コミティア104に参加してきました。2月以来、最近はよくコミティアに行っている気がするけど、コミケともコミ1とも違う独特な空気は、いつ行っても新鮮味があって良いですね。勿論、通い慣れた人や専門のサークルには当たり前の風景なんだろうけど、私は今のところ二次創作の人だから。そのうちティアにも参加したいとは思ってるんですが、創作はちょっと敷居が高いイメージがあって。これといって、書きたいものがあるってわけでもないし。

身内が西館の方で開催されるイベントに用があるというので、当日は一緒に出掛けました。コミティアは東館だったので、会場前で別れて私は東館の待機列に向かったんですが、人出はそれほど多くもなかったいかな。5月のコミティアはその年に開催される中でも、一番規模が大きいはずですが、コミケとは比べるまでもなく、コミ1と同等ぐらいだったのではないだろうか。ティズマガジンの事前購入をしていなかったので、マガジンを買って待機列に並びましたが、暦の上では夏になったからか、日差しが結構強かったですね。ティアはコミケと違い始発で行く必要がないので、到着したのは開場1時間前の10時頃といった感じでしたが、ティアズマガジンを読んでいるだけで、大分時間を潰せました。まあ、回るサークル自体は事前に調べておいたから、追加とかそういうのは特になかったんですけどね。
開場時間になって、5分もせずに中へ入ることが出来ました。私は壁サークルやシャッター前などには用がなかったので、目的のサークルへさっさと向かい、これを購入しました。最初に行ったのは前回のコミティアで買った本の続編を出しているところで、これは委託されていた物をなんとなく買っただけなんだけど、読んでみるとかなり面白くて。2巻目が出るというので、今回はそれを目当てに行ったんですよ。「最終回に彼女は自殺します(仮)」という作品なんだけど、少々グロい作風でありながら、私の心をガシッと掴むものがありまして。pixivで1話が公開されているので、気になる人は読んでみるのが良いと思います。
次に訪れたのはコミ1で挨拶をし損ねたサークルさんで、こちらはもう10年以上行っているところになりますね。パロディ、オリジナル問わず本を買っているのですが、こちらも新刊買うことが出来て良かった。コミティアはコミケとかと違って、ゆっくり話す時間があるのも良いですね。

その後も知り合いのサークルに幾つか挨拶をして、それが終わったら身内から頼まれていたペンギンの同人誌を購入し、開場を後にしました。11時半前にはほぼすべての買い物を終えており、身内も同じ様な感じだったのでさっさと合流することに。特に会逃した物などはありませんでしたが、思っていた以上にお金を使ってしまった気もする。勿論、コミ1などとは比較になりませんけど、若干予算をオーバーしましたから。
ビッグサイトを離れて、次は川崎へと向かいました。折角なので映画も観ておこうと言うことで、スーパーヒーロー大戦Zをチネチッタで鑑賞することに。私はともかく、身内は結構特撮ファンでしてね。ライダーとか戦隊とか、古いものはともかく、最近の作品だと私なんかよりもよっぽど詳しかったりします。まあ、映画の話は明日の日記でじっくり書くとして、アニメにしろ特撮にせよ、スクリーンで鑑賞するのは良いもんですね。子供向けということもあって、場内にはお子様が多かったんだけど、それも気になるってほどじゃなかったし。ああでも、二番目に後ろの席にいたんですが、どうしてだか一番上の明かりだけ消えなかったのが不思議だった。そこだけなんか気になって、子供が多いから、まっくらにすると騒ぐとか、そんな理由だろうか? 理由は分かりませんが、これは初めての経験だったかも知れない。あるいはいつもそうで、あまり後ろの席に座らない私が知らなかっただけという可能性もあるけど。

上映後は、双方共に色々買わなければ行けないものがあったので、それを川崎や横浜で見て回りました。私の方は特に書くほどの物でもないですが、身内は知り合いに送るお茶だとか、海軍カレーでしたか、そういうのを買ってましたね。面白かったのは、高島屋のギフトショップに海軍カレーを探しに行ったら、地下に行けばバラ売りをしていると言われたことで、それだけなら普通なんだけど、その地下というのがダイヤモンド地下街だったことです。高島屋やジョイナスならともかく、ダイヤモンド地下街って、幾ら地下で繋がっているとは言え、ギフトショップの店員はそんなところの品揃えまで知っているのかと少し驚き、そして困惑してしまった。でも、本当に行った場所に揃っていたのだからぐうの音も出ないよね。いやはや、百貨店の店員とは凄いものです。
部屋の掃除をしていると古いポスターなどが出てくるのだけど、こういうのって売れたりしないんですかね? 結構前に大がかりな処分をしたので、流石にも何百枚という数はないんですが、それでも百数枚程度の数はありますから、今回の片付けを機にもう少しばかし減らそうかなと思ってて。単純に捨てるだけなら簡単だけど、うっかりレアなポスターとか合ったら勿体ないじゃないですか。まあ、そんな状態が良いわけでもないけど、掘り出し物とかないのだろうか。何かしら合ったら面白いよね。

ヨスガグッズも含めて、部屋の掃除と共に処分を考えているものは結構あります。本はなるべく捨てたくないけど、同人誌含めて途方もない数になっているのは事実ですから、なにかしら片付けないといけないでしょう。実は近々家庭内引っ越しをすることになっていまして、部屋の入れ替えが行われるんですよね。私は若干部屋が広くなるんだけど、だからといって物をそのまま移すわけにも行かないし、それでなくたって多いからね。同人誌なんて何千冊あるかといった感じでしょう。エロゲ置き場も新設したいし、本棚も増やしたい。今後増える分を考えて、今ある持ち物を減らしていく。何だか矛盾している様な気もしますが、早期の移動を目指して頑張っています。
しかし、同人誌ってどうなんだろうね? いや、イベントでやたら目ったら買っている時期もあったし、戦利品を見聞する上で失礼ながらハズレ本ってあるわけじゃ無いですか。女性向けみたいに漫画じゃない本は全部ハズレとか、そんな極端な話ではないにせよ、一度ぐらいそういうのもじっくりと整理した方が良いのかしら。とはいえ、同人誌の処分法なんてなぁ……処分専門の業者もあるらしいけど、粗大ゴミじゃあるまいし、捨てるのにお金を掛けるというのもどうかと思う。というか、出来れば捨てたくはない。
エロゲに関して言えば、あれだけあった物が大部分片付けてしまったから、実は自宅にそれほど数は残ってない。悲恋堂の店主にくれてやった分を合わせても、200本は切ってるんじゃないだろうか。正確な本数を数えたことはないですが、昔はそれこそ山が出来るぐらいあったからなぁ……いや、減らそうと思えば減らせるもんですね。どうしても捨てられないメーカーの作品とかあるけど、起動しないものとかはもう捨てた方が良いのかな。ディスク不良でなくて、単純にWindows7で動かないものって意味だけど。

そういえば、最近はBDも増えてきましたね。あまりにアニメ作品のBDとか買う方じゃなかったんですが、2000年も終わりになってきた頃からチラホラと買う様になりました。ある意味、ヨスガノソラのBDを買い揃えたのが好機だったんでしょうか? あの作品には言いたいことがまだまだありますけど、あれによって私の環境が大きく変化したことは否めないですし、液晶テレビやBlu-ray、それにスカパーHDを導入したのは、すべてヨスガのアニメをより良い環境で視聴する為でした。あれがなければ、ハード面で私の環境がレベルアップすることは、無いとは言いませんが大分先のことになったでしょう。
アニメのBDソフトを気軽に買える様になったのも、言ってみればBDを視聴する環境が出来たからこそですし、ヨスガの影響というのも結構バカに出来ませんね。作品としては、未だにどうかと思いますが。
ただ、部屋を移るに当たって家具とか家電は新調も検討していて、このアニメ大量放送時代、今のHDレコーダーでは余裕がなくなっている気がしまして。BDに焼いているとはいえ、ディスクが大量に増えるのもなんだかね。そんな数を観ているわけではないにせよ、スカパーのダビングに対応している奴も欲しいところだし、色々と考えています。テレビそのものは特に不満ないですし、クアトロンとか言われても私に画面の差なんて分からないだろうから、このままで良いとは思うんですが……あまりそういった部分に金を使うのもどうかと思うし。家具という意味では、今はパソコン台ぐらいしかない部屋なので、久々に机でも買おうかなと。原稿読む際に不便だったのでね。

何とか夏までに移動を完了したいのだけど、とにかく物が多いから、それをどうやって片付けつつ進めていくかだね。なまじ、今の部屋に根を張っていることもあって、なかなか動くのが億劫で。このままじゃいけないとは思ってるんだけど、いやはや、どうなることやら。夏コミでは特に大掛かりなことをする予定もないので、同人原稿に追われて大変なんてこともないだろうから、その辺の兼ね合いをしつつかな。コミケってのは面倒なもので、受かることを前提に本を作らないといけないから、何を出すにしろ事前準備が大変で。まあ、コミ1で出し損ねた本になるとは思うんだけど、そっちも今度こそ出せる様に頑張ろう。
今日から4連休と言うことで、エロゲの話でもしますか。私は基本的に気楽な人間だから五月病は無縁なんだけど、休みだからといって旅行したり、有意義に過ごす予定などはありはしません。コミティアには行くつもりだけど、それ以外はひたすらアニメ観ているか、エロゲやっているか、あるいは本を読んでいるかという感じ。昔は声優イベントとかにも積極的な参加をしていたけど、最近はご無沙汰ですからね。最後に参加したのは……パッと思い出せないな。今年はまだ、何も参加してないんだろうか?

そんなわけで、EX-ONEの新作「月あかりランチ」です。私は、EX-ONEの作品は第1作の真夏の夜の雪物語から、第2作のフツウノファンタジー、そして最近出たFD真夏の小さな恋物語まで買っているんですが、このブランドはなにか私を引き付けるものがあるというか、心にビビッと響くものが多い。
月あかりランチという作品は、タイトルからも分かるとおりオズの魔法使いをモチーフにした作品で、公式サイトに行くとヒロインが原典におけるどのキャラに当てはまるのかが分かります。特典の多さや、見た目からフユがメインロインに思われているけど、彼女はオズで言うところのブリキの木こりに当たるキャラで、ヒロインたるドロシーはアキなんだよね。現に公式通販のテレカは、アキがドロシー風の衣装を着ている絵柄だし。勿論、だからといってアキがこの作品におけるメインヒロインであると断定するわけじゃないけど、OPムービーでの扱いや、体験版での立ち位置を見るに、彼女の重要度はかなり高いと思われます。
まあ、そんなことは関係なしに私の中でアキは目当てのキャラと言えるぐらいに好きだったんだけど、体験版をプレイして、その健気さに改めて惚れ込みました。公式サイトでは現在発売前人気投票が行われてますけど、アキは今のところぶっちぎりの強さを見せています。あそこまで一方的に可愛いと、他の追随を許しようがないね。とはいえ、アキ以外のヒロイン達も十分に可愛いんですけど。サブキャラ含めて、レベルが高い。

さて、この作品の特徴は主人公が二人いることでしょうか? といっても、コットンソフトの新作である双子座のパラドクスのように、双子の兄弟がそれぞれサイド、ルートを持っているという意味ではなく、作中のサブキャラとして過去の自分がいるのです。主人公は志貴晴彦という青年で、自分を学生と言っているから大学生ぐらいでしょう。そんな彼の前に、同じくシキハルヒコを名乗る少年が現れます。外見こそ、髪の色など違いますけど、それは若い頃の晴彦その者でした。名称が同じだと混乱するので、ヒロイン達からハルと呼ばれている彼ですが、間違いなく主人公の過去の姿であることは決定的です。
普通なら、エロゲというものは特定のジャンルを除けばヒロインと同年代が主人公になることが多いです。この作品でいえば、まさしくハルがその位置にあり、年齢的にはダイレクトといって良いでしょう。でも、彼はあくまでサブキャラで、主人公は青年の晴彦。珍しいと言えば珍しいだろうし、二人の関係や、何故過去の自分と今の自分が同じ空間にいるのかなど、作品にある秘密の一つなんだろうけど、私はちょっと微妙な気分になる。
たとえばヒロインの一人、皇夏乃は晴彦やアキ達に合流する前はハルと行動していたことが分かります。つまり、それまではハルと二人きりだったわけで、にもかかわらず主人公の方と交流を深め、あまつさえそういう関係になるというのは、彼女を守っていたであろうハルに少し悪い気がしないでもない。まあ、ハル本人は気にしていないどころか、人生最後のモテ期かも知れないから頑張れと、むしろ主人公の背中を押してくれるんだけど……それで良いのか青少年。彼は恋愛に興味が無いのだろうか。

5月のメインは、これと双子座のパラドクスになると思います。体験版だけで物凄く引き込まれましたから、後は延期せずに発売することを祈るだけですが、多分、今年初めて複数買いをする作品になりそう。だって、ヒロイン達が本当に可愛いんだもの。これはちょっと、財布の紐を緩めざるを得ないよ。それに……まあ、なんとなく別種の期待があるのも事実。この作品はもしかしたら、みたいなね。今は語るべくも無いけど、とりあえず発売してからです。SFかファンタジーか、あるいは全然別物か。今から楽しみでなりません。
まさか、AURAを観てきた翌日に、アニマックスで中二病でも恋がしたい!の一挙放送があるとは思いませんでした。いや、まあ、たまたまなんですけどね。GW中のアニマックスは、特に出掛ける予定もないアニメファンの為に色々なアニメの一挙放送をやってますし、毎年のことなんですけど、なんとなくタイムリーだったので面白かった。しかも、明日から4連休だったこともあり、全話とはいかないまでも結構見入ってしまいました。

京都アニメーションのアニメーションのオリジナル作品と言えば、ちょっと前までたまこまーけっとがやっていましたけど、この中二病は正確に言うとオリジナルアニメじゃありません。一応ですが、原作があります。どうして一応なのかというと、私が原作者の実在を疑っていることと、原作という割りにはアニメの方にオリキャラ等が多く、原案やアイデア程度にしかなっていないからです。だから、誰もがこの作品は京アニのオリジナル作品、あるいはそれに近いものと認識しており、それは間違っていないのだと思う。
ところで、この作品がアニメ化した少し後、J.C.STAFFによって一つのギャルゲー原作アニメの放送が開始されました。そう、ビジュアルアーツの筆頭ブランド、Keyのリトルバスターズ!です。これまで、Keyの原作作品は大半がアニメ化されており、古くは東映アニメーションで放送されたKanonまで遡ります。私は正直、東映版のKanonが一番良かったと思うのだけど、まあ、それは良いとしてもKeyのアニメが世間的に大きな注目を浴びたのは、やっぱり京アニ版のAIRが大きいでしょう。Kanonの再アニメ化と、そしてCLANNADをAfterストーリーまでアニメ化したことで、いつの間にかKey作品のアニメ化といえば京アニと言った様なイコールが生まれてしまった。それはファンだけでなく、公式側も思うところがあった様で、ビジュアルアーツの方でもリトバスのアニメ化は京アニで、と考えていたらしい。ファンも公式もそう考えていたのに、当の京アニは多忙を理由に断ったと言います。

どうしてもリトバスをアニメ化したかったビジュアルアーツは、京アニの手が空くのを待たずにジェネオンの話の乗って、J.C.STAFFでのアニメ化に踏み切ります。一方で京アニは、ほぼ自社原作とも言える中二病のアニメをスタートし、続けてたまこまーけっとの放送を開始した。つまり、京アニはリトバスの話を蹴った上で、最初からファンの付いている原作モノではない、オリジナルの制作を優先したということです。
勿論、京都アニメーションは既にブランド化していますから、京アニファンという人種も言っていそういるのは事実です。しかし、如何にオリジナルアニメブームとはいえ、リトバスという原作は大きいものであり、普通ならこれをアニメ化する方を選ぶでしょう。だけど、京アニは敢えてそれを選ばなかった。何故か?
私は、多分だけど京アニはもうKey原作のアニメを作るつもりがないんじゃないかと思う。もっと言えば、原作モノ自体を作ることに、意義や興味を無くしているんじゃないかと。角川原作だった古典部シリーズは、原作元の力が強かったからともかくとして、原作に従って忠実な再現を行うよりも、自分のところでオリジナルアニメを作って、自由に作品作りをした方が楽しいでしょう。けいおんだって、当時は無名だった4コマアニメを原作にしたからこそ、あれだけのことが出来たんだと思うしね。
今の京アニには、原作が必要ないんです。人気ある原作をアニメ化せずとも、自社ブランドの人気でのみやっていけることを、中二病で証明してしまった。たまこまがどれぐらい売れたのか私は知らないけど、あれにしたって壮大さはないにせよ、十分に面白かった。そう考えると、ファンの顔色窺って、公式に介入がなにかと多いKey原作のアニメ化など、京アニが無理してすることはもうないんだと思う。

それにしても、中二病はAURAと比較して対極に位置する作品だよね。何というか、これはけいおんにも言えることなんだけど、京アニ作品って嫌な奴がいないよね。クラスみんなが仲良しこよしってわけじゃないんだろうけど、基本的に良い奴ばかりで、それ故にスクールカーストが存在しない。そんな甘ったるさや、重みのなさが、過度なオタク受けしているんじゃないかと思う。京アニ自体は、一般向けを狙っているらしいけど、次の水泳アニメはどうなることやら。
5月1日ということで、いよいよ5月になりましたね。本日は天気こそ悪かったですが、映画の日ということもあって映画を観てきました。AURAという作品は、田中ロミオ原作のライトノベルですが、私が読んだことあるのはコラムの方だけで、原作小説の方は未読でした。というか、私はガガガ文庫を一冊も買ったことがないので。映画自体に興味を持ったのは、確か先々月に禁書の映画を観たときだったか。あれで予告編がやっていて、とりあえずアニメだったので気になったんですよね。

田中ロミオという人は、私にとってはラノベ作家ではなくエロゲのシナリオライターってイメージが強いんだけど、こっち系の作家やライターとしては唯一研究対象として成立するんじゃないかと思ってる。作家とかでも、田中ロミオについて語ってる人とか多いでしょ? まあ、本人はそういう現状を億劫に、あるいは煩わしく思っているかも知れないけど、周辺周囲からはそれだけ深みがあると感じられているのでしょう。
私は別に信者じゃないので、これといって一家言があるわけじゃないんだけど、映画自体は何となく興味を持ってしまったこともあり、観てみることにしたんですよ。ただ、テアトル系の配給というだけあって、上映館がとにかく少ない。一番近いのは川崎のTOHOシネマズだったんだけど、なんとビックリ朝の8時半ぐらいに1回やるだけなんだよね。どうせオタク向けの映画なんだから、せめて夜やってくれよと言いたかったですが、やってないものは仕方ない。次に近いのはどこだと言うことで、会社帰りに観ることを考えて池袋のシネリーブルを選択しました。ららぽーと横浜のTOHOシネマズという手もあったんだけど、あそこって横浜から行くのは結構遠いからね。池袋なら、帰りはそのまま湘南新宿ラインに乗れば良いだけだし、一度も行ったことがなかったというのも大きい。映画館好きだからね、新しいところに行くのはそれだけで楽しみになると言いますか。
シネリーブル池袋はテアトル系の映画館で、今は無きテアトルダイヤの代わりといった感じでしょうか? サンシャイン通りにあったダイヤと違い、ルミネの上にあるシネリーブルは駅直結という感じで、商業ビルの上にあるのはテアトルタイムズスクエアを思い出しますね。あちらよりもおしゃれな感じがするのは、高島屋とルミネの違いか、あるいは新宿と池袋の差なんだろうか。

