夏空のペルセウス、恋ルートの感想を書きます。始めに言っておくと、私はこのシナリオが凄く好きです。minori通信ではヒロインの話としてどうなんだという意見もありましたが、私は否定しないし、むしろ全力で肯定したいとさえ思った。結局どれほどの御題目を並べらところで、私は恋が好きなんです。遠野恋という少女が大好きで、彼女の幸せを、森羅と結ばれる未来に祝福をしたかった。それがどんな結果によってもたらされるにせよ、結ばれることに意味があるのだと信じていたし、今も信じ続けている。だからこそ、透香ルートではなく、恋ルートを私は推すのでしょう。

夏ペルの看板ヒロインにして、「裏ヒロイン」と称されていた遠野恋は、主人公である遠野森羅の実の妹、たった一人、唯一残された家族です。彼女にもまた森羅と同じ、森羅以上に強い他人の痛みを自分に移す能力が備わっており、幼少時から言いように利用されてきたという過去があります。そんな彼女は自然と兄の森羅にべったりな性格となり、世界で信じられるのは森羅だけという少女に育ったのも、無理は無いと言えるでしょうし、それは森羅も認めるところです。
森羅にとって、妹は大切な存在です。唯一残された家族にして、最後の肉親。厄介な能力を抱えながらも、お互いだけは気にすることなく触れ合えるというのは、二人にとって大きなことだった。恋の時に過剰とも言えるスキンシップは、勿論森羅への好意の表れであるのだろうけど、それ以上に、二人が人肌に温かさを求めるなら、お互いが接する以外にはあり得ないという現実があった。故に恋はあやめルートで、「この世で森羅のことを本当に理解できるのは私だけ」と言い切り、「森羅にも私しかいない」と言い張り、「森羅の隣にいていい人間は、わたしじゃなきゃいけないわよね?」と断言できたのでしょう。
何故なら森羅と恋は、彼女が自身のルートで言うようにお互いを除いて「本当の意味では支え合えない」のだから。排他的な言葉であっても、それは紛れもない事実でしかなかった。過去が、記憶が、現実が、森羅と恋に逃げようのない事実を突きつけてくる。自分の能力に希望や展望を抱く森羅と違い、どこまでも否定的な恋は、それを完全に受け入れてしまってるのでしょう。抗うことは無駄なのだと、諦めているのかも知れない。

さて、恋ルートは選択肢を選ぶことによって進むことが出来るわけですが、選んだ際の森羅の気持ちには考えさせられるものがあります。誰かに自分の力を使うことで、他でも無い自分自身に意味を持たせたいと思っていた彼ですが、力のことを考えていた彼の脳裏に浮かんだのは、他でもない“妹”の恋だった。ふと冷静になってみると、誰かを選べば――誰を選んだとしても、それは妹を切り捨てることになるのではないだろうか?と、たとえそれが森羅の本心でなくとも、恋がそう感じてしまうだろうことに彼は気付きます。実際、森羅はあやめルートにおいて、恋を捨ててあやめを選び、最悪の場合はあやめと共に村を出るつもりでしたし、そうした予想や推測は、決して間違っていません。
森羅は妹を守らねばならず、そして、守るものは少ないほうがいい。恋は彼にとって、この世界にたった二人だけの家族なのだから。
ある種の結論出した森羅は、「なにかあったら、ここに探しに来てね」と言われた花畑へ向かいます。言葉通り恋はいて、彼女は朝からどうにも変だったことを告げます。腹痛らしいですが、夏風邪や食あたりの類いでは無いらしい。それどころか体調不良ですらないといい、かといって慣れない環境に引っ越したことでの気疲れというわけでもないようです。恋自身、そうした自分の状態に判然としていないようでしたが、彼女は話を切り替えて、森羅の変化について言及します。「妹を心配してなにが悪いんだ」と言う彼に対し、「妹、ね」と受け答えながら、たった数日間で森羅が優しくなってしまったと言います。

