奪われたのは地位か名誉か
2010年7月2日 アニメ・マンガ
黒執事Ⅱを身内が視聴するというので私もとりあえず見てみることに。前作は坂本真綾が主演だったという理由だけで見てたけど、女性向けでありながらなかなかに面白いアニメだった印象がある。桜蘭高校ホスト部もそうだけど、真綾が主役の女性向けは良い感じのが多いですね。まあ、今回は主役も主演も全部変えたオリジナルという触れ込みだったわけだけど……視聴後は色々な意味で驚いたというか、ある種裏切られた感がしたのは何故だろうか。
視聴前は新主人公である水樹奈々演じる旦那様と、櫻井孝宏演じる新しい黒執事の話と認識してたんだけど、フタを開けてみれば前作の主人公であるシエルや黒執事のセバスチャンが普通に出てきたというビックリ展開。1話のみゲストとかではなく、次回予告を見る限り普通にレギュラーみたいですね。てっきり話も舞台も全部違うオリジナルと思っていただけに、これには結構驚きました。主役と主演を変えるにあたって、原作者のもとには大分バッシングがあったというけど、もしやそれが影響しているのかな? キャラクターのファン、特に腐女子というのは自己中で身勝手、容赦というものを知らない害虫のような連中だから、それはもう心がズタズタになるぐらいの攻勢にあったんではないかと思う。連中は自分の好きなキャラを守るためなら、なんだってしますからね。原作者だろうが制作者だろうが、圧力をかけて動かしてみせると本気で信じているのです。種ガンのカガリ・ユラ・アスハを信奉している腐女子共とか、そんなのばっかじゃないですか。
私は、俗に腐女子と言われる連中のそういったところが大嫌いなんですけど、ああいった行動を自身のキャラに対する愛だとか言える辺り、もう次元が違うような気がする。別にオタクがましな存在であるとは言わないけど……ヨスガノソラのアニメ化に対して、これぐらいの行動をしていれば、私も自分は叩かれるべき存在だと自己認識したかもね。根性なかったわけではないけど、私はアジテーター嫌いだから。どうにも腐女子の他者を煽り、仲間を募り、自分たちが敵と認めた相手を攻撃しまくるというやり口は気に食わない。みんなで抗議しましょう、なんて文章を平気でブログに載せられるような奴らさ。しかも、大抵がどうでもいいような内容に対してですよ。
決して面白くないわけじゃない黒執事Ⅱの第1話ですけど、これはシエルやセバスチャンがデス種で言うところのキラ・ヤマトやラクス・クラインの立ち位置になるんだろうか? まあ、アイロスとクロードは見るからに悪そうな人間として描かれているけど、公式ページを見る限りは明らかにシエルたちが主役じゃないですか。元からこういう話にするつもりだったのかは知らないけど、これじゃあ新しい黒執事とかなんの意味もないよ。前作の主人公がそのまま主役の続編で、要するに新たに現れた敵でしかない。この展開をいい意味で裏切られたと感じるか、悪い意味で裏切られたと感じるかはその人次第だけど、私は結局それかよ、と僅かながらに思ってしまった。
黒執事vs黒執事がメインというか見所みたいだけど、なにをどうしたってシエルやセバスチャンの人気には勝てないじゃないですか。原作者に抗議がいった件からも判るように、キャラの人気がそもそも違う。新しく出てきた執事や主人なんて、よっぽど上手く書かれない限りは人気なんて出ないし、シエルとセバスチャンの敵という時点で視聴者にとっては悪なんですよ。悪漢であり悪者であり、倒されるべき敵なんですね。デス種のシン・アスカがそうだったように、前作主人公、つまり正義の味方と戦おうとする新キャラが支持を得るわけはないのです。しかもおそらく、キラやラクスなどとは違って、シエルやセバスチャンには行動を起こし、戦っていくだけの正当な理由もあるんでしょう。私は別に黒執事Ⅱにそこまで期待していたわけではないし、前作に思い入れが深いわけでもないけど、新しい主人公と黒執事の活躍を望んでいた人からすれば、ちょっと残念な話になるのではないかと、そう思うのです。
ただ、少し気になったのはアイロスって本当にあの屋敷の子供なんでしょうか? そもそも、男の子にすら見えないというか、私は女の子なんじゃないかと思ってるんだけど、果たして。多分、あの屋敷の子供はもう死んでるよ。アイロスが抱えていたのが、本当の当主だったのさ。
そういや、今気づいたんだけど坂本真綾と水樹奈々が共演しているのか……声優界でも有数の歌い手でもある両者ですが、私は歌手としての水樹奈々に欠片も興味がないので、なんか実感がわかない。演技者としては好きなんですけどね、歌に関してはどうでもいいです。二人共キャラソンとか歌ったりするんですかね? レコード会社との契約もあるから、そう簡単に歌えないような気がするけど。なんか意味もなく比較とかされそうだから、あんまり出て欲しくはないな。私がどっち好きかなんて、言うまでもないことだけど。
視聴前は新主人公である水樹奈々演じる旦那様と、櫻井孝宏演じる新しい黒執事の話と認識してたんだけど、フタを開けてみれば前作の主人公であるシエルや黒執事のセバスチャンが普通に出てきたというビックリ展開。1話のみゲストとかではなく、次回予告を見る限り普通にレギュラーみたいですね。てっきり話も舞台も全部違うオリジナルと思っていただけに、これには結構驚きました。主役と主演を変えるにあたって、原作者のもとには大分バッシングがあったというけど、もしやそれが影響しているのかな? キャラクターのファン、特に腐女子というのは自己中で身勝手、容赦というものを知らない害虫のような連中だから、それはもう心がズタズタになるぐらいの攻勢にあったんではないかと思う。連中は自分の好きなキャラを守るためなら、なんだってしますからね。原作者だろうが制作者だろうが、圧力をかけて動かしてみせると本気で信じているのです。種ガンのカガリ・ユラ・アスハを信奉している腐女子共とか、そんなのばっかじゃないですか。
私は、俗に腐女子と言われる連中のそういったところが大嫌いなんですけど、ああいった行動を自身のキャラに対する愛だとか言える辺り、もう次元が違うような気がする。別にオタクがましな存在であるとは言わないけど……ヨスガノソラのアニメ化に対して、これぐらいの行動をしていれば、私も自分は叩かれるべき存在だと自己認識したかもね。根性なかったわけではないけど、私はアジテーター嫌いだから。どうにも腐女子の他者を煽り、仲間を募り、自分たちが敵と認めた相手を攻撃しまくるというやり口は気に食わない。みんなで抗議しましょう、なんて文章を平気でブログに載せられるような奴らさ。しかも、大抵がどうでもいいような内容に対してですよ。
決して面白くないわけじゃない黒執事Ⅱの第1話ですけど、これはシエルやセバスチャンがデス種で言うところのキラ・ヤマトやラクス・クラインの立ち位置になるんだろうか? まあ、アイロスとクロードは見るからに悪そうな人間として描かれているけど、公式ページを見る限りは明らかにシエルたちが主役じゃないですか。元からこういう話にするつもりだったのかは知らないけど、これじゃあ新しい黒執事とかなんの意味もないよ。前作の主人公がそのまま主役の続編で、要するに新たに現れた敵でしかない。この展開をいい意味で裏切られたと感じるか、悪い意味で裏切られたと感じるかはその人次第だけど、私は結局それかよ、と僅かながらに思ってしまった。
黒執事vs黒執事がメインというか見所みたいだけど、なにをどうしたってシエルやセバスチャンの人気には勝てないじゃないですか。原作者に抗議がいった件からも判るように、キャラの人気がそもそも違う。新しく出てきた執事や主人なんて、よっぽど上手く書かれない限りは人気なんて出ないし、シエルとセバスチャンの敵という時点で視聴者にとっては悪なんですよ。悪漢であり悪者であり、倒されるべき敵なんですね。デス種のシン・アスカがそうだったように、前作主人公、つまり正義の味方と戦おうとする新キャラが支持を得るわけはないのです。しかもおそらく、キラやラクスなどとは違って、シエルやセバスチャンには行動を起こし、戦っていくだけの正当な理由もあるんでしょう。私は別に黒執事Ⅱにそこまで期待していたわけではないし、前作に思い入れが深いわけでもないけど、新しい主人公と黒執事の活躍を望んでいた人からすれば、ちょっと残念な話になるのではないかと、そう思うのです。
ただ、少し気になったのはアイロスって本当にあの屋敷の子供なんでしょうか? そもそも、男の子にすら見えないというか、私は女の子なんじゃないかと思ってるんだけど、果たして。多分、あの屋敷の子供はもう死んでるよ。アイロスが抱えていたのが、本当の当主だったのさ。
そういや、今気づいたんだけど坂本真綾と水樹奈々が共演しているのか……声優界でも有数の歌い手でもある両者ですが、私は歌手としての水樹奈々に欠片も興味がないので、なんか実感がわかない。演技者としては好きなんですけどね、歌に関してはどうでもいいです。二人共キャラソンとか歌ったりするんですかね? レコード会社との契約もあるから、そう簡単に歌えないような気がするけど。なんか意味もなく比較とかされそうだから、あんまり出て欲しくはないな。私がどっち好きかなんて、言うまでもないことだけど。
それでも譲れないものがあったから
2010年7月1日 ヨスガノソラ7月になってしまったわけだけど、結局先月中に夏コミで発行予定のヨスガノソラ本を完成させることが出来ませんでした。まあ、アニメ化で色々振り回されてテンション上がらなかったのもあるけど、ヨスガノソラ新刊を1冊に絞った分、少し内容を充実させようかなと収録する話を増やしたからでもあります。
出来る事なら10日売りのアニメ誌が発売される前に完成させたいんですけどねぇ。公開される情報によっては、テンションが下がるだけじゃ済まないと思うから。
先月の日記を振り返って、最初から最後までヨスガノソラのアニメ化に対する話題が多かったですね。さすがに毎日がそうだったわけでもないけど、5月の日記もほとんどがヨスガノソラに関することでしたからね。偏りがあると言われても、まあ、否定は出来ないでしょう。
私にとってヨスガノソラという作品はとても大きい存在です。過去に私がもっとも影響を受けた作品はHOOKの出世作であるOrange Pocketですけど、既にヨスガの存在はオレポケのそれを遥かに上回るものになっています。まさか、自分の中でオレポケや秋桜の空にを超える作品が現れるとは思ってなかったけど、現れてしまったのだから仕方ない。決して名作や傑作と評されるものではないのに、どうしてここまで自分を魅了するのか、本当に不思議に思いました。
私はエロゲを読み物のように読む人です。SQUEEZEの作品とかはともかくとして、エロゲを買う際の基準点は話が面白そうで、尚且つ自分の好みにあった絵や色合いをしているか、なんですよね。ヨスガノソラはそれをすべて満たしてくれた作品で、双子の兄妹という好みの設定に、橋本タカシ原画、さらにはクオリティの高いグラフィックと、私の求めていたものが全部あった。抽象的で分かりにくい言い方になるけど、ヨスガノソラは私に中でいらない色がどこにもない作品であり、足りない色もまるでない作品だったのです。
アニメ化に付いて話しましょうか。いよいよ7月になり、10日売りのアニメ誌でスタッフやキャスト等が発表されるといいます。私は当初、アニメ化に対してかなり否定的であり、この日記でも反対の意思を強く表明していたと思います。特に、6月11日の日記で書いた文章には大きな反響がありました。
自分の日記を引用するのも妙な気分ですが、この記述はヨスガノソラのアニメ化を取り上げているサイト、同じようにアニメ化に否定的なところと比べても過激であり、否定的意見としては強烈さを通り越して毒吐きの部類に値しました。私としては何気なく書いたつもりだったんですが、他のブログやサイトでも取り出たされ、挙句に某大型電子掲示板では名指し批判もされたので、このままヨスガノソラアンチ扱いされるのはさすがに癪だったから、翌日の日記で記述の真意なるものを書きました。
まあ、極端な意見ではあるにせよ、この考え自体は今もそれほど変わっていません。付け加えることがあるとすれば、人気になりすぎると個人では手に負えなくなるというのもあるんですが……ファンとしてもサークルとしても、その他あらゆる面で。
けど、そんな気持ちも結局は、大観衆の悲哀に集約できるんだと思う。それまで近くで応援してきたものが、急に手の届かないほど大きくなってしまい、自分は大きな会場にポツンと座る、ただの観客の一人でしかなくなっていた。自作の造語だけど、アイドルのファンとか声優ファンなんかをやったことある人は、少なからず共感してもらえるんじゃないかと思うこの気持。私がヨスガノソラのアニメ化に対して感じたのも、要するにこういった寂しさだったんじゃないかなと、そんな風に考えています。
いずれにせよ情報は今月中に出るとのことですし、早売りを考えれば一週間待つ必要もないでしょう。なんだかテンションの低い日記で月始めになってしまったけど、個人的に書いておきたいことだったので。5月、6月と、どうやらこんな日記をブックマークに入れている人が増えたみたいだから、自分の気持ち的なものを少しね、書いておきたかったんですよ。
他の人はどう思ってるんでしょうね? ヨスガノソラのアニメ化に付いて、某大型電子掲示板以外でも意見を訊いてみたいものです。
出来る事なら10日売りのアニメ誌が発売される前に完成させたいんですけどねぇ。公開される情報によっては、テンションが下がるだけじゃ済まないと思うから。
先月の日記を振り返って、最初から最後までヨスガノソラのアニメ化に対する話題が多かったですね。さすがに毎日がそうだったわけでもないけど、5月の日記もほとんどがヨスガノソラに関することでしたからね。偏りがあると言われても、まあ、否定は出来ないでしょう。
私にとってヨスガノソラという作品はとても大きい存在です。過去に私がもっとも影響を受けた作品はHOOKの出世作であるOrange Pocketですけど、既にヨスガの存在はオレポケのそれを遥かに上回るものになっています。まさか、自分の中でオレポケや秋桜の空にを超える作品が現れるとは思ってなかったけど、現れてしまったのだから仕方ない。決して名作や傑作と評されるものではないのに、どうしてここまで自分を魅了するのか、本当に不思議に思いました。
私はエロゲを読み物のように読む人です。SQUEEZEの作品とかはともかくとして、エロゲを買う際の基準点は話が面白そうで、尚且つ自分の好みにあった絵や色合いをしているか、なんですよね。ヨスガノソラはそれをすべて満たしてくれた作品で、双子の兄妹という好みの設定に、橋本タカシ原画、さらにはクオリティの高いグラフィックと、私の求めていたものが全部あった。抽象的で分かりにくい言い方になるけど、ヨスガノソラは私に中でいらない色がどこにもない作品であり、足りない色もまるでない作品だったのです。
アニメ化に付いて話しましょうか。いよいよ7月になり、10日売りのアニメ誌でスタッフやキャスト等が発表されるといいます。私は当初、アニメ化に対してかなり否定的であり、この日記でも反対の意思を強く表明していたと思います。特に、6月11日の日記で書いた文章には大きな反響がありました。
私はヨスガノソラのアニメには、最低の作品として失敗することを望んでいます。それが一番、傷がつかないと思うから。歪んでるな、我ながら。
自分の日記を引用するのも妙な気分ですが、この記述はヨスガノソラのアニメ化を取り上げているサイト、同じようにアニメ化に否定的なところと比べても過激であり、否定的意見としては強烈さを通り越して毒吐きの部類に値しました。私としては何気なく書いたつもりだったんですが、他のブログやサイトでも取り出たされ、挙句に某大型電子掲示板では名指し批判もされたので、このままヨスガノソラアンチ扱いされるのはさすがに癪だったから、翌日の日記で記述の真意なるものを書きました。
