AT-Xでセンコロールがやっていたんですけど、一昨年前はこういうオリジナルなアニメーション映画が多かったですね。空の境界は原作ものでしたが、あれの成功が単館上映作品によるシリーズ化という手法を生み出したように、全体的に業界内で映画というものの敷居が低くなったように感じます。最近のアニメは放送期間中ないし、放送終了後にやれ映画化だなんだと発表することが多くて、これは特撮に多いことだけど本当の最終回は劇場で、なんてのも増えてきたでしょう? 一昔前の映画といえばもっと壮大で、ドラえもんやポケモンで言うなら映画だけにしかない特別な話という印象が強かったんだけど、昨今のそれはTVアニメからの地続きとなっていて、なんら特別感のあるものじゃありません。

まあ、ファフナーは完全なる続編だし、そらおとは単純に原作の長いエピソードを映画用に改変しただけの作品だから、上記のそれとはちょっと違うと思いますが、じゃあセンコロールとかオリジナル作品はどうでしょうか?当時の私は、空の境界の影響あったんでしょうが小さい映画館で上映時間の短いアニメ映画を見ることにはまっており、センコロールもその延長線上で見に行った記憶があります。キャストはどれも知っている人ばかりでしたが、そういうのは特に興味がなくて、SFらしい内容と、その物語にのみ興味を持っていたと思う。キャラクターデザインは非常に淡白で、今時のアニメのようにも感じれば、所謂学生が作ったようなデザインの域を出ていないようにも思える。それはAT-Xで改めて見たときも変わらなかったけど、不思議と作品を観続けていくと、その淡白さに味わいを感じるようになるんだよね。
話そのものは仰々しいようでどこかあっさりしていて、具体的な説明や解説もなく、画面の中に映ったものを、見たままで伝えていくというもの。鑑賞者への丸投げといえばそれまでだけど、じゃあ、説明や解説がそこまで必要なのかといえば、特にいらないとも言える。ありがちではないけどわかりやすく、陳腐でもないけど伝わりやすい。オリジナルアニメのお手本みたいのを見せつけられているようで、私は意外と気分良かったですよ。その後もいばらの王とか色々な劇場アニメを鑑賞する機会があったけど、センコロールが一番参考になったもの。ああいう小奇麗にまとまった作品というのは、鑑賞後もスッキリした気分になれるから好きです。まあ、感想は人それぞれかもしれないけどさ。

ところで、私がセンコロールを見たのは池袋のテアトルダイヤだったんですけど、ここっていつの間にか閉館していたらしいですね。先日、サンクリの際に池袋へ行ったとき店舗の近くを通ったんですが、なんか全体的にビルが寂れている感じがして、妙だなとは思ったんですよ。その後、なんとなくテアトルのサイトに行ったら閉館していることを知って……いやはや、ビックリですね。だって、テアトルダイヤって最近改装というか、リニューアルしたばっかりでしょう? スクリーンが2つに増えて、内装も大分綺麗になったと思っていたのに、まさかビルそのものが閉鎖してしまうとは。なんでも老朽化による建て替えらしいけど、これでテアトル系列の映画館は新宿と銀座ぐらいになってしまった。ああいう小さい映画館が閉館するってのは、そういう場所が好きな私としてはなんともいえいない気分になります。勿論、どちらかと言えばシネコンのほうが好きではあるんだけど、あそこには散々お世話になったからね……テアトルタイムズスクエアもそうですが、気付かない内に大切なところがどんどん消えて行くなぁ。
実は私、空の境界は3章から見始めた口で、あるとき池袋の太正浪漫堂が閉店するというから、その閉店イベントのチケットを取りに行ったことがあるんですよ。イベントは夜のくせに、チケットの配布は朝でさ。まあ、なんとかゲットすることは出来たんだけど、今度は夜まで時間潰しをしないといけなくて。昼に人と会う予定を入れてはいたけど、それまで暇だというから、そんなときに入ったのが近くにあったテアトルダイヤだった。空の境界は原作を知っていたし、上映時間が短い分、鑑賞料金も1000円と安かったから飛び込んだんですね。

その後、映画のヒットに伴い1章や2章の再上映が行われ、私はそれらをすべてテアトルダイヤで観たような気がします。一度だけタイムズスクエアだったことがあるかもしれないけど、なんだかんだ言って通いつめてたよなぁ。パンフやグッズを買うわけでもなく、ただひたすら映画を観るだけに費やした平日の夜。あんな時間を持てていたということが幸せだし、今だとなかなか難しいんじゃないかな。私の生活自体はそれほど変化しちゃいないけど、周りが少なからず変わってしまったと言うか。テアトルダイヤの閉館も、そうしたものの一つだろうしね。悲しいけど、それが月日の流れなんだろう。

コメント