元々、他人のことなんてどうでも良かった遠野兄妹にとって、今の状況は、たまたま、運がいいだけでしかないと語る恋。転校生にはとりあえず好意的な、無条件にこちらを受け入れてくれる時期だからこその平和でしかないと言い切る彼女は、相手が自分たちを値踏みしているのではないか? とさえ言います。実際に値踏みをしているのは、むしろ恋の方なのにね。翠に対する態度などは、まさにそれが現れていた。
けれど、森羅は痛みの無い天領村での暮らしを悪くないと思っていたし、それは自分にとって、なにより恋にとって有益なことだと考えていたのでしょう。だけど、恋はそんな森羅の考えを矛盾しているといって突き放します。
「他人がいることで痛みを覚える。痛みがなければ他人に優しくなれる――根本的に吊り合わないのよ」
確かに、森羅が今一度自分能力と向き合い、そこに意味や価値を見出したいと感じたのは、結局のところ彼が誰かに利用されることのない、押しつけられる痛みのない世界に来たからです。そんな場所だからこそ、彼は生来のお人好しを存分に発揮できたし、翠やあやめの事情、そして透香の問題などに自分から首を突っ込むことが出来た。つまり、自分の中に余裕が生まれていたんですね。
恋の言葉に、「支え合うことが悪いことなのか?」と疑問を呈する森羅。常識的な、一般論としてなら、彼の意見や感情は間違っているはずもない。だけど、森羅と恋は……
「わたしたちは、本当の意味では支え合えない、と言ってるの」
唯一お互いを除いて。突きつけられた事実に、森羅は返す言葉もありませんでした。だって、どんなに希望や展望、願望を並べ立てたところで、恋の言ったことは真実であり現実であり、事実だったから。でも、それ以上に、森羅は恋がこんな話を急に始めたのが不思議だった。元々が排他的だったとしても、今日の態度はどこかおかしいと、そう感じていた。このときの恋の心理は、要するに天領村に来て優しくなった森羅が、誰か別の女に取られるのではないか? という不安を抱え始めていたのではと思う。そして、この時期の恋の心理を良く表しているのが、ソフマップの特典ドラマCDである「恋のメモ帳」のように私は感じるのです。

恋の言葉を言い返せずにいた森羅は、不意に花畑で血の臭いを覚えます。病院などで重傷者の相手をすることも多かった森羅は、否応にもそういった臭いに対し敏感になっていたのでしょう。恋も花の匂いではなく、血の臭いがすることを嗅ぎ取ります。私はてっきり、誰か他キャラが吐血でもしてその辺で倒れているのではないかと思ったけど、そんなことは全然なく、花畑にいるのは森羅と恋の二人だけだった。そして、森羅に外傷などがないのだとすれば……
「……恋。その足、どうした?」
恋の白い足を伝って一筋の血が垂れていました。しかし、彼女は足を怪我していたのではなく、血は彼女の股の内側。アイスグリーンの下着を染める形で流れていたのでした。
帰宅後、なにかと思えば生理だったことに安堵する森羅だけど、家には生理用品が存在しなかったため、彼は買いに走らされるなど大変な目に遭っており、女性ならば前もって準備しておいて、こっそり処理しているものではないのかと訊ねます。まあ、つきのものは兆候がありますから、森羅の言っていることは間違っちゃいないはずだけど、対する恋はこんなことを言い出します。
「知らないわよ。わたしだって初めてだったんだから」
初めて、と言葉に反応してしまう森羅ですが、恋はこともなげに「初潮、ね」と微笑みかけます。目を丸くする森羅ですが、恋は特に隠していたわけでもなく、本当に生理はなかったと言います。遅すぎないか? と思う森羅だけど、エロゲの登場ヒロインは18歳以上だとか、そういう戯れ言を抜きにしても、確かに遅いでしょう。恋の胸の成長度合いから見ても第二次性徴は当に迎えているはずだし、初潮の平均年齢は12歳程度だと言います。無論、今までろくな暮らしをしてこなかった遠野兄妹ですから、環境面の問題で遅くなったと言う可能性もあるけど、恋には股別の考えがあるらしい。

「わたしも、自分には生理なんてこないって思ってた。わたしたちは普通じゃないから」
あたかも自分たちが人間であることすら否定している妹に、森羅は思わず語気を強めて注意しますが、彼よりも力が強く、人間の精神的な痛みまで移してきた恋のことです。人間の暗い面ばかりを押しつけられた彼女の心に歪みが生じないはずもなく、人間という存在に何らかの拒絶反応を起こしているのではないかと、そう考えました。
「ねえ、森羅。それよりも大事なこと忘れてない?」
その言葉に兎にも角にもおめでたということで、レトルトでもいいから赤飯を用意しようかなど? 時代外れなことを言い出す森羅に対して、「そうじゃないわ」と返しながら、
「わたし、女になった」
ずっと妹を子どもだと、わがまなな子どもだと思っていた森羅の認識が、崩れ去った瞬間でした。ずっと自分が守っていかなければいけないと思っていた存在は、しかし、自分の目の前で女に変わり、蠱惑のささやきをするようになっていた。だからこそ、森羅は恋を生まれて初めて、異性として意識せざるを得なかったのです。
ところで翠ルートをやると、選択肢で翠を選んだ翌日、家で恋と会話をすると、「あの後、私がどれだけ大変だったか、わかってないんだから」という台詞があります。ここから察するに、花畑で待っていた恋は、自身のルートと同じくそこで初潮を迎えたのでしょう。でも、森羅が側にいないものだから全部自分で処理する羽目になってしまい……なかなかにえっちぃ状況ではないですか。
minoriは今日日のエロゲメーカーに珍しく、作中に登場するキャラは全員18歳以上ですとか、そういう記述を本編開始前にしていませんが、だからといって実年齢が書いてあるわけでもありません。ただ、推測すること自体は出来ますから、森羅を高二とするなら、妹の恋は高一でしょう。誕生日は3月29日とギリギリ早生まれなので、そこから導き出して15歳……初潮の年齢としては、最低限ってところだろうね。下品な考察であれだけどさ。

