ろうとしたわけです。こうなってしまうと奈緒の行動は一概に非難できるものではなくなり、むしろ、「嫌じゃなかった」というハルの発言は「調度良かった」ということになってしまいます。奈緒の株を上げるにはハルと穹を貶めるしかないとは言え、これはいくらなんでもあんまりでしょう。ハルをここまでダメダメにして、そうまでしなければいけない価値が奈緒にあるというのか。
本当の恋にしようとしたけれど、なかなか上手くいかなかったというハルは、それでもしがみつこうとして、結果的に奈緒を傷つけた事実を謝罪します。下げた頭は簡単に上げられるものではなく、まさかハルがそんな昔から色々考えていたとはね。奈緒のことなんてどうでもいいですが、2年後に違う恋ということは、穹が退院してハルとキスなどをしたのは、9歳から11歳の間ということか。
「上手くいかないよね、ほんと……」
呟く奈緒の顔には涙らしきものが浮かんでおり、彼女はそのまま立ち去りました。その言葉の重みにハルも涙し、奈緒が去った後も頭を上げることが出来ませんでした。

委員長と奈緒の言葉に押しつぶされそうになるハルの元に、携帯の着信が鳴り響きます。委員長が家に来るキッカケとなった携帯ですが、確認したハルの表情が変わりました。家に帰るとレトルトのカレーで穹が夕飯を用意していたけど、ハルは呼びかけにも応じず部屋に閉じこもったまま。奈緒に呼び出されたことも穹はまったく気にしていないらしく、様子はいつもとまるで変わりません。
別になにも変わらなかったという穹ですが、ハルは委員長という友人を失いましたし、奈緒との関係も清算してしまいました。変わらなかったというのは、あくまでハルのことしか見えていない、ハルさえいれば他になにもいらないと想っている穹の主観における話です。ハルにとって行きたくもなかった学校での一日は、心をすり減らすには十分でした。
穹はキスをすることでハルの心を取り戻そうとしますが、ハルはそれを拒絶すると、逆に自分からキスをすることで、強引にセックスをし始めました。穹の胸を捌けさせ、乳首にむしゃぶりつき、原作においても穹の身体を強引に求めるハルというのは存在していますが、アニメ版はさすが映像描写だけ合って直接的ですね。はじめは驚いていた穹も徐々に快感を覚え始めたのか、表情には笑みが広がっていきます。
「いいよ……私のこと、メチャクチャにしても。ハルがしたいなら、していいよ」
揺らぐ瞳と、流れ落ちる涙の粒。ハルが泣いた理由は色々ありすぎて困るってぐらいでしょうけど、ここまでしても穹が拒絶せずに自分を受け入れてしまう事実、なにをしても離れられない自分たちの関係性に涙を流したのかも知れませんね。今の状況、関係、それらは違うものであると、辞めるべきものであるとハルは考えたのでした。しかし、することだけしておいて、いざ露見したら辞めようと言い出すハルを穹が許せるはずもありません。
「なんで!?」
激昂して詰め寄る穹を、ハルは片手で払いのけます。
「なんでって、僕たちは……兄妹だから」
今更過ぎる常識論と倫理観。そんな道徳がもう通用しないことは分かっているのに、それでもそれ以外に言うことはないというのか。当然のごとく、穹は反論します。

「今更なに? 兄妹でキスしちゃダメなの? セックスしちゃいけないの?」

「それは……!」

「受け入れてもらえないから? 私はそんなのどうでも良い。ハルと一緒ならそれでいい!」

「穹……」

ハルが見つめる先にあるものは、穹が母親からもらった黒うさぎのぬいぐるみ。

「他にも、色々な問題があるのは知ってるけど……全部どうでも良い。なにがあったって、ハルとの子供なら私は!」

「そんな簡単じゃないよ!」

「じゃあ、難しい現実なんて切ればいい!」

穹が叫んだとき、ハルの手が飛びました。ハルの手の平が、穹の頬を打ったのです。これ以上にない明確な拒絶を前に、穹はぬいぐるみを蹴り飛ばすとハルの部屋から出ていきました。

しかし、叩かれたぐらいで諦めるような穹ではありません。あくまでハルとの関係を続けようとする穹に対し、ハルは外国にいるらしい叔父さんとやらからメールが来たことを告げました。誰だそれ、という感じですけど、どうやら父方の弟妹らしく、原作にも出てくる叔母さんは旭川に住んでいるらしい。つまり、北海道ですか。
「気付かれてたんだ、本当は蓄えがないってことを」
蓄えがない割に、一向に自炊とかそういうのを始めてませんね。というか、そういう細かい部分を改変してくるのは本当にどうなんだろうか。経済的な安定というエロゲ的要素を廃して、それがリアリティのつもりなのか。確かに原作においても春日野家の経済基盤は安定にはほと遠いけど、それでも学校を卒業するぐらいまでは十分にあると言われてましたし、そもそも蓄えがないなら今までどうやって生活してきたんだよと。長期的な意味で、ということなのかもしれないけど、意味のない設定入れないでくれるかな。
「だからなんだっていうの?」
知ったことではないという態度を取る穹に対し、ハルは一人ずつなら引きとってもらえるという話を打ち明けた。穹はその言葉が意味することをすぐに理解します。