あの文章はもっとも単純な二者択一で、アニメが最低の駄作として黒歴史になるのと、それなりの良作として賞賛され、「アニメは原作を超えた」とか、「アニメに比べると原作は糞」みたいに言われるのだとしたら、私は前者のほうがまだマシかなと思っているだけのことです。
私はエロゲ原作のアニメに無難な出来なんてものは存在しないと思っているし、原作を超えるアニメというものがあるとも思っていません。AIRやefのような、一般的に良作ないし名作と言われているものでも、それは同じことです。特に後者は原作と内容違うしね。
まあ、極端な意見ではあるにせよ、この考え自体は今もそれほど変わっていません。付け加えることがあるとすれば、人気になりすぎると個人では手に負えなくなるというのもあるんですが……ファンとしてもサークルとしても、その他あらゆる面で。
けど、そんな気持ちも結局は、大観衆の悲哀に集約できるんだと思う。それまで近くで応援してきたものが、急に手の届かないほど大きくなってしまい、自分は大きな会場にポツンと座る、ただの観客の一人でしかなくなっていた。自作の造語だけど、アイドルのファンとか声優ファンなんかをやったことある人は、少なからず共感してもらえるんじゃないかと思うこの気持。私がヨスガノソラのアニメ化に対して感じたのも、要するにこういった寂しさだったんじゃないかなと、そんな風に考えています。
いずれにせよ情報は今月中に出るとのことですし、早売りを考えれば一週間待つ必要もないでしょう。なんだかテンションの低い日記で月始めになってしまったけど、個人的に書いておきたいことだったので。5月、6月と、どうやらこんな日記をブックマークに入れている人が増えたみたいだから、自分の気持ち的なものを少しね、書いておきたかったんですよ。
他の人はどう思ってるんでしょうね? ヨスガノソラのアニメ化に付いて、某大型電子掲示板以外でも意見を訊いてみたいものです。
ヨスガノソラ、メガミマガジン8月号掲載情報
2010年6月30日 ヨスガノソラ春日野穹bot→URL:http://twitter.com/sora_k_bot
今日発売のメガミマガジン2010年8月号、Vol.123に ヨスガノソラのアニメ情報が掲載されていました。同時購入で娘Typeも買ったんですが、何故かこちらにはなんの情報もなし。仮にも角川の美少女アニメ誌なのに、ニュータイプでの記事の小ささといい実は角川はあまり関わってないのだろうか。コミックスで発表したから、てっきり角川主導かと思ってたのに。
メガミマガジンは完全に記事として書いており、あらすじ的なものはほぼありませんでした。新作紹介の最初に載せているあたり、メガマガ的には押したい作品なのかもしれませんね。
以下、記事内容の引用になります。
キャストやスタッフについては相変わらずなにも書かれていませんでしたが、製作委員会の名前はどうやら奥木染町内会でいくみたいですね。特にひねりもないというか、ヨスガノソラは学園モノに見せかけて学園モノではないから、まあ、これが無難でしょう。
メガミマガジンはアニメディア以上にしっかりとした記事を書いてきましたが、人の繋がりがテーマであるという記述はアニメディアと同じですね。穹に注目を向けている辺り、ヒロインは普通に穹であると考えていいのかな。悠と穹の関係をメインに、他のヒロインのシナリオを交えていく感じかな……それだとコミカライズと同じだな。でも、コミカライズはあれで話をまとめるのが旨いからなぁ。あれを多少原作寄りにして、前半を瑛と渚さんの話に、後半を穹の話にすれば13話でも無理なく話が進められるかも。まさか、2クール26話ってことはないだろうし。
ちなみにアニメ誌等で使われているこの画像、やはりアニメ用に描き下ろされたキービジュアルみたいです。Sphereの広報であるかたひとマンはアニメ用原作版権と書いていますが、なかなかに大きいイラストらしく、B0出力にも耐えられるらしい。ポスター、いや、タペストリーかなにかで出してくれないかな~。キービジュアルだからポスターにはなると思うんだけど、横向きの画像だからね。タペストリーの方がいいと思うのですよ。
ヨスガノソラのアニメ化については、自分の中でまだ受け入れ切れない部分があるらしく、完全に諦めきれないみたいです。いよいよ明日から7月、各種情報が解禁となるわけだけど、気が重くって仕方ない。精神的にも相当きてるし、どんだけ私はヨスガノソラ好きなんだって話だよね。原作に対する思い入れが強ければ強いだけ、アニメに対する不安が積み重なってしまう。それこそ、アニメ化を楽しみにできる人が羨ましいぐらいに。
そういえば、昨日及び一昨日の日記にヨスガノソラSSを載せましたけど、あれは新作ではなく去年の夏コミで頒布した同人誌に収録されている話です。あれを書いたのも1年ぐらい前ですかね。今年の夏コミで出す本を書くにあたって読み返しているんだけど、私がヨスガノソラに求める恋愛観というか、そういうのが実に色濃くにじみ出ていると思う。私は二次創作を書く際、オリジナルキャラやオリジナル展開というのを作らないので、基本的に原作に登場するキャラと設定以外を使うことはありません。その中で、原作で語られていない部分や、設定されていない、されていたとしても公開していない部分を捏造することで、ひとつの話をこぎつけるわけです。発想力というよりは技術力ですが、オリキャラとかを作る人には無縁でしょうね。まあ、私はこうじゃないと二次創作書けないので。
本当はHPに入れる予定だったんですけど、昨日は借りてるサーバーで認証エラーが発生していて、FTPとかに繋げなかったんですよ。だから、日記を利用してSSを載せた場合どうなるか、というのの実験も兼ねて、2話ほど掲載してみたいというわけです。この日記に飛んでくる人の検索ワードに、ヨスガノソラSSというのが多かったのもあるけど。書いてる人少ないんだ。一人大層なものを書いている人がいるけど、あの人はなぁ……まあ、私には関係ないと思っておこう。
そうそう、日記のデザインを少し変更してみました。変更と言ってもヘッダの部分に画像を載せただけなんですが、色々試した結果この画像が一番合ってるかなって。推奨サイズの縦幅が意外に小さくてさ、日記全体のデザインに合う画像を見繕って加工するのに少し時間がかかった。結構良い感じに仕上がってると思うんですけど、やっぱりタペストリーの絵柄は綺麗だね。初期の穹ではテレカと同じぐらい好きかもしれない。
明日から7月、私にとっても、ヨスガノソラユーザーにとっても命運を分ける月になりそうだけど、道端に希望の欠片でも落ちていないものかな。
今日発売のメガミマガジン2010年8月号、Vol.123に ヨスガノソラのアニメ情報が掲載されていました。同時購入で娘Typeも買ったんですが、何故かこちらにはなんの情報もなし。仮にも角川の美少女アニメ誌なのに、ニュータイプでの記事の小ささといい実は角川はあまり関わってないのだろうか。コミックスで発表したから、てっきり角川主導かと思ってたのに。
メガミマガジンは完全に記事として書いており、あらすじ的なものはほぼありませんでした。新作紹介の最初に載せているあたり、メガマガ的には押したい作品なのかもしれませんね。
以下、記事内容の引用になります。
不慮の事故で両親を亡くした春日野悠と穹の、双子の兄妹。2人は山間にある町で新たな生活を始めた……。2008年12月に発売された恋愛アドベンチャーゲーム『ヨスガノソラ』が、テレビアニメ化されることになったぞ。
悠と穹が移り住んだのは、小さなころに何度も遊びに来たことのある奥木染町(おくこぞめちょう)。この町にある、亡き祖父の家で2人は新生活を始めるのだった。そこで待っていたのは昔、一緒に遊んだ友達との再会。そしてその中で見つめ直す、兄妹としての互いへの思い……。新天地での日常を舞台にしながら、テーマである「人との繋がりの大切さ」がじっくり描かれていく。
まず注目してほしいヒロインが、悠の妹である春日野穹。家に引きこもりがちな彼女は、面倒なことを悠に押しつけることもしばしば。だが唯一の肉親として、兄を慕う気持ちは誰よりも強い。旧友たちとの出会いのなかでより一層強くなる、悠を大切に思う彼女の気持ちも、本作を紐解くうえで重要なポイントになるぞ。
キャストやスタッフについては相変わらずなにも書かれていませんでしたが、製作委員会の名前はどうやら奥木染町内会でいくみたいですね。特にひねりもないというか、ヨスガノソラは学園モノに見せかけて学園モノではないから、まあ、これが無難でしょう。
メガミマガジンはアニメディア以上にしっかりとした記事を書いてきましたが、人の繋がりがテーマであるという記述はアニメディアと同じですね。穹に注目を向けている辺り、ヒロインは普通に穹であると考えていいのかな。悠と穹の関係をメインに、他のヒロインのシナリオを交えていく感じかな……それだとコミカライズと同じだな。でも、コミカライズはあれで話をまとめるのが旨いからなぁ。あれを多少原作寄りにして、前半を瑛と渚さんの話に、後半を穹の話にすれば13話でも無理なく話が進められるかも。まさか、2クール26話ってことはないだろうし。
ちなみにアニメ誌等で使われているこの画像、やはりアニメ用に描き下ろされたキービジュアルみたいです。Sphereの広報であるかたひとマンはアニメ用原作版権と書いていますが、なかなかに大きいイラストらしく、B0出力にも耐えられるらしい。ポスター、いや、タペストリーかなにかで出してくれないかな~。キービジュアルだからポスターにはなると思うんだけど、横向きの画像だからね。タペストリーの方がいいと思うのですよ。
ヨスガノソラのアニメ化については、自分の中でまだ受け入れ切れない部分があるらしく、完全に諦めきれないみたいです。いよいよ明日から7月、各種情報が解禁となるわけだけど、気が重くって仕方ない。精神的にも相当きてるし、どんだけ私はヨスガノソラ好きなんだって話だよね。原作に対する思い入れが強ければ強いだけ、アニメに対する不安が積み重なってしまう。それこそ、アニメ化を楽しみにできる人が羨ましいぐらいに。
そういえば、昨日及び一昨日の日記にヨスガノソラSSを載せましたけど、あれは新作ではなく去年の夏コミで頒布した同人誌に収録されている話です。あれを書いたのも1年ぐらい前ですかね。今年の夏コミで出す本を書くにあたって読み返しているんだけど、私がヨスガノソラに求める恋愛観というか、そういうのが実に色濃くにじみ出ていると思う。私は二次創作を書く際、オリジナルキャラやオリジナル展開というのを作らないので、基本的に原作に登場するキャラと設定以外を使うことはありません。その中で、原作で語られていない部分や、設定されていない、されていたとしても公開していない部分を捏造することで、ひとつの話をこぎつけるわけです。発想力というよりは技術力ですが、オリキャラとかを作る人には無縁でしょうね。まあ、私はこうじゃないと二次創作書けないので。
本当はHPに入れる予定だったんですけど、昨日は借りてるサーバーで認証エラーが発生していて、FTPとかに繋げなかったんですよ。だから、日記を利用してSSを載せた場合どうなるか、というのの実験も兼ねて、2話ほど掲載してみたいというわけです。この日記に飛んでくる人の検索ワードに、ヨスガノソラSSというのが多かったのもあるけど。書いてる人少ないんだ。一人大層なものを書いている人がいるけど、あの人はなぁ……まあ、私には関係ないと思っておこう。
そうそう、日記のデザインを少し変更してみました。変更と言ってもヘッダの部分に画像を載せただけなんですが、色々試した結果この画像が一番合ってるかなって。推奨サイズの縦幅が意外に小さくてさ、日記全体のデザインに合う画像を見繕って加工するのに少し時間がかかった。結構良い感じに仕上がってると思うんですけど、やっぱりタペストリーの絵柄は綺麗だね。初期の穹ではテレカと同じぐらい好きかもしれない。
明日から7月、私にとっても、ヨスガノソラユーザーにとっても命運を分ける月になりそうだけど、道端に希望の欠片でも落ちていないものかな。
ヨスガノソラ二次創作SS 穹と瑛の手作りクッキング
2010年6月29日 ヨスガノソラ「えっ、ハル、出かけるの?」
まだ十分に眠気を残した目覚めかけの朝。私は布団の中で寝返りを打ちながら、隣に寝ているハルの方へと向きを変える。
「昨日寝る前に言わなかった? 今日は街の方まで行くって」
「聞いていない」
「いや、確かに言ったよ」
「じゃあ、忘れた」
布団の中で手を動かし、ハルの手を見つけだして握ってみる。眠いせいか思うように力が入らない。
「忘れたって……」
「ハルのせい。昨日、激しかったから」
「う……」
ぐうの音も出ないのか、ハルは私に言われて押し黙ってしまう。朝の冷涼な空気は、全裸で布団にくるまる私たちには少し肌寒い。私はハルの身体を抱き寄せると、その鼻先に顔を近づける。
「遊びに行くの?」
今日は休日だから、街まで出るとなれば特別な買い物でもない限り、遊びに行くのだろう。それはそれで構わないし、休日をどのように過ごそうとハルの勝手だが、なんで私を誘ってくれないのか。
私の不満げな視線に気付いたのか、ハルがやや苦笑気味に口を開いた。
「亮平と一緒に行くんだけど、それでいいなら穹も一緒に――」
「なんかお土産買ってきて」
にべもなく言う私。正直、ヒゲのことはそこまで嫌いではない。間違っても好きではないが、ハルが仲良くしている、ハルと仲良くしてくれている時点で、いい人なんだとは思う。けれど、だからといって私が好きになるかは別問題だった。
「判ったよ、なにか美味しいお菓子でも探してくるから、留守番よろしくな?」
そう言われると、私も「わかった」と納得するしかなかった……
こうして私の、ハルのいない休日が始まった。
ハルがいないと、私はあらゆることに対してやる気を失い、面倒だと思う気持ちが大きくなる。普段から面倒くさがりではないか、と言われるかも知れないけど、ハルがいれば多少のことは頑張ろう気持ちになれるのは確かだ。逆にハルがいなければ、なにをするにも億劫に感じてしまう。
朝食の仕度にしてもそうで、慌ただしく出ていったハルとは違い、私にはキチンとしたメニューを用意するだけの時間があったのだが、いざ食卓に並んでいるのは適当に焼いたトーストと、一杯の紅茶だけ。料理をするにも、一人分に手間を掛ける気が起きない。
柚のマーマレードをトーストに塗りながら、私は小さく息をつく。一人だけの朝食というのは、思えば随分久しぶりかも知れない。いつもなら私の前にハルがいて、平日なら学校に行く前の何気ない会話を楽しみ、休日なら平穏な朝のひとときを楽しむだけの余裕があった。
「ハル、間に合ったのかな」
私とハルが目を覚ました時点で、ヒゲとの待ち合わせ時刻まで二時間の余裕があった。それなのにハルが慌ただしく出て行ったというのは時間の使い方を間違えたからで、その、私のせいでもある。時間があるならと、昨日の夜の続きをしてしまったから……。でも、ハルだって「朝っぱらから、こんな」とか言いつつ結構乗り気だったので、お相子だろう。
一人で食べる朝食は味気なく、私は食べ終わった食器を流しに漬けると、片付けもそこそこに自室へと戻った。淹れたての紅茶をすすり、さて、これからどうしようかと考える。とりあえずパソコンの電源を入れてみるが、ハルがサボっているせいで未だにネットには繋がっていない。ここは都会と違ってあまりネットを使用する人もいないから、業者を呼んだり、手続きが色々と面倒なのだそうだ。