恋が初潮を迎えた翌日、制服姿の妹に起こされた森羅は、今日が平日であると勘違いをしますが、恋は単に着るものがなかったから制服を着ただけであり、普通に休日だったらしい。10時頃起こされ、昼くらいまで寝るつもりだった彼の計画は潰えます。恋の血の臭いを嗅いだことで、古い記憶を悪夢としてみてしまった森羅は、恋にも分かるほどうなされており、彼女はそれを心配しますが、昨日女になった妹に対して、森羅はどうしても異性を意識してしまっている。それがよくない傾向だと分かっていながら、頭の本能的な部分が恋の存在にしびれていた。
休日でも特に予定があるわけではない森羅を、恋はピクニックに誘います。都会にいた頃はあり得なかった恋の誘いに、彼女の変化を実感した森羅は応じ、天領村へと引っ越してきたことが、恋にとって良いことだったのではないかと思うようになる。恋ルートの森羅は……という言い回しや表現は、本当のところしたくないのだけど、とにかく恋のシナリオにおける森羅はやはり彼女のことを深く、そして強く考えており、自分のこともさることながら、まず第一に恋のことを考えています。他のルートの彼なら、ピクニックなど誘われたところで面倒くさいと固辞していたことでしょう。
花畑でピクニックと言っても、弁当を食べる以外は特にすることがあるわけでもなく、森羅は日陰で休みながら恋のことを観察します。恋にしたところで立ち尽くすか、思い出したように歩くだけで、何をしているわけでもありません。けれどそれは絵になる光景に違いなく、森羅をして今の恋は野花と同じぐらいの清楚さを感じていました。花がきれいだという恋の言葉を、きれいという部分を恋と結び付けてしまうぐらいには、森羅は妹に見惚れていたのです。
森羅がつまらなくないか心配する恋ですが、彼は既に花を、花畑の中にいる恋を愛でることに集中しており、つまらないわけがありません。仮につまらなければ鬼ごっこをしないといけないと言う恋に、やっても良いと応じる森羅。それに乗っかり、座り込んでいた花畑から立ち上がった恋ですが、鬼ごっこのつもりで近づく森羅から、後ろ歩きで離れようとした瞬間、バランスを崩して倒れてしまいます。森羅が止める間もなく転び、恋は左足の膝頭を怪我していた。普通の掠り傷に安堵する森羅に、もっと優しくしてと囁く恋。唾でも付けておけば治ると嘯く森羅に対し、恋は言いました。「舐めて」と――

森羅が恋の血を舐めた晩。彼はなかなか寝付けずにいました。そもそも時刻はまだ夜の10時過ぎであり、昨今では小学生でも寝ない時間です。しかし、森羅は起きていることが出来なかった。花畑で怪我をした恋、彼女は能力による治癒を拒否して、森羅に傷口を舐めるように言った。森羅は、自分の血の味を知りたいはずだと。痛みを受け取るために傷口に当てていた手から、逆になにかを吸い取られるかのように、あるいは恋に引き寄せられるかの如く、森羅は恋の要求を呑んでしまった。
自分でも信じられない欲望の発露。それも実の妹にぶつけたという事実が、森羅の精神を混乱させ、絶望させていた。留まることを知らない気持ちの高まり、性欲を解消したい森羅だけど、その対象がやはり恋となることに拒否感を覚え、歯を食いしばって耐える。妹をオカズにすることが珍しいことなのかはともかく、忌避すべきことであると森羅は思っており、もっと言えば、それをしてしまえば自分に歯止めが利かなくなるのでは、と感じていたのかも知れない。けど、そんな森羅の気持ちをまたしても打ち破ったのは、恋だった。
森羅の部屋へとやってきた恋は、彼に覆い被さるとただ一言だけ、「……感じて」と、それだけですべてを言い切りました。身体を通して伝わる恋の感情。胸が張り裂けそうなほどの不安と寂しさ。恋を近づけまい、妹を女として意識しまいとしていた森羅は、人のぬくもりを欲し、飢えや渇きに近い感情を抱いている恋を知ってしまった。そして恋には、森羅の中にある目の前にいるひとりの女を、自分のものにしたいというという欲望が伝わっているはずだった。森羅は今、心の底から妹の恋を汚したいと、その身体が欲しいと思っていたのです。
先に行動を起こしたのは、恋でした。彼女は素早く自分の上着をまくり上げ、僅かに手を震わせながらブラジャーを外し……森羅は自分の欲望の限りをぶつけ始めます。ここで一つ、また品のない話になって恐縮なんだけど、私が安堵したことが一つ。いや、恋って処女だったんですね。ハッキリと明記されてたし、破瓜もしてたので安心したんだけど、だってほら、冬空のペルセウスとか読んじゃうとさ、あんまり良い想像出来ないじゃないですか。恋はefで言うところの優子ルートと事前に言われていたぐらいですから。森羅に初めてを上げることが出来て、本当に良かったと思います。

