既に特典付きが4冊と読む用が1冊ほど手元にあるんですけど、アニメが終わったばかりということもあってか、相当売れているみたいですね。とらのあな横浜店は特典のイラストカードで表紙が隠れてしまってましたが、今日発売の新刊では一番売れてるんじゃないかってぐらい冊数が少なくなっていた。ゲーマーズも同じような感じだったので、特典付きが欲しい人は急いだ方がいいかも知れません。私は後WonderGOOの分を回収すれば終わりですが、結局前回と変わらない感じになってしまった。特典情報に付いては19日の日記に記載しているので確認してみてください。

今回は1巻の時よりも2話多い8話分収録ということで、特にSphereや橋本タカシの描き下ろしなどはありませんが、巻末で水風天が穹を描き下ろしており、連載を終えての感想をコメントしていました。全14話、1年と少しの連載でしたが、私が感じたように作者本人もあっという間だったようです。穹を中心に話を組み立てて言ったことに触れていますが、こういうコミカライズって編集の意向が強いとされているだけにちょっと意外だった。もちろん、すべてにおいて水風天が構成したとも限らないんだけどさ。
穹中心であるが故に、他キャラとの絡ませ方が難しかったと書いてありますが、私は見事に纏め上げていると思うんですがね。特に瑛のキャラクターに関しては、原作よりもコミカライズ版のほうが好きなぐらいですし。後、アニメに触れつつも何気にゲーム押しなコメントに読めなくもないんだけど、ゲームをプレした方がいいというのは同意します。構成上絡ませられなかったキャラというのは他でもない乃木坂初佳のことでしょうけど、コミカライズでは一切登場しませんし、親友のやひろにしたところで結局2話しか登場しませんでしたからね。そういったキャラを見る意味では、原作をプレイする価値は十分あるでしょう。
ただ、私自身はコミカライズの構成や完璧と言っていいハルと穹の物語を高く評価していますし、コミックスの1巻と2巻を読むだけでも、ヨスガノソラのよさは伝わるんじゃないかと思っています。2巻は序盤に奈緒ルートが挟まれはしますけど、それもまたハル×穹の一部として描かれていますし、ハルと穹を愛する人達が求めていたものが、このコミックスに集約されていると言っても過言ではないかなと。
それじゃあ、この辺りで一つ一つの話を簡単にですが振り返っていきましょうか? 修正点の紹介もしたいですし、画像レビューをしないのだから、せめて文章は書かないとね。

予想通り、雑誌掲載時と同じカラーページが収録されていた第7話「海へ行こうよ!」ですが、意外なことにかなりのレベルで描き直しというか修正が施されていました。私はてっきり前回と同じく薄い背景やトーンなどの修正に徹するのかと思ったんですが、キャラクターも結構描き直されていますね。瞳や顔付きなどに変化が見られ、当たり前ながら最近の絵柄になっています。見比べてみると、ガラリと変わったと表現してもいいぐらいの修正っぷりだと思う。比較画像でも出せればいいんだろうけど、あれは結構大変なので今回は止めておくことにします。買って確認してみてください。まあ、アホ毛という名の触覚の追加とかは前回に増して多かったですけどね。キャラに対する修正も目立つけど、基本は背景だと思うから、雑誌のときとはまた違った雰囲気を受けるかも知れない。
ちなみに、雑誌掲載時の7話レビューはこちら。
URL:http://60741.diarynote.jp/201003270242346139/
読み直して気付いたことは特にないんだけど、やっぱりこの話の穹は可愛いね。ハルと2人きりになれなくて、イチャイチャ出来ないことにいじけていましたけど、こんな風に穹のハルに対する想いの高ぶりを表現するのは上手いと思った。序盤に瑛と彼女にその後について話すことで、明確に瑛ルートが終わったことを印象づけ、穹ルートにシフトしていくやり方とかね。奈緒がハルに絡んできたり、委員長が勇気を出して距離を縮めてきたりと、穹ルートで重要な役割を持ったキャラたちが動き出したという感じです。