ハルもいないし、ネットも使えない。それだけで私はすることがなくなってしまう。本を開いてみたり、大して興味もそそらないテレビを付けてみたりしたけど、良く判らない番組ばかりだったのですぐに消してしまった。
「……ハル、どうしてるのかな」
気付くと、私はハルの名前を呟いていた。ハルが出掛けてから、まだ一時間も経っていないはずなのに、私にとっては随分長い時間のように感じる。街まで行くとなれば、ハルが帰ってくるのは夕方か、もしかしたら夜になるかも知れない。朝早く出て行ったけど、それは電車の本数が少ないのと、ここから駅まで時間が掛かるからで、早めに出ても着くのはお昼前ぐらいなのだ。
「早く帰ってくればいいのに」
私は早くも、暇を持て余しつつあった。
カリカリと、鉛筆の音だけが室内に響く。結局、なにをしていいか良く判らなかった私は暇な時間を勉強に充てていた。今の学校は宿題も少なく、授業内容も都会にいた頃より簡単な方だ。けれど、だからといって勉強しなくても良いというわけではなく、現にハルは都会にいた頃と同じく、テスト期間になると頭を抱えている。
ハルは決して、勉強が出来ない分けじゃないんだと思う。苦手意識は持っているんだろうけど、単純に勉強する暇がないのだ。毎日の家事を初めとして、ハルはこっちに来てからやることが多すぎる。私も手伝ってはいるけど、それでも全然足りないぐらいで、都会にいた頃は都会の便利さがそれを補ってくれていたけど、今はそれもない。
こんな事情もあって、ハルが勉強をする時間というのは休みの日ぐらいしかない。でも、毎日の家事で疲れているハルからすれば、勉強をしなくてはいけないとわかっていても、比較して、たまの休みぐらい遊んでいたいと考えるのも、仕方がないことだと思う。
それならそれで構わないし、普段からハルに迷惑を掛けている身としては、ハルにはもっと気を楽にして貰いたい。勉強は、ハルの分まで私が頑張って、後で教えてあげればいいのだから。
勉強の手を休めて、ふと時計を確認するといつの間にかお昼を過ぎていた。「昼ご飯は適当に食べてくれ」なんてハルは言ってたけど、朝食と同じくなにかを作ろうという気が湧いてこない。もう一度紅茶を淹れて、後はお菓子でも摘んでいようか。さっき淹れたのは私の好みでは少し濃かった。勉強よりも、美味しくて香りと色の良い紅茶を淹れる方が、私にはずっと難しい。
立ち上がって、ティーセットを手にキッチン兼食堂に向かう私。なにかお腹に溜まりそうな茶菓子はあっただろうかと、そんなことを考えながら歩いていたら……
『ごめんくださーい!』
玄関の方から、元気の良い声が響いてきた。家の外、扉の前、誰かが訊ねてきたらしい。
「…………」
訪問客への対応は、いつもハルがやっている。郵便屋と宅急便を除けば、この家を訪れてくるのはみんなハルの知り合いだし、それ以外にも電話とか、人と接する必要があるものは、私が人嫌いというのもあってかほとんどハルに任せきりだった。
単なる訪問客なら、面倒くさいという理由で私は居留守を使ったかも知れない。それをしなかったのは響いてきた声に聞き覚えがあったからで、ハルの知り合いであると同時に、私の知り合いでもあったからだ。
「あっ、穹ちゃん! こんにちはー」
玄関の扉を開けると、そこに瑛が立っていた。天女目瑛、ハルのクラスメイトで、近所の神社に住んでいる女の子だ。ハルの友達だけど、私も話す機会が多くて、ハルと一緒に家まで遊びに行ったこともある。
瑛は普段着として神社の巫女服を着ているとハルが言っていて、私も何度かその姿を目にしたことがあるけど、今日は普通の私服だった。
「なにか、用?」
自分でも愛想のない声だと思うだけに、なんだか申し訳ない気分になってくる。でも、瑛は浮かべた笑顔を崩さずに私の質問に答えてくれる。
「実は煮物を沢山作ったんだけど、私とひろ姉ちゃんだけじゃ食べきれないからお裾分けに来たんだよ」
見れば、瑛の手にはタッパーの入った袋が握られていた。
「あ、ありがとう」
断る理由はなかったから、私は瑛の厚意を素直に受けた。瑛は私に、というより、私とハルに気を使ってくれることが多く、それにいつも助けられているという自覚があった。
「穹ちゃん、一人? ハルくんは?」
ハルが顔を見せないことに疑問を感じたのだろう。瑛がそのように訊ねてくる。
「ハルは出掛けた。……ヒゲと街の方まで」
「亮兄ちゃんと? へー、そうなんだ」
瑛が少し驚いたところを見ると、彼女はハルが街まで行くことを知らなかったのだろう。瑛はハルとヒゲ、両方と仲が良いので少し意外だった。
「あの……よかったら、上がってく?」
「えっ、良いの?」
「うん、お茶ぐらい、出す」
まさか、一人は退屈だからとは言えなかったが、瑛は嬉しそうに「それじゃあ、お邪魔するね!」と、私の申し出を受けてくれた。私のお昼がまだだったので、瑛の持ってきたくれた煮物をおかずに簡単な昼食を取り、なんてことない会話、学校のこと、家のこと、ハルのことなどを話す。
「ハルくんも亮平兄ちゃんも、遊びに行くなら私と穹ちゃんも誘ってくれればいいのに。それとも、男の子同士じゃないと行けない場所とかに行くのかな?」
「男の子同士じゃないと行けない場所?」
そんなところがあるのかと思ったが、私は瑛が「私と穹ちゃんも」と、自然に私のことを含めて話してくることを嬉しく感じた。瑛の言う男の子同士でしか行けない場所とやらは良く判らないけど、確かに瑛が一緒ならあのヒゲにも我慢できると、そんな気がした。あくまで気がするだけだけど。
昼食が終わると、瑛は進んで洗い物を行った。お客さんにそんなことをして貰うのはさすがに気が引けたから自分でやろうとしたら、「いいから、いいから。穹ちゃんは座ってていいよ」と、私が朝食のときに使った食器まで、きれいに洗って片付けてしまった。
「瑛、凄い……」
私もハルも、洗い物は得意な方ではない。いや、そもそも得意な家事というのが存在せず、ハルはかろうじて掃除好きだけど、洗い物は範囲外で、時々洗い残しが目立つ。都会にいた頃は食洗機があったけど、こっちに来るときに処分してしまった。
「まあ、いつもやってるから、このぐらいはね」
特に誇る風でもなく、瑛は物珍しそうな顔で紅茶をすすっている。あまり紅茶という飲み物に親しみがないらしく、私も瑛は紅茶よりも緑茶というイメージがあった。お茶菓子に菓子受けにあったおかきを出したら、キョトンとした眼をされた。アタリメか、いりこの方が良かっただろうか。まあ、紅茶を飲み慣れない瑛にはどれも珍しく思えるのだろう。
「でも、穹ちゃん、一人でお留守番なんて大変だねぇ」
「大変?」
「だって、ご飯とか用意したり、家のことを全部しなくちゃいけないし、私は慣れてるから良いけど、穹ちゃんにはまだまだ大変でしょ?」
やっぱり、家事をしなくてはいけないのだろうか。退屈さは感じていたけど、大変だと思っていなかったのは私が家事をするつもりが一切なかったからだけど、瑛はそれを大変だから手間取っているのだと解釈したらしい。まあ、面倒くさいという気持ちもそれが大変だから感じるのであって、間違ってはいないはずだ。
「瑛は家事、得意なんだね」
「得意というか、嫌いじゃないよ。一人暮らしも、長いからね」
そう、瑛はあの神社の裏にある家で一人暮らしをしている。以前は神主のお祖父さんが一緒だったそうだけど、その人が亡くなってからは、ずっと一人だったそうだ。境遇としては私と似ていなくはないけど、私にはハルがいて、一人ではなく二人だった。ハルは一人で立派に生きている瑛をどこか尊敬しているらしく、家事の先達として色々と相談を持ちかけたりすることもあるらしい。
「穹ちゃん、これからどうするの? なにか予定ある?」
「別に……なにも」
洗濯物は溜まってないし、掃除は昨日の内に済ませたし、洗い物は瑛がやってくれた。夕飯の買い物は、今日はスーパーの販売車が来る日じゃないので、家にあるもので作るしかないだろう……あ、でもそうすると、
「夕ご飯、どうするんだろ」
ハルが帰ってくるのは、早ければ夕方で、遅ければ夜といった感じだ。ハルは特に夕ご飯についてはなにも言ってなかったけど、遊び疲れて帰ってるであろうハルに仕度をさせるのは、さすがにないだろう。
「あー、もう少し煮物を持ってくれば良かったかな。けど、穹ちゃんはお昼と同じ物なんてイヤだよね」
「そんなことない。煮物、美味しかった」
先ほど食べた煮物の味を思い出しながら、私は正直な言葉を口にする。あんな物が私にも作れたらとは思うけど、そんなに簡単なことではない。ハルは自分で悪戦苦闘しつつも料理のレパートリーを増やそうと頑張っている見たいだけど、ハルよりも料理が下手な私としては、一朝一夕でどうにかなる問題ではなかった。
「ハルくん、お料理頑張ってるみたいだね」
何気ない瑛の言葉。そう言えば、以前、大雨で学校が休校になった日、ハルがちょっとした料理を作ったことがあった。いつも私たちが作る粗雑なそれとは違う一品は、瑛から習った、正確に言えば瑛から借りた料理の本を読んで覚えたものらしい。
「瑛、料理も凄い得意なの?」
あんなに美味しい煮物が作れるんだから、苦手と言うことはないだろう。
「んー、凄い得意ってほどじゃないけど、お料理は好きだよ。やっぱり、自分で作って食べるご飯は美味しいから」
笑う瑛の表情にまぶしいものを感じながら、私は頭の中で思考を巡らせる。今日、家にはハルがいなくて、いるのは私と瑛の二人きり。ハルは夜まで帰ってこないから、代わりに夕飯の仕度は私がしないといけない。だったら……
「瑛、これから時間、ある?」
「ふぇ? うん、暇だよ」
元々、煮物のお裾分けついでに遊びに来るのが目的だったらしい。おかきを食べながら頷く瑛に、私は思い切って言葉を発する。
「私に……その、料理を教えてっ!」
ハルが帰ってきたとき、そこにもう夕飯の仕度がしてあったら、ハルは喜んでくれるかも知れない。自分のためではなくて、ハルのため。好きな人のために料理をしたい、憶えたいと私は思っているのだけど、当然、そこまでは瑛にも話さない。
瑛は私の頼みに目を丸くして、僅かに放心していたらしい。私がこんなことを言い出すとは思っていなかったのか、自分が頼まれるとは想像していなかったのか、いずれにせよ数秒で我に返った瑛は、思い切り首を縦に振った。
「あたしでいいなら、喜んでお手伝いするよ! でも、あたしなんかでいいの?」
「瑛以外に、頼める人いないから」
「そっか……それなら、決まりだね!」
すっと右手を指しだしてきたので、私はそれをつかむ。瑛は握りしめた手をブンブンと振って、嬉しそうに微笑んでいた。
「さて、それじゃあ第一回あたしと穹ちゃんによるお料理教室の開催だよっ」
お互いにエプロンを着けて、キッチンに立つ私たち。一応、料理をするための道具一式はこの家にだってある。あんまり使われていないせいか、瑛が軽く洗ったりしていた。
「それで穹ちゃん、ハルくんの好きなものってなにかな?」
「ハルの? えっと、カレーと……」
言いかけて、私は瑛がハルの好きなものを訊ねてきたことに気付いた。瑛は笑顔を崩さず、私の方を見つめてくる。どうやら、心の中を悟られているらしい。どうにも、私はこの子にだけは隠し事をする自信がなかった。
「カレーと、ハンバーグ。けど、カレーは作れるから」
「それならハンバーグにチャレンジしてみようか? でもでも、ハルくんもやっぱり男の子っぽいメニューが好きなんだね」
「そうかも」
薄く笑いながら、私は瑛に同意した。ハルはあれで子供っぽいところがあるから、都会にいたときも外食の際はファミレスを好んでいたし、格式張ったレストランよりも、和洋折衷の料理が楽しめるところが好きだった。
「ちなみに、穹ちゃんはどんなのが好き?」
「えっと……私は」
ハルの好きな食べ物というのは、実は私の好きな食べ物でもある。双子だからか、味覚が似ているのだ。オムライスとかエビフライとか、そういうわかりやすい洋食が好きだった。
「都会の人って、洋食好きが多いのかな?」
「それは……私は確かに、和食をあんまり食べないけど」
お刺身とかお寿司とか、生物が苦手なのだ。唐揚げにすれば食べられるけど、刺身の意味がないじゃないかとハルは呆れる。
ガサゴソと冷蔵庫の中をのぞき込みながら、瑛が中から色々と食材を出していく。作ると言っても材料がないと始まらないわけだけど、その点にどうやら心配はいらないらしい。お肉や卵、タマネギといったものを冷蔵庫から取り出し、ふと、なにかを探すように辺りを見回したが、食パンが入った袋に目を止め、「これで大丈夫かな」と呟きながら、それを手に取った。食パンなんてなにに使うのだろうか? 主食なら、お米がまだあるのに。
「穹ちゃんは、ハンバーグ作ったことある?」
「ない。けど、大体の作り方ならわかると思う」
「ふむふむ、どんな感じかな?」
どんな感じもなにも、タマネギをみじん切りにしてひき肉と混ぜて、こねて形を作ったら焼けばいいだけだ。
「うーん……大まかに言えば、まあ、そんな感じだけど」
困ったような顔をしながら、瑛が首を傾かせる。どうやら、私の想像以上にハンバーグ作りとは難しいらしい。そう言えば、テーブルの上に並んだ食材は、意外なほど多かった。
「まずは食材の紹介だからだね。まずはお肉だけど、これは冷蔵庫にあった合い挽き肉を使おうか。グラムは……四〇〇グラムだね」
「合い挽き肉?」
「牛肉と豚肉の挽肉のことだよ」
「ハンバーグって、牛肉だけじゃないんだ」
「本当は牛肉だけの方が良いんだろうけど、牛さんは高いから。テレビとかでも、牛肉100パーセントハンバーグとか、宣伝してたりするでしょ?」
そういえば、都会にいた頃もファミレスなんかでそうした広告をみたことがあった。なんで牛肉を使っていることを宣伝しているのかわからなかったけど、そんな理由があったとは知らなかった。
「それと、タマネギが二個に卵が一個。後は……作りながら説明するよ」
瑛はそう言うと、タマネギの一つを手に取った。まずは、皮むきからだった。タマネギという連中はその気になればどこまでも剥けてしまうので、どこからどこまでが皮なのかがわかりづらい。瑛曰く、「茶色のが皮で、白いのが中身だよ」とのことだ。先の青っぽい部分は切ってしまうらしい。
剥き終わったタマネギをまな板の上に置いて、包丁で上下を切った後、半分に切る。切るというよりは割るという感じだけど、後はこれをみじん切りにするんだろうか?
「先に、芯を取るんだよ」
「芯?」
「そう、タマネギには下の方が芯があって……ここだね、ここを三角に切っちゃおうか」 手慣れた手つきで瑛はタマネギの芯抜きをして、今度は私のほうに包丁を渡す。
「あ、芯を取るとタマネギって崩れやすくなるから注意してね」
言われたとおり、恐る恐る芯を取る私。瑛のように綺麗には取れなかったけど、なんとか出来た。
「みじん切りの場合だと、始めに取らないで刻み終わった後に取るって人も多いんだけどね、崩れやすくなるから。私は細かく刻むと混ざっちゃう気がして先に取るんだけど、その辺りは穹ちゃんの好きな方でいいと思うよ」
「うん……わかった」
トントントントンとリズミカルな音を立てながら、私たちはタマネギを刻んでいく。刻む前に少しだけタマネギを水に漬けたけど、こうすることで切る際に涙が出るのを防げるらしい。確かに、目に染みてこない。
「でも、なんでタマネギを切ると目に染みるんだろうねー?」
「それはアリルプロピオンがあるから」
「ありる……?」
「アリル化合物。タマネギを切ると、中に含まれている硫化アリルが気化して、それで目や鼻の粘膜が刺激される。だから、涙が出る」
「へぇー、そうなんだー。穹ちゃん物知りだね!」
対処法は知っていても、その原因がなんであるかは知らなかったらしい。瑛らしいと言えば、瑛らしいけど。
「次は刻んだタマネギを炒めるんだけど、フライパンはホーロー? それともステンレス?」
「えっ……さぁ」
フライパンって、鉄じゃないの?