恋を抱いた翌日、生まれ変わったように気分の良い目覚めを迎える森羅だけど、そりゃあ、溜まりに溜まってものを解放したわけですから、気分が悪いはずもありません。実の兄妹で性行為をしたことへの後ろめたさはあるにせよ、彼は自分の欲望を満たすことが出来た。恋というひとりの女を物にして、初潮を迎えたばかりの彼女の処女を奪い、散らしたという事実は、ある種の征服感のようなものに近いかも知れない。
行為の後は互いにシャワーを浴びて、特に2ラウンド迎えることもなく、手を繋いでネタという二人だけど、起きてみると恋の姿が隣にありません。恋は自らの能力を駆使して、墓の傷みを森羅に移すことなく自分の中に抱えました。故に、感覚としてはごく一般的な処女喪失と変わらないはずですが、彼女は満足感に浸って眠りこける兄よりも早起きし、なんとビックリ朝食の支度をしていました。
恋はおよそ自分の衣類さえも森羅に買ってこさせるなど、とかく生活力に欠如した娘です。森羅の作った物は冷凍食品でも美味しいと言い切る姿には可愛げがありますけど、裏を返せば自分ではその程度のことも出来ないと言うことで、森羅は妹が炊飯器で米を炊く以外のことをしている記憶がありませんでした。流石に米は研げるのか、あるいは森羅が研いだものをセットし、スイッチを押しているだけかは分かりませんが、現実に今の恋はそれ以上のことを、包丁を片手に料理をしているのです。
普通、妹の手料理ともなれば兄なら喜びそうなものだけど、森羅はあまりに異様な光景を前に、人生で一度しか訪れない初体験の翌日に、情緒を感じられなくなってしまったらしい。そしてあろう事か、食材は無駄にしてないかなどと訊くのだから、恋の料理がどれだけ信頼されてないか分かります。確かに、今まさにきゅうりを切ろうとしているにも関わらず、直食のメニューはおにぎりとお味噌汁だけだったし、卵は既に全滅させていたことからも、森羅の予想は当たっていたのだけどね。
「わたし、料理なんてしたことないし」と開き直る恋だけど、ここで重要なのは料理なんてしたことない、しようと思ってこなかった彼女が、どうしてわざわざ早起きしてまでそんなことをしているのか、という話だよね。分かりやすい心境の変化であると言えばそれまでだけど、しかし、「出汁とったか?」と訊かれて、「ダシってなに?」と聞き返す恋とのやりとりは、本当に可愛かった。これをペルらじに送っても良いと思ってしまうほどには。

恋の変化は朝食だけに留まらず、教室に入るなり他のヒロイン達に挨拶をしたり、僅かながらの社交性さえ見せ始めます。これには恋イコール無愛想と思っていたヒロイン達も衝撃を受け、恋は一転して好奇の的になってしまう。森羅も学校では二人の関係、つまり兄妹なのにセックスをして結ばれてしまった事実などを悟られまい、隠そうとしていたことから、恋の送る合図などは尽く無視し、それが原因で恋はすぐに元の無愛想な姿に戻ってしまいます。とはいえ、恋だって森羅の考えは分かっているので、さほど深刻なものではなかったんだけど、この時点で既に、二人はお互いの関係を肯定してしまっていることが見て取れます。それは学校狩りの商店で、森羅が意図的にコンドームを買わなかったことからも見て取れる。買わなかった理由は単純に狭い村の中、そんな物を買えばどういうことになるかは目に見えていた。ただでさえ森羅は余所者であり、女の子だけが通っている学校に籍を置く、唯一の男子です。商店主の口が緩いのか堅いのかは分かりませんが、一体どの娘に手を出したのかと、いらぬ邪推を受ける可能性があった。
だから森羅はコンドームを見つけても買うことが出来なかったわけですが、彼は既に今後避妊具が必要になるという前提で考えているんだよね。つまり、今後共に恋とそういうことを、セックスするつもりがあるってことなのです。開き直ったのか割り切ったのか、森羅は妹とこれからセックスライフを送ることに、少なくとも拒絶感を持ってはいなかった。変化しているのは、なにも恋だけではなかったのですよ。
森羅はそうした変化を受け入れ、自分たちは変わっていかなければならないと感じます。それまでの二人は、周囲の人間を油断させるために演技ばかりをして生きてきました。いらぬ力を持っていたばかりに、他人から利用されるばかりだった二人にとって、素の感情というのはお互いにのみ見せるものであり、そこに他者の存在なんてなかった。でも、森羅はいつまでも自分を偽って、演技ばかりして生きていくぐらいなら、多少変だと思われても愛想良くするべきなのではないかと、そんな結論を出します。森羅は天領村を自分たちの終着点と考えていましたから、その視点は何年、あるいは何十年か先まで向いていたことでしょう。