第8話「思い出の爪痕」は、穹ルートの前哨戦とも言うべく奈緒の話です。いきなり逆レイプから始まる流れは、掲載時に相応の衝撃を持って迎えられたような気がする。コミカライズ版は原作で曖昧だった逆レイプに対するハルの感情を、明確に否定的な方向で描いていました。奈緒との情事を夢に見るも、ほとんど悪夢にうなされているかのように飛び起きて、表情も不快げというかなり直接的な表現です。
URL:http://60741.diarynote.jp/201004272319174118/
当時の私が書いた感想もそこに触れており、やっぱり驚きみたいなものがあったんでしょう。
コミックスで読み直して気付いたことは、改めて見ると逆レイプされているハルはどことなく幼さの見え隠れする表情や容姿をしているということかな。上記の感想書いたときはそれまでコミカライズに登場したハルと大差ないと思ってたんだけど、顔付きに子供が持つ瑞々しさがあるというか。時間を置くと、受ける印象って結構変わるんもんです。修正箇所は主に背景と、奈緒の髪留めでしょうか? 前髪に付けているやつがありますけど、雑誌掲載時にはなかったんですよね。だから、それを追加している感じ。まあ、アホ毛修正と似たようなものです。この次の話もそうなんだけど、ところどころハルの表情への修正も多いような気がする。気がするだけかも知れないけど、よりシャープな感じになっているというか、プレイボーイ化が進んでいるというか。
話的には穹ルートにおける奈緒との対決と、奈緒ルートの終盤を掛けあわせたかのような話なんだけど、実は穹以上にハルが思いつめてたりするんだよね。ハルが奈緒をかばった理由は色々あったのでしょうが、それ以上に穹のことで思い悩む姿がいい。バスのシーンの使い方も上手いし。ただ、これは掲載時に気付くべきだったんだけど、一つミスを発見してしまった。というのも、バスのアナウンスが行き先を告げる際に穂積と言ってるんですよ。確かにほづみを普通に変換すると出てくるのはこの単語ですが、実際にヨスガノソラで使われている表記は穂見なんですよ。穂見学園とかさ。どうして掲載時に気付くことが出来なかったのか、気付いていれば指摘することも出来たのに。

続く、第9話「苦しみの先に」は絵に関する変化が現れた回でもありました。丁度、コミックスの1巻と同じ頃に掲載された話なんですが、単行本作業が終了していることもあって、例えばアホ毛とかが予め描かれるようになったんですよ。前回はなかった奈緒の髪留めとかも。だからコミックスにおける修正も主に背景がメインとなっており、トーンの追加とかが目立ちますね。話自体は前回からの続きで、穹によってバスへ乗せられたハルが原作の奈緒ルートと同じような流れで穹のことを説得するんだけど、その思考や言動があくまで穹よりなのが良い感じ。
URL:http://60741.diarynote.jp/201005260046485355/
穹は最終的に説得を受け入れて、ハルと一緒に奥木染へ引き返すわけだけど、再会した奈緒に対する態度は面白いよね。奈緒を許し、認めているようで、実は妥協した感がありありと伝わる表情をこっそりと見せていましたし。
「……奈緒ちゃんと同じことしたら、私も好きになってもらえるのかな」
この台詞は原作よりも直接的に穹がハルに対する感情を表現したもので、幕引きとしてはかなり印象的な言葉になっていると思った。なまじ、奈緒の逆レイプ、性行為を生々しく描いた後でしたから、私はいよいよ来たかという気持ちになった。

そして明確に穹ルートへと突入した第10話「雨降って、地固まらず」は、第1話以来の女装ハルが久方ぶりに描かれた回でした。1話のときは女子の制服でしたが、今度は普通レディースの洋服。改めて見ると、ハルが凄く可愛い。
URL:http://60741.diarynote.jp/201006261210176493/
この話は絵柄や背景がとても安定しており、雑誌とコミックスを見比べても本当に僅かな違い、それこそ髪の毛のトーンだとか靴のトーンぐらいしか修正点がありません。雑誌だと白猫の印象が強い猫の師匠も、この回で再登場なんだけど、普通に色付きで出てきており、ハルの言うようなとても猫とは思えない堂々たる態度に拍車がかかっているように思える。なんでこれを維持できなかったんでしょうね?
穹の自慰行為に加筆があるかとも思ったけど、実際に修正されたのは穹が自慰しているところを目撃し、固まった際のハル。若干ですが、表情に違いがあるような気がします。まあ、加筆された冷や汗による印象かもしれませんけど。しかし、何度読みなおしても穹の切なげな表情が堪りませんね。水風天はそっち方面でも描いている人ですから、やっぱり描き方に味があるわ。決してあからさまなエロじゃないのに、性的な興奮が確かに伝わってくるというのは凄いことじゃないだろうか。

第11話「変わりゆく日常」は物語の山場であり、遂に穹がハルに対して思いの丈をぶつけて告白し、ハルがそれを受け入れるという話です。目に付く修正箇所といえば、この話から急に白猫となってしまった猫の師匠に色が付いたことぐらいですかね。実は師匠の色というかトーンを除けば、全体的なレベルが下がったわけではないんだけど、まあ、師匠の場合は目立つからね。脱色でもしたのかっていう印象を受けてしまう。
URL:http://60741.diarynote.jp/201008270150592109/
それ以外は特に修正や変化もなく、純粋に内容を楽しむことが出来ますね。瑛がエスパー瑛として覚醒したのもこの辺りからで、周囲の空気すらも変える圧倒的な力に、ハルもなにかを見透かされたかのような感覚を覚えていました。神社組、とでも表現するべきなのか、コミカライズ版では瑛と師匠が超能力ないし神通力でも持っているのではないかというぐらいの存在感を示しており、ハルと穹というメインに対して、確固たる立ち位置を確保していると思います。水風天は確か瑛が一番好きだと言ってましたが、前述のとおり私も水風天の描く瑛は好きですね。キャラに対し少々極端な捉え方をしているとは思うけど、それがまたいい味を出してるんですよ。実は瑛に関してはかなりの影響を受けていたりします。
結局、ハルと穹の初夜も加筆はされませんでしたが、私はコミカライズ版にはあからさまなエロなど不要と思っているので、これぐらいが丁度いいんじゃないかなと。