映画自体は、予告編と公式サイト以外にほとんど前情報を持っていなかったので、少し意外な内容でした。ファンタジーなのかと思ったらそうでもなく、オタク向けの映画としてはかなり重いテーマを扱っています。即ち、いじめスクールカーストです。主人公は中学時代に重度の戦士症候群を発症していた高校1年生の少年で、前世の仲間探しこそしていなかったものの、それが原因で家族との折り合いが悪くなり、学校で虐められていたらしい。戦士症候群と聞いても、イマイチピンとこない人が多いかも知れないけど、これは所謂中二病とは違うものであり、80年代のオカルト雑誌の投稿欄などで流行ったものです。解説すると長くなるので割愛しますが、要するに中二病的妄想を遥かに超える、完全な人格障害に近い連中だと思ってくれれば分かりやすい。
主人公はそうした過去を反省して、あるいは完治したことから、作品が始まった時点で真人間なんですが、そこに不思議な雰囲気を持った少女が現れる。如何にもな服装に、それっぽい言動、そして魔法の様なものを使う姿に主人公は引き込まれ、かつての躍動や興奮を刺激されてしまう。完治したといったところで、可能であれば不思議ミステリーな世界に行きたい、そっち側になりたいという願望が完全に消えるわけではないですからね。主人公は俺も連れてってくれと、俺も協力したいんだと、思わずそう叫んでしまうわけです。
けど、相手がどこまでも本気だったら? 実際に不思議な力を持っているかはともかく、その言動や行動を当然のことだと思っていたらどうだろうか。この作品は、そうした非現実が現実の中ではどれだけ異端なのかを、これでもかというぐらい分からせてくれます。

一種の隔離クラスなんじゃないかというぐらい、ヒロインを初め主人公の教室には戦士症候群の患者が多い。半数という割りにはその全部が描かれているわけじゃなかったけど、所謂一般生徒、主人公の目線から観たリア充にはそれが面白くない。面白くないというより、純粋な嫌悪感を覚えたことでしょう。なにせ、訳の分からないことを喋り続ける、奇抜な格好の連中がクラスにわんさかといるのだから。例えば、作家の成田良悟が電撃文庫で「世界の中心、針山さん」というオムニバス作品を出しましたが、そこに収録されている「拝啓、光の勇者様」なる話があります。ある日突然、気付いたときには主人公以外の島民が何らかの戦士を名乗りだし、彼の目の前で殺し合いを始めるというものですが、イメージや雰囲気としてはこれに近いと思う。自分をただの人間じゃないと思い込んでいる、ある種の異常者達がクラスに沢山いる。常人なら、耐えきれるものじゃないでしょう。
その爆発が、異常者を排除、迫害するというリア充達のいじめ行動の要因となっていくのだけど、分かりやすく暴力を使う奴は、主人公の機転によって早々退場してしまいます。けれど、不良気質のある男子がいなくなったことで、今度は女子によるいじめへシフトしてしまい、それだけに陰湿さを極めてしまう。主人公も言ってますが、ヒロイン達が虐められるのは結局のところ自業自得で、リア充達は自分たちがいじめを行っているとは思ってないんですよね。現に、いじめの主犯格でもあるリア充女子は、クラスのマスコット的な女子生徒に「別にいじめじゃないから」と言ってましたし。彼らにとって狂っているのは向こうであり、それを正そうとする自分たちが正義なのです。しかも、それは概ね間違ってはない。でも、作品の視点はヒロイン側に立っている主人公であり、彼にもそうした過去がある故に、過激ないじめとして映るわけです。実際、やっていることは陰湿そのもので、過激なものも事実だしね。

この作品、多分原作は叙述トリックの類いなんだと思います。即ち、ヒロインは本当に異世界の住人なのか、それとも痛い戦士症候群の患者なのか。私は映画を観ただけだと、どちらにも取れるんじゃないかと思います。勿論、ヒロインの行動には一つずつ現実の理論を当てはめることが出来る。最初の声だって特異の声帯模写を利用しただけかも知れないし、最後に作った壮大な神殿だって、金を積んで業者を使ったのかも知れない。だけど本当に、もしかしたら魔法やその類いが使えたのかもと思わせる作り方は、流石に上手いと思った。精神的にグサグサくる描写も多いけど、それだけに印象深いものなったんじゃないでしょうか? 楽しく面白い作品を期待していくと、うっかり心に傷を残すかも知れないけど、重くシリアスだけど、その先にある純愛を受け入れられるなら、結構良いんじゃないかしら。最後があるから救われる、というのはご都合主義な気もするけど、私はそんな作品があっても良いんじゃないかと思いました。
世間はゴールデンウィークということで、多い人は最大10連休らしいけど、私は有給を消費するのも勿体ないのでカレンダー通りの休みになると思います。カレンダー通りでも休めるだけマシというもので、それほど連休感覚はありませんが、自分なりに休養を取ろうかなと。まあ、今日は普通に会社で仕事だったんですけどね。そもそも、休んだところで部屋の片付けぐらいしかすることないですし、積んでいるエロゲを消化しようって気分でもないからな。かなりの数が貯まっているはずだけど、なんていうか積んでるエロゲって元々やるつもりがないんじゃね? と思ったりする。

私は月に何本かエロゲを買って、そのうち1~2本はすぐにインストールしてプレイします。だけど、同じ数、あるいはそれ以上に放置する物が多いのも事実で、そもそも、それら作品は最初からプレイする気がないんじゃないかと最近は思うんですよ。エロゲにしろ同人誌にせよ、あるいはもっと別のものでも良いけど、買った瞬間に満足するものってのは結構あって、私の場合、エロゲでそれが多いです。同人誌はまだしも戦利品チェックで確認することもあるけど、エロゲは開けば読める本と違って、開封してインストールして、場合によってはパッチ当てないとプレイできないこともあるから、手軽さがないんですよね。むしろ、手間に感じてしまう部分も多い。
そんな中でも即座にインストールしてしまう作品は、それだけやりたかったということなんだろうけど、そうじゃない作品は、結局その程度なのではないかとね。特典が欲しかったとか、声優が良かったとか、絵に興味を持ったとか、まあ、色々理由はあったのかも知れないけど、いずれもプレイするだけの理由に至ってない。たまに思い出した様に積みゲー崩している時点で、全く興味がないわけじゃないんだろうけど、すぐにどうこうって気分にさせられないのは大きいんじゃなかろうか。買うことに意義があるのであって、やることに意味があるのではないという、何とも金の勿体ない話です。私の場合、買った分のエロゲをやる時間がないわけじゃないから、単純にやる暇がなくて、ということにはならないはずだし。そう考えると色々変えなきゃいけないような気にさせられるけど、何となく欲しくなるって気分や感覚をどうにかしないことには、この先も続けていくんだろうな

まあ、去年ぐらいからそうした自分の傾向には気付いていたから、今年はそれなりにエロゲを買う量も減らしてきたつもりだし、4月も結局「ひとつ飛ばし恋愛」だけしか買いませんでした。色々延期してしまったというのもありますが、たとえばハイクオの新作とか、あれは自分が予約しているのかどうかさえ覚えてないし、チュアブルソフトの新作は体験版やった感じと、主人公やヒロインの名前がちょっとね。買わないときは、なにも買わないことだってあるし、とにかく何でも良いから1本はって感じではないかな。ひとつ飛ばし恋愛に関しては、前作が面白かったというのもあるし、体験版の雰囲気が悪くなかったのも大きい。
ただ、妹の友人とか、幼なじみの幼なじみとか、タイル通り主人公から一つ飛んだ関係のヒロインを相手にしているせいか、プレイ中にどうしてもサブキャラを相手にしている感じが強くて、結局そこをクリアすることが出来なかったと思う。コンセプト自体は、いつかのげっちゅ屋における配布会で聞いて、何となく納得も出来たんだけどね。でも、そこをメインヒロインとして如何に押し上げていくかが腕の見せ所だったんじゃないだろうか。ギャグは面白かったし、十分に楽しめたんだけど、恋愛ゲームとして捉えたとき、ある種の歪さや、あやふやな部分が残ってしまった様に思う。あくまで私がそう感じただけかも知れないが。

ちなみに来月は結構買う本数が多いです。流石にD.C.Ⅲを買うことはないと思いますが、ピースソフトの10周年記念作品もありますし、SQUEEZの新作もあるし、レミニセンスや、双子座のパラドクスもあるからね。それに、EX-ONEの新作も。久々に複数買いを考えている作品もあるので、色々計算しておかないと行けません。そうだ、夏空のペルセウスのVFBも出るんだった。とらのあな特典がタペストリーとか、VFBの特典としてはあり得ないことになっているから、そちらもどうにかしないとね。まったく、遠征前に私は幾ら使うことになるのだろうか。しかも、来月買う作品は、おそらく買ったらすぐにインストールするだろう物ばかりなので、意外と楽しみだったりする。要は考え方次第なんだろうな。
コミ1に限らず、大きな同人誌即売会が終わった翌日は有休を取ることが多いのですが、今回は最初から祝日なので良い感じですね。戦利品の整理やら、本の在庫を調整したりとやるとこは沢山ありますが、ゆっくり休むことが出来ました。次のイベントは昨日の日記にも書きましたがコミックシティ福岡を予定しておりまして、シャリテクロワールとしては初めての九州遠征になります。というか、私個人にしても九州へ行くのは初めてなんじゃなかろうか。

私はそれほど遠征に積極的ではなくて、旅行とかもそんなに行く方じゃなかったのだけど、近年は考えを改めたというか、経済的な余裕も出来てきたからか、以前よりは出掛ける様になりました。年明けに行った大阪のこみトレとかがそうですね。一人で新幹線に乗って大阪まで行きましたが、今度の福岡は飛行機で日帰りだと言うからビックリです。飛行機なんて、最後に乗ったのは小学生の時以来じゃないだろうか。
まあ、別に日帰りじゃなくても飛行機を選択したと思うけど、そっちの方が早いのよね。安くて早い。例えば、新横浜から新幹線で博多まで行ったら4時間50分近く掛かって2万円以上だけど、飛行機なら羽田から福岡空港まで1時間半ぐらいで、新幹線より安かった。勿論、格安だなんだと駆使すれば違うのかも知れないけど、時間的な面では飛行機の方が良いでしょう。日帰りだと、尚更ね。
余裕があれば一泊ぐらいしてとも考えたんだけど、なにせお金もそんなにあるわけじゃないし、元来ケチなので、日帰りで帰ってこられるなら、日帰りで良いかなと思っていたり。シティそのものは15時までだけど、まあ、最終便で帰れば少しぐらい繁華街を見て回る余裕もあるでしょう。後はまあ、当日の出し物をどうするかということなんだけど……これがなかなか、決まりませんでね。コミ1新刊の残りとイラスト集を持って行くことには変わりないんだけど、本当にそれだけで良いのかとか、色々悩むわけですよ。折角のイベント、新刊を用意するべきか否か、用意するとして間に合うのか、何の新刊を出せば良いのかと、まあ、とにかく悩み迷ってしまう。なまじ、ヨスガ本は冬の総集編以外で新しい物を作る予定がありませんから、出すとすればそれ以外のジャンルを考えなくてはいけないという一種の制限もあります。正直、これが一番辛いというか、難しかったりする。

昨日のコミ1で会った友人から、「ヨスガノソラ以降で、なにか嵌まった作品ないのか?」と訊かれました。勿論、その期、そのクールごとの流行やマイブームはともかくとして、同人ジャンルにするぐらい嵌まった作品ということだろうけど、改めて言われるとないんだよね。ヨスガノソラ以上、あるいはそれに匹敵するだけの作品って、自分の中では未だに存在しない。Sphereの第2弾であるイモウトノカタチがあるいはそれになるのかと思ったら、あの作品は随分と残念な結果に終わってしまったし、その最中に出会ったminoriの夏空のペルセウスはいい線行ってたんだけど、今現在は割と冷めてしまったので。作品として好きなことには変わりないんですけどね。
その作品が好きなことと、同人誌のジャンルとして活動できるかどうかって、大きな違いがあると思うんですよ。特に私は小説サークルだから、作品を小説化できるか、小説にしても楽しいのかって部分で非常に左右される。コミ1で出すことが出来なかったご注文はうさぎですか?本は、そういうところで試行錯誤重ねすぎてしまったというのがあると思う。何か良い方法はないかと、未だに考えてはいるんだけど、とりあえず書いてみないことには始まらないかも知れない。
そもそも、次のジャンルを探している時点で、趣味同人の同人家として間違っている様な気がしないでもないんだけど、サークル活動を続けていきたいという気持ちも強いから、なんとなく焦ってしまうのかも。

ごちうさ本がそうである様に、好きな作品なら美少女ゲームじゃなくて良いんだろうけど、いつの間にかうちのサークルって美少女ゲーム原作の二次創作小説を出すサークルになってるから、どうしてもそっち方面に目を向けてしまいがち。最初は、ロックマンゼロのクロスオーバー同人誌を出す為に作ったのに、変われば変わるもんですね。数えたところ、今回のヨスガ本で計24冊の同人誌を出してきたらしいけど、ロクゼロ本は全部併せて6冊しか出てないはずだから、18冊は違うジャンルということになる。もはや原形をとどめてない気もするが、ロクゼロ本も後2~3冊は出したいんだよな。誰か一緒にやってくれないだろうか。
COMIC1☆7ということで、やってきました東京ビッグサイト。最後に行ったのは2月のコミティアですから、そんなに久しぶりというわけでもないけど、サークル参加という意味では冬コミ以来になりますか。コミ1は初回以外は全部サークル参加しているので、よくよく考えてみたら一般で参加したことって一度しかないんですよね。一般で参加している友人曰く、毎年待機列の出来る場所が違うらしいけど、今回は特にビッグサイト内でイベントを沢山やっていたみたいですか。

コミケと違ってコミ1は開場時間が10時半と30分遅く、サークル入場時間も8時ピッタシと正確なので、コミケのときよりは遅く家を出ました。特にすることがあるわけでもないのに入場時間合わせで行くのは、もはや癖みたいなものですけど、遅刻するよりは良いからね。今回の出し物はヨスガ本と昨年出したイラスト集だけだけど、手持ちのイラスト集は何だかんだで100部切ってるんだよね。何部刷ったかは明かせませんが、大分数が減ったと思います。
ヨスガ本は最後ということもあって、知り合いに配る用も含めてちょっと数を刷りました。それでもまあ、イラスト集より数が少ないという感じだったんだけど、多めに刷ったせいか完売には至りませんでした。普段なら自家通販に回すところですが、実はもう次のイベントが控えているので、そっちに持って行こうと思います。詳細に関しては最後の方で書くとして、やっぱりコミ1は良いですね。和やかだし、所謂新規層がまとめて幕張の方へ行ってくれたのも嬉しい。ヨスガ関連の友人も何人か参加していたので、そちらに本を渡しつつ、午前中は自分の買い物を済ませるのに熱中してました。コミ1はコミケでは並ばない様なサークルへ行くことを楽しみにしているんだけど、今回は特に興味や関心の枠ものがなかったので、個人的にいつも行っているところを回るだけで、それもスムーズに済みました。結構な金額を使ったとは言え、底を尽きるほどでもなく、割と余裕がありました。
ジャンル的には、変猫が結構多かったかな? 思っていたほどガルパンがなかったのは、オンリーの開催が近かったからかも知れないけど、私の買った本は変猫がそこそこ多かった気がする。後はまあ、とらぶるは安定していると思う。逆に中二病は引き潮の様に数が減った気がする。たまこまは……元々数が少ないか。なのはも勢いとしては収まってきたし、紙媒体だけじゃジャンルを保てるほどの力はないんでしょうね。

うちのサークルは前述の様に完売こそしませんでしたが、今や唯一のヨスガサークルとして少なからず足を止めてくれる人も多かったです。イラスト集も発行から結構経ちましたが、未だに買ってくれる人がいるのはありがたいですね。まあ、ヨスガノソラ自体、今年で5周年になりますし、作品的には少し前、あるいは古いと言われても仕方ないですから、私も思うところはあります。Twitterでも未だにヨスガ本出しているところがあるのか、と言われたぐらいだし、大体去年の夏コミか一昨年の冬コミの時点で懐かしいとか言われましたからね。いや、もっと前だったかな?
まあ、おかげさまでヨスガ本シリーズも最後の1冊を出すことが出来まして、売り子が色々褒めてくれました。今回は赤入れを外校に任せたこともあって、割と誤字脱字が少なかったのもありますが、内容が最後に相応しいとかなんとか。私自身、納得のいく話が書けたと思っていたので嬉しい評価でしたが、それまでの本よりハル×穹要素が少なくなってしまったのが心残りと言えば心残りかな。あくまでハルを主人公とした、ハルの話として書き上げたから、相対的に穹の出番が減ってしまったと言いますか。
アシタノソラに関しては、また後日に色々と書きたいことがある。あとがきに書けなかったこととか、そういうのも含めてね。沢山の人に読んで欲しいとは思うけど、前述の通り自家通販はしないので、イベントでゲットして頂ければ幸いです。

さて、そんなヨスガ本ですが実は完結記念に総集編を出す予定です。今回のコミ1でも古い本を欲しいと言ってくれた方がいましたけど、再販は難しいものの総集編として一冊にまとめることは出来なくもないので、良い機会ですし作ってみようかなと。まだ手探りではありますが企画は既にスタートしていて、今年の冬コミで発行を予定しています。
次に参加するイベントの件ですが、今度は6月のコミックシティ福岡に参加予定です。なんでいきなり九州なんだと言われたら、一度行ってみたかったからとしか言い様がないけど、ヨスガ本の残りはそこで頒布すると思います。もう10部も残ってないんだけど、それでも余ったら夏コミに持って行こうかなと。その辺りのことも含めて、これからは日記を書けて行けたらなと。まあ、そんなこんなでCOMIC1でした。来年はさて、何のジャンルで出ようかな。
スカイ・ワールドも4巻目ということで、結構刊行ペース早いですね。まあ、ラノベはコンテンツとしての速度が求められる媒体だから、それほど珍しいというわけでもないのだろうけど、めっきりラノベというものを買わなくなった私も、この作品は読んでいます。なんていうか、文章に対する安心感があるというか、メタフィクション的な部分を除けば、割としっかりした内容だと思うのですよ。読み手に読ませる小説というか、簡単にいえば文章や物語がイラストに負けていない。これって結構重要なことだと思う。

メタフィクション的な部分といったけど、私の言いたいことは性格にはメタとは違う部類のもの。なんて説明したらいいのかわからないのだけど、例えばラノベ作品がひとつあるとして、その中で22世紀からやってきた、ふしぎなポケットを持つ猫型ロボットの話をしたとしましょうか。誰がどう見てもドラえもんのことだし、中にはぼかさずにドラえもんという単語を持ち出す作品だってあると思います。別にドラえもんでなくても、サザエさんでもアンパンマンでもいいが、これら所謂国民的アニメの話題を作中で持ちだしたとしても、読者はそれほどの違和感を受けないでしょう。
でも、よくよく考えて見ればこれは少しおかしい。何故なら、読者である私たちは読んでいるラノベがフィクション、つまり現実のものでないことを知っています。だけど、ドラえもんやサザエさんといった作品が私達の現実において放送されている作品であることを知っている。でもそれは、ラノベ作品というフィクションの非現実の中にも存在するというのだ。
これが逆だったらどうか? ある日突然、ドラえもんの中で宇宙人、未来人、異世界人に超能力者を探している女子高生の話題が出てきたとしよう。要するに涼宮ハルヒな訳だが、ドラえもんという作品内にハルヒという存在が出てきたとしたら、視聴者たる我々は酷く違和感を覚えるのではないか? ハルヒにドラえもんの話題が出てきても、ほとんど違和感など沸かないにもかかわらずだ。