「んっしょと、えーっと、これは……ステンレスだね。じゃあ、サラダ油を軽く引こうか」
熱したフライパンに油を引いて、刻んだタマネギを炒めていく。自分でやらなくちゃ、ということで私が木べらを使って手探りにやってみる。
「どれぐらい炒めればいいの?」
「テレビとかではよくあめ色とか、黄金色が良いなんて言われてるけど、私はちょっと茶色になるぐらい、きつね色で止めてるかな? 美味しいそうだしね!」
「きつね色、きつね色……」
炒め終わったタマネギはとりあえずフライパンに放置して、今度は合い挽き肉をボールに移す。早速タマネギを移してこねるのかと思ったら、「違うよ、穹ちゃん」と、瑛は卵を手にしながら止めてくる。
「卵を割って、お肉に混ぜないと」
「卵?」
「そう、穹ちゃんが割ってみる?」
私だって卵ぐらい割れる。ボールの縁でカカッと音を立てながら卵を割り、瑛の指示で中身をボールへと入れる。
「ハンバーグのときは全卵、卵と黄身を両方使うんだよ。こうすると、次に入れるタマネギとお肉が旨くまとまって、〈繋ぎ〉の効果が出るの」
「繋ぎ……」
「卵を入れたら、フライパンの中にあるタマネギだね。穹ちゃん、ドバッと入れちゃっていいよ」
木べらを使いつつ、ボールの中にタマネギを入れる。瑛は調味料が置いてあるところから塩とコショウの瓶を持って来る。味付けをするようだ。
「ハルくんって、ハンバーグにはなにをかけて食べる人?」
「ん……普通にソース、かな。かけないときもあるけど」
ハル曰く、「ソースを食べている分けじゃない」とのことで、私がソースをびちゃびちゃかけているときなどに苦言を呈す。
「なら、味付けは少し濃い方が良いね。塩コショウ、コショウは黒コショウを使うのがいいよ」
塩とブラックペッパーを振りながら、瑛が解説していく。特に分量などはなく、味付けというのは好みの問題だから決まりはないそうだ。下味を濃くすることで、ソースなどをかけない人も十分に味わえる仕上がりになるらしい。
「後は生地をこねるだけなんだけど……その前に用意するものがあるね。穹ちゃん、このお家ってフードプロセッサーとか、おろし金ってある?」
「フードプロセッサーならあるけど」
都会にいた頃、通販で買ったハンディタイプのがあった。買うだけ買ったのにほとんど使わず、それでも処分しなかったのは特に邪魔になる大きさでもなかったからだ。
「じゃあ、これに千切った食パンを入れようか」
「食パン? なんで?」
「これも繋ぎだよ。本当はパン粉がいいんだけど、なかったから」
千切った食パンをフードプロセッサーに入れて、スイッチを押す。食パンがパン粉になるまで数秒、すぐにサラサラになった。瑛は生地をこねながら、作った生パン粉を加えていく。
「さっきの卵はお肉とタマネギを繋ぐためで、このパン粉は生地全体を繋ぐためのものだよ。穹ちゃんもやってみる?」
生地をこねることに対抗を感じなかった分けじゃないけど、なんでも瑛に任せていては意味がない。生地は思っていた以上に柔らかいけど、不思議と手にベタついてこない。これがパン粉の効果らしい。
「型を整える際は、俵型がいい感じだね。こんな風に両手で……」
「こ、こう?」
「そう、そんな感じ! 穹ちゃん、上手だよ」
褒められると、少しくすぐったくなる。瑛のと違って少しいびつだけど、はじめてにしては上出来だろう。
「型を整えたら、生地を寝かそうか? すぐに焼くことも出来るけど、生地を寝かせることで焼いたときに型くずれしにくくなるから」
その間なにをしてようかと瑛が訊ねてきたから、私は近くにあったティーセットに目をやって、
「お茶、飲む? 紅茶だけど」
「そうだね、じゃあ、ご馳走になろうかな。けど……」
珍しく、瑛が少し言いにくそうに言葉を漏らした。
「お茶菓子は、違うのがいいかな」
生地を寝かせている時間、私たちは紅茶を飲みながら過ごしている。瑛は私が出したアタリメを、やはり不思議そうに見つめながら食べている。
「穹ちゃんさ、前にも訊いたと思うけど、二人暮らしはどう? 大変じゃない?」
「慣れてきた、かな。まだ手探りな部分も多いけど……それに、大変なのは瑛だって」
「あたしは、長いから」
一言で切り捨てる瑛の顔は、笑っているけどつかみ所がないというか、妙な深みを持っていた。まるで、それ以上は踏み込んではいけないような、目には見えない心の壁。私がそれを感じ取れたのは、私も同じようなものを持っていたからで……
「長いだけが理由じゃないけど、昔から家事とかはしてきたから」
今でこそ一人暮らしをしている瑛も、昔は一緒に暮らしていた人がいて、神社の神主だったおじいさんが保護者だったらしい。私とハルの祖父母と同年代の高齢者だったため、手伝う意味も兼ねて自然に家事を憶えていったようだ。
「寂しくは、ないの?」
いつか、瑛に訊かれたことを訊ね返してみる。質問に、瑛は目を開いて答えた。
「寂しくはないかな。悲しいこと、寂しいこと、そういう気持ちを忘れる必要はないけど、それをずっと抱え込んだままなのは、ね」
「瑛……」
「あはー、でも、穹ちゃんとハルくんを見ていると、たまに羨ましいなとは思うよ。楽しいそうだなぁ、ラブラブだなぁって」
ハルの名前が出てきたことで、私はもう一つの質問をするべきかどうか考え始める。前々から一度訊いてみたかった、確認しておきたかったこと。けれど、それを投げかけてもいいのか、投げかけることで今の瑛との関係が壊れないか、私にはその心配があった。
だけど……
「瑛って、その」
穏やかな瑛の表情を見ていると、口から言葉が滑り落ちてしまう。
「ハルのこと、好きなの?」
思い切って、私は自分の抱いていた疑問を瑛にぶつけた。嫌いでないことは分かり切っているから、この場合の好きかどうかと言うのは、より深い意味での話だ。瑛の視線が私の視線と交錯し、私は目をそらしたくなる気分をグッと堪えた。
「……好きだよ、初恋の人だもん」
「――っ!?」
やっぱり、そうなんだ。瑛は以前から私とハルに好意的で、気を使ってくれている。それはただの友達というレベルを超えており、私は瑛がハルに特別な好意を抱いているのではないかと、この子の態度や発言から感じ取っていた。ハルはあの通り鈍いからともかくとして、周囲でも気付いているの私ぐらいだと思う。
「私は……」
瑛のことは嫌いじゃないし、どちらかと言えば好きな方だ。けれど、それはあくまで友人としてであって、瑛がハルの恋人になるのだとすれば、また話は違ってくる。
いや、そうじゃない。最大の問題は、私が〝瑛にならハルを渡しても構わないかも〟と、心のどこかで思っていることだろう。明るくて、元気で、家事も出来て、私なんかより、女の子としてずっと魅力がある。仮にハルが瑛と付き合うことになったら、私はそれに反対できるだろうか? 〝あの人〟のときとは違い、あまり自信がなかった。
「大丈夫だよ、穹ちゃん」
俯きながら悩む私の手に、瑛の手がそっと添えられた。
「あたしはハルくんが好きだけど、好きな人は他にも沢山いるから」
「えっ……?」
「亮兄ちゃんやカズちゃん、初佳さんやひろ姉ちゃん。あたしは、あたしの周りにいるみんなのことが好きなんだよ」
およそ人嫌いとは無縁な人生を送ってきたであろう瑛の言葉に、嘘偽りは感じられない。
「でも、その好きは」
「確かに、ハルくんに対する好きと、他の人に対する好きは、少しだけ違うのかも知れない」
けどね、穹ちゃん……と、瑛は言葉を続けていく。語りかけるように、穏やかな表情と口調で。
「ハルくんは穹ちゃんと一緒にいて幸せそうだし、穹ちゃんだってハルくんといて幸せなんでしょう? だったら、あたしもそれが一番嬉しいよ。だって私は――」
穹ちゃんのことも、大好きだから。
瑛の見せる優しさと温かさに、私は胸が熱くなるのを感じていた。
「人によっては、損な性格だって思われるのかも知れないし、言われたこともある。でも、あたしは自分のことを不幸だなんて感じたことは、一度もないから」
悲しいこと、辛いことはいくらでもあった。けれど、それ以上に嬉しいとか楽しいとか、
幸せだなぁと感じられることも、いっぱいあったから。
「だから、結構幸せだよ、あたしは」
瑛の言葉に、私は自分を当て嵌めて考えてみる。私も、他人から見れば十分に不幸な人生を歩んでいるだろう。小さい頃から病弱で、病院のベッドで過ごした時間が多く、やっと退院できたと思ったら、今度は事故で両親を失った。安楽な境遇とは言えないし、決して幸せとは呼べないだろう。
「でも、私にはハルがいる」
瑛が先ほど言ったかけがえのない友人たちに囲まれているように、私にはハルがいて、ハルには私がいた。心に似た部分を持っている私と瑛の、それは明確な違いだった。
「私も、幸せなのかな」
今までも、そしてこれからも、ハルが入り限り、私は幸せを失わずに済む。
私は瑛の方に視線を、すべてを理解している少女へと向ける。瑛は私に手を重ねたまま、言葉を紡いでいった。
「それでいいんだよ、穹ちゃん」
頷きながら、瑛は微笑む。それが心の底からの笑顔であることに、私は気付いた。
「ありがとう、瑛」
話を終えて、私たちはハンバーグ作りの最終段階、焼く作業に入った。
熱したフライパン、ステンレス製の場合は生地からでる油だけで焼けるため、特に油を引いたりはしないらしい。ここに成形した生地を入れ、フタをして焼き上げる。片面が焼けたらフライ返しでひっくり返して、両面をしっかりと焼く。好みでチーズを乗せたりするそうだけど、チーズがなかったのでそれはまた今度にしよう。
「そうだ、簡単なソースを作ろうか?」
同量の中濃ソースとケチャップを混ぜて、ハンバーグからでた肉汁を加える。この手作りソースをかけても美味しいとのことで、実際に食べるときに試してみようと思う。
添え物としては、なににしようか二人で考えて、じゃがいものバター焼きにした。ブロッコリーとかにんじんはあまり好きじゃなかったし、パスタがなかったので、パスタのケチャップ和えも作れなかったからだ。
「こんなものかなぁ。穹ちゃん、お皿の用意は出来た?」
生地は全部で四つほど成形したから、その内の一つを試食として食べることにした。お皿に盛りつけたハンバーグ、瑛と二人で作ったそれは、いい匂いを立てていた。
「うんうん、ちゃんと火も通ってるし、いい感じだね!」
ナイフで半分に切り分けて、火の通りを核にしたら、私たちはそれぞれフォークでハンバーグを食べてみる。
「美味しい……!」
一口噛みしめただけで、口の中に肉汁が広がってきた。崩れにくく、それでいて柔らかいハンバーグは、ビックリするほど美味しい
「穹ちゃんが作ったんだよ、これは」
「で、でも、私はなにも……ほとんど瑛が」
「違うよ、穹ちゃんがやってみたい、作ってみたいと思ったから、ここまでの物が出来たんだよ」
その気持ちが、大事なんだよ。
瑛はそういいながら、もう一口、実に美味しそうにハンバーグを頬張った。
残った三つの生地の内、二つは私とハルの夕飯用として、一つはラップに包んで瑛へと渡した。夕飯も一緒にどうかと誘ったけど、気を使ってくれたのか、断られてしまった。
「今日はありがとうね、穹ちゃん」
「? お礼を言うのは、私の方」
「ううん、誰かと一緒に料理をするのって凄く久しぶりだったから……本当に楽しかった。だから、ありがとう」
家に帰る瑛を玄関の外まで見送り、その姿が見えなくなるまで私は立っていた。気恥ずかしさが頬を熱くし、赤くする。瑛も私も、随分と踏み込んだ部分まで話したような気がする。けれどそれは、お互いにそこまで言えるだけの関係になれたと、そういうことだろう。
瑛は自分のことを幸せだと言った。私も、自分のことはそれほどまでに不幸ではないと思っている。重要なのはその点であり、今日一日で私が瑛から料理と共に学んだことだった。
瑛が帰り、しばらくしたらハルが帰ってきた。時刻は夕方と夜の間ぐらい、思っていたより少し早い。
「ハルっ!」
私は足取りをはずませて玄関まで駆けると、靴を脱ぎかけていたハルに向かって抱きついた。
「わっ、ちょっと、穹」
驚きながら、ハルは私のことをしっかりと抱き留めてくれる。手にはなにやら白い箱が握られており、どうやらお土産のケーキらしい。
「ハル、ご飯できてるけど、それとも先にお風呂に入る?」
「へっ? あぁ、それじゃあお風呂に……って、ご飯ができてる?」
既に夕飯の仕度ができていることに、ハルは心底驚いたらしい。私が自分で用意したと知ると、喜んだり感動したり、色々と忙しそうだった。
そんなハルを見つめながら、私は思う。
なるほど、私も結構幸せじゃないか、と。
まだ十分に眠気を残した目覚めかけの朝。私は布団の中で寝返りを打ちながら、隣に寝ているハルの方へと向きを変える。
「昨日寝る前に言わなかった? 今日は街の方まで行くって」
「聞いていない」
「いや、確かに言ったよ」
「じゃあ、忘れた」
布団の中で手を動かし、ハルの手を見つけだして握ってみる。眠いせいか思うように力が入らない。
「忘れたって……」
「ハルのせい。昨日、激しかったから」
「う……」
ぐうの音も出ないのか、ハルは私に言われて押し黙ってしまう。朝の冷涼な空気は、全裸で布団にくるまる私たちには少し肌寒い。私はハルの身体を抱き寄せると、その鼻先に顔を近づける。
「遊びに行くの?」
今日は休日だから、街まで出るとなれば特別な買い物でもない限り、遊びに行くのだろう。それはそれで構わないし、休日をどのように過ごそうとハルの勝手だが、なんで私を誘ってくれないのか。
私の不満げな視線に気付いたのか、ハルがやや苦笑気味に口を開いた。
「亮平と一緒に行くんだけど、それでいいなら穹も一緒に――」
「なんかお土産買ってきて」
にべもなく言う私。正直、ヒゲのことはそこまで嫌いではない。間違っても好きではないが、ハルが仲良くしている、ハルと仲良くしてくれている時点で、いい人なんだとは思う。けれど、だからといって私が好きになるかは別問題だった。
「判ったよ、なにか美味しいお菓子でも探してくるから、留守番よろしくな?」
そう言われると、私も「わかった」と納得するしかなかった……
こうして私の、ハルのいない休日が始まった。
ハルがいないと、私はあらゆることに対してやる気を失い、面倒だと思う気持ちが大きくなる。普段から面倒くさがりではないか、と言われるかも知れないけど、ハルがいれば多少のことは頑張ろう気持ちになれるのは確かだ。逆にハルがいなければ、なにをするにも億劫に感じてしまう。
朝食の仕度にしてもそうで、慌ただしく出ていったハルとは違い、私にはキチンとしたメニューを用意するだけの時間があったのだが、いざ食卓に並んでいるのは適当に焼いたトーストと、一杯の紅茶だけ。料理をするにも、一人分に手間を掛ける気が起きない。
柚のマーマレードをトーストに塗りながら、私は小さく息をつく。一人だけの朝食というのは、思えば随分久しぶりかも知れない。いつもなら私の前にハルがいて、平日なら学校に行く前の何気ない会話を楽しみ、休日なら平穏な朝のひとときを楽しむだけの余裕があった。
「ハル、間に合ったのかな」
私とハルが目を覚ました時点で、ヒゲとの待ち合わせ時刻まで二時間の余裕があった。それなのにハルが慌ただしく出て行ったというのは時間の使い方を間違えたからで、その、私のせいでもある。時間があるならと、昨日の夜の続きをしてしまったから……。でも、ハルだって「朝っぱらから、こんな」とか言いつつ結構乗り気だったので、お相子だろう。
一人で食べる朝食は味気なく、私は食べ終わった食器を流しに漬けると、片付けもそこそこに自室へと戻った。淹れたての紅茶をすすり、さて、これからどうしようかと考える。とりあえずパソコンの電源を入れてみるが、ハルがサボっているせいで未だにネットには繋がっていない。ここは都会と違ってあまりネットを使用する人もいないから、業者を呼んだり、手続きが色々と面倒なのだそうだ。
