平日ですが、昼から芝居を観てきました。日記に使う画像はないかと探してたら、既にDVDの発売が決定しているとは知らなかった。初めに舞台化すると聞いたときは正気かと思いましたけど、いざ行ってみると満員御礼でしたね。あたり一面女子女性ばかりで、私は本当に銀英伝の芝居に来たのかと、なんだか圧倒されてしまった。まあ、昔から女性に人気な作品ではあったし、芝居観賞はどちらかと言えば女性の趣味だとは思うけど、それにしたって男性客の数が少なすぎる。田中芳樹ファンというか、銀英伝ファンはあまり興味がなかったのか、それともチケットが取れなかったのか。多分、後者なんだろうな。

私も最初はこのとんでも企画に難色を示したというか、そんな話題になることもないだろうとチケットも取らずに放置してたんですが、やたらとイケメン俳優を揃えたせいか、その手の女性ファンたちが食いついたらしくてね。いつかも書いた気がしますけど、気付いたときにはチケットが完売していて大慌てしたんですよ。それをとある女流ファンタジー作家、もうベテランもベテランに相談したら、偶然にもチケットを確保することが出来るというので即お願いして。おかげでなんとか観に行くことが出来ました。しかも、関係者席だからかメチャクチャいい場所で観られましたよ。会場である青山劇場にはサクラ大戦歌謡ショウでなんどか行った記憶がありますけど、それも数年前に終了しましたから、割と久しぶりだったかな。帝国劇場や四季劇場とは比較も出来ませんけど、劇場としては結構好きな方です。まあ、そんなに設備がいいわけでもないですけど、可も不可もないところとかがね。着いたときにはもう入場待機列が出来ていて、開場もすぐだったのでさっさと中に入りました。荷物を置いてトイレに行きがてら地下の物販スペースを観ましたけど、イケメン俳優を全面に押しているせいか、ポスターとかそういう感じのグッズが多かったですね。そんなに混んではなかったんだけど、俳優の写真集みたいなパンフレットを買うのもどうかと思ったから、なにも買いませんでした。ちょっと惜しいことをしたかな、という感じもするんだけどね。席に戻ったら隣りに座る客も来てたんだけど、やけにイケメンな男達が現れて少しびっくりした。関係者席だからそういうのが来てもおかしくはないし、休憩時間にロビーで握手を求められてたから、これは名のある若手俳優に違いないと思って帰宅後に調べたら、どうやら平成ライダーや戦隊の主役たちだったらしい。関係者席って凄いなぁ。

肝心の芝居ですけど、基本的には原作の流れを再現していましたね。敢えてネタバレをしていきますと、原作の1巻から2巻までを基本として、完全に帝国側のみを描いた感じでした。同盟側は単語や名前だけ出て来る感じで、ヤン・ウェンリーすら陰も形も出てこないという徹底ぶり。私は原作ファンやって長いですから簡単に思い浮かべることが出来ますけど、劇場に来ていた人らは読んだことも観たこともないひとが多いだろうから、はてさてヤン・ウェンリーとは何者なんだろうと、そんな感じだったのではないだろうか。悪人か前任かすら分からない、分かっているのは主人公であるラインハルトの敵であることぐらいか。
主な変更点としては、始まりであるアスターテ会戦にミッターマイヤーやロイエンタールが参加していたというところでしょうか。あの会戦は本来、ラインハルトの両手足を奪うために仕組まれたもので、帝国軍の双翼はおろか参謀のメックリンガーや艦長のシュタインメッツすらもラインハルトから引き離された、しかし本人はキルヒアイスだけいれば十分だと言い聞いた、そんな話なんですけどね。双翼を重要視するのは分かるけど、あれじゃあラインハルト単体の凄さが伝わらないじゃないか。それに艦隊戦のシーンもおざなりで、ひたすら効果音に合わせて「ファイエル!」と叫んでいるだけ。この辺りも原作読んでるか、ドイツ語に詳しくないとサッパリなんじゃなかろうか。
まあ、艦隊戦を再現できるとは思ってなかったから、それはどうでもいいんですけどね。しかし、白兵戦のシーンも不満があるというか、装甲服を用意できないのはいいとして、装甲擲弾兵が着ているのがまるでドラゴンボールの戦闘服みたいでかなりしょぼかった。さすがにあれはないよ。オフレッサーの戦闘は良かったけど、オフレッサーがトマホークを振り回すのに対して、ロイエンタールとミッターマイヤーは槍って。しかも、罠に嵌めるわけでもなく、2人がかりの直接戦闘で倒してますからね。オフレッサーそのものは自害しましたけど、奴に武人としてそこまでの挟持があったとは。
要塞の描写も本当にちゃちいというか、舞台装置がせりあがっただけって。後、登場人物の少なさもなぁ。リップシュタット戦役に入った段階で、ケンプやミュラー、ケスラーすら登場しないんですからね。特にケンプがいないことには衝撃を受けました。この芝居がどこまでやるのかは知りませんけど、花崗岩のようなおっさんを出す価値はないとでもいいたいのか。それから私が帝国軍で一番好きな、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトの役者もなんというか、チャラ男過ぎて本当に嫌だった。絶対原作読んでないことが丸分かりの、酷い演技でしたよ。

貰い物のチケットで批判ばっかりするのもどうかと思うけど、銀英伝ファンとしては正直予想通りの碌でも無い舞台だったかなと。原作を再現しているからこそ駄目だったというか、私はファンですから内容を理解できますけど、所見だと絶対に分からない作りになってました。そういや、アニメ版のラインハルトを演じた堀川りょうが特別出演するというから、なに役だろうと思ったらまさかのセバスティアン・ミューゼル、ラインハルトの父親役だった。なにか予感めいたものはしていたけど、まさかあのダメ親父をかつて嫌悪していたラインハルト自身が演じることになるとはね……まあ、女性向けということを配慮してか、道原かつみ版の設定を使うことでそれなりに可哀想な父親ということになってましたけど、堀川りょうはさすがに上手く演じてましたよ。憎むべき相手だったセバスティアンを演じることに、堀川りょうは抵抗とかなかったんだろうか? パンフ買えば、そこら辺のコメントも書いてあったのかな。
聞いた話では、春先にも双翼をメインにした外伝をやるそうですけど、星を砕くものでも上演するんでしょうかね。まあ、観に行くかどうかは、今回の舞台の出来を思えば微妙なんですけど、よく考えてみることにします。

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