けれど恋は、森羅が真面目に考えていることを理解しつつも、他人の存在を否定します。そんなものはいらないと、拒絶したのです。
「世界で信じられるのは森羅だけで、あとのことなんて、誰がどうなっても、どうでもいい」
嫌いにすらなれないと言い切る恋の言葉は、紛れもなく彼女の本心でしょう。本音かどうかはともかくとしても、彼女の孤独や人間不信は、ちょっとした言葉で解消されるほど根の浅いものでなかった。
そんな恋の気持ちが爆発したのは、分かりやすさで言えばあやめルートであり、より核心的、本質的な意味では透香ルートになります。まあ、後者には色々と言いたいこともありますが、じゃあ、肝心の恋ルートではどうなのか? 恋は他人に対する感情を見せることなく、ひたすらに森羅のことだけを考え、想い続けるんですね。文章で書くと綺麗な響きだけど、言ってしまえば他ルートで森羅の恋人になったヒロイン達、彼女たちに向けた歪んだ感情さえもが森羅に向かっていると思えば、手放しに喜べる事態でもないでしょう。時に包丁を持ちだし、またある時は相手の死を心の底から願うなど、恋は森羅のこととなれば、箍が一気に外れるのです。
しかし、恋ルートでは、彼女が憎悪や歪んだ感情を見せるライバルが、明確な敵が存在しません。翠や透香、あやめと言った少女たちは脇役であり、森羅の言葉を借りるなら、好きか嫌いかの土俵にすら上がっていない存在に過ぎません。だからこそ、恋は自分の中にあるすべてを森羅にぶつけることが出来た。勿論、この時点ではまだすべてにはほど遠い、ほんの片鱗に過ぎないのだけど。恋が最初から自分の歪みを全部さらけ出していたら、如何に森羅といえど欲望に忠実なままではいられなかったでしょうが、恋は意外なほど理性的で、歪みに嵌まるような真似はしなかった。何故なら彼女には、もっと大きな、絶対に果たさねばならない目的があったから。
その晩、森羅は恋が部屋にやって来ることを期待していました。自分から行かないのは、一線を越えたことは理解していても、それが気の迷いによるものだと思うところもあったからで、たとえどんなに恋を抱きたくても、森羅は動くことが出来ず、ただ恋を待つことしか出来なかった。しかし、恋が彼の部屋に訪れることはなく、彼女が来たときのことを考えて自慰行為も控えざるを得なかった森羅は、悶々とした気持ち、欲求を抱え込んだまま朝を迎えねばなりませんでした。

朝になって、自分と同じように眠そうな恋を森羅は不思議に思いますが、これは単純に恋の方も森羅が来るのを待っていたのでしょう。恋は長い付き合いと、そして能力の影響もあって森羅の感情や考えが手に取るように分かるわけだけど、彼が昨日の今日で欲求不満に陥ったことを悟りつつも、敢えて自分から赴くことはしなかったのです。それには理由があり、後述されるわけですが、このときの森羅はそこまでのことに気付かない。
というより、一線を越えて以来、恋が明確に変化してきていることばかりに目が行って、他の部分に視線が傾かなかったのでしょう。普段の言動にあったトゲが抜け落ち、上機嫌な姿を見て、森羅は自然と恋は可愛いと口に出してしまう。それはお世辞などではなく、森羅が今の恋に感じた素直な印象だったに違いない。勿論、恋が昔から可愛い妹であったのは自明の理ですから、これはむしろ再確認や、再認識に近い言葉だと思いますが。
学校においても周囲に合わせることを始めた恋は、確実に森羅が思う良い方向へと変わってきていました。けれど、二人が兄妹としての一線を越えてからと言うもの、恋はそれまであった性的アピール、森羅に胸を押しつけるなど、過剰なまでのスキンシップを控えるようになりました。手を繋いだり、軽く腕に触れるなどの健全な接触ばかりで、森羅はそれが少し物足りなくなっていた。失ってみて初めて分かる、ではないかと思いますが、恋の身体に飢えている森羅としては、彼女の積極的な性的アピールに期待する部分もあったのでしょう。にもかかわらず、恋は自分からそれをしてくることがないのです。以前は、あんなにも激しかったというのに。
森羅は不安に思います。仮に恋が自分とセックスしたことを後悔しているのだとしたら? 恋の熟れた身体を強く求めながらも、その肉体的欲求が満たされないことでの精神的隔たり。森羅は自問自答します。俺の理性は――恋を犯さずにいられるまで、あと何日もつだろうか?と。