ハルもいないし、ネットも使えない。それだけで私はすることがなくなってしまう。本を開いてみたり、大して興味もそそらないテレビを付けてみたりしたけど、良く判らない番組ばかりだったのですぐに消してしまった。
「……ハル、どうしてるのかな」
気付くと、私はハルの名前を呟いていた。ハルが出掛けてから、まだ一時間も経っていないはずなのに、私にとっては随分長い時間のように感じる。街まで行くとなれば、ハルが帰ってくるのは夕方か、もしかしたら夜になるかも知れない。朝早く出て行ったけど、それは電車の本数が少ないのと、ここから駅まで時間が掛かるからで、早めに出ても着くのはお昼前ぐらいなのだ。
「早く帰ってくればいいのに」
私は早くも、暇を持て余しつつあった。
カリカリと、鉛筆の音だけが室内に響く。結局、なにをしていいか良く判らなかった私は暇な時間を勉強に充てていた。今の学校は宿題も少なく、授業内容も都会にいた頃より簡単な方だ。けれど、だからといって勉強しなくても良いというわけではなく、現にハルは都会にいた頃と同じく、テスト期間になると頭を抱えている。
ハルは決して、勉強が出来ない分けじゃないんだと思う。苦手意識は持っているんだろうけど、単純に勉強する暇がないのだ。毎日の家事を初めとして、ハルはこっちに来てからやることが多すぎる。私も手伝ってはいるけど、それでも全然足りないぐらいで、都会にいた頃は都会の便利さがそれを補ってくれていたけど、今はそれもない。
こんな事情もあって、ハルが勉強をする時間というのは休みの日ぐらいしかない。でも、毎日の家事で疲れているハルからすれば、勉強をしなくてはいけないとわかっていても、比較して、たまの休みぐらい遊んでいたいと考えるのも、仕方がないことだと思う。
それならそれで構わないし、普段からハルに迷惑を掛けている身としては、ハルにはもっと気を楽にして貰いたい。勉強は、ハルの分まで私が頑張って、後で教えてあげればいいのだから。
勉強の手を休めて、ふと時計を確認するといつの間にかお昼を過ぎていた。「昼ご飯は適当に食べてくれ」なんてハルは言ってたけど、朝食と同じくなにかを作ろうという気が湧いてこない。もう一度紅茶を淹れて、後はお菓子でも摘んでいようか。さっき淹れたのは私の好みでは少し濃かった。勉強よりも、美味しくて香りと色の良い紅茶を淹れる方が、私にはずっと難しい。
立ち上がって、ティーセットを手にキッチン兼食堂に向かう私。なにかお腹に溜まりそうな茶菓子はあっただろうかと、そんなことを考えながら歩いていたら……
『ごめんくださーい!』
玄関の方から、元気の良い声が響いてきた。家の外、扉の前、誰かが訊ねてきたらしい。
「…………」
訪問客への対応は、いつもハルがやっている。郵便屋と宅急便を除けば、この家を訪れてくるのはみんなハルの知り合いだし、それ以外にも電話とか、人と接する必要があるものは、私が人嫌いというのもあってかほとんどハルに任せきりだった。
単なる訪問客なら、面倒くさいという理由で私は居留守を使ったかも知れない。それをしなかったのは響いてきた声に聞き覚えがあったからで、ハルの知り合いであると同時に、私の知り合いでもあったからだ。
「あっ、穹ちゃん! こんにちはー」
玄関の扉を開けると、そこに瑛が立っていた。天女目瑛、ハルのクラスメイトで、近所の神社に住んでいる女の子だ。ハルの友達だけど、私も話す機会が多くて、ハルと一緒に家まで遊びに行ったこともある。
瑛は普段着として神社の巫女服を着ているとハルが言っていて、私も何度かその姿を目にしたことがあるけど、今日は普通の私服だった。
「なにか、用?」
自分でも愛想のない声だと思うだけに、なんだか申し訳ない気分になってくる。でも、瑛は浮かべた笑顔を崩さずに私の質問に答えてくれる。
「実は煮物を沢山作ったんだけど、私とひろ姉ちゃんだけじゃ食べきれないからお裾分けに来たんだよ」
見れば、瑛の手にはタッパーの入った袋が握られていた。
「あ、ありがとう」
断る理由はなかったから、私は瑛の厚意を素直に受けた。瑛は私に、というより、私とハルに気を使ってくれることが多く、それにいつも助けられているという自覚があった。
「穹ちゃん、一人? ハルくんは?」
ハルが顔を見せないことに疑問を感じたのだろう。瑛がそのように訊ねてくる。
「ハルは出掛けた。……ヒゲと街の方まで」
「亮兄ちゃんと? へー、そうなんだ」
瑛が少し驚いたところを見ると、彼女はハルが街まで行くことを知らなかったのだろう。瑛はハルとヒゲ、両方と仲が良いので少し意外だった。
「あの……よかったら、上がってく?」
「えっ、良いの?」
「うん、お茶ぐらい、出す」
まさか、一人は退屈だからとは言えなかったが、瑛は嬉しそうに「それじゃあ、お邪魔するね!」と、私の申し出を受けてくれた。私のお昼がまだだったので、瑛の持ってきたくれた煮物をおかずに簡単な昼食を取り、なんてことない会話、学校のこと、家のこと、ハルのことなどを話す。
「ハルくんも亮平兄ちゃんも、遊びに行くなら私と穹ちゃんも誘ってくれればいいのに。それとも、男の子同士じゃないと行けない場所とかに行くのかな?」
「男の子同士じゃないと行けない場所?」
そんなところがあるのかと思ったが、私は瑛が「私と穹ちゃんも」と、自然に私のことを含めて話してくることを嬉しく感じた。瑛の言う男の子同士でしか行けない場所とやらは良く判らないけど、確かに瑛が一緒ならあのヒゲにも我慢できると、そんな気がした。あくまで気がするだけだけど。
昼食が終わると、瑛は進んで洗い物を行った。お客さんにそんなことをして貰うのはさすがに気が引けたから自分でやろうとしたら、「いいから、いいから。穹ちゃんは座ってていいよ」と、私が朝食のときに使った食器まで、きれいに洗って片付けてしまった。
「瑛、凄い……」
私もハルも、洗い物は得意な方ではない。いや、そもそも得意な家事というのが存在せず、ハルはかろうじて掃除好きだけど、洗い物は範囲外で、時々洗い残しが目立つ。都会にいた頃は食洗機があったけど、こっちに来るときに処分してしまった。
「まあ、いつもやってるから、このぐらいはね」
特に誇る風でもなく、瑛は物珍しそうな顔で紅茶をすすっている。あまり紅茶という飲み物に親しみがないらしく、私も瑛は紅茶よりも緑茶というイメージがあった。お茶菓子に菓子受けにあったおかきを出したら、キョトンとした眼をされた。アタリメか、いりこの方が良かっただろうか。まあ、紅茶を飲み慣れない瑛にはどれも珍しく思えるのだろう。
「でも、穹ちゃん、一人でお留守番なんて大変だねぇ」
「大変?」
「だって、ご飯とか用意したり、家のことを全部しなくちゃいけないし、私は慣れてるから良いけど、穹ちゃんにはまだまだ大変でしょ?」
やっぱり、家事をしなくてはいけないのだろうか。退屈さは感じていたけど、大変だと思っていなかったのは私が家事をするつもりが一切なかったからだけど、瑛はそれを大変だから手間取っているのだと解釈したらしい。まあ、面倒くさいという気持ちもそれが大変だから感じるのであって、間違ってはいないはずだ。
「瑛は家事、得意なんだね」
「得意というか、嫌いじゃないよ。一人暮らしも、長いからね」
そう、瑛はあの神社の裏にある家で一人暮らしをしている。以前は神主のお祖父さんが一緒だったそうだけど、その人が亡くなってからは、ずっと一人だったそうだ。境遇としては私と似ていなくはないけど、私にはハルがいて、一人ではなく二人だった。ハルは一人で立派に生きている瑛をどこか尊敬しているらしく、家事の先達として色々と相談を持ちかけたりすることもあるらしい。
「穹ちゃん、これからどうするの? なにか予定ある?」
「別に……なにも」
洗濯物は溜まってないし、掃除は昨日の内に済ませたし、洗い物は瑛がやってくれた。夕飯の買い物は、今日はスーパーの販売車が来る日じゃないので、家にあるもので作るしかないだろう……あ、でもそうすると、
「夕ご飯、どうするんだろ」
ハルが帰ってくるのは、早ければ夕方で、遅ければ夜といった感じだ。ハルは特に夕ご飯についてはなにも言ってなかったけど、遊び疲れて帰ってるであろうハルに仕度をさせるのは、さすがにないだろう。
「あー、もう少し煮物を持ってくれば良かったかな。けど、穹ちゃんはお昼と同じ物なんてイヤだよね」
「そんなことない。煮物、美味しかった」
先ほど食べた煮物の味を思い出しながら、私は正直な言葉を口にする。あんな物が私にも作れたらとは思うけど、そんなに簡単なことではない。ハルは自分で悪戦苦闘しつつも料理のレパートリーを増やそうと頑張っている見たいだけど、ハルよりも料理が下手な私としては、一朝一夕でどうにかなる問題ではなかった。
「ハルくん、お料理頑張ってるみたいだね」
何気ない瑛の言葉。そう言えば、以前、大雨で学校が休校になった日、ハルがちょっとした料理を作ったことがあった。いつも私たちが作る粗雑なそれとは違う一品は、瑛から習った、正確に言えば瑛から借りた料理の本を読んで覚えたものらしい。
「瑛、料理も凄い得意なの?」
あんなに美味しい煮物が作れるんだから、苦手と言うことはないだろう。
「んー、凄い得意ってほどじゃないけど、お料理は好きだよ。やっぱり、自分で作って食べるご飯は美味しいから」
笑う瑛の表情にまぶしいものを感じながら、私は頭の中で思考を巡らせる。今日、家にはハルがいなくて、いるのは私と瑛の二人きり。ハルは夜まで帰ってこないから、代わりに夕飯の仕度は私がしないといけない。だったら……
「瑛、これから時間、ある?」
「ふぇ? うん、暇だよ」
元々、煮物のお裾分けついでに遊びに来るのが目的だったらしい。おかきを食べながら頷く瑛に、私は思い切って言葉を発する。
「私に……その、料理を教えてっ!」
ハルが帰ってきたとき、そこにもう夕飯の仕度がしてあったら、ハルは喜んでくれるかも知れない。自分のためではなくて、ハルのため。好きな人のために料理をしたい、憶えたいと私は思っているのだけど、当然、そこまでは瑛にも話さない。
瑛は私の頼みに目を丸くして、僅かに放心していたらしい。私がこんなことを言い出すとは思っていなかったのか、自分が頼まれるとは想像していなかったのか、いずれにせよ数秒で我に返った瑛は、思い切り首を縦に振った。
「あたしでいいなら、喜んでお手伝いするよ! でも、あたしなんかでいいの?」
「瑛以外に、頼める人いないから」
「そっか……それなら、決まりだね!」
すっと右手を指しだしてきたので、私はそれをつかむ。瑛は握りしめた手をブンブンと振って、嬉しそうに微笑んでいた。
「さて、それじゃあ第一回あたしと穹ちゃんによるお料理教室の開催だよっ」
お互いにエプロンを着けて、キッチンに立つ私たち。一応、料理をするための道具一式はこの家にだってある。あんまり使われていないせいか、瑛が軽く洗ったりしていた。
「それで穹ちゃん、ハルくんの好きなものってなにかな?」
「ハルの? えっと、カレーと……」
言いかけて、私は瑛がハルの好きなものを訊ねてきたことに気付いた。瑛は笑顔を崩さず、私の方を見つめてくる。どうやら、心の中を悟られているらしい。どうにも、私はこの子にだけは隠し事をする自信がなかった。
「カレーと、ハンバーグ。けど、カレーは作れるから」
「それならハンバーグにチャレンジしてみようか? でもでも、ハルくんもやっぱり男の子っぽいメニューが好きなんだね」
「そうかも」
薄く笑いながら、私は瑛に同意した。ハルはあれで子供っぽいところがあるから、都会にいたときも外食の際はファミレスを好んでいたし、格式張ったレストランよりも、和洋折衷の料理が楽しめるところが好きだった。
「ちなみに、穹ちゃんはどんなのが好き?」
「えっと……私は」
ハルの好きな食べ物というのは、実は私の好きな食べ物でもある。双子だからか、味覚が似ているのだ。オムライスとかエビフライとか、そういうわかりやすい洋食が好きだった。
「都会の人って、洋食好きが多いのかな?」
「それは……私は確かに、和食をあんまり食べないけど」
お刺身とかお寿司とか、生物が苦手なのだ。唐揚げにすれば食べられるけど、刺身の意味がないじゃないかとハルは呆れる。
ガサゴソと冷蔵庫の中をのぞき込みながら、瑛が中から色々と食材を出していく。作ると言っても材料がないと始まらないわけだけど、その点にどうやら心配はいらないらしい。お肉や卵、タマネギといったものを冷蔵庫から取り出し、ふと、なにかを探すように辺りを見回したが、食パンが入った袋に目を止め、「これで大丈夫かな」と呟きながら、それを手に取った。食パンなんてなにに使うのだろうか? 主食なら、お米がまだあるのに。
「穹ちゃんは、ハンバーグ作ったことある?」
「ない。けど、大体の作り方ならわかると思う」
「ふむふむ、どんな感じかな?」
どんな感じもなにも、タマネギをみじん切りにしてひき肉と混ぜて、こねて形を作ったら焼けばいいだけだ。
「うーん……大まかに言えば、まあ、そんな感じだけど」
困ったような顔をしながら、瑛が首を傾かせる。どうやら、私の想像以上にハンバーグ作りとは難しいらしい。そう言えば、テーブルの上に並んだ食材は、意外なほど多かった。
「まずは食材の紹介だからだね。まずはお肉だけど、これは冷蔵庫にあった合い挽き肉を使おうか。グラムは……四〇〇グラムだね」
「合い挽き肉?」
「牛肉と豚肉の挽肉のことだよ」
「ハンバーグって、牛肉だけじゃないんだ」
「本当は牛肉だけの方が良いんだろうけど、牛さんは高いから。テレビとかでも、牛肉100パーセントハンバーグとか、宣伝してたりするでしょ?」
そういえば、都会にいた頃もファミレスなんかでそうした広告をみたことがあった。なんで牛肉を使っていることを宣伝しているのかわからなかったけど、そんな理由があったとは知らなかった。
「それと、タマネギが二個に卵が一個。後は……作りながら説明するよ」
瑛はそう言うと、タマネギの一つを手に取った。まずは、皮むきからだった。タマネギという連中はその気になればどこまでも剥けてしまうので、どこからどこまでが皮なのかがわかりづらい。瑛曰く、「茶色のが皮で、白いのが中身だよ」とのことだ。先の青っぽい部分は切ってしまうらしい。
剥き終わったタマネギをまな板の上に置いて、包丁で上下を切った後、半分に切る。切るというよりは割るという感じだけど、後はこれをみじん切りにするんだろうか?
「先に、芯を取るんだよ」
「芯?」
「そう、タマネギには下の方が芯があって……ここだね、ここを三角に切っちゃおうか」 手慣れた手つきで瑛はタマネギの芯抜きをして、今度は私のほうに包丁を渡す。
「あ、芯を取るとタマネギって崩れやすくなるから注意してね」
言われたとおり、恐る恐る芯を取る私。瑛のように綺麗には取れなかったけど、なんとか出来た。
「みじん切りの場合だと、始めに取らないで刻み終わった後に取るって人も多いんだけどね、崩れやすくなるから。私は細かく刻むと混ざっちゃう気がして先に取るんだけど、その辺りは穹ちゃんの好きな方でいいと思うよ」
「うん……わかった」
トントントントンとリズミカルな音を立てながら、私たちはタマネギを刻んでいく。刻む前に少しだけタマネギを水に漬けたけど、こうすることで切る際に涙が出るのを防げるらしい。確かに、目に染みてこない。
「でも、なんでタマネギを切ると目に染みるんだろうねー?」
「それはアリルプロピオンがあるから」
「ありる……?」
「アリル化合物。タマネギを切ると、中に含まれている硫化アリルが気化して、それで目や鼻の粘膜が刺激される。だから、涙が出る」
「へぇー、そうなんだー。穹ちゃん物知りだね!」
対処法は知っていても、その原因がなんであるかは知らなかったらしい。瑛らしいと言えば、瑛らしいけど。
「次は刻んだタマネギを炒めるんだけど、フライパンはホーロー? それともステンレス?」
「えっ……さぁ」
フライパンって、鉄じゃないの?
