スーパーヒーロー大戦Z スペシャルオールナイトイベントということで、22時10分開場、5時40分終演予定のイベントが始まりました。約7時間半という非常に長いイベントですが、入場者プレゼントとしてヒーロー大戦Zのポスターと、同時上映の3作品いずれかのポスターがセットになったものと、ポストカードを貰いました。まあ、5000円も払ってるんですから、それぐらいの特典があってしかるべきでしょうが、私も身内もポスターは無印大戦のものであり、私はギャバンが欲しかったので少し残念だった。何故か取れた真ん中の席に座るも、横一列は丸々空席でした。サイトでは埋まってたのに、欠席ということだろうか。

私は、なにせ突然誘われたイベントだったから、トークショーの出席者は石垣佑磨ぐらいしか知らなかったんだけど、司会としてショッカーO野が現れた瞬間に、「あぁ、このイベントは面白いな」と確信してしまった。久しぶりにその姿を見たけど、ショッカーO野の仕切りは面白いですからね。東映特撮のプロフェッショナルですし、長年の司会業他で培ってきた技術とセンスがありますから、とにかく話運びが面白いの。
他の参加者は前述の石垣佑磨もそうですが、大戦Zのアクション監督であるJAEのおぐらとしひろ、監督の金田治、大戦Zでギャバンtype-Gに入っていた石井靖見、ギャバンTHE MOVIEでtype-Gの中に入っていた浅井宏輔といったスーツアクターの二人もいました。これにショッカーO野の進行が加わるのだから、もう面白くないわけがない。
今回のイベントで私が疑問だったのは、どうしてゴーカイジャーvsギャバンではなく、レッツゴー仮面ライダーを上映するのか? ということだったんだけど、なるほど金田治監督作品を中心に選んでいたのですね。つまり、金田治映画祭といっても過言ではなく、それを聞いたら上映される映画のラインナップにも納得がいった。レッツゴーは劇場でもテレビでも観たことなかったけど、何気に良い作品だったし、結構満足しています。

トークショーで印象的な話は幾つかあるけど、浅井さんのギャバンに対する演技についてがちょっと面白かった。というのも、彼はギャバンTHE MOVIEだけじゃなく、ゴーカイジャーvsギャバンにおける、大場ギャバンの中も担当していたというのですが、その際に意識したのがかつてのギャバンではなく仮面ライダーBLACKだというのです。浅井さんは、お客さんが見たいのは30年前にテレビで活躍していたギャバンだろうけど、それを自分に置き換えたらどうだろうと悩み、自分が好きな仮面ライダーBLACKの演技を当てはめつつ、新しいギャバン像を作り上げたというのです。
実はギャバンではなく仮面ライダーBLACKだったという事実に、得心がいったように金田監督が苦笑します。ゴーカイジャーvsギャバンの監督は別の方がやられてましたが、映像自体は観たことがあるということで、浅井さんが作り上げた新ギャバン像に「なるほど、浅井はこんなギャバンにしたのか」と一度は思ったそうですが、今の話を聞いて「ありゃBLACKだな」と納得していました。何故なら、金田監督は仮面ライダーBLACKのアクション監督だったから。
私も帰宅後にゴーカイジャーvsギャバンを見直してみたのですが、言われてみると確かにBLACKっぽいわ。だからといってギャバンらしくないって訳じゃなかったし、上手く調和が取れていましたね。
後、印象的だったのはとにかく石垣さんの元気が良いと言うこと。声も大きく、夜だというのにテンションMAXで、観ていて気持ちが良かった。ギャバンTHE MOVIEと、そして大戦Zの主演だったわけだけど、本人曰く「俺も成長したな」という感じだったらしい。なにせ、THE MOVIEのときはまだ宇宙刑事見習いでしたし、ゴーバスターズのときは客演でしたからね。話自体はTHE MOVIEのときに貰っていたらしいけど、主演だとは聞かされていなかったらしく、台本を開いて自分の名前が最初にあったときは物凄く喜んだらしい。私も石垣ギャバンは大戦Zで完成されたような気がしないでもない。THE MOVIEはまだまだ未熟で、ゴーバスターズのときは脚本家があれだったのもあるんでしょうが、どこか荒っぽすぎた。そう考えると、今回の映画が人として、刑事として一番均整が取れていたように思う。