「それ、まさか」

「別れよう。その方が幸せになれる」

穹がなんと答えたのかは分かりませんが、燦々たる光景となった食堂を見るかぎり、そんな話が通るわけもなく、ハルは顔を覆うしかありませんでした。

翌日、ハルと穹は学校を休みました。穹がハルの布団に裸で寝ているとこからすると、昨晩の件をなだめるためにまた関係を持ってしまったといったところでしょうか。なんの夢を見ていたのかハルは頬を赤々とさせながら目覚めますが、それに呼応するかのように穹も目を覚まします。

「どうしたの……?」

「ううん……」

「好き……」

短いやりとりは、既に2人が引き返せない位置まで来てしまったことをまざまざと見せつけてきます。なにせ別れようといった翌日の朝にこれですから。
そのまま再び眠りについたハルは夕方に目を覚ましますが、隣に穹の姿はありません。家のどこにも居らず、穹の自室は強盗に入られてもこうならないであろうというぐらいに荒れ果てていた。ぬいぐるみは引き裂かれ、事態の異常さを知ったハルは家を飛び出そうとしますが、そこに穹からのメールが届きました。

『私はハルの妹だけどハルとキスしたい…つながりたい……でもそれがハルには迷惑になっちゃったんだね…ごめんね…』

日時は7月14日の18時27分と、この作品で最後にはっきりしている日付と時間です。
文面の意味する重大さにハルは自転車乗って家を出ますが、出たことろで奈緒に会いました。穹がいなくなったという展開は過去ルートのそれと同じだけど、今回探して回るのはハルと奈緒の2人だけ。他の友人達はかけずり回ってはいないようです。これは結構おかしな話で、例えば奈緒は亮平の家とかにも言っているはずなのに、彼が助力をしないというのはどうなのだろうか。
行動範囲の狭さからそんなに遠くには行っていないと推測したハルに、奈緒がふと言葉を漏らしました。音楽室では言えなかったこと、穹と屋上で対峙したときの話。ハルはここで初めて穹が奈緒との間にあった関係を知っていたことを知りました。

「穹ちゃんは本気だよ。それでも別れる? だからこそ、別れる?」

「……まだ、答えを探してる」

ハルはかつて瑛から聞いた話を思い出し、叉依姫神社へとやってきました。瑛の自宅の明かりは付いている、しかし、委員長に拒絶された最近の記憶から彼は瑛に助けを乞うことが出来ない。あるいはここもまた、選択肢の一つだったのかも知れない。瑛と委員長は違う。アニメ版は人格的に弱いとはいえ、瑛がハルと穹を拒絶するというのは考えにくく、2人の事情を分かった上で手を貸したことでしょう。ここで挟まれる瑛の様々な描写に関して、私はなにを意味するのかがよく分かりません。瑛はハルの来訪に気づいたようですが、ハルは結局会うことなく山へと登りました。原作やコミカライズのように、瑛が主導となっていないことは斬新な展開かも知れませんね。もっとも、今まさに入水自殺を使用止している穹などは、本当に急展開も甚だしいですけど。
穹を助けようとして、拒まれ、2人一緒に溺れてしまうわけだけど、原作のように自暴自棄になって穹と心中しようとするわけでもなく、コミカライズのように諦めに身体を絡め取られるわけでもなく、その光景は本当に幻想的だった。

――僕、死ぬのか? ごめん、穹。助けてやれなくて。でも、これでよかったのかも知れない……二人で、誰もいない遠い世界に行ければ


ハルが目を覚ましたとき、そこは奥宮の石段でした。涙を流す穹の表情を目の当たりにして、何故だか穏やかな笑みを見せるハル。二人の行く先が怖かったというハルは、今でもその答えを出すことが出来ないでいる。