この感覚の違いを、私は上手く説明できない。知名度の差だと言ってしまえば楽なんだろうが、ラノベにおけるそういった描写に対する抵抗感のようなものがあるのかもしれない。今回、スカイ・ワールドの4巻を読んでいて思ったのだが、この作品は結構ゲームやアニメなどの有名作品を、ぼかすことなく書いてくる。MMORPGと、ゲーム内が舞台の作品だから、過去のゲーム作品をネタにするのは別段おかしなことでないのかもしれないが、ヒロインの一人がBTOOOM!の話題を口にしたとき、私はそれなりに困惑した。
BTOOOM!とは去年アニメを放送していた漫画原作の作品だが、こんなにも最近の作品を、さも当然のように例として出されることへの疑問というのがある。つまり、スカイ・ワールドとはBTOOOM!や、過去に例を出した女神転生や魔導物語など、そういった作品が現実のものとして存在する世界観ということになる。これが、所謂オタク系のパロディ小説なら、単なる手法の一つとして受け入れられるのかもしれないが、スカイ・ワールドはオンラインゲームを舞台にしているとはいえ、割と正統なファンタジー小説だ。そこにふと、自分たちの現実が混ざってくることで、急に作品世界から追い出されるような、冷めた気分になってしまうのはなぜか?
ナルニア国物語のクローゼットの話題ならよくて、どうしてBTOOOM!はダメなのか。自分でも説明ができない感覚だけに、それが良いのか悪いのかさえ分からない。あるいは私だけが感じている、他の人は気にもとめない些細な事なのかもしれないけど、なんかモヤモヤするんだよね。

物語としては今回も文句なしに面白かったです。最近のラノベの例に漏れず、この作品にも恋愛要素や恋愛模様があるのだけど、王道的なファンタジー小説を展開するに際して、それが少しも邪魔になってない、もっと言えば取ってつけたような感じがしないというのは、やっぱり作者の力量なんでしょうね。ラブコメがメインのラノベというのは、主人公がヒロインの誰かを選んだ瞬間に作品が終わってしまうので、難聴やら何やらを駆使して、延々と勘違いや鈍感で話を引き伸ばしていくものですが、スカイ・ワールドに関して言えば、決着が付くんじゃなかろうかと思っている。かすみかサクヤかは、まだ分からないけど。
COMIC1☆7参加情報 ヨスガノソラ本第10弾「アシタノソラ」
お久しぶりです。4月もすっかり下旬ですね。今年に入ってまだ日記を1回しか更新してないみたいみたいですが、今日から何となく再開させていきます。日記を更新してなかった理由は単純に書けなくなっただけなんだけど、まあ、色々ありまして。夏ペルの感想にしても恋ルートの良いところで止まってますが、あれも書き続けることへの意義が見出せなくなって。なんとかしたいな、とは思っているんですが、気分や気持ちの問題もあるのでね。難しい話です。
そんなわけで、今日は4月の28日に開催されるCOMIC1☆7の告知になります。日記もHPも更新してませんでしたが、新刊だけは一応書いてました。

以下が、当日の頒布物になります。ほぼ確定しており、これ以上増えることも、減ることもないでしょう。
イベント名:COMIC1☆7
日時:2013年4月28日(日)
会場:東京ビッグサイト
スペース番号:東に-56a
サークル名:シャリテクロワール

新刊
アシタノソラ
ジャンル:ヨスガノソラ
イベント価格:500円
総ページ数:60P
サイズ:A5判
備考:ヨスガノソラ本第10弾。シリーズ完結となる最終巻です。

既刊
春日野穹イラスト集-蒼穹-
ジャンル:ヨスガノソラ
イベント価格:1000円
総ページ数:28P
サイズ:A4判
備考:ヨスガノソラ合同誌第2弾。総勢16名の穹好きによる、穹好きのための、春日野穹フルカラーイラスト集。


当日の諸注意
イベント当日は釣り銭不足が予想されます。
1万円等の大きなお札の使用は控え、小銭を用意し、なるべくピッタシに払って頂けると売り子が大変助かります。


当日の午前中、サークル主のMLWは基本的にスペースにおりませんので、知り合いでご用の方は売り子に言って呼び出して貰って下さい。その際、私との間柄を伝えて頂ければと思います。
また、午後は比較的いるかと思いますので、火急のようでない方はそのときにお越し下さい。


今回のメインは、なんといってもヨスガノソラ本第10弾「アシタノソラ」になります。これは昨年の冬コミで発行しようとして落としたものですが、コミ1合わせでなんとか完成させることが出来ました。予定していた冬コミで落としたときには、もうこの本を出すことは無理なんじゃないかと、その原因となった一件も引きずって精神的に参ってしまい、なかなか書き上げることが出来なかったのだけど、こうして形になって良かったです。
内容としては、総決算や集大成というよりは、ヨスガノソラという原作と、ハルカナソラというFDを振り返って、私が書きたいと思った話を書いたという感じ。なので、最後だから全キャラ登場して大団円というのではなく、今一度春日野悠という主人公にスポットを当てて、ひたすらハルが主人公の物語になっています。勿論、穹を初めとしたヒロイン達も登場しますけど、あくまでメインはハルであり、ハル×穹という前提は守りつつも、今までの本とは毛色がまったく違う物に仕上がりました。
ジャンルとしては、やっぱりSFになるのかな? 自分の中でSFを意識した部分ってのは結構あって、参考にした作品もそっち系が多い。具体的にどれって書くほどのことでもないけど、文章的な演出などについては本の方で少しだけ解説しています。やってみたかった手法というのがあって、それを試した訳なんだけど、こればっかりは刷り上がってきた本を読んでみたいことには、成功したとも分からないから、今からドキドキしてますね。上手く行けばいいのだけど。

予定していた、というよりカタログ買ったらサークルカットに夏ペル本とか、ごちうさ本を企画している様なことが記載されてると思うのだけど、この二つに関しては中止になりました。夏ペル本は表紙まで出来ていたから、ほとんど落としたと同じなんですが、今回はヨスガ本に全力を出してしまったせいか、それ以降が続かなくて。まあ、イベントはこれからも出ますし、急ぐ必要もないのでね。
また、コミ1の前日にでも情報を更新しようと思いますが、基本的にはこれで確定です。皆さん、当日はよろしくお願い致します。
昨年、Sphereから発売された美少女ゲーム、イモウトノカタチのビジュアルファンブックが出ていたので買ってきました。CUFFS系のVFBと言えば自社で作った物をメロンブックスなどで同人誌扱いとして売り出すか、もしくは夏か冬のグッズ通販で出すものと相場が決まっていたのだけど、イモウトノカタチに関しては何故かエロゲ雑誌のPUSHを出している、MAXからの刊行でした。同人誌扱いで出していたのがあまり売れなかったのかは知りませんが、遂に自分のところでVFBを作るのも止めてしまったようです。まあ、イモウトノカタチだけという可能性もあるけど。

私がこの本を買った理由は、何だかんだ言って去年一番やり込んだエロゲがイモウトノカタチだったからで、年末に出た夏ペルよりも費やした時間が長かったんですね。勿論、金銭的な部分も含め、雑誌等の追っかけもしていましたし、発売するまでが一番楽しかったかも知れない。発売後に関しては……まあ、皆さんご存じの通りと言うことで。
さて、同人誌媒体から一般の商業誌媒体で発行されたイモウトノカタチVFBですが、これが刊行されるにあたってSphereの公式Twitterは、以下のような文章をツイートしています。
【イモウトノカタチ】のビジュアルファンブックを株式会社マックス社様より1月24(木)に発売します。【イモウトノカタチ】の世界を全て詰め込んだ本書の表紙を飾るのは、武藤此史描き下ろしの美優樹とミータです。よろしくお願いします。
URL:https://t.co/WJh2R7G1
なんてことない、良くある宣伝文句ですが、ここで気になるのは本書のページ数です。イモウトノカタチVFBは2800円と、一般的なエロゲVFBとしては平均価格。しかし、ページ数は128Pと比較的少ない部類になり、かつてのSphere、CUFFSが出してきたVFBとは圧倒的な差があります。ブランドとしての前作ヨスガノソラに関しては、ハルカナソラというFDもあったとはいえ、2冊組みで456Pの大ボリュームであり、CUFFSから出たCAFE SOURIREのVFBでさえ300Pの厚さを誇ります。それに比べてイモウトノカタチは半分のページにも満たず、たかだか128Pに作品世界をすべて詰め込んだと言い切られてしまっているのです。

今まで線画やラフも含めて何百ページというVFBを出し続けてきたメーカーがですよ、言うに事欠いて128Pで世界のすべてを詰め込んだはないだろうと思って、私はやや複雑な気持ちで本書を読み始めたのだけど……これがビックリ、その通りだったんだよね。いつもの線画やラフがないのは残念だけど、それを除けば確かに128Pで収まってしまう内容で、イモウトノカタチと言う作品はこんなにコンパクトにまとまってしまうものなのかと、僅かに意外さを覚えてしまった。
だって、物足りなさがないんだもん。流石に冬通販の抱き枕画像は載ってませんでしたけど、それを除けば載せるべきイラストは全部載っていたし、ヒロイン紹介ですか? あれもシンプルだけど、攻略推奨ルートなども記載されていて、MAXならではの部分も光った。ルート回想にしたところで、主観のない淡々としたものだったから、こういう物語でした、おしまいという感じで、内容賛美がないだけ特に不快感を刺激されることがなかった。これで開き直って、雪人の行動とか、その辺りを褒め称えていたら、思わず本を投げ出したかと思うけど、基本的にはシナリオに沿って内容を書いていくだけなので、これといって気になる部分はなかったかな。
版権イラストに関しては、何せ雑誌等を追い掛けていたことから私は全部持っているので、特に初めて見るものとか、そういうのはありませんでした。イマイチ新鮮さに欠けたけど、それについては仕方ないよね。あぁ、でも去年の秋ドリパで発売された真結希のテレカイラストが、美優樹のそれと比較して小さかったのはどうだろう。あれってそんなに枚数でなかったし、もう少し大きく載せても良かったと思うんだが。

イモウトノカタチVFBに特筆すべき点があるとすれば、スタッフスペシャルインタビューが掲載されているところでしょう。雑誌における企画や特集はともかくとして、これまでCUFFS系のVFBでは所謂スタッフインタビューや対談の類いがなかったのですが、今回は商業誌だからか分かりませんが、ディレクターとライター、それに原画家陣の7人に対して作品に関する質問、疑問などが投げかけられていました。
ライターの1人であるなつかぜかおる氏は、実は昨年の11月もって活動を休止しているのですが、インタビュー時期がそれより前だったのか、普通に参加しています。彼が物書きを廃業したのか、それともライターとしての仕事を辞めたのかは知りませんが、色々思うところあったのでしょう。真意の程は定かではないですが。
スタッフインタビューと言うことで、かなり深い部分まで突っ込んだ質問がなされていました。具体的に言うと、作中で放置されていた伏線、疑問に関してはすべて回答が用意されており、災害の原因や、あやかの両親、雪人と美優樹が兄妹であることがDNA鑑定で判明しなかった理由に、ミータを攫って改造した組織についてなど、ユーザーがこれでもかと言うぐらい酷評して糾弾した伏線や疑問点が、全部解説されています。
これは何もユーザーから散々叩かれたからと言うわけではなく、イモウトノカタチはFDを出さないので、答えられる質問には答えてしまおうということでした。FDが出ないのはイモウトノカタチがどうこうと言うより、CUFFSとしてのスタンスであって、ハルカナソラが例外だったそうです。

私がこのインタビューで注目したのは、やはりミータに対する人気の読み違えでしょうか。人気投票をやっていないので、発売前、発売後でヒロインの人気の変動を語るのは難しいと言いながらも、ミータに人気が出たのは予想外だったとディレクターの佐倉さんは答えています。独特な、癖の強いキャラだから、好き嫌いが分かれるだろうと思ったらしい。性格や言動についてはその通りだと同意するけど、私に言わせるとミータの人気が出たのは結果的だと思うんだよね。
ライターの朝倉さんによると、ミータと真結希のシナリオは最初からセットで考えられており、真結希が正統派だったそうです。まあ、真結希は実妹なんですから当たり前でしょうけど、ここで忘れちゃいけないのは彼女は作品発表当初は存在していなかった、つまりユーザー的には隠しキャラだったということ。美優樹、あやか、千毬、ミータの4人がヒロインだと思っていたところに現れた、追加キャラというイメージが強いんですね。だから、途中で発表されたとはいえ、ユーザーの感覚的にはミータの方に思い入れというか、意識が傾いてしまうのも無理はないんです。だって、真結希はそれまで存在してなかったし、体験版にも出ないんだから。
朝倉さんはミータを脇キャラのつもりで書いていたらしいけど、ユーザーにそんな認識が出来るわけはないんですよ。だからミータの単独ルートがなかったことに不満がわき起こり、結果的にヒロインとして不遇のミータへ人気が集まったわけです。この辺り、春日野穹という妹を排出したSphereの驕り高ぶりがあるというか、とりあえず妹出しとけば良いだろうみたいな部分があったんじゃないだろうか。Sphere=妹モノという考えはともかく、それを意識するあまり、妹以外に人気が出る可能性を失念していた。佐倉さんはミータに対するエッチシーンの回数設定を失敗したと言ってるけど、そういう問題でもないんじゃないだろうか。

そもそもイモウトノカタチ言う作品は、妹ゲーとして魅力的だったのか? と、私は思います。美優樹にしろ真結希にしろ、あるいは千毬にしても妹キャラとしての魅力はあったでしょうか? 極端な意見では、この作品にまともなキャラはいないとされるイモウトノカタチです。春日野穹や、桜井朋美などと比較してどうだったのか? 必ずしも、好意的な評価ばかりじゃないよね。
特に批判された、私も酷評した美馬雪人という主人公に関しては、スタッフ側でも思うところはあるみたいです。体験版が公開された当初は、「ギャグキャラだから受け入れて貰えるか不安だった主人公の性格も概ね好評で」と言っていたスタッフも、流石に現状を鑑みたらしく、なつかぜかおる氏が以下のような発言をしています。
雪人と美優樹のボケコンビは書いていて楽しかったですけど、逆に雪人の世間知らずな面とか、ボケのさじ加減がとても難しくもありました……。結果的に雪人のああいう性格は賛否両論だったので、今後の作品作りにおいての要改善事項だと思っています。
私としては、大洪水の中、止める妹を連れて水着で病院に泳いで行ったり高熱で死にかけのもう一人の妹を、彼女が嫌っているロボット娘を探す為に雪の中連れ出したりすることを世間知らずボケで済ませて欲しくはないのだけど、雪人の性格設定などはなつかぜさんがメインだったのかな? ミータ&真結希ルートを書いたのは、どうやら朝倉さんみたいですが。

他にもあやかルートで出てきた喫茶店の店長、あの人の息子夫婦についてとか、ユーザーが少しでも考察、検証した部分には相応の答えが載っています。私は外れた部分もあり、当たった箇所もありという感じですが、伏線の投げっぱなしに辟易としていた人は、読めば結構スッキリするんじゃないでしょうか? 今回は店舗特典もありませんから何冊も買うようなものではありませんが、プレイした人なら1冊ぐらい持っていても損はないと思います。決して、読み物として特別面白いわけではないですが、VFBはイラストを見る為のものだしね。私はそれなりに満足しています。本当に128Pでイモウトノカタチの世界を詰め込めてしまったことには、些か以上に唖然としているけど。
夏空のペルセウス、恋ルートの感想を書きます。始めに言っておくと、私はこのシナリオが凄く好きです。minori通信ではヒロインの話としてどうなんだという意見もありましたが、私は否定しないし、むしろ全力で肯定したいとさえ思った。結局どれほどの御題目を並べらところで、私は恋が好きなんです。遠野恋という少女が大好きで、彼女の幸せを、森羅と結ばれる未来に祝福をしたかった。それがどんな結果によってもたらされるにせよ、結ばれることに意味があるのだと信じていたし、今も信じ続けている。だからこそ、透香ルートではなく、恋ルートを私は推すのでしょう。

夏ペルの看板ヒロインにして、「裏ヒロイン」と称されていた遠野恋は、主人公である遠野森羅の実の妹、たった一人、唯一残された家族です。彼女にもまた森羅と同じ、森羅以上に強い他人の痛みを自分に移す能力が備わっており、幼少時から言いように利用されてきたという過去があります。そんな彼女は自然と兄の森羅にべったりな性格となり、世界で信じられるのは森羅だけという少女に育ったのも、無理は無いと言えるでしょうし、それは森羅も認めるところです。
森羅にとって、妹は大切な存在です。唯一残された家族にして、最後の肉親。厄介な能力を抱えながらも、お互いだけは気にすることなく触れ合えるというのは、二人にとって大きなことだった。恋の時に過剰とも言えるスキンシップは、勿論森羅への好意の表れであるのだろうけど、それ以上に、二人が人肌に温かさを求めるなら、お互いが接する以外にはあり得ないという現実があった。故に恋はあやめルートで、「この世で森羅のことを本当に理解できるのは私だけ」と言い切り、「森羅にも私しかいない」と言い張り、「森羅の隣にいていい人間は、わたしじゃなきゃいけないわよね?」と断言できたのでしょう。
何故なら森羅と恋は、彼女が自身のルートで言うようにお互いを除いて「本当の意味では支え合えない」のだから。排他的な言葉であっても、それは紛れもない事実でしかなかった。過去が、記憶が、現実が、森羅と恋に逃げようのない事実を突きつけてくる。自分の能力に希望や展望を抱く森羅と違い、どこまでも否定的な恋は、それを完全に受け入れてしまってるのでしょう。抗うことは無駄なのだと、諦めているのかも知れない。

さて、恋ルートは選択肢を選ぶことによって進むことが出来るわけですが、選んだ際の森羅の気持ちには考えさせられるものがあります。誰かに自分の力を使うことで、他でも無い自分自身に意味を持たせたいと思っていた彼ですが、力のことを考えていた彼の脳裏に浮かんだのは、他でもない“妹”の恋だった。ふと冷静になってみると、誰かを選べば――誰を選んだとしても、それは妹を切り捨てることになるのではないだろうか?と、たとえそれが森羅の本心でなくとも、恋がそう感じてしまうだろうことに彼は気付きます。実際、森羅はあやめルートにおいて、恋を捨ててあやめを選び、最悪の場合はあやめと共に村を出るつもりでしたし、そうした予想や推測は、決して間違っていません。
森羅は妹を守らねばならず、そして、守るものは少ないほうがいい。恋は彼にとって、この世界にたった二人だけの家族なのだから。
ある種の結論出した森羅は、「なにかあったら、ここに探しに来てね」と言われた花畑へ向かいます。言葉通り恋はいて、彼女は朝からどうにも変だったことを告げます。腹痛らしいですが、夏風邪や食あたりの類いでは無いらしい。それどころか体調不良ですらないといい、かといって慣れない環境に引っ越したことでの気疲れというわけでもないようです。恋自身、そうした自分の状態に判然としていないようでしたが、彼女は話を切り替えて、森羅の変化について言及します。「妹を心配してなにが悪いんだ」と言う彼に対し、「妹、ね」と受け答えながら、たった数日間で森羅が優しくなってしまったと言います。

