まあ、私は色々な物を背負ってアニメ版ヨスガノソラという作品に今まで向き合ってきたわけですが、一度ならず、いえ、何度も放棄しようとして、結局それが出来ないままにBD-BOXが出てしまいました。アニメ版に関して私の言いたいこと何てのは今更ですし、わざわざ改まって書く必要もないことですけど、突き詰めて考えたとき、それはヨスガノソラという作品に対する、意識と認識、あるいは美意識の乖離があったんだろうなと、そう思います。

さて、発売されたBD-BOXはアニメ版の公式サイトでも触れられているように、幾つかの店舗で描き下ろしの特典が付きました。アニメイト、ゲーマーズ、とらのあな、ソフマップ、まあ、よくあるアニメ・ゲームショップですね。他にも既存のイラストをしようとしたものがAmazonだったり、セブンネットだったりで付くのだけど……私は描き下ろし特典のみを複数購入の対象として、上記4つの店舗で予約しました。
この予約に関しても色々面白い話がありましてね、予約券が大量に置いてあったゲマ屋横浜で予約しようとしたら、「あ、予約満了です」とか言われたり、後1件で予約締め切るから急いでと閉店間際に駆け込んだゲマ屋本店が、後日になって予約再開してたりと、それはもう色々合ったのだけど、その話はいいとしてね。
まあ、BD-BOXを買ったんですよ。秋葉原の店を回って購入してきたんです。所謂、店着日……つまりはフラゲをしてきた訳ですが、昼の12時の時点ではゲマ屋が予約引換OK、とらが到着しているけどまだダメ、アニメイトが未到着。ソフマップは全国的に入荷済みだったようだけど、ここだけは横浜店でWポイントデー合わせの購入をする予定だから、回収は後日に回しました。正直、台風が迫る大雨の中、B1サイズのタペストリーを含む回収作業は結構困難でしたが、何とか問題なく……まあ、外箱が若干傷入ってたりしましたけど、大きな問題なく済ませることが出来た。ちなみに買取価格は店によってばらつきがありますけど、トレーダーが一番高かったです。

前置きが長くなりましたけど、BD-BOXの仕様について。
ハッシーの描き下ろしは三方背外箱イラストだけで、この外箱の中に以前出た単巻BDを収納する外箱イラストをあしらったケースと、その外箱を収納するBOXに描かれていたハル穹イラストを表紙にしたブックレットなどが入っていました。
まあ、ハッシーの描き下ろしが一枚だけなのは仕方ないにしても、以前のBDを持っている身としてはそこまで新鮮味はなかったかな。ただ、ディスクを取り外した中にアニメの描き下ろしイラスト……だと思うものが各ヒロイン分あったから、原作とアニメのバランスとは取ったといったところか。興味深かったのは原作の舞台、つまり、奥木染や穂見町のモデルとなった栃木県の集落とその周辺の写真を収めたフォトブックが付いていたことで、穹のコスプレをしたレイヤーと共に、これがなかなか綺麗でしてね。
あの辺りは高速道路だったかが通る関係上、当時の姿を既に残しておらず、ヨスガノソラの舞台モデルとしてあそこが選ばれたのも、ハッシーが記念に残しておきたかったみたいな話だったから、おそらくこのフォトブックも当時のロケハンなりで撮られた写真なのでしょう。今回の新規撮影ってことはないと思う。
映像その物は別に新作カットとかありませんから、当時のものと比較してもこれといった違いはありません。この辺りも物足りなさを感じさせる要因ではあるんだけど、まあ、今更コズエノソラとか作られてもね。ブックレットをペラペラ捲ると、単巻BD/DVDのパッケージをあしらったキャラ紹介ページから始まり、各種版権イラストの紹介、そして各話紹介に続いていくのだけど、どちらかと言えば最後のコメントヲヨセテにもう少しページを割いて欲しかったかな。監督とシナリオ構成のQ&Aコーナーなんだけど、ここに結構面白いことが書いてあったんですよ。