「だから、二人で探さないか? 一番気持ちを大切に出来る道を」

「ハル……」

「僕はどう言われてもいい。どんなに苦しくてもいい。穹が、一番幸せになれるようにしたい」

朝日が登り始めたとき、冷え切った身体を上半身をはだけながら抱きしめあい、暖めあうハルと穹。生きているからこそ実感できる温もりに、ハルは穹への愛を再認識します。

「好きだよ、穹」

「私も大好き……」


そして月日は流れ……ハルと穹の去った奥木染。瑛や渚さん、亮平と奈緒、そして委員長が朝の通学路で一堂に会しました。ここからは完全にアニメオリジナル展開であり、瑛が渚さんにハルからの連絡があったかどうかを訊ねました。それが原作及びコミカライズのラストに送られてきたメールのことですが、それっきり連絡はないといいます。
なんとハルと穹は、両親が仕事で世話になったという家具職人がいる異国の地へと、旅行ではなく移住してしまったというのです。2人が幸せになるために、それしかなかったというのでしょうか。亮平じゃないけど、有り得ない展開ですよね。ハルカナソラへとかいうタイトルのくせして、ハルカナソラ全否定じゃないですか。
放置された春日野家は穹の部屋以外は普通でしたが、本当にすぐ逃げ出したかのような生活感が残っていました。もう少し身辺を整理しても良かったのではないかと思うし、これではただの駆け落ちじゃないか。
「分かりません。本当に幸せになれるんでしょうか?」
そんな疑問を口にしたのは委員長で、彼女は髪を卸しているというより、少し切ったのでしょうかね? 若干、短くなったような印象を受けます。
委員長の疑問に奈緒はこれからが大変だと答えつつも、自身の過去もあるせいか否定することは出来ませんでした。しかし、そんな事情を知らない委員長は声を荒らげます。
「どうしてですか?」
その瞳はいつになく強く、かつてハルを拒絶したときと同じ鋭さがある。

「だって、誰かを好きになる気持ちは止められないもん……だから、幸せになれるって信じてる」

「そんなのないです! 気持ちさえあればいいんですか?」

「そうは言ってないけど……」

「気持ちだけでしちゃっていいなら、私だってやりたいこといっぱいあります!」

泣きながら自転車を押す委員長の背中の痛ましさといったらない。結局委員長は、最後の最後までハルと穹の関係を認めることなく、友人に戻る機会すら失ってしまったのだから。原作にしろコミカライズにしろ悲恋という役目を負わされた彼女ですが、アニメ版はそれ以上に残酷だった。委員長に一体なんの恨みがあるのか、言ってしまえば一人で空回って自爆した普通人に過ぎないし、誰が彼女に感情移入し、同情するのか。可哀想ではあるけど、委員長の役回りはそうじゃないだろうに。


そしてどこかの電車の中、ハルと穹が座席に向かいあわせで座っており、ポッキーを食べています。何故か穹の横は引き裂いたはずの黒うさぎのぬいぐるみがあり、ハルの横にはスーツケースが。

「ついてる……」

「えっ?」

「欠片、口んとこ」

手で拭うハルですが、穹は取れていないといいます。もう一度拭うハルが再度訊ねたとき、列車がトンネルを抜けました。窓の外に映るのは青空だけ、穹は乗り出すようにハルヘ迫ると、その唇を奪います。電車の中ですが他に乗客もいませんし、まあ、良いんじゃないですかね。長いキスに対する躊躇いは、お互いに存在しなかった。

「……とれた」

満面の笑みを浮かべる穹とハル。異国の青空を映し出しながら、アニメ版ヨスガノソラの物語はここに完結したのでした。


なんだろう、この余韻のもたせ方とか、まんま18禁のエロアニメのそれと同じなんですけど、監督が高橋丈夫だけに仕方のないことなんだろうか。なんていうか全体的に詰め込み過ぎだし、駆け足だし、ラストの展開なんてどこが原作を忠実に再現しているのかさっぱりなんですけど、一体誰の期待を裏切らない作品になったんだろうね。私は基本的に冷めてますから、視聴後の一時的な感情の高ぶりが収まれば、今さら激昂するようなこともないですけど、本当にこんなアニメでよかったんでしょうかねぇ?
私はアニメ否定派を貫くことになると思いますが、まあ、ハルと穹が結ばれないとか、二人とも湖で命を落とすなんて展開にしなかっただけでもマシだと思っておきましょうか。ただ、ハル×穹穹ルート、そしてハルカナソラは完全にスタチャによって殺されましたけどね。出来ることなら仇を打ちたいところですけど、ハルキノソラの更新もまだですから、しばらくは様子を見ようと思います。なにやら公式サイトで問題が発生しているらしく、未だに連動企画の壁紙もDL出来ませんからね。まあ、空気の読めない-穹&奈緒-の描き下ろし壁紙なんて、本当に誰の得にもならないと思うけど。
1話以外はすべてダメだったアニメ版ですが、逆に言えば1話が良かったからこそ期待するものがあったということなんでしょうね。これで1話もダメなら、最初から最後まで駄作だったとあきらめも付くんのだろうが。なるほど、確かに上手くいかない話ですよ。私としてはまだまだ書き足りないのですが、一旦ここで一区切りつけることにします。追記するか仕切り直すかは分かりませんけど、さすがに心身が疲れきっているので少しだけ休むことにします。

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