欲求不満も2日続けば我慢の限界で、生殺し状態の森羅は恋と距離を置こうとします。勿論、家を出るとかそういう深刻なものではなく、放課後の時間を一人で過ごし、少なからず恋から離れようとしました。そんなことで彼の欲求が収まり、精神的に落ち着けるのかは分かりませんが、用事があると言って恋と一緒に帰宅するのを拒むのに対し、恋はそれが嘘であるとすぐに見抜きます。しかしまあ、自分だって一人になりたいときはあるからと、意外なほどあっさりと認めてしまう。
物足りなささえ感じるやり取り森羅は裏があるのではないかと疑いますが、彼は恋だけでなく、翠や透香とも距離を置く必要があると考えていました。翠は親戚にして世話焼き、噂好きで気のおけない相手なので、どうしても自分と恋の関係を問い質してきそうだし、透香は抜群の鋭さを持っています。接触しないに越したことはなく、沢や望楼に近づかないことを森羅は決めました。けれど、そもそも天領村は一人で時間を、暇を潰せるような場所がありません。都会ならゲームセンターや漫画喫茶、あるいは適当な商業ビルに入るだけでも時間を潰せますが、この村には本屋すらないのです。
背に腹は代えられないと、森羅は二つの行く宛てを定めます。一つは町に出てしまうことであり、確かに1時間もバスに乗っていれば町には行けるわけで、おかず用の本やDVDを購入することを考えれば、それほど悪い考えでもありません。けれど森羅は、手近で済むならそれに越したことはないと、もう一つの方、学園の図書室へと行きました。ここには当然居眠り部……もとい、図書委員のあやめがいるわけですが、森羅は彼女もまた勘が鋭いものの、それ以降が鈍いので、自分と恋の関係が悟られることはないだろうと考えたのでした。
あやめに協力して貰い暇つぶしの本を見つけて貰う森羅ですが、ふと、本当にしみじみとあやめの身体を見ます。良い体をしている、恋よりも豊満な肉体は抱けば良い弾力と重みを返してくれそうだなどと思った挙げ句、箱入り娘で純朴な彼女を汚すのも悪くないなど、そんな評価をしてしまいます。無論、森羅は手を出すつもりなどありませんが、恋を抱いて童貞を卒業して以来、女を見るとそんなことを考えずにはいられなくなっていたのです。森羅はあやめから目を逸らすと、会話を続けることもなく本を読むことにします。あやめは森羅にはクライムノベル、つまり犯罪小説が相応しいと良い、選んだ『OUT』という作品もまた、クライムノベルの金字塔でした。ちなみにこの本、実在する小説であり、98年の日本推理作家協会賞を受賞した名作だったりします。

女の怖さを描いた小説の内容にため息を吐きつつ、気付けば夕方になっていた。まあ、放課後の話ですから時間にして30分程度しか立っていないのだけど、その30分の間にあやめはすっかり寝入っており、図書室の定位置で寝息を立てていました。そんなあやめを見ながら、森羅はまるで成人向けのエロ漫画みたいな妄想、あやめはどこまでやれば目を覚ますだろう? などという下卑た妄想を浮かべます。胸を触る、半開きの口にペニスを突っ込む、スカートをめくって写真を撮るぐらいならバレないだろうと、割と本気で思っているところが怖いですね。森羅は透香や他のヒロインに優しい人だと言われることが多いですけど、殺伐とした人生を歩んできたこともあって、気の優しい純粋な心をを持った少年というわけではありません。犯罪すれすれの行為に手を染めたことだってあり、恋ほどではないにしろ、他者に対するどす黒い感情というのは常に持っていて、それが欲求不満と重なり、前述のような妄想に結びつくことは不思議じゃない。
大体、先日まで童貞だったとは言え、森羅は性的なことに対しての抵抗感がそれほど強い方ではありません。裸を見ただけで顔が真っ赤になるようなウブな性格はしていませんし、かつて出会った心愛に対しても、強姦まがいの妄想を働かせたことがあります。もし彼女が生きるか死ぬかの瀬戸際という巨大な痛みを抱えていなければ、森羅は心愛を襲っていたかも知れないしね。
「襲うの?」
あやめに欲情し始める森羅に対して、唐突に恋が声を掛けてきました。驚く森羅に、恋は誰か入ってこないか見張っていてあげてもいいなど、余裕の笑みさえ浮かべているのです。扉を開ける音どころか、気配すらまったくしなかった恋は、森羅曰く必要とあらば気配や情念を外に一切発散させることがなく、体内にずっと溜め込み、爆弾のように抱え込むことが出来るらしい。それにしては余裕がありすぎるというか、落ち着きすぎていると感じなくもないけど、森羅はそこに疑問を感じることなく、もっと単純な問いかけをしました。何故、ここに恋がいるのかと。しかし、恋はこちらの台詞だと言い返し、森羅は自分の行動が監視されていたか、それに近い状態だったことを悟ります。