元々、他人のことなんてどうでも良かった遠野兄妹にとって、今の状況は、たまたま、運がいいだけでしかないと語る恋。転校生にはとりあえず好意的な、無条件にこちらを受け入れてくれる時期だからこその平和でしかないと言い切る彼女は、相手が自分たちを値踏みしているのではないか? とさえ言います。実際に値踏みをしているのは、むしろ恋の方なのにね。翠に対する態度などは、まさにそれが現れていた。
けれど、森羅は痛みの無い天領村での暮らしを悪くないと思っていたし、それは自分にとって、なにより恋にとって有益なことだと考えていたのでしょう。だけど、恋はそんな森羅の考えを矛盾しているといって突き放します。
「他人がいることで痛みを覚える。痛みがなければ他人に優しくなれる――根本的に吊り合わないのよ」
確かに、森羅が今一度自分能力と向き合い、そこに意味や価値を見出したいと感じたのは、結局のところ彼が誰かに利用されることのない、押しつけられる痛みのない世界に来たからです。そんな場所だからこそ、彼は生来のお人好しを存分に発揮できたし、翠やあやめの事情、そして透香の問題などに自分から首を突っ込むことが出来た。つまり、自分の中に余裕が生まれていたんですね。
恋の言葉に、「支え合うことが悪いことなのか?」と疑問を呈する森羅。常識的な、一般論としてなら、彼の意見や感情は間違っているはずもない。だけど、森羅と恋は……
「わたしたちは、本当の意味では支え合えない、と言ってるの」
唯一お互いを除いて。突きつけられた事実に、森羅は返す言葉もありませんでした。だって、どんなに希望や展望、願望を並べ立てたところで、恋の言ったことは真実であり現実であり、事実だったから。でも、それ以上に、森羅は恋がこんな話を急に始めたのが不思議だった。元々が排他的だったとしても、今日の態度はどこかおかしいと、そう感じていた。このときの恋の心理は、要するに天領村に来て優しくなった森羅が、誰か別の女に取られるのではないか? という不安を抱え始めていたのではと思う。そして、この時期の恋の心理を良く表しているのが、ソフマップの特典ドラマCDである「恋のメモ帳」のように私は感じるのです。

恋の言葉を言い返せずにいた森羅は、不意に花畑で血の臭いを覚えます。病院などで重傷者の相手をすることも多かった森羅は、否応にもそういった臭いに対し敏感になっていたのでしょう。恋も花の匂いではなく、血の臭いがすることを嗅ぎ取ります。私はてっきり、誰か他キャラが吐血でもしてその辺で倒れているのではないかと思ったけど、そんなことは全然なく、花畑にいるのは森羅と恋の二人だけだった。そして、森羅に外傷などがないのだとすれば……
「……恋。その足、どうした?」
恋の白い足を伝って一筋の血が垂れていました。しかし、彼女は足を怪我していたのではなく、血は彼女の股の内側。アイスグリーンの下着を染める形で流れていたのでした。
帰宅後、なにかと思えば生理だったことに安堵する森羅だけど、家には生理用品が存在しなかったため、彼は買いに走らされるなど大変な目に遭っており、女性ならば前もって準備しておいて、こっそり処理しているものではないのかと訊ねます。まあ、つきのものは兆候がありますから、森羅の言っていることは間違っちゃいないはずだけど、対する恋はこんなことを言い出します。
「知らないわよ。わたしだって初めてだったんだから」
初めて、と言葉に反応してしまう森羅ですが、恋はこともなげに「初潮、ね」と微笑みかけます。目を丸くする森羅ですが、恋は特に隠していたわけでもなく、本当に生理はなかったと言います。遅すぎないか? と思う森羅だけど、エロゲの登場ヒロインは18歳以上だとか、そういう戯れ言を抜きにしても、確かに遅いでしょう。恋の胸の成長度合いから見ても第二次性徴は当に迎えているはずだし、初潮の平均年齢は12歳程度だと言います。無論、今までろくな暮らしをしてこなかった遠野兄妹ですから、環境面の問題で遅くなったと言う可能性もあるけど、恋には股別の考えがあるらしい。

「わたしも、自分には生理なんてこないって思ってた。わたしたちは普通じゃないから」
あたかも自分たちが人間であることすら否定している妹に、森羅は思わず語気を強めて注意しますが、彼よりも力が強く、人間の精神的な痛みまで移してきた恋のことです。人間の暗い面ばかりを押しつけられた彼女の心に歪みが生じないはずもなく、人間という存在に何らかの拒絶反応を起こしているのではないかと、そう考えました。
「ねえ、森羅。それよりも大事なこと忘れてない?」
その言葉に兎にも角にもおめでたということで、レトルトでもいいから赤飯を用意しようかなど? 時代外れなことを言い出す森羅に対して、「そうじゃないわ」と返しながら、
「わたし、女になった」
ずっと妹を子どもだと、わがまなな子どもだと思っていた森羅の認識が、崩れ去った瞬間でした。ずっと自分が守っていかなければいけないと思っていた存在は、しかし、自分の目の前で女に変わり、蠱惑のささやきをするようになっていた。だからこそ、森羅は恋を生まれて初めて、異性として意識せざるを得なかったのです。
ところで翠ルートをやると、選択肢で翠を選んだ翌日、家で恋と会話をすると、「あの後、私がどれだけ大変だったか、わかってないんだから」という台詞があります。ここから察するに、花畑で待っていた恋は、自身のルートと同じくそこで初潮を迎えたのでしょう。でも、森羅が側にいないものだから全部自分で処理する羽目になってしまい……なかなかにえっちぃ状況ではないですか。
minoriは今日日のエロゲメーカーに珍しく、作中に登場するキャラは全員18歳以上ですとか、そういう記述を本編開始前にしていませんが、だからといって実年齢が書いてあるわけでもありません。ただ、推測すること自体は出来ますから、森羅を高二とするなら、妹の恋は高一でしょう。誕生日は3月29日とギリギリ早生まれなので、そこから導き出して15歳……初潮の年齢としては、最低限ってところだろうね。下品な考察であれだけどさ。

恋が初潮を迎えた翌日、制服姿の妹に起こされた森羅は、今日が平日であると勘違いをしますが、恋は単に着るものがなかったから制服を着ただけであり、普通に休日だったらしい。10時頃起こされ、昼くらいまで寝るつもりだった彼の計画は潰えます。恋の血の臭いを嗅いだことで、古い記憶を悪夢としてみてしまった森羅は、恋にも分かるほどうなされており、彼女はそれを心配しますが、昨日女になった妹に対して、森羅はどうしても異性を意識してしまっている。それがよくない傾向だと分かっていながら、頭の本能的な部分が恋の存在にしびれていた。
休日でも特に予定があるわけではない森羅を、恋はピクニックに誘います。都会にいた頃はあり得なかった恋の誘いに、彼女の変化を実感した森羅は応じ、天領村へと引っ越してきたことが、恋にとって良いことだったのではないかと思うようになる。恋ルートの森羅は……という言い回しや表現は、本当のところしたくないのだけど、とにかく恋のシナリオにおける森羅はやはり彼女のことを深く、そして強く考えており、自分のこともさることながら、まず第一に恋のことを考えています。他のルートの彼なら、ピクニックなど誘われたところで面倒くさいと固辞していたことでしょう。
花畑でピクニックと言っても、弁当を食べる以外は特にすることがあるわけでもなく、森羅は日陰で休みながら恋のことを観察します。恋にしたところで立ち尽くすか、思い出したように歩くだけで、何をしているわけでもありません。けれどそれは絵になる光景に違いなく、森羅をして今の恋は野花と同じぐらいの清楚さを感じていました。花がきれいだという恋の言葉を、きれいという部分を恋と結び付けてしまうぐらいには、森羅は妹に見惚れていたのです。
森羅がつまらなくないか心配する恋ですが、彼は既に花を、花畑の中にいる恋を愛でることに集中しており、つまらないわけがありません。仮につまらなければ鬼ごっこをしないといけないと言う恋に、やっても良いと応じる森羅。それに乗っかり、座り込んでいた花畑から立ち上がった恋ですが、鬼ごっこのつもりで近づく森羅から、後ろ歩きで離れようとした瞬間、バランスを崩して倒れてしまいます。森羅が止める間もなく転び、恋は左足の膝頭を怪我していた。普通の掠り傷に安堵する森羅に、もっと優しくしてと囁く恋。唾でも付けておけば治ると嘯く森羅に対し、恋は言いました。「舐めて」と――

森羅が恋の血を舐めた晩。彼はなかなか寝付けずにいました。そもそも時刻はまだ夜の10時過ぎであり、昨今では小学生でも寝ない時間です。しかし、森羅は起きていることが出来なかった。花畑で怪我をした恋、彼女は能力による治癒を拒否して、森羅に傷口を舐めるように言った。森羅は、自分の血の味を知りたいはずだと。痛みを受け取るために傷口に当てていた手から、逆になにかを吸い取られるかのように、あるいは恋に引き寄せられるかの如く、森羅は恋の要求を呑んでしまった。
自分でも信じられない欲望の発露。それも実の妹にぶつけたという事実が、森羅の精神を混乱させ、絶望させていた。留まることを知らない気持ちの高まり、性欲を解消したい森羅だけど、その対象がやはり恋となることに拒否感を覚え、歯を食いしばって耐える。妹をオカズにすることが珍しいことなのかはともかく、忌避すべきことであると森羅は思っており、もっと言えば、それをしてしまえば自分に歯止めが利かなくなるのでは、と感じていたのかも知れない。けど、そんな森羅の気持ちをまたしても打ち破ったのは、恋だった。
森羅の部屋へとやってきた恋は、彼に覆い被さるとただ一言だけ、「……感じて」と、それだけですべてを言い切りました。身体を通して伝わる恋の感情。胸が張り裂けそうなほどの不安と寂しさ。恋を近づけまい、妹を女として意識しまいとしていた森羅は、人のぬくもりを欲し、飢えや渇きに近い感情を抱いている恋を知ってしまった。そして恋には、森羅の中にある目の前にいるひとりの女を、自分のものにしたいというという欲望が伝わっているはずだった。森羅は今、心の底から妹の恋を汚したいと、その身体が欲しいと思っていたのです。
先に行動を起こしたのは、恋でした。彼女は素早く自分の上着をまくり上げ、僅かに手を震わせながらブラジャーを外し……森羅は自分の欲望の限りをぶつけ始めます。ここで一つ、また品のない話になって恐縮なんだけど、私が安堵したことが一つ。いや、恋って処女だったんですね。ハッキリと明記されてたし、破瓜もしてたので安心したんだけど、だってほら、冬空のペルセウスとか読んじゃうとさ、あんまり良い想像出来ないじゃないですか。恋はefで言うところの優子ルートと事前に言われていたぐらいですから。森羅に初めてを上げることが出来て、本当に良かったと思います。

恋を抱いた翌日、生まれ変わったように気分の良い目覚めを迎える森羅だけど、そりゃあ、溜まりに溜まってものを解放したわけですから、気分が悪いはずもありません。実の兄妹で性行為をしたことへの後ろめたさはあるにせよ、彼は自分の欲望を満たすことが出来た。恋というひとりの女を物にして、初潮を迎えたばかりの彼女の処女を奪い、散らしたという事実は、ある種の征服感のようなものに近いかも知れない。
行為の後は互いにシャワーを浴びて、特に2ラウンド迎えることもなく、手を繋いでネタという二人だけど、起きてみると恋の姿が隣にありません。恋は自らの能力を駆使して、墓の傷みを森羅に移すことなく自分の中に抱えました。故に、感覚としてはごく一般的な処女喪失と変わらないはずですが、彼女は満足感に浸って眠りこける兄よりも早起きし、なんとビックリ朝食の支度をしていました。
恋はおよそ自分の衣類さえも森羅に買ってこさせるなど、とかく生活力に欠如した娘です。森羅の作った物は冷凍食品でも美味しいと言い切る姿には可愛げがありますけど、裏を返せば自分ではその程度のことも出来ないと言うことで、森羅は妹が炊飯器で米を炊く以外のことをしている記憶がありませんでした。流石に米は研げるのか、あるいは森羅が研いだものをセットし、スイッチを押しているだけかは分かりませんが、現実に今の恋はそれ以上のことを、包丁を片手に料理をしているのです。
普通、妹の手料理ともなれば兄なら喜びそうなものだけど、森羅はあまりに異様な光景を前に、人生で一度しか訪れない初体験の翌日に、情緒を感じられなくなってしまったらしい。そしてあろう事か、食材は無駄にしてないかなどと訊くのだから、恋の料理がどれだけ信頼されてないか分かります。確かに、今まさにきゅうりを切ろうとしているにも関わらず、直食のメニューはおにぎりとお味噌汁だけだったし、卵は既に全滅させていたことからも、森羅の予想は当たっていたのだけどね。
「わたし、料理なんてしたことないし」と開き直る恋だけど、ここで重要なのは料理なんてしたことない、しようと思ってこなかった彼女が、どうしてわざわざ早起きしてまでそんなことをしているのか、という話だよね。分かりやすい心境の変化であると言えばそれまでだけど、しかし、「出汁とったか?」と訊かれて、「ダシってなに?」と聞き返す恋とのやりとりは、本当に可愛かった。これをペルらじに送っても良いと思ってしまうほどには。

恋の変化は朝食だけに留まらず、教室に入るなり他のヒロイン達に挨拶をしたり、僅かながらの社交性さえ見せ始めます。これには恋イコール無愛想と思っていたヒロイン達も衝撃を受け、恋は一転して好奇の的になってしまう。森羅も学校では二人の関係、つまり兄妹なのにセックスをして結ばれてしまった事実などを悟られまい、隠そうとしていたことから、恋の送る合図などは尽く無視し、それが原因で恋はすぐに元の無愛想な姿に戻ってしまいます。とはいえ、恋だって森羅の考えは分かっているので、さほど深刻なものではなかったんだけど、この時点で既に、二人はお互いの関係を肯定してしまっていることが見て取れます。それは学校狩りの商店で、森羅が意図的にコンドームを買わなかったことからも見て取れる。買わなかった理由は単純に狭い村の中、そんな物を買えばどういうことになるかは目に見えていた。ただでさえ森羅は余所者であり、女の子だけが通っている学校に籍を置く、唯一の男子です。商店主の口が緩いのか堅いのかは分かりませんが、一体どの娘に手を出したのかと、いらぬ邪推を受ける可能性があった。
だから森羅はコンドームを見つけても買うことが出来なかったわけですが、彼は既に今後避妊具が必要になるという前提で考えているんだよね。つまり、今後共に恋とそういうことを、セックスするつもりがあるってことなのです。開き直ったのか割り切ったのか、森羅は妹とこれからセックスライフを送ることに、少なくとも拒絶感を持ってはいなかった。変化しているのは、なにも恋だけではなかったのですよ。
森羅はそうした変化を受け入れ、自分たちは変わっていかなければならないと感じます。それまでの二人は、周囲の人間を油断させるために演技ばかりをして生きてきました。いらぬ力を持っていたばかりに、他人から利用されるばかりだった二人にとって、素の感情というのはお互いにのみ見せるものであり、そこに他者の存在なんてなかった。でも、森羅はいつまでも自分を偽って、演技ばかりして生きていくぐらいなら、多少変だと思われても愛想良くするべきなのではないかと、そんな結論を出します。森羅は天領村を自分たちの終着点と考えていましたから、その視点は何年、あるいは何十年か先まで向いていたことでしょう。

けれど恋は、森羅が真面目に考えていることを理解しつつも、他人の存在を否定します。そんなものはいらないと、拒絶したのです。
「世界で信じられるのは森羅だけで、あとのことなんて、誰がどうなっても、どうでもいい」
嫌いにすらなれないと言い切る恋の言葉は、紛れもなく彼女の本心でしょう。本音かどうかはともかくとしても、彼女の孤独や人間不信は、ちょっとした言葉で解消されるほど根の浅いものでなかった。
そんな恋の気持ちが爆発したのは、分かりやすさで言えばあやめルートであり、より核心的、本質的な意味では透香ルートになります。まあ、後者には色々と言いたいこともありますが、じゃあ、肝心の恋ルートではどうなのか? 恋は他人に対する感情を見せることなく、ひたすらに森羅のことだけを考え、想い続けるんですね。文章で書くと綺麗な響きだけど、言ってしまえば他ルートで森羅の恋人になったヒロイン達、彼女たちに向けた歪んだ感情さえもが森羅に向かっていると思えば、手放しに喜べる事態でもないでしょう。時に包丁を持ちだし、またある時は相手の死を心の底から願うなど、恋は森羅のこととなれば、箍が一気に外れるのです。
しかし、恋ルートでは、彼女が憎悪や歪んだ感情を見せるライバルが、明確な敵が存在しません。翠や透香、あやめと言った少女たちは脇役であり、森羅の言葉を借りるなら、好きか嫌いかの土俵にすら上がっていない存在に過ぎません。だからこそ、恋は自分の中にあるすべてを森羅にぶつけることが出来た。勿論、この時点ではまだすべてにはほど遠い、ほんの片鱗に過ぎないのだけど。恋が最初から自分の歪みを全部さらけ出していたら、如何に森羅といえど欲望に忠実なままではいられなかったでしょうが、恋は意外なほど理性的で、歪みに嵌まるような真似はしなかった。何故なら彼女には、もっと大きな、絶対に果たさねばならない目的があったから。
その晩、森羅は恋が部屋にやって来ることを期待していました。自分から行かないのは、一線を越えたことは理解していても、それが気の迷いによるものだと思うところもあったからで、たとえどんなに恋を抱きたくても、森羅は動くことが出来ず、ただ恋を待つことしか出来なかった。しかし、恋が彼の部屋に訪れることはなく、彼女が来たときのことを考えて自慰行為も控えざるを得なかった森羅は、悶々とした気持ち、欲求を抱え込んだまま朝を迎えねばなりませんでした。

朝になって、自分と同じように眠そうな恋を森羅は不思議に思いますが、これは単純に恋の方も森羅が来るのを待っていたのでしょう。恋は長い付き合いと、そして能力の影響もあって森羅の感情や考えが手に取るように分かるわけだけど、彼が昨日の今日で欲求不満に陥ったことを悟りつつも、敢えて自分から赴くことはしなかったのです。それには理由があり、後述されるわけですが、このときの森羅はそこまでのことに気付かない。
というより、一線を越えて以来、恋が明確に変化してきていることばかりに目が行って、他の部分に視線が傾かなかったのでしょう。普段の言動にあったトゲが抜け落ち、上機嫌な姿を見て、森羅は自然と恋は可愛いと口に出してしまう。それはお世辞などではなく、森羅が今の恋に感じた素直な印象だったに違いない。勿論、恋が昔から可愛い妹であったのは自明の理ですから、これはむしろ再確認や、再認識に近い言葉だと思いますが。
学校においても周囲に合わせることを始めた恋は、確実に森羅が思う良い方向へと変わってきていました。けれど、二人が兄妹としての一線を越えてからと言うもの、恋はそれまであった性的アピール、森羅に胸を押しつけるなど、過剰なまでのスキンシップを控えるようになりました。手を繋いだり、軽く腕に触れるなどの健全な接触ばかりで、森羅はそれが少し物足りなくなっていた。失ってみて初めて分かる、ではないかと思いますが、恋の身体に飢えている森羅としては、彼女の積極的な性的アピールに期待する部分もあったのでしょう。にもかかわらず、恋は自分からそれをしてくることがないのです。以前は、あんなにも激しかったというのに。
森羅は不安に思います。仮に恋が自分とセックスしたことを後悔しているのだとしたら? 恋の熟れた身体を強く求めながらも、その肉体的欲求が満たされないことでの精神的隔たり。森羅は自問自答します。俺の理性は――恋を犯さずにいられるまで、あと何日もつだろうか?と。