「んっしょと、えーっと、これは……ステンレスだね。じゃあ、サラダ油を軽く引こうか」
熱したフライパンに油を引いて、刻んだタマネギを炒めていく。自分でやらなくちゃ、ということで私が木べらを使って手探りにやってみる。
「どれぐらい炒めればいいの?」
「テレビとかではよくあめ色とか、黄金色が良いなんて言われてるけど、私はちょっと茶色になるぐらい、きつね色で止めてるかな? 美味しいそうだしね!」
「きつね色、きつね色……」
炒め終わったタマネギはとりあえずフライパンに放置して、今度は合い挽き肉をボールに移す。早速タマネギを移してこねるのかと思ったら、「違うよ、穹ちゃん」と、瑛は卵を手にしながら止めてくる。
「卵を割って、お肉に混ぜないと」
「卵?」
「そう、穹ちゃんが割ってみる?」
私だって卵ぐらい割れる。ボールの縁でカカッと音を立てながら卵を割り、瑛の指示で中身をボールへと入れる。
「ハンバーグのときは全卵、卵と黄身を両方使うんだよ。こうすると、次に入れるタマネギとお肉が旨くまとまって、〈繋ぎ〉の効果が出るの」
「繋ぎ……」
「卵を入れたら、フライパンの中にあるタマネギだね。穹ちゃん、ドバッと入れちゃっていいよ」
木べらを使いつつ、ボールの中にタマネギを入れる。瑛は調味料が置いてあるところから塩とコショウの瓶を持って来る。味付けをするようだ。
「ハルくんって、ハンバーグにはなにをかけて食べる人?」
「ん……普通にソース、かな。かけないときもあるけど」
ハル曰く、「ソースを食べている分けじゃない」とのことで、私がソースをびちゃびちゃかけているときなどに苦言を呈す。
「なら、味付けは少し濃い方が良いね。塩コショウ、コショウは黒コショウを使うのがいいよ」
塩とブラックペッパーを振りながら、瑛が解説していく。特に分量などはなく、味付けというのは好みの問題だから決まりはないそうだ。下味を濃くすることで、ソースなどをかけない人も十分に味わえる仕上がりになるらしい。
「後は生地をこねるだけなんだけど……その前に用意するものがあるね。穹ちゃん、このお家ってフードプロセッサーとか、おろし金ってある?」
「フードプロセッサーならあるけど」
都会にいた頃、通販で買ったハンディタイプのがあった。買うだけ買ったのにほとんど使わず、それでも処分しなかったのは特に邪魔になる大きさでもなかったからだ。
「じゃあ、これに千切った食パンを入れようか」
「食パン? なんで?」
「これも繋ぎだよ。本当はパン粉がいいんだけど、なかったから」
千切った食パンをフードプロセッサーに入れて、スイッチを押す。食パンがパン粉になるまで数秒、すぐにサラサラになった。瑛は生地をこねながら、作った生パン粉を加えていく。
「さっきの卵はお肉とタマネギを繋ぐためで、このパン粉は生地全体を繋ぐためのものだよ。穹ちゃんもやってみる?」
生地をこねることに対抗を感じなかった分けじゃないけど、なんでも瑛に任せていては意味がない。生地は思っていた以上に柔らかいけど、不思議と手にベタついてこない。これがパン粉の効果らしい。
「型を整える際は、俵型がいい感じだね。こんな風に両手で……」
「こ、こう?」
「そう、そんな感じ! 穹ちゃん、上手だよ」
褒められると、少しくすぐったくなる。瑛のと違って少しいびつだけど、はじめてにしては上出来だろう。
「型を整えたら、生地を寝かそうか? すぐに焼くことも出来るけど、生地を寝かせることで焼いたときに型くずれしにくくなるから」
その間なにをしてようかと瑛が訊ねてきたから、私は近くにあったティーセットに目をやって、
「お茶、飲む? 紅茶だけど」
「そうだね、じゃあ、ご馳走になろうかな。けど……」
珍しく、瑛が少し言いにくそうに言葉を漏らした。
「お茶菓子は、違うのがいいかな」
生地を寝かせている時間、私たちは紅茶を飲みながら過ごしている。瑛は私が出したアタリメを、やはり不思議そうに見つめながら食べている。
「穹ちゃんさ、前にも訊いたと思うけど、二人暮らしはどう? 大変じゃない?」
「慣れてきた、かな。まだ手探りな部分も多いけど……それに、大変なのは瑛だって」
「あたしは、長いから」
一言で切り捨てる瑛の顔は、笑っているけどつかみ所がないというか、妙な深みを持っていた。まるで、それ以上は踏み込んではいけないような、目には見えない心の壁。私がそれを感じ取れたのは、私も同じようなものを持っていたからで……
「長いだけが理由じゃないけど、昔から家事とかはしてきたから」
今でこそ一人暮らしをしている瑛も、昔は一緒に暮らしていた人がいて、神社の神主だったおじいさんが保護者だったらしい。私とハルの祖父母と同年代の高齢者だったため、手伝う意味も兼ねて自然に家事を憶えていったようだ。
「寂しくは、ないの?」
いつか、瑛に訊かれたことを訊ね返してみる。質問に、瑛は目を開いて答えた。
「寂しくはないかな。悲しいこと、寂しいこと、そういう気持ちを忘れる必要はないけど、それをずっと抱え込んだままなのは、ね」
「瑛……」
「あはー、でも、穹ちゃんとハルくんを見ていると、たまに羨ましいなとは思うよ。楽しいそうだなぁ、ラブラブだなぁって」
ハルの名前が出てきたことで、私はもう一つの質問をするべきかどうか考え始める。前々から一度訊いてみたかった、確認しておきたかったこと。けれど、それを投げかけてもいいのか、投げかけることで今の瑛との関係が壊れないか、私にはその心配があった。
だけど……
「瑛って、その」
穏やかな瑛の表情を見ていると、口から言葉が滑り落ちてしまう。
「ハルのこと、好きなの?」
思い切って、私は自分の抱いていた疑問を瑛にぶつけた。嫌いでないことは分かり切っているから、この場合の好きかどうかと言うのは、より深い意味での話だ。瑛の視線が私の視線と交錯し、私は目をそらしたくなる気分をグッと堪えた。
「……好きだよ、初恋の人だもん」
「――っ!?」
やっぱり、そうなんだ。瑛は以前から私とハルに好意的で、気を使ってくれている。それはただの友達というレベルを超えており、私は瑛がハルに特別な好意を抱いているのではないかと、この子の態度や発言から感じ取っていた。ハルはあの通り鈍いからともかくとして、周囲でも気付いているの私ぐらいだと思う。
「私は……」
瑛のことは嫌いじゃないし、どちらかと言えば好きな方だ。けれど、それはあくまで友人としてであって、瑛がハルの恋人になるのだとすれば、また話は違ってくる。
いや、そうじゃない。最大の問題は、私が〝瑛にならハルを渡しても構わないかも〟と、心のどこかで思っていることだろう。明るくて、元気で、家事も出来て、私なんかより、女の子としてずっと魅力がある。仮にハルが瑛と付き合うことになったら、私はそれに反対できるだろうか? 〝あの人〟のときとは違い、あまり自信がなかった。
「大丈夫だよ、穹ちゃん」
俯きながら悩む私の手に、瑛の手がそっと添えられた。
「あたしはハルくんが好きだけど、好きな人は他にも沢山いるから」
「えっ……?」
「亮兄ちゃんやカズちゃん、初佳さんやひろ姉ちゃん。あたしは、あたしの周りにいるみんなのことが好きなんだよ」
およそ人嫌いとは無縁な人生を送ってきたであろう瑛の言葉に、嘘偽りは感じられない。
「でも、その好きは」
「確かに、ハルくんに対する好きと、他の人に対する好きは、少しだけ違うのかも知れない」
けどね、穹ちゃん……と、瑛は言葉を続けていく。語りかけるように、穏やかな表情と口調で。
「ハルくんは穹ちゃんと一緒にいて幸せそうだし、穹ちゃんだってハルくんといて幸せなんでしょう? だったら、あたしもそれが一番嬉しいよ。だって私は――」
穹ちゃんのことも、大好きだから。
瑛の見せる優しさと温かさに、私は胸が熱くなるのを感じていた。
「人によっては、損な性格だって思われるのかも知れないし、言われたこともある。でも、あたしは自分のことを不幸だなんて感じたことは、一度もないから」
悲しいこと、辛いことはいくらでもあった。けれど、それ以上に嬉しいとか楽しいとか、
幸せだなぁと感じられることも、いっぱいあったから。
「だから、結構幸せだよ、あたしは」
瑛の言葉に、私は自分を当て嵌めて考えてみる。私も、他人から見れば十分に不幸な人生を歩んでいるだろう。小さい頃から病弱で、病院のベッドで過ごした時間が多く、やっと退院できたと思ったら、今度は事故で両親を失った。安楽な境遇とは言えないし、決して幸せとは呼べないだろう。
「でも、私にはハルがいる」
瑛が先ほど言ったかけがえのない友人たちに囲まれているように、私にはハルがいて、ハルには私がいた。心に似た部分を持っている私と瑛の、それは明確な違いだった。
「私も、幸せなのかな」
今までも、そしてこれからも、ハルが入り限り、私は幸せを失わずに済む。
私は瑛の方に視線を、すべてを理解している少女へと向ける。瑛は私に手を重ねたまま、言葉を紡いでいった。
「それでいいんだよ、穹ちゃん」
頷きながら、瑛は微笑む。それが心の底からの笑顔であることに、私は気付いた。
「ありがとう、瑛」
話を終えて、私たちはハンバーグ作りの最終段階、焼く作業に入った。
熱したフライパン、ステンレス製の場合は生地からでる油だけで焼けるため、特に油を引いたりはしないらしい。ここに成形した生地を入れ、フタをして焼き上げる。片面が焼けたらフライ返しでひっくり返して、両面をしっかりと焼く。好みでチーズを乗せたりするそうだけど、チーズがなかったのでそれはまた今度にしよう。
「そうだ、簡単なソースを作ろうか?」
同量の中濃ソースとケチャップを混ぜて、ハンバーグからでた肉汁を加える。この手作りソースをかけても美味しいとのことで、実際に食べるときに試してみようと思う。
添え物としては、なににしようか二人で考えて、じゃがいものバター焼きにした。ブロッコリーとかにんじんはあまり好きじゃなかったし、パスタがなかったので、パスタのケチャップ和えも作れなかったからだ。
「こんなものかなぁ。穹ちゃん、お皿の用意は出来た?」
生地は全部で四つほど成形したから、その内の一つを試食として食べることにした。お皿に盛りつけたハンバーグ、瑛と二人で作ったそれは、いい匂いを立てていた。
「うんうん、ちゃんと火も通ってるし、いい感じだね!」
ナイフで半分に切り分けて、火の通りを核にしたら、私たちはそれぞれフォークでハンバーグを食べてみる。
「美味しい……!」
一口噛みしめただけで、口の中に肉汁が広がってきた。崩れにくく、それでいて柔らかいハンバーグは、ビックリするほど美味しい
「穹ちゃんが作ったんだよ、これは」
「で、でも、私はなにも……ほとんど瑛が」
「違うよ、穹ちゃんがやってみたい、作ってみたいと思ったから、ここまでの物が出来たんだよ」
その気持ちが、大事なんだよ。
瑛はそういいながら、もう一口、実に美味しそうにハンバーグを頬張った。
残った三つの生地の内、二つは私とハルの夕飯用として、一つはラップに包んで瑛へと渡した。夕飯も一緒にどうかと誘ったけど、気を使ってくれたのか、断られてしまった。
「今日はありがとうね、穹ちゃん」
「? お礼を言うのは、私の方」
「ううん、誰かと一緒に料理をするのって凄く久しぶりだったから……本当に楽しかった。だから、ありがとう」
家に帰る瑛を玄関の外まで見送り、その姿が見えなくなるまで私は立っていた。気恥ずかしさが頬を熱くし、赤くする。瑛も私も、随分と踏み込んだ部分まで話したような気がする。けれどそれは、お互いにそこまで言えるだけの関係になれたと、そういうことだろう。
瑛は自分のことを幸せだと言った。私も、自分のことはそれほどまでに不幸ではないと思っている。重要なのはその点であり、今日一日で私が瑛から料理と共に学んだことだった。
瑛が帰り、しばらくしたらハルが帰ってきた。時刻は夕方と夜の間ぐらい、思っていたより少し早い。
「ハルっ!」
私は足取りをはずませて玄関まで駆けると、靴を脱ぎかけていたハルに向かって抱きついた。
「わっ、ちょっと、穹」
驚きながら、ハルは私のことをしっかりと抱き留めてくれる。手にはなにやら白い箱が握られており、どうやらお土産のケーキらしい。
「ハル、ご飯できてるけど、それとも先にお風呂に入る?」
「へっ? あぁ、それじゃあお風呂に……って、ご飯ができてる?」
既に夕飯の仕度ができていることに、ハルは心底驚いたらしい。私が自分で用意したと知ると、喜んだり感動したり、色々と忙しそうだった。
そんなハルを見つめながら、私は思う。
なるほど、私も結構幸せじゃないか、と。
ヨスガノソラ二次創作SS 穹の初恋物語
2010年6月28日 ヨスガノソラ コメント (1)「なぁ、悠の初恋って、どんなだった?」
ある日の学校、昼休みも中頃に差し掛かった午後の時間。いつにもなく寡黙で、どこか鬱屈そうな表情をしていた亮平が、急にこんなことを訊ねてきた。
「は? なんだって?」
「だから、初恋だよ、初恋。お前だって、今までに初恋の一つや二つしてきただろ?」
僕の言葉に身を乗り出して応じる亮平。というか、初めての恋で初恋なんだから、一つより多かったらおかしいだろ。
「初恋ねぇ……」
「相手はどんな人だった? やっぱ、定番中の定番、幼稚園の先生とか?」
何故、亮平がいきなりこんな話を始めたのか疑問に思いつつも、僕は自身の初恋というものを考えてみる。亮平に出した例は、確かに男にとっては基本中の基本、誰でも通る流れなのかも知れないが、僕の場合は少し異なる。
「僕、幼稚園の先生、男の人だったんだよね」
「なにぃっ!? じゃあ、お前は幼稚園児が綺麗なお姉さん先生に憧れる、あのときめきと興奮を知らないのか」
「ときめきはともかく、園児が興奮しちゃ不味いだろ……」
大体、幼稚園の先生が男性であっても、僕はそれを残念に思ったことはない。その先生はスポーツがそれなりに出来るさわやかな人で、鉄棒で逆上がりを格好良く決める姿を見ては、幼心に憧れたものだ。
「じゃあ、お前はどんな人が初恋の相手だったんだよ? 世の中の定番が当て嵌まらないってことは、別にいるんだろ?」
「別って、そんな突然言われても」
「まさか、次にありがちな母親とか言うんじゃないだろうな?」
さすがにそれはない。いや、好きか嫌いかで言われれば好きだったけど、母親は僕が物心付く頃には仕事に復帰しており、そういった対象としてみることもなかったのだ。
でも、そうすると、僕の初恋の相手は誰になるのだろうか?
「あれ……」
冷静になって考えてみると、パッと思い浮かばない。記憶の糸をたぐり寄せたり、想い出の扉を開けたりしても、そこに初恋の想い出というものが、存在していない。
「おいおい、忘れちまったのか? 仕方ない奴だな」
亮平が茶化しつつも、本当に呆れたような声を出してきたので、僕は内心焦り気味になっていた。こんな話題で焦るのもおかしい気はするけど、考えずにはいられない。
都会にいた頃は、あまりそういうことを考えたことがなかった。僕も小さい頃はあまり社交的じゃなかったというか、外で元気いっぱいに遊ぶなんてことをしだしたのは、それこそ夏休みにこの奧木染へ遊びに来るようになってからだろう。それまでの僕といえば、外で遊ぶにしろ家の中で遊ぶにしろ、特別友達を必要としなかったというか、要するに遊び相手として身近な、身近すぎる存在が常に傍へいたから気にならなかったのだ。
とすると、僕の初恋の想い出とやらは奧木染にあるのだろうか? 確かに僕はここで様々な人と出会い、その幾人かとは今も交流がある。代表的なのは近くに住んでいるあの人であり、もう一人は……
「さすがにない、かなぁ?」
僕の視線は、近くで立ち話をしている女子へと向けられていた。
「悠、瑛の方なんか見て、どうしたんだ?」
「え、いや、そういえば天女目も昔からの知り合いだったなって」
天女目瑛。僕のクラスメイトで、隣席に座っている女子。僕はあまり憶えていないのだけど、昔、一緒に遊んだことがあるらしい。
「瑛か……確かに可愛い奴だとは思うが、なんというか、マニアックだな?」
「マニアックって、その言い草はさすがに酷いぞ」
「だって、瑛だろ? 小さい頃のあいつって、女の子というより男の子っぽかったしなぁ。いつも、男に混じって遊んでたし」
むしろ、そういう女子に恋心を抱く男子は割と多いんじゃないかと思ったけど、それは言わないことにした。
天女目のことは可愛いと思う。小柄だが良く動き、ころころと変わる表情と、そこから見せる笑顔には魅力がある。でも、それは再会してからの印象であって、昔に出会ったときの印象ではないはずだ。そう考えると、僕は天女目に恋をしていたことは、ないのだと思う。
そういった意味では、あの人、彼女のことも別に――
「そうだ、なら、穹ちゃんはどうだ?」
「へっ?」
「穹ちゃんの初恋相手って、どんな奴なんだろうな。悠、お前、知ってるか?」
穹、それは僕の双子の妹の名前だ。両親を亡くした僕にとっては唯一の肉親であり、かけがえのない大切な家族。
そんな穹の、初恋……?