あやめとはなにもないと弁解する森羅ですが、恋はその言葉を素直に受け入れた。翠や透香ならまだしも、あやめは逢瀬どころか、気持ちよさそうに寝ている最中です。幾ら嫉妬深い恋でも、彼女との間に、なにかあるようには見えないでしょう。そう、恋はそもそも嫉妬深い性格をしています。兄を他の女に取られやしないか、常に不安や心配をしており、森羅が他の女に目を向ける、あるいは仲良くしようもなら、それが些細なことであっても嫉妬心を隠すことがありません。
にもかかわらず、今の恋は森羅があやめを襲いたいと思ったことを、その気持ちを否定せず、あまつさえ彼があやめにしたであろう妄想、その全てを叶えてあげるとまで言い切るのです。「お人形さんみたいに滅茶苦茶にしてもいい」とは、もはや口説き文句や誘惑のの域を超越した言葉でしょう。自分の思い通りになる美少女、そんな存在を男が求めないわけない。情欲に塗れた表情や言葉遣いなどは一切なく、あくまで清楚にして可憐な微笑みを向けてくるのだから。まともな男であればあるほど、理性など、すぐさま吹っ飛ぶでしょう。ましてや森羅は、数日間恋にお預けを食らっていた身です。たとえそれが言葉であっても、性的なものならば身体は敏感に反応し、飢えや渇きを身体が思い出してしまう。
そして彼は、ついに、やれるのではないかという欲望を、勃起という形で表現してしまった。しかし、森羅はなけなしの理性と、兄としての意識から恋の言葉をからかいに過ぎないと避けようとします。だけど、恋はどこまでも本気でした。彼女は本当に、森羅のためだったなんでもするのでしょう。それは他ルートでも明言していることですし、今更驚くことではない。でも、今回はまだ続きがあった。
「森羅がお願いしてこない限り、絶対にわたしからは手を出さない」
その言葉の意味は、説明しなくても分かるものでした。
「男性の限界は3日くらいって聞いたことがあるけど、どうなのかしら?」
ここに来て、森羅は最近の恋の態度が何だったのか気付きます。自分の言葉が最後の一線になることも、彼は十分に理解していた。でも、それに対して彼が覚えた葛藤は、常軌を逸するものだった。森羅は既に、恋をその場で犯すことしか考えていなかったのだから。

罪悪感などとは全く異なる森羅の葛藤。しかし、それでも最後の一線を踏みとどまろうとした彼は、ふとあやめの方を見てしまう。まだ寝ている、寝ているのなら出来るのではないかと、常識が抜け落ちたかのような考えまで抱き始めてしまった。
「あ、もしかしてあやめも混ぜてしたい?」
森羅が本気でしたいなら、そうなるように手を回すという恋は、冗談など言っていませんでした。森羅が“男”になったように、恋は“女”になっている。もはや、それを完全に認めざるを得ない状況になっていた。「帰ってもいい?」という、恋の言葉を、森羅は「……待て」と止めました。答えるまでは触れさせてもくれない恋に、遂に彼は折れました。したい、セックスをさせろと、自分でも信じられないほどに理性の箍が外れてしまっていた。そして恋は、眠り姫のいる図書室で……森羅にフェラを行うのです。
そこから先の日々は、“猿のように”という比喩の通りに恋とセックスをしまくったと森羅は言います。イベントシーンとして描かれてないだけで、部屋、風呂場、台所、それに社務所の裏で青姦など、時と場所など選ばない。ある日は二人揃って風邪を引いたことにして、朝から何度も恋を犯すなど、森羅は恋の言葉通りに、彼女に何でもしたし、彼女は望めば何でもさせてくれたのでした。
これらのシーンは前述の通りゲーム内で文章のみ書かれていることですが、想像すること自体はそれほど難しくなく、むしろ容易とも言えます。何故なら、丁度この時期の真都連の関係を書いてであろうSSが、PUSHの12月号に掲載されていたからです。あれに描き下ろされた「夏空のソフトクリーム」が、まさに該当する話なのだと思います。今から読むのは難しいと思いますが、森羅と恋の関係が既に爛れていることが、よく分かりますね。