欲求不満も2日続けば我慢の限界で、生殺し状態の森羅は恋と距離を置こうとします。勿論、家を出るとかそういう深刻なものではなく、放課後の時間を一人で過ごし、少なからず恋から離れようとしました。そんなことで彼の欲求が収まり、精神的に落ち着けるのかは分かりませんが、用事があると言って恋と一緒に帰宅するのを拒むのに対し、恋はそれが嘘であるとすぐに見抜きます。しかしまあ、自分だって一人になりたいときはあるからと、意外なほどあっさりと認めてしまう。
物足りなささえ感じるやり取り森羅は裏があるのではないかと疑いますが、彼は恋だけでなく、翠や透香とも距離を置く必要があると考えていました。翠は親戚にして世話焼き、噂好きで気のおけない相手なので、どうしても自分と恋の関係を問い質してきそうだし、透香は抜群の鋭さを持っています。接触しないに越したことはなく、沢や望楼に近づかないことを森羅は決めました。けれど、そもそも天領村は一人で時間を、暇を潰せるような場所がありません。都会ならゲームセンターや漫画喫茶、あるいは適当な商業ビルに入るだけでも時間を潰せますが、この村には本屋すらないのです。
背に腹は代えられないと、森羅は二つの行く宛てを定めます。一つは町に出てしまうことであり、確かに1時間もバスに乗っていれば町には行けるわけで、おかず用の本やDVDを購入することを考えれば、それほど悪い考えでもありません。けれど森羅は、手近で済むならそれに越したことはないと、もう一つの方、学園の図書室へと行きました。ここには当然居眠り部……もとい、図書委員のあやめがいるわけですが、森羅は彼女もまた勘が鋭いものの、それ以降が鈍いので、自分と恋の関係が悟られることはないだろうと考えたのでした。
あやめに協力して貰い暇つぶしの本を見つけて貰う森羅ですが、ふと、本当にしみじみとあやめの身体を見ます。良い体をしている、恋よりも豊満な肉体は抱けば良い弾力と重みを返してくれそうだなどと思った挙げ句、箱入り娘で純朴な彼女を汚すのも悪くないなど、そんな評価をしてしまいます。無論、森羅は手を出すつもりなどありませんが、恋を抱いて童貞を卒業して以来、女を見るとそんなことを考えずにはいられなくなっていたのです。森羅はあやめから目を逸らすと、会話を続けることもなく本を読むことにします。あやめは森羅にはクライムノベル、つまり犯罪小説が相応しいと良い、選んだ『OUT』という作品もまた、クライムノベルの金字塔でした。ちなみにこの本、実在する小説であり、98年の日本推理作家協会賞を受賞した名作だったりします。

女の怖さを描いた小説の内容にため息を吐きつつ、気付けば夕方になっていた。まあ、放課後の話ですから時間にして30分程度しか立っていないのだけど、その30分の間にあやめはすっかり寝入っており、図書室の定位置で寝息を立てていました。そんなあやめを見ながら、森羅はまるで成人向けのエロ漫画みたいな妄想、あやめはどこまでやれば目を覚ますだろう? などという下卑た妄想を浮かべます。胸を触る、半開きの口にペニスを突っ込む、スカートをめくって写真を撮るぐらいならバレないだろうと、割と本気で思っているところが怖いですね。森羅は透香や他のヒロインに優しい人だと言われることが多いですけど、殺伐とした人生を歩んできたこともあって、気の優しい純粋な心をを持った少年というわけではありません。犯罪すれすれの行為に手を染めたことだってあり、恋ほどではないにしろ、他者に対するどす黒い感情というのは常に持っていて、それが欲求不満と重なり、前述のような妄想に結びつくことは不思議じゃない。
大体、先日まで童貞だったとは言え、森羅は性的なことに対しての抵抗感がそれほど強い方ではありません。裸を見ただけで顔が真っ赤になるようなウブな性格はしていませんし、かつて出会った心愛に対しても、強姦まがいの妄想を働かせたことがあります。もし彼女が生きるか死ぬかの瀬戸際という巨大な痛みを抱えていなければ、森羅は心愛を襲っていたかも知れないしね。
「襲うの?」
あやめに欲情し始める森羅に対して、唐突に恋が声を掛けてきました。驚く森羅に、恋は誰か入ってこないか見張っていてあげてもいいなど、余裕の笑みさえ浮かべているのです。扉を開ける音どころか、気配すらまったくしなかった恋は、森羅曰く必要とあらば気配や情念を外に一切発散させることがなく、体内にずっと溜め込み、爆弾のように抱え込むことが出来るらしい。それにしては余裕がありすぎるというか、落ち着きすぎていると感じなくもないけど、森羅はそこに疑問を感じることなく、もっと単純な問いかけをしました。何故、ここに恋がいるのかと。しかし、恋はこちらの台詞だと言い返し、森羅は自分の行動が監視されていたか、それに近い状態だったことを悟ります。

あやめとはなにもないと弁解する森羅ですが、恋はその言葉を素直に受け入れた。翠や透香ならまだしも、あやめは逢瀬どころか、気持ちよさそうに寝ている最中です。幾ら嫉妬深い恋でも、彼女との間に、なにかあるようには見えないでしょう。そう、恋はそもそも嫉妬深い性格をしています。兄を他の女に取られやしないか、常に不安や心配をしており、森羅が他の女に目を向ける、あるいは仲良くしようもなら、それが些細なことであっても嫉妬心を隠すことがありません。
にもかかわらず、今の恋は森羅があやめを襲いたいと思ったことを、その気持ちを否定せず、あまつさえ彼があやめにしたであろう妄想、その全てを叶えてあげるとまで言い切るのです。「お人形さんみたいに滅茶苦茶にしてもいい」とは、もはや口説き文句や誘惑のの域を超越した言葉でしょう。自分の思い通りになる美少女、そんな存在を男が求めないわけない。情欲に塗れた表情や言葉遣いなどは一切なく、あくまで清楚にして可憐な微笑みを向けてくるのだから。まともな男であればあるほど、理性など、すぐさま吹っ飛ぶでしょう。ましてや森羅は、数日間恋にお預けを食らっていた身です。たとえそれが言葉であっても、性的なものならば身体は敏感に反応し、飢えや渇きを身体が思い出してしまう。
そして彼は、ついに、やれるのではないかという欲望を、勃起という形で表現してしまった。しかし、森羅はなけなしの理性と、兄としての意識から恋の言葉をからかいに過ぎないと避けようとします。だけど、恋はどこまでも本気でした。彼女は本当に、森羅のためだったなんでもするのでしょう。それは他ルートでも明言していることですし、今更驚くことではない。でも、今回はまだ続きがあった。
「森羅がお願いしてこない限り、絶対にわたしからは手を出さない」
その言葉の意味は、説明しなくても分かるものでした。
「男性の限界は3日くらいって聞いたことがあるけど、どうなのかしら?」
ここに来て、森羅は最近の恋の態度が何だったのか気付きます。自分の言葉が最後の一線になることも、彼は十分に理解していた。でも、それに対して彼が覚えた葛藤は、常軌を逸するものだった。森羅は既に、恋をその場で犯すことしか考えていなかったのだから。

罪悪感などとは全く異なる森羅の葛藤。しかし、それでも最後の一線を踏みとどまろうとした彼は、ふとあやめの方を見てしまう。まだ寝ている、寝ているのなら出来るのではないかと、常識が抜け落ちたかのような考えまで抱き始めてしまった。
「あ、もしかしてあやめも混ぜてしたい?」
森羅が本気でしたいなら、そうなるように手を回すという恋は、冗談など言っていませんでした。森羅が“男”になったように、恋は“女”になっている。もはや、それを完全に認めざるを得ない状況になっていた。「帰ってもいい?」という、恋の言葉を、森羅は「……待て」と止めました。答えるまでは触れさせてもくれない恋に、遂に彼は折れました。したい、セックスをさせろと、自分でも信じられないほどに理性の箍が外れてしまっていた。そして恋は、眠り姫のいる図書室で……森羅にフェラを行うのです。
そこから先の日々は、“猿のように”という比喩の通りに恋とセックスをしまくったと森羅は言います。イベントシーンとして描かれてないだけで、部屋、風呂場、台所、それに社務所の裏で青姦など、時と場所など選ばない。ある日は二人揃って風邪を引いたことにして、朝から何度も恋を犯すなど、森羅は恋の言葉通りに、彼女に何でもしたし、彼女は望めば何でもさせてくれたのでした。
これらのシーンは前述の通りゲーム内で文章のみ書かれていることですが、想像すること自体はそれほど難しくなく、むしろ容易とも言えます。何故なら、丁度この時期の真都連の関係を書いてであろうSSが、PUSHの12月号に掲載されていたからです。あれに描き下ろされた「夏空のソフトクリーム」が、まさに該当する話なのだと思います。今から読むのは難しいと思いますが、森羅と恋の関係が既に爛れていることが、よく分かりますね。

でも、そんな関係が長くも続くわけはなかった。いや、森羅はこっそり隠れながら、騙し騙し恋とのセックスを繰り返してきましたが、遂にその範囲は学校内にまで及んでしまった。一度、眠り姫の前でフェラをしているとは言え、空き教室などではなく、いつも授業をしている教室でセックスを行う二人。猿のようにとはよく言ったもので、学校でしたいという恋の誘いに森羅が応じ、もはや彼に歯止めなど利かなくなっていた。勿論、学校に誰も残っていないことは、あやめすら帰宅していることは確認済みだけど、エロゲで良くあるはずのシチュエーションが、ここまで背徳的に感じられるのも凄い。多分にBGMの力が大きいのではないかと思っているのだけど、いつも騒がしい教室に蠱惑の音楽が流れ、そこで艶めかしく森羅と恋が絡む。演出って大事だなぁと、エロを楽しむよりも先に感心してしまった。
深い関係になっていこう、森羅は恋が恥じらいを覚えるようになったとしてきます。昔はあからさまな性的アピールをしてきたのに、実際にやると落ち着いてきたと、そのように評価する。おそらく森羅は、昨今における恋の態度は彼女が“女”になったからだと考えたに違いなく、彼は彼女の変化をそう定義づけていた。確かに正しいものの見方だろうし、以前のそれが子どもとしての情緒不安定と思えば、納得出来なくはない。
だが、しかし……果たして本当にそれだけなのか? さっさと性欲を満たしたい、それだけに支配されつつあった森羅は、いつの間にか深く考えると言うことを放棄していた。自分でも気付かぬうちに、いや、気付いているにも関わらず、性欲に忠実となること、欲望にひた走ることを疑問に思わなくなっていたのです。
教室で激しいセックスを繰り広げる最中、恋は突如として高笑いを始めます。突然のことに驚く森羅だけど、それは彼に向けられたものなどではなかった。
「すごかったでしょ!? 感じちゃったんじゃない!? ねえ、ねえ!? 答えてよ――!」
恋の叫んだ先に、そこにいたのは。
「翠!」
名指しされ、息を呑む翠だった。全身を震わせ、顔を青くし、今にも倒れてしまいそうな状態になっても、彼女は森羅と恋から目を逸らせなかった。逸らすことが、出来なかったのでしょう。慌てた森羅は、恋を押しのけて翠に弁解しようと駆け寄りますが、翠は顔を歪めると、そのまま走り去ってしまった。

森羅は恋を初めて抱いたときから、この様な機会が訪れるのではないかとずっと恐れていました。だから最初の内は二人の関係を周囲に隠したし、翠や透香を避けてみるなど、可能な限りの手を打っていた。けれどいつからか、おそらくを二度目のセックス以降、森羅の中でなにかが、箍としか言いようのない物が外れてしまっていた。故にこれは、ある意味で彼の油断が招いた結果と言えるかも知れない。
……本当にそうだろうか? 翠に恋とのセックスを見られた。言葉にすれば単純で、普通なら混乱して頭を抱えたくなるような、そんな絶望的な状況にも関わらず、森羅は「だからどうした」と感じていたのです。世界が一変したことや、翠に見られたことの驚きすらも、森羅にはどうでも良いことになっていた。あまりのショックにおかしくなったのかと森羅は自問自答するけど、それと同時にこんなことを考えている人間は狂っていると言えるのかと、そんな疑問さえ湧いてくる。
恋は森羅に、自分がいつから翠に気付いていたのか、その事実を告げます。私は何となく、セックスを始める前の雰囲気から、恋は最初の時点で気付いていたんじゃないかと思ったのだけど、実際はそうでもなかったらしい。となれば、最初の「あ……」は、足こきを思いついただけか。森羅は気付いていたのなら何故言わなかった、そして追い掛けなくて良いのかという当然の疑問を抱くけど、恋はそれに対してただ一言、『今さらどうしようもない』と返します。確かに、行為を始める前ならまだしも、セックスの最中に目撃されていたのなら、言い訳のしようもありません。だから言わなかったし、止めなかった。翠を追い掛けたところで、なかったことに出来るはずもない。
森羅は恋の答えが自分の導き出したものと同じであることを悟り、今更なにをやっても変わらないから続きをしようという恋の誘いを、あろう事か受けてしまうのです。翠に見られたことを考えながらセックスするのは最高に興奮すると良い、森羅もまたそれに賛同した。それどころか、翠を逃がさず、自分たちの行為を見せ付けてやれば良かったとさえ思った。だからそのまま恋を抱いたし、自分の性を全て解放することに躊躇いがなかった。
そしてその結果、森羅は自分の心に生まれた違和感に気付いてしまったのでした……

長くなったので、2回に分けます。恋ルートは非常に思い入れが強いので、ダイジェスト形式での感想になりましたが、妹モノのシナリオとしては良く出来ていると思います。近親相姦であることを無視しているかのように見えて、実はそうでなかった。後、これは誰のルートを先にやるかで印象が変わってくるでしょうが、翠やあやめルートでの伏線が回収されていたのも良かったですね。元々シリアスだったものが、更に緊迫してきた恋ルート。続きはまた、次回の日記で書くことにしましょう。
夏空のペルセウス感想、2回目は菱田あやめです。彼女のルートに入る前に、私は一応ロードで選択肢画面を開くのではなく、ニューゲームで新しくゲームを始めて見ることにしました。もしかしたら、どこかしらで透香ルートが解放されているかも知れないと淡い期待を抱いたのですが、そんなことは決してなく、何をどうしても選択肢が増えることはありませんでした。試しに10分間画面放置とかもしてみたんだけど、どうやらそんな旧世代機ゲームみたいな仕掛けはないらしい。まあ、そんな物合ったら逆にビックリだけど、これでいよいよ最悪の事態について想定しなければいけなくなった。

あやめルートは、先に結論から言ってしまえば人の痛みとはなにか? ということだと思いました。翠が抱えていた物理的と見せた精神的、あるいは感情的な痛みと違い、あやめのそれは心理的な側面の強いものです。あやめは両親を交通事故で亡くしており、それが心の傷となっている少女です。普段のどこか間の抜けた態度からは想像も付きませんが、あやめは共通ルートの時点で「家ではよく寝られない」など、片鱗自体は見せているんですよね。
森羅はそんなあやめの心の傷を癒やしたいと考えるわけですが、このルートは、森羅があやめに好意を持つ理由が少し弱いような気がしました。森羅とあやめは共通パートでラッキースケベ的なイベントはあるものの、個人間としての付き合いは薄い方でしたし、好意を持つ、惚れるまでの過程がやや駆け足だったように思えなくもない。まあ、あやめは村一番の巨乳で、箱入りのお姫様ですから、一目惚れをしたのだと言われても、別段不思議ではないんですけど……翠はさ、昨日の感想にも書いたとおり親戚だし、性格的な面からも好感を持つ部分が多いと思うし、透香は体験版通りならば別の目的があるから、ルートへ進むことへの違和感がないのだけど、あやめだけは唯一そういうのを感じてしまったかも知れない。描写が丁寧じゃないというより、さて、森羅というキャラはあやめに好意を持って、命がけで惚れるのだろうか? なんていう疑問が生まれてしまったんだよね。勿論、あやめも良い子だけどさ。

恋によると、力の強い彼女が他人の精神的な痛みも自分に移すことが出来ると言います。力の弱い森羅は、未だかつてそうした経験はなかったわけだけど、仮にもし自分にも同じ事が出来れば、あやめの心の傷を、両親を失った痛みを癒やせるのではないか? と考えます。過去から今に至るまで、多くの人の痛みを自分に移してきたであろう森羅にとって、痛みが無くなるというのは相手にとっては良いことなのだという大前提があったし、物理的な傷でないのなら自分がそれほど痛みを負うことはないとも思っていました。
あやめに惹かれていることは事実であり、そんな彼女の力になりたい、そして、自分の力を誰かのために使いたいという願望を持っていた森羅は、あやめに対して能力を発動し、その心の傷を、痛みを自分へと移してしまうのです。
ここで、全く関係ない作品ですが、昔ナースエンジェルりりかSOSという魔法少女系のアニメがやっていました。もう、17年も前のアニメだから知っている人も少ないとは思うけど、私が特に好きな話に、敵の幹部デューイと最後の決闘を行うというものがあります。デューイは強敵であるナースエンジェルを倒すべく、敵の親玉であるブロスから不死身の肉体を授かり、あらゆる攻撃を物ともしない脅威の強さを見せ付けました。しかし、りりかの必殺技を何度も食らう内に段々と様子がおかしくなり、遂に激しい痛みに発狂し始めます。そう、デューイは決して不死身になどなったのではなく、ブロスによって身体から痛覚を消されていたに過ぎなかったのです。やがて限界を迎えた身体は崩壊を始め、見捨てることが出来なかったリリカによって助けられます。
この話に置いて重要なのは、リリカの優しさは勿論ですが、人にとって痛みというものが、極めて必要な感覚であるということです。人は痛みを感じることが出来るからこそ、成り立っている部分もある。痛みに気付かない、痛みを忘れてしまった人間は最終的にどうなるか? デューイが死の淵へ落ちそうになったように、必ず壊れるでしょう。

話を夏ペルに戻して、森羅はそういったことへの思慮が足りませんでした。痛みがなくなるのは良いことだ、自分なら両親の死という悲しい記憶とと心の傷を負ったあやめを癒やすことが出来ると考えた森羅は、見事能力を使用して彼女の中にある痛みを、両親が死んだ事によって生まれた強い恐怖心を自分の中へ移すことに成功してしまいます。だけど、森羅が成功を実感する間もなく、あやめはどこか惚けたように帰宅してしまい、次の日は学校に中々現れないなど、早くも変化が現れ始めた。
昼になって登校してきたあやめは、明らかに普段と変わっており、透香よりも自分のやりたいことを、自由気まま、勝手気ままにやるという性格に変貌していました。あまりに変わりように驚く周囲ですが、森羅は当然自分の能力の影響であると思いましたし、恋もそれに気づき、事情を知っている翠でさえ疑い始めます。
そして、この三人によって話し合いの場が持たれ、恋は森羅にあやめの精神的な傷や痛みを移すに当たって、「実験や練習はしたのか?」と尋ねます。そんな発想があるわけもなかった森羅は戸惑いますが、自分の能力について研究をしてきた恋は、精神的な傷や痛みを移すことの危険性を森羅に教えます。彼女自身は、森羅に対して実験を行っていたなど、とんでもないことを言いますが、今はそれよりもあやめのことです。翠の話では、現在のあやめは猟人が事故死する前のテンションに近いとのことで、これは両親が亡くなったという事実が、あやめにとって重しや足枷になり得なくなったことを意味します。それだけ聞くと良いことのように聞こえますが、実際に森羅があやめから移した、いや、奪ったものは、そんな単純ではなかったのだから。森羅は両親の死という、大抵の人にとって究極的な痛み、恐怖心というものをあやめの中から奪ってしまっていたのです。だから、あやめは何に対しても恐れを抱くことがなくなり、学校には遅刻するし、サボるし、周囲が聞いたらビックリするようなこと当然言うし、やるのです。そうした中で、あやめは森羅に告白し、彼を取られまいと彼氏彼女の関係になってしまうのです。