撮影中の秘話は色々あったけど、やっぱり石垣さんの苦労エピソードは面白いね。予告なしにいきなり吊されたり、引きずられたりと、唐突に決まることが多くて大変だったらしい。金田監督曰く、石垣さんがかなり動ける方だと聞いていたので、必然的にそういうシーンが多くなったとかなんとか。十文字撃が顔とかに傷を負うのも、石垣佑磨という男には傷が似合うということらしく、それについては大いに納得してしまった。だって、似合うんだもの。
スーツアクターの石井さんは大戦Zにおけるギャバンですが、これは浅井さんがスケジュールの都合から出られなかった為、ゴーバスターズで着用経験のある彼を、石垣さんが推薦したことによる抜擢らしい。勿論、それだけじゃないんでしょうが、おぐらさんから石井さんの起用を聞かされた金田監督は、最初誰だか分からなかったらしい。そりゃあ、JAEは人数多いですからね。幾ら社長でも把握しきれないかとは思いますが、それを聞いて「社長、今日名前だけでも覚えて帰って下さい!」とその場で訴えていた石井さんが切実だった。もっとも、社長は起用を聞かされた時点ですぐに調べ上げたそうですが。
石井さんもスーツアクターとしてはかなり動ける方で、キックボクシングの経験があるらしく、当初は蹴りを主体としたアクションに偏りがちだったという。だけど、金田監督曰くギャバンはそれほど蹴り技は使わないとのことで、すぐにパンチ主体のアクションに切り替えが行われたらしい。勿論、ギャバンがまったく蹴りを使わないというわけではなく、テレビシリーズでは普通に使ってるんですけど、全体の印象としては蹴りではないらしい。確かにまあ、キックといえばライダーですしね。
ギャバンの特長として、主演である石垣佑磨がとにかく動くということです。彼自身、屈強な肉体の持ち主であり、アクションシーンはJAEの面々に勝るとも劣らないものがあります。特に、大戦Zではとある事情から蒸着できないこともあってか、十文字撃がひたすら生身で戦うんですよ。釣られるし、引きずられるし、怪人たちとは殴り合うしと大活躍で。そして、そのアクションシーンのキレの良さときたら。もう格好いいのなんのって。

石垣さんの言葉で印象深いのは、「自分のアクションと、ギャバンのアクションがリンクしていなければいけない」ということで、その点、浅井さんや石井さんはとても波長が合ったらしい。そこまで考えて特撮ヒーローやってる人がどれだけいるかは知らないですが、ここ最近じゃ珍しいタイプなんじゃないでしょうか? そもそも、ライダーにしろ、戦隊にしろ、生身で戦うことが少ないですからね。なんていうか、アクションに命賭けてるなぁという感じがビシビシと伝わってきて、非常に好感が持てました。
石井さんと浅井さんによるギャバンの生ポージングや、関係者席にいた藤井祐伍さん巻き込んでのやり取りも楽しかったです。藤井さんは、ギャバンTHE MOVIEにおける初代ギャバンの中を担当している人で、登壇したら女性客から黄色う声援が上がるなど、かなり人気があるらしい。
そして、今回のイベントに参加して一番良かったと思える、ショッカーO野発案による即興アクションショー。監督がいて、アクション監督がいて、主演がいて、スーツアクターがいる。これはもうアクションやるしかないでしょう! ということで、どこまでが台本だったのかは知りませんが、あれは本当にその場のノリで出した気がするな。アクションチームによる話し合いと段取りが行われる中、金田監督の助言なども入って、即興にしてはかなり本格的なものになりました。シネマトゥデイに写真等の詳細が載っているので、興味がある人は観てみると良いんじゃないでしょうか。

1時間近くとボリュームたっぷりだったトークショーが終わり、10分の休憩を挟んだらいよいよ上映会が始まります。1本ごとに休憩が入るのかと思いきや、いきなりレッツゴーとヒーロー大戦の2本立てで上映を開始するとのことで、それこそ寝る間もない数時間が始まりました。私は前述のようにレッツゴーを観るのは初めてでしたが、オーズと電王が上手くクロスしており、タイムパラドックスの作品としては、矛盾や疑問は残るにしても、良く出来ていたように思う。特に興味がなかったにもかかわらず、いつの間にか熱中してしまった。まさか、ささきいさおが出てくるとは思いませんでしたよ。
話としては分かりやすいし、少年ライダー隊のノッコですか。彼女が出てきたとき、大体のオチは読めてしまったんですが、それを加味しても悪くなかったんじゃないかな。まあ、ショッカーグリードですか? そいつに1号、2号が倒されて、洗脳手術の果てに敵と化してしまったという展開には少なからず衝撃は受けましたが。
続いて、久しぶりに観たヒーロー大戦ですが、改めてみるとキャラの心理状態とか、考えていることがよく分かりますね。公開当時はスーパー戦隊とライダーがつぶし合いを行うという内容に、ショックを受けた子供が結構多かったらしく、親御さんを名乗る人物がTwitterでプロデュサーに文句を言うなどといった行為が話題になりましたね。あの頃はなにを大袈裟なと思っていたけど、見直してみるとその気持ちも分からないではない。士はまあ、あの通りの男ですから、いつものように大首領やってるよという感じだけど、マーベラスはね。ついこの前世界を救ったはずのヒーローが、思いっ切りダークヒーローになってるわけですから、子供心にショックを受けても不思議じゃないかも知れない。
なにせ、二人とも容赦なく殺し合いを行ってますから、あれ? こんなにハードだったっけ? と、私も苦笑してしまいました。まあ、どうせ裏で繋がってるんだろうとオチが見えていたこともあるんだろうけど、今回観てなるほどな、と思ったのも事実です。
ディケイドとディエンドの関係にもスポットが当てられましたが、士が最後に言いかけた台詞はリップサービスというか、本心ではないのでしょうね。彼としては暮らしす要塞の中で言った、いい加減卒業しろというのが本音であり、最後のあれは海東への慰めみたいなものです。それが分かっているだけに、彼は士の言葉を拒絶したんだろうな。身内の話では、最後に海東がディケイドのカードを持って行くのは、もうディケイドの映画を作らないことを意味しているらしいが、少し勿体ない気がしないでもない。