でも、そんな関係が長くも続くわけはなかった。いや、森羅はこっそり隠れながら、騙し騙し恋とのセックスを繰り返してきましたが、遂にその範囲は学校内にまで及んでしまった。一度、眠り姫の前でフェラをしているとは言え、空き教室などではなく、いつも授業をしている教室でセックスを行う二人。猿のようにとはよく言ったもので、学校でしたいという恋の誘いに森羅が応じ、もはや彼に歯止めなど利かなくなっていた。勿論、学校に誰も残っていないことは、あやめすら帰宅していることは確認済みだけど、エロゲで良くあるはずのシチュエーションが、ここまで背徳的に感じられるのも凄い。多分にBGMの力が大きいのではないかと思っているのだけど、いつも騒がしい教室に蠱惑の音楽が流れ、そこで艶めかしく森羅と恋が絡む。演出って大事だなぁと、エロを楽しむよりも先に感心してしまった。
深い関係になっていこう、森羅は恋が恥じらいを覚えるようになったとしてきます。昔はあからさまな性的アピールをしてきたのに、実際にやると落ち着いてきたと、そのように評価する。おそらく森羅は、昨今における恋の態度は彼女が“女”になったからだと考えたに違いなく、彼は彼女の変化をそう定義づけていた。確かに正しいものの見方だろうし、以前のそれが子どもとしての情緒不安定と思えば、納得出来なくはない。
だが、しかし……果たして本当にそれだけなのか? さっさと性欲を満たしたい、それだけに支配されつつあった森羅は、いつの間にか深く考えると言うことを放棄していた。自分でも気付かぬうちに、いや、気付いているにも関わらず、性欲に忠実となること、欲望にひた走ることを疑問に思わなくなっていたのです。
教室で激しいセックスを繰り広げる最中、恋は突如として高笑いを始めます。突然のことに驚く森羅だけど、それは彼に向けられたものなどではなかった。
「すごかったでしょ!? 感じちゃったんじゃない!? ねえ、ねえ!? 答えてよ――!」
恋の叫んだ先に、そこにいたのは。
「翠!」
名指しされ、息を呑む翠だった。全身を震わせ、顔を青くし、今にも倒れてしまいそうな状態になっても、彼女は森羅と恋から目を逸らせなかった。逸らすことが、出来なかったのでしょう。慌てた森羅は、恋を押しのけて翠に弁解しようと駆け寄りますが、翠は顔を歪めると、そのまま走り去ってしまった。

森羅は恋を初めて抱いたときから、この様な機会が訪れるのではないかとずっと恐れていました。だから最初の内は二人の関係を周囲に隠したし、翠や透香を避けてみるなど、可能な限りの手を打っていた。けれどいつからか、おそらくを二度目のセックス以降、森羅の中でなにかが、箍としか言いようのない物が外れてしまっていた。故にこれは、ある意味で彼の油断が招いた結果と言えるかも知れない。
……本当にそうだろうか? 翠に恋とのセックスを見られた。言葉にすれば単純で、普通なら混乱して頭を抱えたくなるような、そんな絶望的な状況にも関わらず、森羅は「だからどうした」と感じていたのです。世界が一変したことや、翠に見られたことの驚きすらも、森羅にはどうでも良いことになっていた。あまりのショックにおかしくなったのかと森羅は自問自答するけど、それと同時にこんなことを考えている人間は狂っていると言えるのかと、そんな疑問さえ湧いてくる。
恋は森羅に、自分がいつから翠に気付いていたのか、その事実を告げます。私は何となく、セックスを始める前の雰囲気から、恋は最初の時点で気付いていたんじゃないかと思ったのだけど、実際はそうでもなかったらしい。となれば、最初の「あ……」は、足こきを思いついただけか。森羅は気付いていたのなら何故言わなかった、そして追い掛けなくて良いのかという当然の疑問を抱くけど、恋はそれに対してただ一言、『今さらどうしようもない』と返します。確かに、行為を始める前ならまだしも、セックスの最中に目撃されていたのなら、言い訳のしようもありません。だから言わなかったし、止めなかった。翠を追い掛けたところで、なかったことに出来るはずもない。
森羅は恋の答えが自分の導き出したものと同じであることを悟り、今更なにをやっても変わらないから続きをしようという恋の誘いを、あろう事か受けてしまうのです。翠に見られたことを考えながらセックスするのは最高に興奮すると良い、森羅もまたそれに賛同した。それどころか、翠を逃がさず、自分たちの行為を見せ付けてやれば良かったとさえ思った。だからそのまま恋を抱いたし、自分の性を全て解放することに躊躇いがなかった。
そしてその結果、森羅は自分の心に生まれた違和感に気付いてしまったのでした……

長くなったので、2回に分けます。恋ルートは非常に思い入れが強いので、ダイジェスト形式での感想になりましたが、妹モノのシナリオとしては良く出来ていると思います。近親相姦であることを無視しているかのように見えて、実はそうでなかった。後、これは誰のルートを先にやるかで印象が変わってくるでしょうが、翠やあやめルートでの伏線が回収されていたのも良かったですね。元々シリアスだったものが、更に緊迫してきた恋ルート。続きはまた、次回の日記で書くことにしましょう。

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