けれど、恐怖心を失ったあやめの人格は、徐々に壊れ始めます。いくら恐怖心が消えたからと言っても、あやめの中から常識などが完全に消えてしまったわけではなく、彼女は自分の言動や行動のギャップの数々に苦しみ、戸惑い始めます。当然、彼女の奇行とも言える姿は狭い村の中ですぐに噂となり、広まってしまう。誰かと話すだけで信じられないような言葉を平気で言ってしまうあやめは、自分に歯止めが利かなくなっていることを悟ったのか、遂には家に引きこもってしまうのです。
あやめが本来持っていたはずの痛み、恐怖心は、ただ両親を失っただけのものではありませんでした。彼女は両親が事故死した車に同乗しており、一人だけ助かった中、救助されるまでの12時間を、死に絶える両親と、その死体と共に過ごしていた言います。絶望的な状況と現実は巨大な恐怖心となり、それが深々とあやめの心に傷を付け、痛みとなっていた。これ以上にないと言うぐらいの。にもかかわらず、森羅はそうした深い事情を知ることもなく、痛みを取り除くのは良いことだと、あやめから恐怖心を奪ったのです。
そして恐怖という痛みを失った徐々に壊れていき、遂には崩壊寸前まで来てしまった。責任を感じざるを得ない森羅はあやめに本当のことを、自分があやめを壊してしまったのだという事実を告げますが。もはや感情を殺すことでしか自分を保てなくなったあやめは、さしたる動揺さえ見せませんでした。けれど、彼女は森羅に言うのです。「責任を取ってください」と。
村の中で完全に居場所を無くしたあやめは、自分と共に逃げて欲しいと森羅に告げます。それが彼女が彼に課した責任の取り方であり、森羅としては応じざるを得ません。だけど、彼は何もせずにあやめと逃げることを潔しとはせず、一計を案じて透香に相談を開始します。上手く行くかは分からないが、彼としては別の責任の取り方を、あやめを元に戻すことをしたかったのでしょう。あやめとの逃亡計画に同意しつつも、彼は独自に行動を開始します。だけどそれと同時に、彼は本当にあやめと逃げることになるのなら、それでも良いかと、妹の恋でさえ捨てていく覚悟を決めていました。自分と恋のために天領村へと逃げてきたのに、その恋を捨てて別の女とまた逃げ出すという。何とも自分勝手な話だし、私も正直オイオイと思ったけど、それほどまでにあやめへの気持ちが強くなっていたのでしょう。

そして逃亡する日、バス停で待っていたあやめの元に駆け寄る森羅。本当ならばここに透香が現れ、彼女と立てた作戦が決行されるはずだったのだけど……そこに現れたのは、凶刃を手にした恋だった。包丁を片手に森羅を切りつけ、自分を捨てて逃げようとする森羅を取り戻しに来たのです。かつてminoriのイベントで、「あやめルートは火サス」と言われていた意味が分かりました。恋はサスペンス劇場も真っ青な憤怒を持って森羅の前に現れ、自分を捨てた彼を許そうとはしません。
その憎悪と迫力に森羅は圧倒されますが、そんな中にあっても、あやめは無感情で、一切の恐怖心を持たずに恋と接しました。だって怖くないから。包丁を向けられても、自分が殺されそうになっても、彼女は怖いと思うことが出来なかった。それは頭の中から骨の髄まで、彼女が壊れてしまっている証明でした。森羅は自分のしでかしたことの重大さを改めて悟る。
あやめはずっと、ここでは無いどこかに行きたかった。両親が死んでしまったときから、元々都会への憧れもあったにせよ、彼女が翠ルートなどで村の外へ出ることを希望していたのには、そうした理由もあるのです。けどそれは、何も都会で無くてもよくて、極端な話、あの世でも構わなかった。死ぬことへの恐怖など、あやめの中からはとっくに消えていたから。
絶望的な状況の中、それでも森羅はあやめに向かって叫びます。彼女を諦めたくない、壊れたまま死んでいこうとする彼女を救いたい一心で。彼の発言自体は本当に陳腐で、大けどそれだけに分かりやすく、心に響くものがあった。自分が森羅のために死ぬこと、森羅が自分のために死ぬこと。誰かのために死ぬこととは、かつてあやめが最低だと思った、両親の最後に被るものでした。あやめが死ぬぐらいなら自分が死ぬと言って、本当に死んでしまったあやめの両親。残された彼女が負った傷と痛みは大きく、大きすぎて、僅かに残った欠片が、彼女の壊れていた恐怖心を呼び起こした。消え去った両親の死に対する恐怖心が、森羅と一緒にいられなくなるという新たな恐怖心によって、置き換えられたのです。

膝を付き泣きじゃくるあやめは、もはや完全に恐怖へ支配されていました。森羅と恋はそれに気付き、だけどあやめを許す気が無い恋はそのまま凶刃を振り下ろす。死は、彼女が望んでいたことのはずだから。
森羅はその凶刃を止め、もはや妹以上にあやめが大切である事実と、あやめを害するなら恋とて許さないと言い切ります。彼は本気で、本気すぎて、だから恋も凶刃をあっさりと、拍子抜けするほどあっさりと引っ込めてしまった。驚く森羅の前に透香が現れ、恋によって排除されていたと思われた彼女は、実のところ恋と一緒に一計を打っていたのです。本来の森羅の作戦は自分が死んだことにして、曲がりなりにも彼氏の死という事実であやめに恐怖心を取り戻させることでしたが、それに気乗りしなかった透香と、事情を知った恋の「ぬるすぎる」という判断から、まるで火サスのような修羅場劇へと急遽変更されたのだという。結果、あやめは見事恐怖心を思い出し、彼女は村を出る必要が無くなったというわけです。
恋はあやめへの敗北を認めていましたが、森羅としては一つだけ気になることがあった。つまり、恋はどこまで本気だったのか? あれは本当に全部芝居だったのか、といういこと。そんな疑問に対し、恋はどこまで明るい笑顔で、「どう思う?」と逆に聞き返すのでした。思わず聞きたくないと返す森羅ですが、長い付き合いである彼には分かってしまったのでしょう。妹はどこまでも、本気だったと言うことに。

あやめルートは、あやめという少女を通して森羅の持つ能力の側面を見せたシナリオでした。痛みを失うこと、恐怖心が無くなることの意味、そんな人間はどうなってしまうのかという、能力の空回りが表現されています。痛みを移すことは、少なくとも相手にとって都合の良いことだと思ってきた森羅の先入観や前提が、ここで大きく崩れるわけです。自分が痛い思いをすれば、誰かしらを助けられると信じていた少年にとって、それは衝撃的な経験だったでしょう。勿論、恋ほどの力があれば別の結果が生まれていたかも知れないけど、要するに森羅は失敗したのです。それを取り戻すために彼は奔走し、悩み、考え、結果連や透香の力を借りて成し遂げることが出来た。
昨日の翠ルートもそうだけど、この二人のシナリオには森羅の能力が間接的、あるいは直接的に絡んでこそいるものの、能力そのものに焦点が当たるわけではありませんでした。あくまでヒロインが抱えているもの、もしくは失ったものに対して森羅が向き合う話であって、それは自分自身には深く言及されてないんですね。彼女たちに対する想いや気持ちは別としても。だから、そういった部分、つまり核心に触れるのは、残り二人のルートで無くてはならなかった。だからこそ、翠やあやめは夏ペルという作品に置いて、脇役でありサブヒロインだったのでしょう。

明日は恋ルートについて書きます。最後にやりたかった彼女のルートを何故先にやることとなったのか、その辺りも含めた上で、恋のシナリオについて書いていこうと思います。私にとっては、遠野恋という少女こそが夏ペルの象徴であり、自分にとっての一番であるという気持ちは変わりません。あらゆることに先んじて、そのことだけは先に書いておきましょう。
夏空のペルセウス、翠ルートの感想を書きます。minori推奨のオートプレイでやりましたが、あくまで初回プレイの感想なので、二週目以降はまた感じ方が変わってくいるかも知れません。だから、これはまだ私と夏ペルの、翠ルートのファーストインプレッションでしかないことを先に明記しておきます。なにか逃げているような気もしますが、結構大事だと思うのよ。エロゲに限った話でなく、印象ってのは繰り返されるごとに、あるいは時間が経つにつれて変わってくるものですから。

ルートの感想入る前に一点だけ、私は今回の夏ペルを透香ルートからプレイするつもりでいました。理由は幾つかあるんですが、まず第一に透香がこの作品の表ヒロインであると事前の情報で伝えられていたことと、主人公の妹である恋が裏ヒロインだと言われていたからです。表と言うからには王道的なシナリオであり、恋は最後の真ルート、真シナリオみたいな扱いなんだろうと予想し、では最初に表ヒロインである透香を攻略しようと、そう考えていました。
第二の理由に、これも単純な話なんだけど、体験版の引きが透香で終わっていましたから、単純に続きが気になったんですね。あの後、森羅と透香はどうなってしまったのか? それを知りたかったこともあり、私は真っ先に透香ルートへと進むつもりだった。そう思いながら、ゲームをスタートさせた訳なんですが……最初から、「あれ?」とは思ったんですよ。序盤の回想と電車のシーンが、どことなく体験版のそれと違うように感じたから。でも、この所は忙しくて体験版をやり直す暇はなかったし、製品版故の差異か、あるいは単純に私の勘違いや錯覚だと思い直した。まさか、体験版を起動して同時にやってみるなんて無粋な真似出来ませんでしたからね。
ただ、以降の基本的な流れは、それこそ選択肢が出るまで体験版と同じようなものだったから、特筆すべき点はなかったかも知れない。妹の恋と共に天領村にやってきた、遠野森羅という少年が、そこで出会った少女たちと接する中で、自分の能力や他者というものに考えていくわけですが……体験版部分を消化し、待ちに待った選択肢を選択する場面に来て、私は思わず固まってしまった。だって、なかったんです。望楼に行くという選択肢が。

望楼とは、前述の透香が一人天文部として星を観察するために訪れている場所で、彼女に会うためにはそこへ行かなければなりません。しかし、自らの力を使い、それでも救えるのは一人だけだと思った森羅の前に現れた選択肢は、花畑、沢、図書室の3つだけだった。そう、本来入るであろう望楼への選択肢は、ルートロックが掛けられていたのです。
私はminoriがニコニコ生放送でやっているminori通信を視聴しているのだけど、あれを聴く限りでは、この夏空のペルセウスという作品にルートロックはないと思わせる発言があったので、当然の如くユーザーの好きなように、好きな順番でプレイできるものと思っていました。だからこそ、自分の中で続きが気になっていた透香ルートを最初にプレイできればと考えていたし、選択肢の画面が出るまではそのつもりでした。
しかし、現実には望楼は選択肢に存在しないロック仕様になっており、最初に透香を選ぶことは出来ませんでした。勿論、minoriは一度もルートロックを掛けていないと明言はしてませんでしたから、これは私の早とちりや勘違いなのだろうけど、出鼻を挫かれた感じがしないでもなかった。私はここで3つの仮定を立てました。つまり、どうすれば透香ルートは出現するのか、ということについて。一つ目は、誰でも良いからヒロインのルートを1人クリアすること。1人攻略したら出現する隠しルートなんて良くある話だし、透香ルートがそういう仕様になっていても不思議じゃない。二つ目は、これまた単純だけど現状出ている3つのルートをクリアすること。すべてクリアすれば、真ルートである透香が出現する、というわけです。三つ目はあり得ないけど実装ミス。単純に表示されるべき選択肢が表示されないバグやエラーが発生したと言うこと。まあ、こんなことはあるはずもないんだけどね。

このときの私は、おそらく一つ目で透香ルートは開くと考えていました。なにせ、minoriの社長であるnbkzさんは、翠→あやめ→透香→恋でプレイしたと言うし、この順番を再現するには、翠かあやめ、あるいは両方をクリアした時点で透香ルートに行けないとおかしいからです。本音を言ってしまうと、私は透香も先にやりたいが、それよりも何よりも、一番思い入れのある恋を最後にプレイしたかったんですね。これが私の好きな順番というわけで、それでプレイできるもんだと思っていただけに、たとえ勘違いであったのだとしてもガクリときてしまった。
けれど、選択肢が存在しない以上は他の3人から選ばなければならず、私が最初に選んだのは翠ルートでした。この際、minoriと同じ順番にクリアしていこうと思ったんですね。どちらにせよ、恋を最後に持ってこられることには変わりないから、最終的な狂いがないのなら、それでも良いかと考えて。でも、私は一つだけ明確な思い違いをしていた。私はユーザとしての環境でプレイしていたけど、向こうは制作としての環境でプレイできたのだと言うことを。これは後々に置いて、私の中に大きな波紋を広げることとなります。
そんなわけで翠ルートですが、数いるヒロインの中で森羅が翠の元へ向かうという選択は、それほど違和感がないように思えた。なんて言ったらいいのか、翠はこの村に来て最初に出会った人間であり、親戚であり、彼ら兄妹の事情を知りながらも気軽に接してくれる相手です。親近感とはまた違うのでしょうが、森羅が気を許すことにはそれほど違和感もなく、恋ですら翠には懐くとは行かないまでも、敵意の矛先を向けてませんでしたから。そういった意味で、まだしも安全にプレイすることの出来る、入口と言っても差し支えないルートだったかも知れない。

minoriのイベントで、夏ペルをefで例えるなら翠のルートはfirst tale.だと言っていました。ここからも分かるとおり、他のルートに比べてそれほど重苦しいものではないんですね。物語は主人公である森羅の能力がどうと言うよりは、翠の抱える個人的な問題、癒えない傷に焦点が当てられていて、それが一体何であるのかを森羅が考えていくという話です。
では、癒えない傷とはなんでしょうか? 物理的なことを言えば、現代以外では治療困難な重傷や、後遺症、あるいは大きく残った傷跡など、目に見える傷という意味では、癒えない傷は確かにあります。でも、逆に物理的なものでなかったとしたら? もっと違う、精神的な心理的なものならどうでしょう。止まない雨という言葉があるように、心の傷というものは、なかなかに癒えないものです。けど、翠のそれは違います。彼女は山で転んだ際に足を怪我しており、そのため物理的な傷がある。
主人公の森羅と恋には、人の痛みを自分に移す能力というのがあって、かなり一方通行な超能力です。治すわけでもなければ、打ち消すわけでもない。痛いの痛いの飛んでけをしたら、そのまま自分に落ちてきたとしか言い様がない力、これを使って森羅は翠の足を治療します。ここら辺、少し設定が曖昧に感じたんですが、痛みだけでなく傷も移すことが出来るらしいのです。
森羅がそんなことをした理由は単純で、自分と恋の安全を買うため。翠の足を治療することで、彼女を味方に付け、その見返りに自分たちの安寧とした暮らしを守るとしたんですね。下心というよりは、打算的といった方が適切な気もしますが、森羅が翠に好意的だった、好意的にしようとしていた理由は、最初のうちはこんな程度でしかありませんでした。けれど、翠は恋をして例外と言われるほど、二人に対して差別的でなく、能力に対する抵抗感も、精々足を触れるときの羞恥ぐらいなものです。そんな翠に対して森羅が段々と惹かれていっても、心を開いたとしても、さほど不思議ではないでしょう。自分に対してある程度理解があって、怪我があるとは言え、基本は健康的で可愛い娘なんですから、魅力を感じないわけがない。至って単純な話です。

夏ペルという作品は、minori作品特有の共通ルートの短さも相成って、主人公がヒロインに恋する理由が、少なからず軽く感じられることがあります。自分の能力に向き合うためという主目的があるとは言え、なにか壮大な話の末に恋をしたというわけでもなく、言ってしまえば恋を除いた3人のヒロインは、出会って数日と間もない少女たちです。彼女らが転校生で、それまでいなかった同年代の男子である森羅に興味を持ち、惹かれる理由は分からなくもないけど、根本的に人嫌いだろう森羅が彼女たちに惹かれる、あるいは自分から吸い寄せられていく理由が、少し弱いように思えた。まあ、翠については上記の通り、ある程度は惹かれる要因が明確化されてますから、違和感や不思議は少ないんですけどね。
勿論、森羅の人嫌いは恋のそれに比べたら軽い方だし、生来のお人好しな性格から、本質的には他人を放っておけないのだろうけど……うーん、難しい。恋が言うように、森羅はこれまでも自分から厄介ごとに突っ込むことは多かったのでしょう。それは冬空のペルセウスに出てきた心愛もそうだし、そこから先の出来事でも、森羅はお人好しな部分を見せたと言いますから、そういった性格的な部分と恋愛的感情が上手く繋がった、と考えた方が良いのかな? おそらく、恋ルート以外は全部そうなんだと思う。敢えて断定的な文章にしてしまうけど、切欠はいつも森羅の方から作っているんだよ。翠ルートはまだしも単純な、軽めの話だったけど、あやめや透香にしたところで、切欠に関して言えば、それほどの違いはないし。
唯一の例外は恋ルートだけど、彼女については、彼女のシナリオについて感想を書く際に触れようと思うので、ここでは止めておきます。それでなくとも、結構長くなってしまってますから。

翠の抱える癒えない傷、本当の痛みというのは、人間なら誰しもが持っているものだと思います。例えば子供の頃、夜中にベッドや布団に潜っているとき、ふと天井を見上げる。そうすると10年後の自分はどうなっているのかとか、何をしているんだろうみたいな考えが、不安となって押し寄せて、急に叫び出したくなるような、発狂したくなる瞬間ってあるでしょ? つまりは、将来への不安という訳なんだけど、翠はそれが自分自身ではなく、村の存亡という形で現れてしまったのだと思う。
体験版のときから語られているとおり、翠の家は大家族で、彼女は七人兄姉の末娘です。翠が所謂性的なことに興味津々なのは、年の離れた兄や姉の影響もあるみたいですが、家族が多ければ多いほど、それが離れたときのことを強く意識してしまうんでしょう。過疎化が進む村なんて珍しくもないし、余所者の森羅でさえ、天領村がなくなろうとしていることには気付いています。村の相談役を父親に持つ翠なら、もっと身近に、村の窮状に頭を痛める父やその仲間達を見てきたことでしょう。何もない田舎なんて大嫌いだったはずなのに、それでも翠にとっては故郷であり、本当は大好きな場所だった。だから森羅にも村に残って欲しいと思っていたし、故に彼に対して自分の体を許したのです。自分の目的を果たしたいが為に、森羅という少年を村に縛り付けるために、翠は彼と付き合うことにした。翠が森羅や恋の能力に対して、あまり関心を示さなかったのは当然です。だって、そんなもの村に居着いて貰うことことには関係ないから。本人がどこまで意識していたかは分かりませんが、下手に指摘し、差別でもしよう物なら、森羅も恋も村をさっさと出て行ったことでしょう。それは翠にとって、もっとも忌避すべきことだった。