「さぁ、考えたこともないよ」
言いながら、僕は自分の言葉に違和感を憶えていた。本当に、そうだろうか。
「あんだけ可愛いんだから、やっぱ、告白とかも結構されてたんじゃねーの?」
なにか、ずっと前にも同じようなことを訊かれたような、奇妙な感覚。
「けど、穹はあのとおり人見知りだし、あんまり想像できないなぁ」
そう、これは既視感などではなく、確かな記憶。あのときも僕は、こんな風に答えをはぐらかしながら、話を流そうとしていた。まるで、その答えに辿り着くのを、拒んでいるかのように。
不思議な感情が、そこにはあった。
ハルくんが、こっちを見ていた。亮兄ちゃんと話しながら、少しの間だけど、あたしの方を見つめていた。
「初恋だなんて、男の人ってどうしてああいう話で盛り上がれるのかしら?」
やや呆れたように、カズちゃんが言う。
「でもでも、初恋の想い出は誰だってあるものだよ。カズちゃんだって、あるんでしょ?」
「えっ、私は、その……瑛の方こそ、どうなのよ」
「あたし? あたしはねぇー」
言いかけて、あたしは思わず困ったような顔を作ってしまった。思い出せなかった分けじゃなく、あたしは今でもその想い出をしっかりと憶えている。だけど、それは……
「ずっと小さい頃に、神社の裏山で一緒にセミ採りをした男の子かな、あたしの初恋は」
「セミ採りって、あなた、小さい頃は近所の男の子たちに混じって、いくらでもそういう遊びをしていたじゃない」
「うん、そうだよ。だけどね、何事にもあるんだよ。特別な想い出って」
その子はセミ採りどころか、野山で遊ぶという経験がほとんどなくて、あたしの見せるもの、歩く場所、すべてに驚いては、目を輝かせてくれた。あたしも、きっと珍しかったのだろう。カズちゃんの言う〝近所の男の子たち〟とはまるで違う反応を見せる彼と、彼が見せた屈託のない笑顔に、あたしは心惹かれたのだ。
けれど、この想い出はあたしだけの想い出になってしまったらしい。残念だな、とは思うけど、まるきり全部忘れられてしまったわけでもないから、辛くはない。
「……そういえばセミ採りって、前に話してた春日野くんと会ったときの話も、確か」
「カズちゃん、あたし、お手洗い行ってくるよ。そろそろ、お昼休み終わりそうだから」
「えっ? ちょ、ちょっと、瑛!」
カズちゃんが声を上げるけど、聞かなかったことにして教室を出る。一瞬、ハルくんの方に目を向けてみたけど、亮兄ちゃんと話すのに夢中で、あたしの視線には気付かなかったようだ。
「あぶない、あぶない」
さすが、カズちゃんは鋭いな。隠しておくつもりだったのに、あっさりばれちゃった。何故か、カズちゃんはあたしのこういう話に敏感で、厳しい意見が多い。理由は良く分からないけど、色々心配してくれているんだと思う。
けれど、それにしても……
「初恋かぁ」
亮兄ちゃんの初恋とやらはともかく、ハルくんの初恋には興味があった。あたしに想い出があるように、ハルくんにだってなにかしらあるはずだ。今は忘れていたり、思い出すことが出来なくても、失われることはきっとない、はずだ。
そんなことを考えながら女子トイレの前まで来ると、そこであたしは意外な人物に遭遇した。
「あれ、穹ちゃん?」
「ん……瑛」
ハルくんの双子の妹で、別のクラスにいる穹ちゃんだった。色素の薄い髪に、初雪みたいに真っ白な肌。綺麗とか可愛いとか、そういう単純な言葉では言い表せない、亮兄ちゃんが言うところの〝美少女〟という表現が、凄く似合っている子だ。
「あ! ねえ、穹ちゃん。一つ訊きたいことがあるんだけど」
あたしは折角会ったのもなにかの縁と、思い切って穹ちゃんに尋ねてみることにした。
「なに……?」
唐突に言われて、怪訝そうな表情を作る穹ちゃん。トイレの前で立ち話をすることに、抵抗があるのかも知れない。
「あのね、ハルくんの初恋について、穹ちゃんはなにか知ってる?」
午後の授業が、あまり身に入らなかった。別に昼寝をしてたとか、亮平や天女目たちとのお喋りに熱中していたとか、そういうわけじゃない。昼休みに亮平から言われたことを考えていたのだ。しかし、考えれば考えるだけこんがらがって、容易に答えが出てくる気配はなかった。
この歳にもなって初恋の想い出について悩むなんて思っても見なかったけど、これだけ考えても思い出せないと言うことは、まさか、僕は恋というものをしたことがないんだろうか? いや、そんなはずはない。都会にいた頃だって、可愛いなとか、綺麗だなと思える女の子に出会ったことはあるし、まるきり縁や機会がなかったわけじゃない。けれど、それは全部最近の出来事だから、それは恋愛であっても初恋ではないはずだ。
「いや、僕のことはどうでも良いんだよ」
僕は昔の想い出とか、そういうものにあまり執着がない。今を生きるのと、明日に目を向けるので精一杯なんて言えばちょっと格好いい気もするけど、単純に思い出すのが嫌なのだ。昔のことというのは即ち両親が生きていた頃のことであり、それを普通に振り返り、思い返すことが出来るほど、僕にはまだ割り切りが出来てない。
だけど、穹のことは別だった。亮平に穹の初恋について尋ねられたとき、僕が動揺したのは事実だった。
「なんだかなぁ」
呟きながら、僕は教科書やノートをカバンに詰めて、帰り支度を始める。天女目はなにか用事があるとかで先に帰り、亮平も今日は農作業の手伝いに駆り出される羽目になったらしい。僕も隣のクラスまで穹を迎えに行って、さっさと帰ることにしよう。
「…………」
ふと、自分に視線を向けられていることに気付いて辺りを見回すと、渚さんがなんとも言えない複雑な表情を浮かべながら、僕を見つめ、いや、見つめていると言うよりは観察しているような感じだった。
「渚さん、どうしたの?」
「へっ!? あ、いえ、その……」
焦ったように声を出す渚さん。反応からして、僕を見ていたことに間違いはなさそうだ。渚さんはやや躊躇った風に口を噤んでいたが、やがて、意を決したように僕に訊ねてくる。
「昼休みの話なんですけど」
「……初恋がどうとかいう話?」
「はい、それです」
参ったな、聴かれていたのか。天女目と話していたから聴いてないと思ったんだけど、まあ、亮平があれだけ大声を出していれば、興味がなくても耳に入ってしまうだろう。
「あの話がどうかしたの?」
不思議なのは、どうして渚さんがあの話をするのかということだ。興味がなくても耳に入るとはいっても、聞き流せばいいだけの話であり、こうして話題に持ち出す必要はないはずだけど……
「結局、春日野くんの初恋の相手って、誰なんですか?」
「はっ!?」
突然そんなことを言われて、僕は言葉に詰まってしまった。何故、渚さんがそのようなことを訊いてくるのか、それも僕の初恋についてだなんて……まさか!? いや、そんなはずはない。これはなにかの間違い、もしくは罠に違いない。だけど、渚さんが冗談やからかいでこんなことを言うとは思えず、僕は混乱して――
「あ、瑛ってことはないですよね?」
「……なるほど」
どうやら、質問の意図はそこにあるらしい。おそらく渚さんは、僕があの話をしているときに天女目の方を見ていたのに気付いていて、それが気になったというところだろう。渚さんは天女目に対して過保護な一面があることは、付き合いの浅い僕でも知っている。
「実は、良く分からないんだよね。あんまり昔のことって憶えてなくて」
「そう、なんですか?」
「天女目とも昔からの知り合いだったよなぁって考えてたんだけど、それは単に幼友達って感じだから」
遊んだ回数にしたところで、そんなに多いわけではないのだ。記憶に残っている以上は印象が薄いわけではないけど、当時はそれほど特別な感情は抱いていなかったと、思う。あんまり自信はないけど。
「渚さんは、どうなの?」
「えっ……?」
「いや、ほら、初恋の想い出とか」
失礼なことを訊いている気もしたけど、先に訊ねてきたのは渚さんなのだから問題はないだろう。
「ありますよ、私にも」
それは、どこか昔を懐かしむような声だった。渚さんは窓際まで歩くと、窓に手を突きながら外の光景を見ている。グラウンドでは体育会系の部活動が行われており、活発そうな声が響いている。
「自慢ではありませんが、私は名家の生まれで、名士の娘です」
声に混じる僅かな自嘲は、渚さんの言葉が自慢などではないことを物語っていた。僕に背を見せている彼女の瞳は、どんな色をしているのだろう。
「子供の頃、私には友達が一人もいませんでした」
それほど意外な発言でも、ないように思えた。亮平が以前言っていた、昔の渚さんはお嬢様と言うことで近寄りがたい雰囲気があったという。
「幼稚園のときの話です。私が、当時はまだいた友達と遊んでいる最中に、転んで足をすりむいたんです。大した怪我じゃなかったけど、それでも血が出て、私は泣きながら家に帰りました」
家に帰って手当を受け、夜にはケロリとしていたそうだが、事件はむしろその後だった。一緒に遊んでいた子供の親が、謝罪をしに来たというのだ。それも、一家総出で。
「子供が遊んでいる最中に起こったことで、それも私が勝手に転んだだけだから謝罪する必要はない。そう言って、母は相手の親を宥めました。事実、相手の子供にはなんの責任もないんです」
にもかかわらず、泣きじゃくる子供の頭を無理やり下げさせ、必死で謝罪する親の姿に、幼いながらも渚さんは違和感を憶えたらしい。まるで、自分の方がなにか悪いことをしてしまったかのような、そんな気がしたのだ。
「それからも、同じようなことが起こる度に、同じような謝罪が繰り返されました。私が怪我をしようものなら、それこそ土下座をする勢いで謝罪をして、お詫びの菓子折を持参した人もいましたね」
名士であり街に多大な影響力を持つ渚さんのお父さんから不興を買いたくない。謝罪の主な理由はこれであったが、幼い渚さんや、周囲の子供たちにそんな理由が判るはずもない。
「そんなことが続いて、私が小学校に上がる頃には、私の周りに友達と呼べる存在は一人も居なくなっていました」
皆が皆、腫れ物を扱うかのように渚さんに接し、避けるようになっていった。名家の生まれのお嬢様である、それだけで、渚さんは近寄りがたい、付き合いづらい人間となってしまったのだ。
「私は孤独でした。自分の生まれを恨めしく思ったこともあります。けど、小学校の高学年になったときです」
高学年になってはじめてクラスが一緒になったクラスメイトが、渚さんに手を差し伸べたのだ。満面の笑みを浮かべながら、一人周囲の輪から外れている渚さんに向かって、「一緒に遊ぼうよ!」と声を掛けてくれたそうだ。
「熱心に差し出された手を握りかしたとき、私はその人のことが好きになりました。そして、あのとき抱いた想いは、私の中で今日まで生き続けています」
その人が誰であるかは、さすがに言うつもりはないらしく、僕も訊くつもりはなかった。むしろ、僕なんかにここまで話してくれたことが不思議なほどだ。
「つまらない話をしてしまいましたね。でも、私にとっては貴重な、宝物みたいな想い出なんです。きっとこれからも、ずっと大切にしていけるだけの」
振り返った渚さんの表情は、とても温かみのあるものだった。
「素敵な話だと思うよ、本当に」
僕の口調に実を感じたのか、渚さんは満足したように笑った。そう、誰にだって初恋というものがあり、それに見合った想い出がある。渚さんにあるように、亮平や、天女目にだってあるのだろう。
そしてそれは、僕や穹にしたところで、例外ではないのだ……
一日の授業が終わり、私は教室の前にポツンと立っていた。いつもならすぐに迎えに来てくれるはずのハルが、今日は何故か遅い。クラスメイトにでも捕まったのか、それとも掃除当番なのか。覗きに行こうかと思ったけど、やっぱり止めてこのまま待つことにする。
「初恋……か」
頭の中に、昼休みに瑛が言った言葉が浮かんでくる。瑛の話では、ハルがそんな話を誰かとしてたらしく、気になったから私に質問をしたらしい。本人に訊けばいいのに、と思わないでもなかったけど、私はその思いがけない質問に対し、ちゃんとした答えを出すことが出来なかった。
ハルの初恋、それについて私が一度も考えたことはなかった、という表現には嘘がある。正確に言えば、「考えたくなかった」のだ。気になりはしたし、関心もあったけど、それを知るのが私はとても怖かった。もし、ハルの初恋の相手が〝あの人〟だったりしたら、私はきっと立ち直れなくなるから。
「それと、私の初恋」
質問に対して言葉を詰まらせた私に、瑛は違う質問をぶつけてきた。
「じゃあじゃあ、穹ちゃんの初恋ってどんなの?」
あのとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴らなければ、私は押し黙ったまま、あの場に立ち尽くしていたかも知れない。ハルの初恋について答えられなかった私は、それ以上に自分の初恋についての答えを、持ち合わせていなかったのだ。瑛は単なる興味本位で訊いたんだろうけど、私にはその興味がない。きっとハルなんかは単純だから、「初恋の想い出は誰にでもある」とか思ってそうだけど、私は違う。
「想い出なんて、ないもん」
好きな相手というのは、今も昔もハルだけど、じゃあ、私はハルに恋をしたのかと言われると、疑問が浮かんでしまう。ハルは私にとっての唯一の恋愛対象であり、ハル以外にそういった感情を抱いたことがないのは確かなのに、ハルが初恋の相手であることに自信が持てずにいる。
「ハルは、どうなんだろう」
初恋というものは、私にとって未知の領域だけど、ハルは違う。ハルは私なんかと違って、ちゃんとした想い出を持っているはずだ。それはもしかしたら、〝あの人〟との想い出なのかも知れないし、全然違う、私の知らない人との想い出かも知れない。
あまり嬉しくもない考えに行き当たり、私がやや憮然とした表情をしていると、ハルが教室から出てくるのが見えた。こちらに顔を向け、軽く手を振ってくる。
「ハル!」
声が弾み、身体が軽くなっていくのを感じる。我ながら単純だと思うけど、その逆であるよりはずっといい。さっきまでの考えを振り払うと、私はハルの方へと歩き出した。
渚さんと話し込んでいたせいか、家に帰るのがいつもより若干遅れてしまった。迎えに行くのが遅くなったことに対し、穹は特になにも言わなかったけれど、それ以上に口数が少ないのが気になった。いや、元々穹は多弁な方ではないけど、帰り道でも僕の方をチラチラ見てはなにか言いたそうにしているといった感じで、まあ、それに関しては僕も似たようなもんだったと思うが。
「クラスでなにかあったのかな」
別のクラスであるからして、僕は普段穹が教室でどのような感じなのかを知らない。成績からいって僕よりは真面目に授業を受けているはずだけど、他のこと、例えばクラスメイトとの関係や付き合いなどはどうだろうか? 友達が出来たという報告はないし、そもそも本人に作る気があるのか、それすらも判らない。登下校はいつも僕と一緒だし、昼休みもほとんど一緒に昼ご飯を食べている。これでは友達の出来ようもないだろう。前々から心配しているのだが、穹自身は現状に満足とはいかないまでも不満はないようで、僕としては口の挟みようもなかった。クラスで孤立とか、そういうことにならなければいいのだが……
帰宅早々、穹のことばかり考え始めた自分に、僕は苦笑めいた感情を覚える。結局、自分のことより穹のことなのだ。今日亮平の奴に言われたことも、関心や興味は自分よりも穹の方に向いていた。
「昔も、同じようなことがあったっけ」
あれは、そう、まだ両親が存命中の話だ。穹が退院して幾月か過ぎ、買い付け先から帰国した父親が、僕にこのようなこと尋ねてきた。
穹に、恋人はいないのかと。
冗談などではなく、父親としては年頃の娘の恋愛模様ないし事情なりを心配していたのだろう。穹の可愛らしい容姿は両親の自慢でもあったし、無理からぬことだ。しかし、本人に直接尋ねるだけの勇気はなかったのか、質問されたのは僕だった。
意外すぎる質問に、僕が意表を突かれたのは言うまでもない。真剣に訊ねてくる父親の顔を、僕は直視できなかった。動揺しきった自分の表情を、悟られる気がして。
「まさか、そんな相手いるわけないよ」
本人でもないくせにきっぱりと断言してしまった僕は、慌てて付け加える。
「穹は家に籠もりがちだし、友達らしい友達もいないみたいだから、恋人だなんてそんな……あるわけないさ」
我ながら酷いことを言っていると思ったが、それは嘘ではなく事実だった。当時、都会にいたころも、穹は積極的に友人付き合いをするようなことはなく、暇さえあれば一日中パソコンと向かい合っているような生活を送っていたのだ。
息子の断言、その裏に存在する、本人さえも気付いていない大きな深みを理解せずに、父親は自分の懸念を口にする。お前はそう言うが、穹だって好きな奴の一人や二人いてもおかしくはないだろう。逆に、穹のことを好きだと言って告白してくる奴がいるかも知れないし、穹だってその気になるのではないか。
「考えすぎだよ、本当に。なにも心配するようなことはないし、僕が保証するよ」
思い返してみると、あのときの僕はどこか不機嫌だった。父親の言葉を流して、ごまかして、それ以上その話題を続けることから逃げ出したのだ。どうしてそんなことをしたのか、あのときは判らなかった。でも、今は違う。穹に関する間の恋だのといった話題に触れたくなかった、考えたくなかったかつての自分。その気持ちが、今なら判る。
「昔から、僕は情けなくて格好悪かったってことかな……」
自嘲気味に言いながら、記憶の書棚から今度は別の本を取り出してみる。
初恋やらの記憶は持ち合わせていない僕だが、恋愛と名の付く想い出は皆無ではなかった。世の中には物好きという者がいるらしく、こんな僕でも告白の類を受けたことがあるのだ。あるときは昔ながらの恋文で、またあるときは呼び出された場所での口頭で、いずれにせよ僕にもそういう機会があった。
比較的仲が良かったクラスの女子から告白されたとき、僕の心は揺れ動いた。相手の真剣さと、強い想いは、恋愛に鈍感な僕にさえ、しっかりと伝わってくるものだった。どう答えるべきか、〝どうすれば相手を傷つけずに断れるのか〟を考えている自分が、そこにいた。結果的に言えば、今の僕の暮らしを考えると告白を受け入れなかったことは正解なのだけど、当時の僕はそんな未来は知らないし、想像もしていなかったはずだ。それなのに、何故……?