原作における修羅場ともいうべきシーンを再現した第12話「ともだち」もまた、特に修正点らしいものはありません。描き忘れと思われる穹のアホ毛が追加され、後は師匠に色が付いたぐらいか。私はこの話と次の13話がたまらなく好きで、瑛のある種超越した存在感もさることながら、駆け足ながらもハルと和解する委員長がしっかりと描かれているところがよく出来ていると思う。やっぱり、委員長はこういう強さを持った少女じゃないとね。
「正しいかどうかは分かりません。でも、春日野君も穹さんも大切な友達ですから」
涙を浮かべながら、気丈にも笑顔を見せる委員長はコミカライズでも五指に入る名シーンではなかろうか。掲載時はあまりの展開の早さに苦言を呈しましたけど、改めて読んでみるとそれほど違和感を感じないというか、1冊に纏まったことで流れるように展開を受け入れることが出来たからかな。
URL:http://60741.diarynote.jp/201009250036426076/
瑛は割とハルを試すような言動が多くて、原作よりも具体的にハルと穹へ道を示そうとしている感じがしますね。言葉としては明確にしなくても、気付けば瑛が最良と思った方向へ進んでいるというか。瑛が初めて笑顔を消して、微笑すら浮かべていないカットがありますけど、その言いようのない冷たさにもまた、不思議な魅力があると思う。

クライマックス直前である第13話「いつも二人で」は、コミカライズがある意味で原作を超えたかも知れない瞬間でした。修正点はハルの靴のトーンやベタが変わっていたり、水に対するハルの恐怖を効果的に描いているところぐらいでしょうか? 後、猫の師匠ね。ここまで来るとさすがに安定してきてるというか、粗探しをしているわけじゃないにせよ、ほとんどなにも出てこないといった感じです。
URL:http://60741.diarynote.jp/201010260137458792/
原作においてハルがもっとも非難される部分をいい方向に改変することで、これでもかというぐらいのハル×穹を見せつけてきたというか、迷いを捨てたハルの格好良さといったらないね。穹を失いたくない、穹のためなら例え水の中だろうと入ってみせるというハルの男気もさることながら、溺れて助かった後、穹がハルに対して感激する辺りなど、もう最高でしたよ。これこそがヨスガノソラであり、コミカライズ版がハルと穹の物語として完全に完成されたときだった。
すべてが終わった際に、朝日を見つめる瑛と師匠がいるわけだけど、もはや風格すら漂う一人と一匹のコンビは、妙な説得力が備わっているようにも見える。ハルと穹が手を握り合って下山を始めるシーンは、ここで連載が終了してもおかしくないような、そんな印象さえ抱かせる名シーンになったと思います。

そして最終話の第14話「ハルカナソラ」です。これに関しては諸事情があって最近感想を書いたばかりなんですが、単行本作業と同時進行で描いていたというだけあって、これに関しては修正点も変化も一切ありません。
URL:http://60741.diarynote.jp/201011262309478185/
個人的にはハルと穹の服装をハルカナソラ仕様にして欲しかったんですけど、それをすると全部描き直さなくてはいけないので無理があったんでしょうね。服装が普段着だからあんまり旅行している感じがしないんだけど、まあ、仕方ないということで。結末も、原作を忠実に再現していると思いますし、地味な印象はありますけど、無難な形で終わったんじゃないでしょうか。なにか特別なことをしようとして型崩れすることもなく、話としても破綻せずにコミカライズとしての責務を全うしたと思う。それこそ連載が始まるから追いかけ続けてきて良かったと、私の想いが報われた瞬間だったのかも知れませんね。それぐらい嬉しく、感無量だった。まあ、ハルカナソラまで描かれなかったのは少し残念でしたけど。

コミックスも2巻が発売されたことで、コミカライズは完全に終了したわけですが、そういえばコミックス1巻告知漫画は収録されていませんでしたね。告知用の1ページ漫画とはいえ、一応描き下ろしだったんだし収録すれば良かったのに。まあ、本誌を買った人のお楽しみということで、大事に取っておけばいいのかな。話として割と面白かっただけに、結構もったいない気もするんだけど。
コミカライズや作者である水風天に対する感謝の気持ちを書き連ねると、多分残りの文字数では絶対足りないと思います。色々あった中でも連載を続け、なんとか最後まで描き上げてくれた水風天さんには感謝してもし足りない。コミカライズが一体どれだけ心の支えになったか、ハルカナソラにも並ぶであろうハル×穹を本当にありがとうございました!
またの機会に会えることを、楽しみにしています。

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