翠はefで言うところのfirst tale.と言うだけあって、確かに宮村みやこのそれと近いものを感じました。要するに面倒くさい女という訳なんだけど、勿論不快な意味じゃなくて、自分自身に対する迷いや悩みから抜け出せないでいるところが、非常に分かりやすかった。みやこが紘という存在を手に入れるために身体を使ったように、翠もまた森羅を村に欲しいが為に身体を使ってしまった。自分のためと村のため、多少の違いや差はありますけど、でもそこに恋愛感情がなかったのかと言えば、これは普通にあるんです。みやこは当然としても、翠にしたところで嫌いな奴に身体を捧げるわけはありませんし、むしろ好きだからこそ、森羅に対して強い好意を抱いていたからこそ、何が何でも彼を村に残したかったんじゃないかな。前述のように森羅は自分か、それ以上に恋の安全や安寧を第一に考えていますから、恋に何かがあったらすぐに村を出たでしょう。翠もそのところは良く理解していたから、多少なりとも強引な手段に訴えなければいけなかったのではないか? みやこが景に勝てないと思ったように、森羅が恋を大切にする気持ちは、翠が村を思う気持ちに匹敵していると感じたのでしょう。だから翠は、自分を介して森羅の気持ちを村に傾かせねばならなかった。
森羅は翠と付き合う内に、そうした事実に気付き始めてしまいます。元々、色々な人間と出会い、別れを繰り返してきた少年です。妹ほどではないにせよ、人間心理に対して鋭い面もあるし、それでなくとも翠の態度があからさますぎた。森羅に対してもそうだし、あやめや、他のヒロインに対しても、翠は村の外の話を嫌い、拒絶したのだから。
大好きな村を守りたい、でも、同じぐらい翠は森羅のことも好きになってしまった。その板挟みは彼女を惑わし、自分のやっていることが正しいのか、いや、正しくないことに気付いてしまった。感傷的な部分はともかくとしても、感情的な発露では、外に羽ばたく鳥たちを止めることが出来ない。翠の両親は、自分の子供たちを独立させ、村の外で暮らすようにと家から出すと言います。外の世界に触れ、見聞を広めよと言うことなのでしょうが、その結果、誰一人として帰ってこなかった。合理的なやり方は、しかし、外の世界に馴染んだ子供たちにとって、現実を知る機会にもなってしまったのでしょう。あるいは村が長くないことを知った上で、名目を立てて先に脱出させていただけかも知れないけど、それは推測でしかないし、翠にはあるのは誰も帰ってこなかったという事実だけです。

森羅はそれが分かった上で、理解しながらも翠に村の外へ出ようと言います。結局、なくなろうとしているのは村の事情であり、村に問題があるのだから、それを探すためにも、改善するためにも、一度外に出ようと言います。そうすることで、森羅は村という存在に縛られた翠を解放し、彼女の負っていた傷を癒やしたんですね。こうして二人はお互いの将来に目標を見据えて、恋人としてまた一歩前に踏み出してくわけです。
以上が翠ルートになるわけだけど、私はちょっとばかし不安がある。話としては綺麗にまとまっているし、テーマもしっかりした翠の話だけど、将来的な部分で気になることがあるんですよ。というのも、もし翠の父親なり、村の人間が森羅や恋の正体を知ってしまったら? あるいは二人を、村のために利用しようと考えるのではないか。げすの勘ぐりなのは分かってるけど、みんながみんな、翠みたいな性格はしていないし、彼女が例外であることは恋が言及しています。森羅とて、悪人じゃないにせよ、自分の身内や親しい者のために、自分や恋を躊躇なく使った人間たちを多く見てきました。だから村の活性化に二人を利用しようと企む奴が現れたとしても、全く不思議はないはずなんです。
そういった輩が現れたとき、果たして森羅はどうするのか? 恋を守り、翠を捨てて村を出て行くのか。まさか、彼だって町興しに自分の能力を利用しようなんて考えちゃいないでしょう。たとえそれが、一番手っ取り早いのだとしても。まず第一に、恋が許すわけもないし。
話自体は綺麗にまとまったけど、先の見通したがそれほど良くもないのが、翠ルートという感じでしょうか? 勿論、そもそも過疎化が進む村の話であり、確実になくなろうとしているのは事実だから、明るい展望など待ってやしないのですが、どっちに転んでも良くないことが起きそうで、心配性の私としては、少し考えざるを得ない。翠が良い子であっても、両親が完全な人格者だとは限らず、主人公とヒロイン以外の登場人物が出てこないという本作独特の作りが、却って周囲に対する不安や不信感を生んでしまった気がして、残念でなりません。

ただ、将来的な展望を抜きにするなら翠ルートは良くまとまっていたし、何より翠はエロかった。巨乳村入村編として考えるなら、好みはあるにしても翠のそれは十分に魅力的だと思う。けど、これは全体的な話になっちゃうけど、オートプレイだとえっちぃシーンも長いね。まあ、普通にえっちぃことすればあれだけの時間は掛かるのかも知れないけど、中の人が長時間えっちぃシーンを録音ししていたのかと思うと、なんだか興奮しちゃうね。なんて、あまりメタ的なことを書いても興がさめるだけかも知れないけど。
明日はあやめルートです。こちらは翠ルートに比べると、やや複雑になっています。
今日はminori新作夏空のペルセウスの発売日と言うことで、朝っぱらから予約した分を引き取るため方々を駆けずり回ってました。結局、私は夏ペルの購入本数を13本に定め、Amazonを除くすべての特典をゲットする方向で決めました。これには幾つか理由があって、8月の末に買った某作品と違い、オリジナル特典というものが極端に少なく、描き下ろしのみで13種類+ドラマCDという非常に集めやすい数だったんですよ。これで、他のエロゲみたいにオリジナルテレカだけで10枚以上とかだったら手も足も出なかったけど、描き下ろしで13種類なら、コミケ前とはいえ別に予算組めば対応可能かなって。実際、全部手に入れましたし。

唯一オリジナル特典、作品CGを用いたポストカードを付けていたAmazonは、前日になって結構な数の注文キャンセルを行ったらしいです。店舗特典付けた上で予約を募っておいて、土壇場でキャンセルするとはちょっと酷い話な気もしますが、やっぱりエロゲは専門店で買えと言うことなんでしょうかね? 私がAmazonを購入リストから外した理由は、特典が描き下ろしでなかったことと、特典のポストカードが何故か翠2枚に透香1枚という何とも言えない攻勢だったので。恋がいれば考えたかも知れないけど、熟考した末にキャンセルされたら堪ったもんじゃなかっただろうし、これで良かったんだと思う。
私は大作や話題作と言ったエロゲが出る場合、特典を集める際にヨドバシやソフマップは地元横浜ではなく、隣の川崎で行うことが多いです。これには幾つか理由があって、横浜のソフマップはビブレの上にある関係上、開店時間が11時と、秋葉地区などの店舗に比べて遅いんですね。それに比べて川崎は10時と標準だし、それでいてどんなビッグタイトルの発売日でも混みませんから、購入までが非常に簡単で。しかも、秋葉への移動も東海道線で東京まで行けるため、移動に30分と掛からない理想的な立地なんです。
で、ヨドバシの方はどうなのかというと、こちらは基本的に開店時間が9時半とソフマップよりも早いので、先に済ませることが出来るというわけ。ただ、今回に限ってはちょっと事情が違って、夏ペルのソフマップ分は地元横浜店で予約していたんだよね。これは、夏頃行われた早期予約キャンペーンの影響で、あれの為にわざわざ川崎まで行って予約するのが面倒だったため、地元で済ませてしまったという経緯がありまして。
それでも、ヨドバシ自体は川崎で予約した方が便利だから、川崎を選択したのですが……何気なくサイトを見ていたら、私はとんでもないことに気付いてしまった。なんと、12月のヨドバシは期間限定で朝9時より営業するというのです。

思わぬ開店時間の早まりに行動予定表の修正を迫られた私だけど、30分早く秋葉原に着けると考えれば、それはそれで儲け物かも知れない。そう開き直ることにして、まずはヨドバシへと向かいました。ここはラストスパートキャンペーンのクリアファイルが、キャンペーン開始時には入荷が遅れて貰えなかったことから、発売日にソフトや特典と一緒に貰えることになっていた。記念すべき1本目だけど、ヨドバシは早期予約特典目当ての相次ぐキャンセルから全額内金に変わっていたので、予約表を見せて引き取るだけだった。通販も含めて、夏ペルは事前に全額払ったのが結構多くて、意外と当日の引取がスムーズでしたね。
ヨドバシが済んだ後は満員電車に乗り込み秋葉原まで。計算では10時より前に到着するはずでしたが、これには特に誤差もなく、45分頃には着いたんだったかな? まずは駅前のゲマ屋から攻略し、その後中央通りに繰り出すと言うことで、実はこのゲマ屋もイベントがあった関係上、既に全額内金で支払い済みでした。2Fより上の開店時間と同時に6Fへと駆け上り、恋の特典シーツ付きをゲットして中央通りへと移動。近隣のメディアランドでも予約していたんだけど、こちらはなにせ10時半の開店でしたからね。30分あれば、2店舗ぐらいは攻略できるだろうと後回しにしたんです。
流石は月末エロゲの日というだけあって、中央通りの各店はそれなりに混んでいました。道なりに進んで、ゲマ屋の次に行ったのはトレーダーなんですけど、こちらも私が並んだ以降は店の外にまで列が伸び始め、結構ギリギリだった。ここでは翠の抱き枕カバー付きをゲットして、旧メッセさんオー時代のポイントカードがあったので、それを使用して値引きできたのが嬉しかった。トレーダーになってからは、そういうサービスもなくなったのが残念ですね。まあ、50ポイント貯めても500円しか割り引きできないんだけど。1000円で1Pだから、5万円分はあの店で買い物してることになるんだけど、なにをそんなに買ったかまるで思い出せないという。

トレーダーを済ませた後は、げっちゅ屋へ向かいました。正直、当初の予定ではここが一番長く掛かると思っていた。というのも、この次に向かう予定だったメディオが店内改装の結果、かなり列捌けが良くなっていたことから、げっちゅ屋の方が時間掛かると思ったんです。実際、30分程度掛かりましたからね。恋の抱き枕付きを購入し、もう一つ、きゃんでぃそふとの新作ガンナイトガールを買いました。数ある12月の新作から、夏ペル以外にも欲しいものってのは結構あったんだけど、その中から私が唯一選んだのが、このガンナイトガールだった。きゃんでぃの作品を買うのは初めてだったと思いますけど、私は数年に一度、無性にミリタリー系のエロゲをやりたくなることがありましたね。すめらぎ琥珀の絵も嫌いじゃなかったし、買ってみるのも良いかなと思って。
げっちゅ屋では前日に書籍の注文もしていたので、それがあれば引き取りたかったのだけど、他の店舗では発売しているのに、ここだけ何故か入荷が遅れているらしい。何ともいい加減な流通みたいだけど、まあ、急ぐものではないというか、他の店舗で買った分もあるから、週明けでも良いかと思い直して次の店、メディオへと向かいました。
メディオは半ば予想していたことだけど、店舗前の列から更に伸び、別の場所で最後尾が形成されていたのですが、最近の傾向からそんなに長く掛からないだろうと考えていました。どんなに掛かってもげっちゅ屋と同じ30分かそこらで終わると、そう信じていたのだけど……甘かった。列がさ、ピクリとも動かないんですよ。実際はちょこちょこっと動いてるのかも知れないけど、感覚的には殆ど止まっているのと同じで、結局購入までは1時間から1時間半ぐらいは掛かったんじゃないかな? これが今回の夏ペル回収における最大の誤算というか、まさかメディオで今更1時間半も掛かると思ってなかっただけに、その後はかなり苦労することに。まったく、これだからあの店は回避候補筆頭だというのに。

メディオで恋のテレカ+下敷き付きを購入した後は、そのままメディアランドに向かって秋葉原地区における最後の一個を手に入れました。ここは所謂共通テレカの着く店舗で、恋&翠のテレカが付いてきます。秋葉原を出たのは12時半と、10時前からいたことを考えると、かなり時間を食われました。げっちゅ屋とメディオで2時間も掛かったから、まあ、当然の結果なのかな。
東京で東海道線に乗り換えて、可能な限りの速さで横浜へと戻った後は、そのままアニメイトへ。私がこんなに急いでいるのには、実は幾つか理由があって、AMPnetなど通販で注文した分の配達時間指定を、14時以降に設定していたんですね。流石に10時から秋葉居るんだから、14時には家帰っているだろうと、これまでの経験に照らし合わせた時間設定をしたつもりだったのだけど、今回は横浜に戻った時点で13時過ぎてましたから、全くの余裕がありません。更に言えば、夏ペルの豪華版がピザ箱に似ていることから、夏ペル買ってピザを頼もうイベントがminoriユーザーの中で開催されることとなり、私も1枚注文していたんですよ。こちらはもしものことを考えて、14時15分以降のお届けにしてたんですけど、それすら間に合わなくなってきたから、まったくどうしたもんかという感じで。
一応、家人に連絡を入れて対応するように頼みはしたけど、出来るなら自分で受け取りたかったと思いつつ、アニメイトでは透香のA3タペストリー付きを購入。A3だと、やっぱり小さいですね。透香はソフマップ通販にもタペストリーが付いてますけど、こちらはB2サイズだから差が歴然としていたように思う。意外にも私の前に並んでいた人も夏ペルを買っており、アニメイトはそれなりに注文があったみたいですね。そういや、夏のキャンペーンクリアファイルも捌けていましたから、少なくともその分は注文があったのだろうか。
アニメイトを済ませ、次は西口のソフマップ横浜店へ。夕方頃になると混み始める店内も、この時間帯はまだまだ空いており、並ぶことなく恋のタペストリー+ドラマCD付きを購入できました。秋葉原の店舗が長蛇の列であることを考えると、ソフマップは地方店で買った方が早くて便利だね。横浜は何度か改装しているとは言え、エロゲの取り扱い規模では秋葉のそれに匹敵するし、一時期は日本一だったこともありますから、結構好きな店舗だったりします。まあ、ちょっと他店舗に比べて高価格なのがアレなんですけど、これは特典の数にもよるのでしょう。

ソフマップの次はメロンブックスと言うことで、ここは店舗購入では唯一シンプル版を予約していた店です。私としては、シンプル版も一つぐらい購入しておいた方が良いだろうという考えで予約したんですが、最近のメロンはエロゲの価格が結構安いのと、私が普段利用する店舗だからポイントが貯まっていたこともあり、4000円ぐらいで買えちゃいました。勿論、特典のあやめクリアタペストリー付きで、クリアタペってどんなのだろうと思ってましたが、これはなかなか良いですね。背景を白にしたのが、却って透明感溢れる仕様になっており、良い味だしてると思いました。
そして最後はとらのあなということで、このときには私の両手も大荷物で塞がり、冬にも関わらず汗びっしょりと、かなり疲労困憊していました。見かねた店員のおねーちゃんが、大荷物を一つの袋にまとめてくれると良い、それで結構楽になったけど、ある程度は両手に分散させておいた方が軽かったりもするんだよね。とらの特典である、あやめお風呂ポスターをゲットしたわけだけど、紙ケースに入っているわけでもなく、ビニール梱包された太巻きというのが少しに気になった。幸い無事だったけど、場合によってはすぐ痛めてしまうんじゃなかろうか。
まあ、兎にも角にも全店舗購入を制覇したわけですが、この時点で時刻は14時を回っており、電車に乗る頃にはピザが届いたという知らせを家人から受けることに。降りる頃にはクロネコも佐川も到着しており、眠いだろうに迷惑を掛けてしまった。まあ、ピザ半分上げましたけどね。
しかし、Amazonを回避したから本当の意味でコンプリートしたわけじゃないにせよ、夏の末に出た作品でも果たせなかったことを、年の暮れに達成できたわけだから、私としては結構満足しています。これを記念に、来年はもう複数購入なんてバカな真似は辞めようと思っていますが、既に幾つか気になる作品もあったりと、自分の自制心に早くも陰りが見え始めている始末。まあ、それでなくてもお金がないですから、早々に複数購入など出来ないのだけど……冬コミで相当額消えちゃうだろうしね。いや、その前に電気外祭りがあるのか。あれもminoriの出すグッズを幾つか買う予定だから、予算組んどかなきゃいけないな。通販でも良いんだけど、一部グッズは通販に回らないし、そもそも高いから。コミケはトイプラブースに委託されるはずですが、あそこは並ぶし、寒空の企業ブースには良い想い出がないので。

けど、一つ思ったんだけど、今回の年末商戦ってプリコレ始め結構な数が延期したわけじゃない? もし仮に、アレが延期してなかったら、げっちゅ屋とかメディオとか、どんだけ混雑したんだろうね。考えただけでも恐ろしくなるけど、逆に夏ペルだけであれだけの数を集めたんだと思うと、minoriはやっぱり凄いなという気分にもなる。既にプレイは開始しているので、感想書くのは明日から始めていこうかと思います。体験版の感想も書いていたのだけど、アップ前にデータが吹っ飛んだから、どうしようかちょっと検討中です。
そういや、Twitterで庄名さんから秋葉でニアミスしたっぽいことを言われたけど、それも少し残念だったかな。まあ、急いでいたから仕方ないのだけどさ。
年忘れ企画第五弾、TARI TARIです。実はBD買ってないんですけど、Anotherと同じくP.A.Worksの作品で、こちらはオリジナルアニメですね。地元ではないですが、神奈川県は鎌倉、江の島が舞台と言うこともあって、放送前から多少の興味は持っていました。セイクリッドセブンとかもそうですが、東京近郊の海辺の街と言うことで、湘南方面を舞台にする作品は近年多くなったかと思います。今は聖地巡礼というのが流行っていることもあって、そういった意味で元から観光地でもある江の島は、なにかと都合が良いのでしょう。

男子高校生の日常と違って、TARI TARIは明確に話の流れ、つまりストーリー性の一本の物語になっています。各登場キャラクターの抱える問題に焦点を当てつつ、それを順番に解決し、仲間達で前に足を踏み出していく感じ。まさに青春群像劇と言いますか、年甲斐もなく熱中してしまいました。私が高校生だったのは随分と前の話だけど、当時はなんて言うか、自堕落に生きていたなと思う。決して楽しくないわけじゃなかったし、それなりに面白かったんだろうけど、思い返してみれば、なにかに打ち込んでいた訳じゃないんだよね。
私は今でこそ同人活動なるものに精を出しているけど、それを始めたのだって個人サークルという意味ではたった4年前の話だし、一体それまでの自分は何をして生きてきたんだろうとさえ思う。文章にしたところで、物心ついたときから書いてたとか、そんなこと全然ないからね。むしろ、私って文字書くの嫌いだったんですよ。作文とか本当に大嫌いだったし。
TARI TARIは、ある意味で私が見てこなかった夢を、将来と言う物についての考え呼び起こさせてくれた。私にも夢があったし、なにかをしたいとずっと思っていた。でも、出来なかった。やろうとしなかった。そのまま大人になって、何となくやりたいことやって、就職して、気が付いたら人生こんなところに来てた。もう過去には戻れないし、あの学生時代は懐かしいものでしかないんだけど、じゃあ、今はもう何も出来ないのか、ただ歳を取っていくしかないのかと言われたら、違うよね。これは現在放送中のさくら荘のペッとな彼女を見ていても思うけど、まだこれからだと思うんだよ。