休憩を挟んでギャバンTHE MOVIEですが、実はこの映画ってつい先日ツタヤでBlu-ray版を借りて観たばかりだったんですよ。昨年末は原稿等が忙しくて、どうしても観に行く暇がなかったこともあり、どんなものかと思ってね。これが非常に面白くて、是非劇場で観たかった思っていただけに、今回のイベントはある意味で渡りに船でした。
THE MOVIEにおける石垣ギャバンは、主人公の十文字撃自体が宇宙刑事にスカウトされたばかりの見習いであることもあってか、かなり荒削りで未熟な面が目立ちます。勿論、スカウトされるぐらいですから相応の強さは持ってますし、宇宙刑事として平和を守ろうとする意思も持っているんですが、ここぞと言うときに精神的な甘さや脆さが出てしまう。まあ、的の背景を考えれば仕方のないことなんですが、この映画の良いところはクロスオーバーや客演でない、ギャバン単体の劇場作品として作られているところでしょう。ゴーカイジャーのときは、あくまでゴーカイジャーの世界にギャバンがやってきたという印象が強かったし、大戦Zはクロスオーバーだけに他作品との兼ね合いもあった。
その点、THE MOVIEはギャバン単体の映画ですから、そういうことを気にする必要もなく、テレビシリーズにおけるコミカルな一面などが再現されていましたね。トークショーの中で明らかになったシーンなどを確認しつつ、僅か数日前に観たばかりだというのに、普通に楽しんでしまった。
そして、エンドロールが流れて次は大戦Zというところで事件が起きました。なんと、エンドロール中に画面が固まり、消えてしまったのです。流石にざわつく会場ですが、時間が押しているのでエンディングをカットしたというわけではなさそうで、なんと劇場内の明かりまで付いてしまった。二本連続のはずなのに、これはいよいよ映写機の故障か? と思っていたら、後ろから声が。
「皆さん、これで映画終わりじゃないんで! ちょっとスタッフに訊いてきます」
と、どこかで聞いたことのある声を出しながら飛び出していったのは、なんとビックリ石垣佑磨さんでした。トークショーが終わった時点で、ショッカーO野含めて出演者は帰ったはずなのに、なんと彼はいつの間にか戻ってきて我々と映画を鑑賞していたらしい。身内の推測では、大戦Zはともかく、ギャバンTHE MOVIEをスクリーンで観る機会はなかなかないので、ついでに観ることにしたのではないか? ということでしが、私としては朝の4時過ぎにトークショーのときと変わらぬテンションや声量を保持していたことに驚きでした。私なんて、割と眠かったというのに。それにしても、トークショーが終わったらさっさと帰ってしまったファンの人は残念でしたね。

結局、機器の故障ということでしたが、調整をしてギャバンのエンドロールから再開しました。まあ、連続上映だったし、映写機にも負担が掛かっていたのでしょう。大戦Zは、5月の5日に一度観ましたけど、二度目の鑑賞ということで、主にギャバンを中心に見直しました。十文字撃が主人公の映画として見直すと、割と視点も定めやすかったですね。
ただ、私も流石に限界だったのか、最終決戦の辺りで寝オチしてしまい、ハッと気付いたときにはエンディングでした。ギャバンとシェリーは帰るところは観られたので良かったですが、宇宙星獣ドルやビック・マグナムのシーンが観られなかったのは残念だ。
終わったときには故障等もあったせいか5時55分近くになっており、私と身内は慌てて副都心線に向かい、6時2分の電車に乗って横浜へと帰りました。急がないと、キョウリュウジャーとウィザードに間に合わないそうだったのでね。もっとも、私は帰宅後すぐに寝てしまいましたけど。
何はともあれ、良いイベントでした。5000円の価値はあったと思います。惜しむらくは、トークショーで今後のギャバンの展開、たとえば映画第二弾などの発表があればと思ったんですが、今のところはなにもないのかな。良い作品であり、主演ですから、なにかしらの形で続いて欲しいものです。

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