アニメ版ヨスガノソラに対する原作ファンの大体のイメージって、まあ、原作改変であり、改悪であり、あまり使いたくない言葉だけど、原作レイプってのがあるじゃないですか。私なんかはもう筆頭みたいなもんですが、原作ファンはアニメ版に対して、それほど良い感情を持ってないことが多い。勿論、統計なんて取ってないけど、彼ら……面倒くさいから私にしますけど、私がアニメ版に対して許せないのは、ヨスガノソラというコンテンツを極めて性的なモノとして売り出した点にあって、所謂雰囲気ゲーに近かった原作が、アニメだとエロの代名詞みたいになってしまい、未だにツイッターなどでは家族がいるところで観て変な空気になったとか、妹と一緒に観ような! みたいな、エロネタの一種として扱われることが多いんです。
私はその手の輩とは一生分かり合えないんだろうなと思ってますけど、どうしてヨスガノソラという作品はアニメであのように性的な、本番セックスをしまくる、というか、見せまくる作品になってしまったのかは当時から疑問で。まあ、18禁コンテンツである以上はエロから逃げないとか、あの頃の文献にも色々書いてあったはずだが、問題は誰の意思によってそれが出され、決定されたのか、ということでね。
それに対する一つの答えが、このブックレットに書いてありました。過激な描写と分岐方式について当時の心境に質問された際、
最初のミーティングからTVシリーズでいわゆる朝チュン等の暗喩描写ではない行為を描きたいと、メーカー側からの依頼でした。
~中略~
分岐方式にしたのは、原作であるゲームのキャラクター人気が春日野穹だけに集中しているので、他のキャラクターにも人気が出るようにアイデアを出して欲しい、と頼まれて思いついたアイデアです。

監督 高橋丈夫

続いて荒川の記述もあるんですけど、気になったのはこの監督が書いたこと。暗喩描写ではない行為……まあ、直接的なセックス描写ですけど、これを依頼したのがメーカーだったという事実。この場合のメーカーがキングレコードならまだいいんですが、仮にSphereというかCUFFSだとしたら、ヨスガノソラという作品がアニメで性の塊になったのは、他でもない原作サイドの責任ということになる。
当時のSphereは雰囲気ゲーのブランドとして取られることを嫌ってはないにしろ、避けようとしていた風潮があるし、何を勘違いしたのか妹ゲーブランドになろうとしていたことからも、ヨスガノソラの雰囲気を脱却するために、わざとこの様な選択をした可能性もなくはない。つまり、原作レイプをしたのは……いえ、自らの娘をレイプさせたのは、親であるSphere又はCUFFSかも知れなくなったわけです。万が一にもそうだったのだとすれば、どういう神経してんだよと怒鳴り込みにいきたいぐらいですけど、まあ、所詮は過ぎたことです。忘れましょう。
次に分岐方式について。これは明確にSphereサイドからの注文だったと思います。何のイベントかは忘れましたけど、多分ドリパとかかな? メーカーとしてはキャラ人気が穹に集中しているのはよくないみたいなこと言ってましたし、メーカーとしては奈緒や初佳も売っていなくちゃいけとかいっていた気がするので、その為の措置だったんじゃないかなと。
未だに穹のグッズばかり出る時点で、果たしてその試みが成功したのかどうかは判りませんけど、そういう注文があったんだとしたら一つだけ言いたいことがある。
他のキャラクターに人気が出るよう分岐方式を取ったなら、どうして店舗特典は全部穹だったのかと。今回のBD-BOXもそうですけど、店舗特典って基本的に穹じゃないですか。穹と瑛、あるいは奈緒が一緒に描かれることはあっても、穹がいない店舗特典ってまずない訳です。アニメ本編でハルと穹をあれだけ苦しめておきながら、特典物だと金のなる木のように穹人気にあやかるのかと当時から私は批判的でしたが、他のキャラクターの人気目当ての分岐方式なら、特典もそれを貫けよと、なに穹で固めてるんだよと、改めてそう思いました。まあ、半分以上怒りを通り越して呆れてるんですが。

まあ、そんな積年の恨みが滲んでくるアニメ版ヨスガノソラのBD-BOXですが、良かった点も勿論あります。出来れば原作のコンテンツとして観たかった新規録り下ろしドラマCDとかね。
オフロノソラとは、まだそんな単語の組み合わせがあったのかと、長年二次創作をしていた身としては少し悔しいです。
ただ、ヨスガノソラも再来年には10周年みたいなコンテンツですし、アニメ版も放映終了から6年経とうかという感じだから、声優さんの演技面は不安要素でもあったんだけど……穹は、田口さん好きだから贔屓目もあるかもだが、良かったと思う。他はまあ、そこそこ? 仕方ないよね、こればかりは。
物凄くアニメ版が好きだという人は買ってもいいんでしょうが、損はしないが得もしないってレベルだから、よく考えて購入してください。私はハッシーが久しぶりに描いたハル穹のために私は買いました。そういう部類の買い物だと思います。これは。

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