学生時代に限らず、自分が若いときにこうしたかった、こうありたかったというのは結構あるけど、それはあるいは今だから言えることであって、この年齢と、その感性を持ったからこその結論かも知れないじゃないですか。そりゃ、人生長く生きてくれば、アレは失敗だったとか、これはどうしようもない見たいなことは幾らでもあるし、それらは本当になければ良かったことなんだろうけど、そういう細かい部分を引っこ抜いても、自分の生きてきた道を否定する気にはなれない。
TARI TARIの面々もそうで、彼女たち、あるいは彼らは、10年後振り返って、あちゃーと頭を抱えることがあっても、決して後悔はしないし、自分たちの学生時代を楽しくなかったとは思わないんじゃないかな。それはちっぽけな、些細な想い出なのかも知れないけど、それはやっぱり自分たちで築き上げてきた、大切な宝物なんだよ。
私も出来れば学生時代にそれだけの経験を積みたかったけど、それは別に今からだって遅くはない気がする。私は10歳だった頃、10年後の自分が想像出来なかったし、15歳になった頃も同じく想像付かなかった。20歳になったときもそれは変わらず、あと少し経てば30歳になろうかという時になっても、さほどの実感がない。でも、何事もなければ時間は経過するのだから、私がその場所からまた振り返ることは、出来るはずだと思うんだ。
ここから初めて、その先に何が待っているのかは当然分からない。だけど、ずっと先に立って居るであろう私が振り返ったとき、自分の歩いてきた道を少しでも良いものと感じられるようにしたいと、そんなことをこのアニメを見ながら思ったんです。それは決して簡単なことじゃないけど、出来ないことはないはずだから。

あまりTARI TARIの話を書きませんでしたけど、何気に売っているヒロイン達の抱き枕カバー、アレが一々背徳的な絵柄で困りますね。エロゲキャラと違ってさ、作中で等身大の女子高生としてみてしまったから、あそこまでエロいと却って戸惑いすら生じるというか。私はアニメ柄の布物がそれほど得意ではないので回避しますけど、不思議と不快感はないんだよね。男の悲しい性か、あるいはそれもまたアニメの一部だと認めているのか分かりませんが、来年もああいったオリジナルアニメに期待したいところです。
年忘れ企画第四弾……まあ、この作品についても書いておかねばならないでしょう。ある意味で、今年を象徴する作品の一つです。かつて、ヨスガノソラを発売したSphereの第三作にして、完全新作として作られたのが、このイモウトノカタチという作品。私はご存じの通り、ヨスガノソラが大好きな人だったから、イモウトノカタチには発売前から色々な感情を渦巻かせていたと思う。

なんというか、発売された当初の感想は本当に酷評したけど、時間が経った今は少しだけ落ち着きました。一転して面白くなったのかと言われれば、別にそんなこともないのですが、あれほど苛烈に否定するほどでもなかったかなと。どちらかと言えば、そこまでの価値もなかったんじゃないかという部類だけど、あの頃はなにせヨスガノソラへの強い感情が残っていたから、相対的に辛く当たっていたという一面は、確かにある。
ただ、作品として、特にシナリオの出来がお世辞にも良かったとは思えないのも事実だし、決して良作ではないんだよね。これだけはハッキリ断言してしまうけど、結局萌えゲーアワードですか? あれに掠りもしませんでしたし、世間的な評価も似たようなものだったんじゃないかと。8月発売作品だから、ギリギリ選考対象に入っているはずだし。
私は未だに美馬雪人という主人公が許せないし、あいつほどの馬鹿は見たことがないという感じなんだけど、じゃあ、あいつがお利口さんだったらどうなのか? と考えることもある。シナリオというか物語があんな感じである以上、雪人はどうあっても雪人でしかないんだよ。彼には個性があって、ありすぎたが故に暴走してしまって、私はその過程は許せないけど、結果のすべてを否定するつもりはあまりない。まあ、真結希ルートは正直どうかと思いますけど、あれにしたってハッピーエンドであることには違いないわけだから。伏線投げっぱなしとかも、よくよく考えたらある程度は推測出来るものばかりだ。勿論、回収するに越したことはないんだろうけど、そう、今となっては本当にどうでもいい。一つ分かったことがあるんですが、私は要するに興味を失ったのだと思います。イモウトノカタチという作品にも、そして、Sphereというブランドにも。今はそれ以上に熱中するものがあるというか、まあ、冷めたんだろうね

私がこうなってしまった訳、ヨスガ本を落とした本当の理由というのは、実は結構大きいものがあるんだけど、それも今となってはどうで良いというか……イモウトノカタチは、ある意味で一つの契機だったのかも知れない。ヨスガノソラという作品に縛られていた私が、Sphereに多大な期待を寄せていた私の、心の中にあるなにか重要なものを砕いていった。それは確かに重要だったのかも知れないけど、じゃあ、それが大事だったのか? と言われたら、なんとも答えようがないというか。
まあ、ここら辺の話はまた別のときに書きたいから、今は詳しく書かないんだけど、イモウトノカタチはVFBの方が発売決定しましたね。いつもの公式通販かと思いきや、どうやらPUSHを出しているMAXから出るらしい。幾ら評判良くなかったからって、公式で出しているVFBまで辞めてしまうのかと思ったけど、あるいは同人誌扱いだったスーロリ等の捌けが悪かったことから、出版社から出すことで一般の書店流通も狙えるように切り替えてきたのかも知れない。まあ、いずれにせよこれでイモウトノカタチという作品も打ち止めであり、FD等は出ないと考えた方が良いんでしょうね。そもそも、CUFFS系列でFD出たのってヨスガぐらいですし。
私個人としては、この際アニメ化でもしてくれた方が家にある在庫とか、グッズ類をまとめて処分できて嬉しいのだけど、この調子じゃ無理だろうねぇ。売れたことには違いないけど、これと言った話は聞かないし、多分無理じゃないかな。グッズと言えば冬通販がそろそろ始まるけど、さて、これも買うのかどうか。

自分の中で消化し切れてないものがあって、それは感情とか、感覚とか、あるいは観念的なものなのかも知れないけど、もう少し引っ張るかも知れません。些細なことなのか、重大なことなのか、それすらも今の私には分からなくなっている。一体、私自身が何をしたいのかさえよく分かっていないから。
私はイモウトノカタチでなにかをしたかった気がするし、ヨスガノソラでなにかを続けたかった。でも、結局そこから逃げたんだよ。逃げたからこそ、今の自分がある。これについては、明確に書かなくては行けない場所があるから、そっちで書くつもりだけど、じゃあ、私はこの先どこに行くんだろうね。それさえも、見えなくなってしまった。
年忘れ企画第三弾、本日は男子高校生の日常です。ただ、この作品は私が買っていたわけではなく、身内が全巻揃えたものです。私自身、欠かさず録画して視聴していたのだけど、それに身内も乗っかってきた感じかな。サンライズは銀魂のスタッフが作ったギャグアニメで、原作はWebで連載されている漫画作品ですね。アニメの終了からしばらくして、先々月ぐらいでしたか? 完結したのだけど、どちらも程よく笑わせて貰いました。頭を使わずに見られる作品ってのは結構貴重で、今年はそういうのを重要視していた気もする。

タイトルに日常と入っているとおり、この作品は男子高校生の日常生活をメインに繰り広げられるギャグアニメで、メインどころの男子高校生たち以外にも、兄弟姉妹だったり、他校の女子高生だったりと、個性的なキャラがわんさかと出てきて話を盛り上げます。時折、主人公が誰かも分からなくなるぐらいに、どいつもこいつもキャラが立っているんだけど、声優にベテランが多いせいか、どのキャラも非常に安定しており、少しもくどくない。
私が気に入っていたのは、生徒会とりんごちゃんのやりとりとか、後はなにかと酷い目に遭ってるミツオ君なんだけど、やっさんのインパクトも相当だったし……1話は何だかんだで優れていたよなぁ。OP曲の歌詞とかも結構好きで、なんだろう、タイアップだとしても等身大の男子高生と言うのが伝わってきたというか、胸躍る感じがしてさ。ワクワクするって言うの? 別に話は壮大でもないし、日常もののギャグアニメなんだけど、なんか心にグッとくるものがあった。
女子高校生は異常も、短いながら衝撃を与えてくる話が大きく、特に原作のラストには愕然としました。だって、羽原って本質的には何も変わってないどころか、表面的にもさほどの変化がなかったということなんだから……いやー、女って怖いね。
女性の方が戦闘力高いというのはラノベで良くある設定だけど、男子高校生の日常はそれがギャグとして成立しているぐらいですから、強面とか一端の不良っぽいのが女子高生に良いように振り回される様は、笑えるながらもどことない悲哀を感じさせるね。まあ、そういった荒事とメインの三人はあまり縁がないみたいだけど、そういえば気になったことが一つ。何話だったか忘れましたが、ヒデノリが田舎に行ったときのこと。あそこであった少女が、従妹であることを理由に恋の花を散らしてましたけど、従妹なら問題ないじゃんと思うのは、やはりエロゲ的な考え方なんだろうか。

原作の方は残念ながら終わってしまいましたので、アニメの2期を期待するのは難しそうですが、DVDを見返すだけでも結構面白かったりするので、これはこれでありなのかな。ギャグアニメというのは、一つ間違えばから回ってしまうものも多くて、所謂ギャグが寒い作品というのは少なからず存在します。そういった好みに合わないものは、普通に切ってしまえば良いだけの話なんだけど、男子高校生の日常はその点安定していたかなと思う。
あくまで現代社会における日常を描いているわけだから、これといったファンタジックな要素もないし、大真面目にっていう言い方は変だけど、全力で馬鹿やってるなという感じが有り有りと伝わってきて良かった。肩の力が抜けて、息抜きになる。そういう作品が週に一本ぐらいあると、割と気が休まるものですよ。まあ、今期はそういうのないけどさ……いや、ギリギリあるか。でも、30分アニメという意味ではやっぱないよね。
身内にDVD借りて見直しているけど、こういうギャグアニメで思うのは、単巻で一々入れ替えるのは少し面倒。もっと一気にガッと見たいのだけど、そういった意味では放送時のを録画した奴の方が観やすいのだろうか。勿論、DVDやBDの方が画質は上だし、特典映像等も充実してるんだけど。今見ているのは4巻だけど、ミツオ君やっぱり面白いわ。というか、この巻はレベル高いね。ドラクエごっことかも入ってるし。

なんか今年は最初の方が良くアニメ見ていた気がするわ。勿論、全クールに渡って色々な作品は見てきたけど、明確に嵌まったと思える作品は、冬アニメの方が多かったも知れない。あの夏とかも冬アニメだしね。まあ、私の好みの問題だから、春から秋にかけて失速したなんてことはないんだろうけど、冬以降で見ていた作品と言えば……信奈とTARI TARIぐらいかな? ジョジョは確かに面白いけど、あれはある意味で万人向けのアニメだから、誰だって嵌まると思うんだよね。今現在二部がやってますけど、さて何部までやるのかな。
そういや、同じガンガンONLINE系の漫画と言えば、某作品がアニメ化するらしいですね。アレをアニメ化してどうするんだという感じがするけど、私はもう本当にアレを読むと心が痛くってしょうがない。男子高校生の日常みたいに笑うのは、無理じゃなかろうか。
年忘れ企画第二弾ということで、今日は漫画です。私はあまり漫画というものを読む方じゃなくて、たまに職場で貰うのをパラパラめくる程度なんだけど、この作品に関しては事前情報なしに店頭で一目惚れしました。しかも、発売されたコミックを見て、ではなく、これから発売されますよと言うチラシで。確か、ゲマ屋本店だったかな。階段だったかに貼ってあって、なにかの拍子に見かけたのが、まさに運命の出会いでした。すぐにネットで情報を検索し、特典が沢山出ることを知って集めることを決意。読んだこともない、チラシしか見たことのない作品を。そしてそれが、今年一番の良い買い物になった。

ご注文はうさぎですか?と言う作品は、まんがタイムきららMAXで連載している4コマ漫画で、この日記でもコミックスの1巻を始め、何度か取り上げていますね。日本のどこかにあると思われる、木組みの家と石畳の街を舞台に、個性的なヒロイン達の日常を描いた作品です。主人公のココアが居候するラビットハウスという喫茶店をメインに展開される話は、昨今ありがちな萌え系日常4コマにしてはネタが立っており、非常に読み甲斐があった。
作者の題材に対する知識量が豊富なのか、設定やネタに全く無理がなく、自然と受け入れられるんですよね。それでいて、絵柄やキャラの可愛らしさが際立っているから、純粋にクスクスと楽しめてしまう魅力がある。丁度、私の手元には先頃発売されたMAXの2013年2月号がありますけど、最新号でも心を温めて貰いました。何というか、癒やしってのはこういうことを言うんでしょうね。物語そのものにある無邪気さが、私の感性にピッタリと一致したんだろうか。多分、漫画作品としては数年ぶりに入れ込んでると思います。
コミックスを大量購入したのには、特典以外にも理由があって、1巻とMAXの5月号だったか? それを買って応募する、限定100名のフルカラー冊子というのに興味があって。作者のKoiさんはカラーが非常に鮮やかで、私が好きなタイプの色合いなんですよね。それが作品全体にも浸透しているというか、良い色を出しているんだよ。あぁ、自分の求めていたものはここに合ったのかって感じがしてさ。
私が同じく買っている4コマ漫画と言えば、ブレイドで連載しているスケッチブックがありますけど、アレは色が濃すぎて逆にモノクロに見えてしまうと言う。アニメのタイトル、full color’sだったのにね。

MAXでは金色モザイクのアニメ化も発表され、本作も次ぐらいに内定していそうな予感がするけど、私としてはもう少し巻数を溜めて貰いたい。最近は、1,2巻しか出ていない作品をアニメ化しすぎだと思うし。4コマ漫画の青田買いといいますか。せめて、4巻ぐらいは出ていて欲しいんだけど、それじゃ遅いという考えがあるのかも知れない。
まあ、それは良いとしても、1巻以降の本誌では登場キャラクターが増えたり、ティッピーの秘密が僅かながら明かされたりしてますけど、これに関してはちょっと予想外だった。てっきり私は、チノのおじいちゃんが魔法か呪いでも掛けられてウサギの姿をしているんだとばかり思ってましたが、実際におじいちゃんが亡くなったのは事実であり、ティッピーというアンゴラうさぎはラビットハウスで飼われていたペットみたいですね。そのペットに、おじいちゃんの魂なりが乗り移ったというのが正解らしい。チノも詳しい理由などは知らないらしいけど。
新キャラの青山さんも良い感じですね。私は職業柄、作家系のキャラには少し苦手意識があるんだけど、この人は文学少女がそのまま大人になりましたって感じで、個性的なようでそこまで癖がなかったりする。あと、チノのクラスメイトたちも良い味を出してますね。まだまだサブキャラといった感じですが、青山さんみたいにこの所全話登場している人もいますし、今後の活躍にも期待できそうです。チノと同じ目線、年代の子がいるってのは良いことだと思うんだ。

2巻がいつ頃出るのかは知りませんが、1巻が確か2月だった気がするので、来年の割と早い時期には出るのかな? まだ分からないけど、雑誌で読んでいるとは言え、私にとってはとても好きな作品だから、普通にコミックスを買いそろえるのだと思います。そういった意味でも、アニメ化にはしばしの猶予が欲しいですね。アニメからのファンが入ってくるのが必ずしも悪いことだとは言わないけど、今しばらく箱の癒やしの空間で、ノンビリとコーヒーを飲んでいたいから。まあ、私は実のところコーヒー苦手なんだけどねw お菓子は洋菓子が好きだけど、普段はお茶ばかり飲んでるから、甘兎庵の方が性に合っているのかも知れない。ハーブティーは……うん、紅茶の方が良いかな。
少し早いですが今年も年忘れ企画と言うことで、私が2012年に嵌まったアニメ、漫画、ゲーム作品などについて書いて行こうと思います。まあ、今年を振り返る意味でもあるのだけど、企画を書き始めるに当たって調べた限り、去年ほど何がどうって程でもないかなと思う。2011年の時に取り上げた作品は、夢喰いメリー、蒼穹のファフナーHEAVEN AND EARTH、俺たちに翼はない、「C」、セイクリッドセブン劇場版そらのおとしもの時計じかけの哀女神、そしてましろ色シンフォニーになります。

これらの作品って、実は全部BD買ってる物なんだけど、今年はBDを買い集めた作品ってのが極端に少なくてね。だから、この企画をやろうかどうか迷ったんだけど、まあアニメ以外も取り上げていけば、それなりの数になるのではないかと思いやってみることに。そして、そんな中では唯一BDを全巻購入したのがこの作品、Anotherになります。綾辻行人の同名小説をアニメ化したものですが、私は最初、あまり見る気がなかった。小説自体は野性時代に連載されていたものを読んでいたのだけど、なにせホラー作品ですからね。映像化されると、怖いじゃないですか。まあ、Anotherは他の綾辻作品に比べると、まだしもライトなテイストだから読みやすいものの、最近のアニメは修正が出来るのを良いことに、平気でグロ描写とかバンバン出してきますからね。夜寝られなくなっても困ると言うことで、何となく回避したかったのだけど……キャラデザが好みでさ。ヒロインである見崎鳴の声優は、正直その当時はよく知らなかったものの、既に私は声優というものにさほどの興味を抱いてなかったし、それを理由に視聴判断はしないのだけど、PVを見たらそこそこ良い感じで。
まあ、怖かったら視聴中断して切ればいいわけで、物は試しに1話だけと思ってみてみたのですが、これがもう本当に面白くてさ。流石P.A.Worksと言うべきか、年の初めからここまで杭入れるようにアニメを見て、来週が楽しみで楽しみで仕方ない、と思ったのは久しぶりだった。勿論、原作を読んでいますからオチは知ってるんだけど、映像で見る楽しみというのを再認識したと言いますか。まあ、ラストの展開は正直どうよ?って思わないでもなかったけど、BDを買ってしまうぐらいには熱中し、好きになれた作品でした。

BDを買う中で夜見山中学卒業式と題したイベントに参加したり、今年の初めはAnotherに結構お金を使っていた気がしますね。漫画版も買いそろえたし、スニーカー文庫化から出た文庫版も改めて買って、まあ、実写映画の方は見に行きませんでしたけど、P.A.から出たバカ高い設定資料集は買いましたし、角川から出たムックも買ったし、グッズ類を集めるという意味では去年のアニメよりも力を入れたんじゃなかろうか? 勿論、小物類は別としてもですが。そういや同人誌も結構買ったっけ。
今は外伝の方が電子書籍で連載中らしいけど、私はなにせスマートフォンの類いを持っていませんから、そちらがどうなっているかはよく分からない。なにせ、Another外伝の連載と同時に無料期間が終わってしまいましたから、どうしたって読むことできないと言うね。まあ、スマートフォン買えば良いだけの話なんだけど、なかなか手が出なくて。
ただ、Anotherのアニメについては少なからず文句もあって、それは作品終盤の出来とかそういうのじゃなく、実はこれ来年の3月にBlu-ray BOXが出るんですよ。単巻のBDが最後まで出て、1ヵ月後ぐらいだったかな? BDBOXの情報が公開されて、そりゃもう非難囂々ですよ。大した特典があるわけでもないBDをやっと買いそろえたと思ったら、すぐにBOX化の情報が出たんですから。確かにAnotherはホラーアニメという都合上、放送時の盛り上がりっぷりに比べてソフトの売り上げが芳しくなかったけど、だからって普通BOXの情報をこんなにも早く出すか? 真面目に単巻で買いそろえていたのが馬鹿みたいじゃないか。

しかし、それでもAnotherのアニメが面白かったし、楽しかったという気持ちが薄れるわけではありません。最後の展開は正直どうかと思ったし、資料集等に書かれていたスタッフ側の発言等にも思うところはあるのだけど、まあ、それを含めて許容できる作品だったんじゃないかと。BOXの件は流石にどうかなって感じですが、角川書店なんてそんなものですよ。買う理由はないけど、まあ、先の話ですからね。値下がりした頃にでも、まだ興味があるのなら考えてみようと思う。
なにはともあれ、見崎鳴は可愛かったし、榊原恒一は良い主人公だった。どうか二人には幸せになって貰いたいものです。

< 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 >