昨日、私が池袋から帰還しているとTwitterで一つのニュースを目にしました。なんと、横浜のランドマークタワーにあるアンナミラーズが22日を持って閉店するというのです。ニュースを見たのは確か湘南新宿ラインの車内でしたが、私は思わずその足でランドマークプラザへ向かおうかと真剣に考えてしまった。だって、あのアンナミラーズですよ? すべてのメイドカフェやコスプレ系飲食店の原点にして、原典であるアンミラが閉店し、遂に高輪店だけになるというのですから焦りもしますって。特に、私なんかの世代はアンミラに対する一種の幻想じみた憧れがあるから。

まあ、結局行かなかったんですけど、実は地元のくせにランドマークプラザ店って一度も入ったことなかったりします。他の閉店した店舗には行ったことあるんですけど、高輪とランドマークだけはずっと残ってたから、そのうち行けばいいやという感覚で放置してたんだけど、やはり時代なのか閉店してしまいましたね。この日記を読んでいるような人で、行ったことがあるかは別として、まさかアンミラを知らない人がいるとは思わないけど、なにかの間違いで来てしまった人のために解説すると、アンミラことアンナミラーズというのは日本及びアメリカはハワイで展開しているペンシルベニア・ダッチのドイツ風料理を提供するファミレスチェーンで、日本では肉まんとか出している井村屋が運営しているチェーン店です。
既に1店舗しかないのにチェーンもなにもないだろうと思いますが、昔は東京や神奈川を中心に結構な店舗があり、古い店では70年代に開店したものもあるなど、結構な老舗だったりします。けれど、このファミレスの特徴は歴史や料理と言うよりも、制服にあって、ネットで画像等を検索すれば、この業界に生息するものなら誰もが一度は見たことがある、制服が引っ掛かると思います。何回かマイナーチェンジされてたりもするんですが、この独特な制服こそがアンミラの真髄であり、漫画やアニメ、そしてゲーム業界に多大な影響を与えてきました。実際、90年代から00年代初期の作品群にはアンミラに似た衣装を着ているキャラクターが結構いて、まあ、要するにブームだったんですね。三次元でもアンミラの制服コスが流行りましたし、そっち系のAVもかなりの数が出ました。

そして、当時そのアンミラをモデルとして作られたとされるエロゲ、Piaキャロットへようこそ!!と共に、秋葉原におけるメイドカフェを代表とするコスプレ喫茶の先駆け的存在にもなったのだけど……悲しきかな、これが現実というものです。ちなみに、PiaキャロシリーズはPiaキャロ2の制作発表会をアンミラで行ったことがあったりします。ぶっちゃけパクった側がパクリ元でイベントをヤッちゃったわけですが、これは最初からアンミラで企画していたものではなく、幾つかのファミレスチェーンに断られた結果、最後にアンミラが承諾してくれたという逸話です。ちなみにVFBのスタッフインタビューによると、アンミラ側の担当者には制服が酷似していることを切り出せなかったらしい。
まあ、そんな製作発表が行われた目黒店も今はもうありませんし、私はなんか一つの時代が終わった気がしますね。いや、まだ高輪店が残っていますから、完全閉店したわけではないけど、なんか時間の問題な気がしてならない。どうしてアンミラがこうなってしまったのかというと、普通に赤字が原因なわけなんだが、要するにアンミラってファミレスの割に高いのよ。制服のイメージから想像付かないかも知れないけど、所謂高級志向のチェーンだったから、ケーキやパイといったデザート類以外は、サンドイッチですら1000円超えが当たり前の高価格で。私があまり通わなかったのも、その価格帯の高さを敬遠してというのがありましたし。
もっとも、高いだけ合って料理はそれなりの物を出してきたし、客前でレンジをチンしてしまうような、秋葉原のメイドカフェ群とは雲泥の差があるんだけど、亜流や劣化だけ残り、原典が消え行くというのは寂しい話だね。メイドカフェだってメニュー価格は十分高く、それでいて美味しくもなんともないというのに……まあ、あれも出来ては潰れの繰り返しって感じもするが、それでもまだ10店舗以上は秋葉にあるわけだしねぇ。
後、これも欠点と言うか弱点の一つなんだけど、アンミラはあくまでファミレスであって、コスプレ飲食店ではないんですよ。つまり、メイドカフェなんかと違って店員の面接に容姿が含まれておらず、極端な話、小太りのパートのおばちゃんがあの衣装を着て接客をしていることもあるから、制服目当てで行った客の夢や幻想をぶち壊すこともしばしばあったのですよ。

まあ、そんなわけで昨日は友人たちとアンミラ閉店について話してたんだけど、ここまで書いてきたこと全否定するようであれですが、私はぶっちゃけブロンズパロットの方が好きでした! 多分、アンミラ以上にマイナーであり、現行店舗がないこともあって、これに関しては知らない人のほうが多いと思うのだけど、ブロンズパロットというのは、かつて不二家が実験的に展開していた、不二家レストランの高級店という位置づけの店で、やはりアンナミラーズと同じく特徴的な制服を採用しており、店名こそ青字で書きましたが、真っ赤なリボンとスカートが可愛らしい、今でも十分通用するデザインでした。実験店ということもあってアンミラと違い店舗展開がされることはなく、東京と神奈川に1店舗程度しかなかったんですが、オタク的にはメジャーになりすぎたアンミラに対する双璧という意味合いも強く、その筋の方々からは熱烈な支持があったといいます。
私は付き合いで東京と神奈川の両店舗に行ったことがありますけど、ブロンズパロットの面白いところは制服が統一されておらず、差異があったということです。一般的に有名なのは東京の店舗が採用していたデザインで、可愛くて人気があったのもこっち。実験店であるが故か長続きはせず、東京の立川店が2000年に、神奈川の鶴見店が2006年には閉店してしまったのだけど、そのシンプルな制服が与えた影響は、アンミラほどではないにせよ、大きい物があったと思います。というか、繰り返すようだが私はブロンズパロットの制服の方が好きだ。

アンミラにしろ、ブロンズパロットにせよ、可愛らしい制服でありながら普通の、もっと言えば高級レストランだったという点が、秋葉原にいる亜流や劣化との最大の違いだと思う。料理は確かに高かったけど美味しかったという記憶があるし、お手軽感や気軽さはなかったけど、それ故に神聖な雰囲気があったというかね。客前でホットケーキをレンジに突っ込んでチンするような、メイドカフェなんかとは比較にならんのですよ。まあ、飲食店はどこも厳しい世の中ですし、仕方のないことなのだろうけど、いつか復活して貰いたいものだ。
そういや友人は、「制服ならアンミラより神戸屋レストランの方が好きだ」と言っていましたが、それがすぐに出てくる辺り、流石だと思った。ブロンズパロットの話しも、最初は別の友人がしだしたことだしね。まったく、みんな渋い趣味をしているぜ。

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