不思議なことに、告白を受けたときに僕が考えていたのは、穹のことだった。無意識か、それとも意識下か、僕の頭に穹の顔が、悲しそうに僕を見つめる表情が思い浮かび、一瞬にして僕は持ちうるはずの選択肢の数々を消失してしまった。
「ごめん……」
紡ぎ出せた言葉の、情けないことときたら。相手は訊ねる、どうして、自分が嫌いなのかと。そうじゃなかったから否定すると、今度は他に誰か好きな人が、付き合っている人がいるのかと訊かれた。
「そういうわけじゃないんだけど……ね」
表現は難しいと思った。僕自身、自分の感情を良く理解できていなかったというのもあるし、理解できたところで、説明できることでもなかっただろう。
「放っておけない人がいて、今は、その人のことを大事にしてあげたいんだ」
丁度、穹が退院して間もないと言うこともあったのだろう。言葉は自然と僕の口から流れ出て、相手を納得させるだけの実があったらしい。「そっか」と、寂しそうな声を出して、相手は僕の謝絶を受け止めてくれた。
あのとき言った〝今〟は、意外なほど長く、現在進行形で続いている。大事だと思う気持ちは、大切という気持ちも飛び越え、僕の中で大きく変化していった……
僕は過去という名の回想録を、記憶の書棚にそっと戻した。久々に思い返してみて、感傷や感慨がなかったわけではないけど、それに浸っている暇はなかった。というのも、部屋の外から僕を呼ぶ声が響いてきたのだ。
『ハル、中にいる……よね?』
控えめな、そしてどこか遠慮がちな声。僕はゆっくりとした動作で、部屋のふすまを開けてみる。
「あっ、その、入っていい?」
制服から私服へと着替えた穹がそこに立っていた。表情を僅かに緊張させてはいるものの、その瞳はしっかりと僕を見つめてくる。同年代の少年らが見れば、愛らしさに息を呑むことだろう。
「うん、いいよ」
穹に対して閉ざす扉を、僕は持ち合わせてなどいなかった。
家に帰ると、さっさと部屋に行ってしまったハルと違い、私はキッチン兼食堂で紅茶を入れていた。今日のハルは、どことなく話しかけづらい雰囲気だった。まあ、ハルからすれば私も同じような空気を出していたかも知れないけど、要するにお互い余所余所しいのだ。
話したいこと、訊きたいこと、聞いて欲しいことに、言ってしまいたいこと。それらは二人とも持っているはずなのに、言葉として紡ぐことが出来ないのは、まだお互いに考えが纏まっていないからだろうか?
「ハルも、悩んでるのかな」
深刻な悩みではないにしろ、私が瑛の言葉に心を波打たせたように、ハルも思うところがあったのかも知れない。ハルも都会にいた頃は、私よりずっと充実した毎日を送っていたはずだから、愛だの恋だのといった奇怪に遭遇することも、多かったはずだ。ハルは隠しているみたいだけど、そういった噂を耳にしなかった分けじゃないし、〝橋渡しを頼まれたこと〟も、私にはあるのだから。
煎れ立ての紅茶を持って、私は自分の部屋へと帰る。制服をベッドの上に脱ぎ捨てて、ふと、着替える前に姿見の方へと向かう。
小さな身体が、そこに映し出されていた。
下着姿になると、制服のときよりも、華奢な身体がハッキリと露わになる。ハルとは違う、小さいままの私の身体。
私が復学をして間もない頃、クラスの女子がハルについて色々と訊いてきたことがある。当時、ハルは復学したばかりの私を心配して、今と同じように毎日教室まで迎えに着てくれていた。私に対する物珍しさと、双子と言うことで顔がよく似ていたことへの興味。
彼女はいるのか、どんな女がタイプなのか、そういった質問の数々を、私は煩わしげに聞き流してきた。彼女なんていないことは知っていたし、いるわけがないとも思っていたけど、それを断言したくもなかった。ハルの面子を守って、というわけでもなく、どこまでも自分本位な理由から。
あるとき、ハルが同学年の女子から告白を受けて、これをあっさり断ったという話を聞いた。ハルは私にそんなことを一言も言わなかったので驚いたけど、狭い学校の中、それも同学年の恋愛に関する噂は伝播しやすい。
ハルは身持ちが堅いと言うことで有名だったらしい。私が復学するずっと前から、人付き合いは決して悪くなかったけど、肝心なイベント、クリスマスとかその辺りには誰からの誘いも受けなかったという。
恋愛や性愛に、ハルが無関心であったとは思えない。ハルは極端な人間ではなかったから、人並みに情愛や情欲は持っていたはずだ。それなのに、どうして――
「私が、いるから?」
思い上がりというわけではなかっただろう。現に、私とハルの周囲にはそういった声もあり、「春日野は妹の世話を焼くのに大忙し」などと評されることもあった。ハル自身、自覚があったのかそうした声に反論せず、残り僅かとなる都会での生活を、私と一緒に過ごしていった……
制服から私服に着替えて、すっかり冷めてしまった紅茶に口を付ける。記憶の海をたゆたっている時間が、思いのほか長かったらしい。琥珀色に煎れた紅茶も、風味が消えては美味しくない。
「もう一度煎れて、ハルにも持って行こう」
口実であるにせよ、私はハルの顔が無性に見たくなっていた。
紅茶を煎れてきてくれた穹を部屋へと招き入れ、僕らは畳の上に座布団を敷いて腰を下ろした。椅子やベッドなどというものは僕の部屋には存在せず、家具や調度品も最低限のものしかない。いつか亮平が遊びに来たとき、その質素さに驚いていた。僕としては、これぐらいサッパリとしている方が、片付けも楽で良いと思うのだけど。
琥珀色の液体を身体に流し込むと、なんとなく気分が落ち着いてくる。隣に座っている穹に目を向けながら、僕は口を開いた。
「なぁ、穹……」
「ねぇ、ハル……」
重ねられた言葉に、僕らは目を丸くして見つめ合う。
「ハルからで、いいよ」
穹は薄く笑うと、琥珀色の紅茶を再び口に含んだ。僕は一呼吸置いて、再び穹に向かって語りかける。
「今日、クラスで初恋についての話題になってさ」
「うん、知ってる。瑛から聞いた」
「そ、そうなんだ。えっと、それじゃあ」
訊くなら、今しかない。この機会を逃したら、もう二度と訊くことが出来ないような、そんな錯覚に捕らわれる。僕は、意を決した。
「穹の初恋って、どんなのだった……?」
質問を受けても動じなかったのは、穹がある程度僕の質問を予期していたからだろうか? 目をつむり紅茶を飲んでいた穹は、やがて静かな動作でカップを置くと、僕の方に視線を向けてきた。透き通るような、その瞳で。
「私にはそう言うの、ないから」
言葉は、ハッキリとした断言だった。
「ないって、そんな」
「嘘じゃない。私には、恋をしている暇なんてなかった」
それは入院生活が長かったからとか、そういう意味だろうか? 困惑する僕に対して、穹は首を横に振る。
「違う。入院してたからとか、そういうことじゃない。私は、自分で恋がしたいとも思わなかった」
「それは、どうして?」
「……ハルが、いたから」
穹の導き出した答えに、僕は息を呑んだ。穹はスッと身体の向きを変え、僕の顔に自分の顔を、上目遣いに近づけてくる。
「私には最初からハルがいた。ハルが私の目の前にいて、いつも、どんなときでも私に笑顔を見せてくれたから」
だから、他にはなにもいらなかった。
その述懐は穹の心からの本音であって、そこに嘘偽りなど存在しない。穹は本心から、僕にそう言っているのだ。なら、僕はそれを素直に受け入れるべきだろう。
「ハルは、どう? 答えは……でた?」
訊きたいことは、お互いに同じだったようだ。穹がやや緊張した面持ちをしているのは、僕の答えにある種の覚悟をしているかも知れない。どんな答えでも受け入れようとする想いと、それが出来るか判らないという気持ち。
「僕は……」
今日一日、色々なことを考えてきた。かつて、僕には幾多の出会いがあり、幾人かの人が目の前に現れた。気持ちや想いの程度差はあれ、その人たちが僕を好いてくれたことに違いはない。
けれど、僕の瞳にその人たちは映らなかった。何故なら、僕の瞳はずっと、穹だけが映っていたのだから。穹のことだけを考え、穹のことだけを想い、それは僕にとっての当たり前のことだった。
だから、僕たちは――
「穹……好きだよ」
言うと、僕はごく自然な動作で穹の身体を抱きしめた。穹は驚いたようだが、キュッと僕の背中に手を回してきた。
「私も、ハルが好き」
穹も頷き、僕らは互いの想いを確かめ合った。
初恋というものが僕らにあったのだとすれば、それはずっと昔に経験したことであり、相手など最初から決まり切っていたのだ。考えても判らなかったのは当然で、探しても見つかるわけがなかった。
それを知り得たこと、実感できたことだけで僕は満足であり、そして……
幸せだった。
ある日の学校、昼休みも中頃に差し掛かった午後の時間。いつにもなく寡黙で、どこか鬱屈そうな表情をしていた亮平が、急にこんなことを訊ねてきた。
「は? なんだって?」
「だから、初恋だよ、初恋。お前だって、今までに初恋の一つや二つしてきただろ?」
僕の言葉に身を乗り出して応じる亮平。というか、初めての恋で初恋なんだから、一つより多かったらおかしいだろ。
「初恋ねぇ……」
「相手はどんな人だった? やっぱ、定番中の定番、幼稚園の先生とか?」
何故、亮平がいきなりこんな話を始めたのか疑問に思いつつも、僕は自身の初恋というものを考えてみる。亮平に出した例は、確かに男にとっては基本中の基本、誰でも通る流れなのかも知れないが、僕の場合は少し異なる。
「僕、幼稚園の先生、男の人だったんだよね」
「なにぃっ!? じゃあ、お前は幼稚園児が綺麗なお姉さん先生に憧れる、あのときめきと興奮を知らないのか」
「ときめきはともかく、園児が興奮しちゃ不味いだろ……」
大体、幼稚園の先生が男性であっても、僕はそれを残念に思ったことはない。その先生はスポーツがそれなりに出来るさわやかな人で、鉄棒で逆上がりを格好良く決める姿を見ては、幼心に憧れたものだ。
「じゃあ、お前はどんな人が初恋の相手だったんだよ? 世の中の定番が当て嵌まらないってことは、別にいるんだろ?」
「別って、そんな突然言われても」
「まさか、次にありがちな母親とか言うんじゃないだろうな?」
さすがにそれはない。いや、好きか嫌いかで言われれば好きだったけど、母親は僕が物心付く頃には仕事に復帰しており、そういった対象としてみることもなかったのだ。
でも、そうすると、僕の初恋の相手は誰になるのだろうか?
「あれ……」
冷静になって考えてみると、パッと思い浮かばない。記憶の糸をたぐり寄せたり、想い出の扉を開けたりしても、そこに初恋の想い出というものが、存在していない。
「おいおい、忘れちまったのか? 仕方ない奴だな」
亮平が茶化しつつも、本当に呆れたような声を出してきたので、僕は内心焦り気味になっていた。こんな話題で焦るのもおかしい気はするけど、考えずにはいられない。
都会にいた頃は、あまりそういうことを考えたことがなかった。僕も小さい頃はあまり社交的じゃなかったというか、外で元気いっぱいに遊ぶなんてことをしだしたのは、それこそ夏休みにこの奧木染へ遊びに来るようになってからだろう。それまでの僕といえば、外で遊ぶにしろ家の中で遊ぶにしろ、特別友達を必要としなかったというか、要するに遊び相手として身近な、身近すぎる存在が常に傍へいたから気にならなかったのだ。
とすると、僕の初恋の想い出とやらは奧木染にあるのだろうか? 確かに僕はここで様々な人と出会い、その幾人かとは今も交流がある。代表的なのは近くに住んでいるあの人であり、もう一人は……
「さすがにない、かなぁ?」
僕の視線は、近くで立ち話をしている女子へと向けられていた。
「悠、瑛の方なんか見て、どうしたんだ?」
「え、いや、そういえば天女目も昔からの知り合いだったなって」
天女目瑛。僕のクラスメイトで、隣席に座っている女子。僕はあまり憶えていないのだけど、昔、一緒に遊んだことがあるらしい。
「瑛か……確かに可愛い奴だとは思うが、なんというか、マニアックだな?」
「マニアックって、その言い草はさすがに酷いぞ」
「だって、瑛だろ? 小さい頃のあいつって、女の子というより男の子っぽかったしなぁ。いつも、男に混じって遊んでたし」
むしろ、そういう女子に恋心を抱く男子は割と多いんじゃないかと思ったけど、それは言わないことにした。
天女目のことは可愛いと思う。小柄だが良く動き、ころころと変わる表情と、そこから見せる笑顔には魅力がある。でも、それは再会してからの印象であって、昔に出会ったときの印象ではないはずだ。そう考えると、僕は天女目に恋をしていたことは、ないのだと思う。
そういった意味では、あの人、彼女のことも別に――
「そうだ、なら、穹ちゃんはどうだ?」
「へっ?」
「穹ちゃんの初恋相手って、どんな奴なんだろうな。悠、お前、知ってるか?」
穹、それは僕の双子の妹の名前だ。両親を亡くした僕にとっては唯一の肉親であり、かけがえのない大切な家族。
そんな穹の、初恋……?
「さぁ、考えたこともないよ」
言いながら、僕は自分の言葉に違和感を憶えていた。本当に、そうだろうか。
「あんだけ可愛いんだから、やっぱ、告白とかも結構されてたんじゃねーの?」
なにか、ずっと前にも同じようなことを訊かれたような、奇妙な感覚。
「けど、穹はあのとおり人見知りだし、あんまり想像できないなぁ」
そう、これは既視感などではなく、確かな記憶。あのときも僕は、こんな風に答えをはぐらかしながら、話を流そうとしていた。まるで、その答えに辿り着くのを、拒んでいるかのように。
不思議な感情が、そこにはあった。
ハルくんが、こっちを見ていた。亮兄ちゃんと話しながら、少しの間だけど、あたしの方を見つめていた。
「初恋だなんて、男の人ってどうしてああいう話で盛り上がれるのかしら?」
やや呆れたように、カズちゃんが言う。
「でもでも、初恋の想い出は誰だってあるものだよ。カズちゃんだって、あるんでしょ?」
「えっ、私は、その……瑛の方こそ、どうなのよ」
「あたし? あたしはねぇー」
言いかけて、あたしは思わず困ったような顔を作ってしまった。思い出せなかった分けじゃなく、あたしは今でもその想い出をしっかりと憶えている。だけど、それは……
「ずっと小さい頃に、神社の裏山で一緒にセミ採りをした男の子かな、あたしの初恋は」
「セミ採りって、あなた、小さい頃は近所の男の子たちに混じって、いくらでもそういう遊びをしていたじゃない」
「うん、そうだよ。だけどね、何事にもあるんだよ。特別な想い出って」
その子はセミ採りどころか、野山で遊ぶという経験がほとんどなくて、あたしの見せるもの、歩く場所、すべてに驚いては、目を輝かせてくれた。あたしも、きっと珍しかったのだろう。カズちゃんの言う〝近所の男の子たち〟とはまるで違う反応を見せる彼と、彼が見せた屈託のない笑顔に、あたしは心惹かれたのだ。
けれど、この想い出はあたしだけの想い出になってしまったらしい。残念だな、とは思うけど、まるきり全部忘れられてしまったわけでもないから、辛くはない。
「……そういえばセミ採りって、前に話してた春日野くんと会ったときの話も、確か」
「カズちゃん、あたし、お手洗い行ってくるよ。そろそろ、お昼休み終わりそうだから」
「えっ? ちょ、ちょっと、瑛!」
カズちゃんが声を上げるけど、聞かなかったことにして教室を出る。一瞬、ハルくんの方に目を向けてみたけど、亮兄ちゃんと話すのに夢中で、あたしの視線には気付かなかったようだ。
「あぶない、あぶない」
さすが、カズちゃんは鋭いな。隠しておくつもりだったのに、あっさりばれちゃった。何故か、カズちゃんはあたしのこういう話に敏感で、厳しい意見が多い。理由は良く分からないけど、色々心配してくれているんだと思う。
けれど、それにしても……
「初恋かぁ」
亮兄ちゃんの初恋とやらはともかく、ハルくんの初恋には興味があった。あたしに想い出があるように、ハルくんにだってなにかしらあるはずだ。今は忘れていたり、思い出すことが出来なくても、失われることはきっとない、はずだ。
そんなことを考えながら女子トイレの前まで来ると、そこであたしは意外な人物に遭遇した。
「あれ、穹ちゃん?」
「ん……瑛」
ハルくんの双子の妹で、別のクラスにいる穹ちゃんだった。色素の薄い髪に、初雪みたいに真っ白な肌。綺麗とか可愛いとか、そういう単純な言葉では言い表せない、亮兄ちゃんが言うところの〝美少女〟という表現が、凄く似合っている子だ。
「あ! ねえ、穹ちゃん。一つ訊きたいことがあるんだけど」
あたしは折角会ったのもなにかの縁と、思い切って穹ちゃんに尋ねてみることにした。
「なに……?」
唐突に言われて、怪訝そうな表情を作る穹ちゃん。トイレの前で立ち話をすることに、抵抗があるのかも知れない。
「あのね、ハルくんの初恋について、穹ちゃんはなにか知ってる?」
午後の授業が、あまり身に入らなかった。別に昼寝をしてたとか、亮平や天女目たちとのお喋りに熱中していたとか、そういうわけじゃない。昼休みに亮平から言われたことを考えていたのだ。しかし、考えれば考えるだけこんがらがって、容易に答えが出てくる気配はなかった。
この歳にもなって初恋の想い出について悩むなんて思っても見なかったけど、これだけ考えても思い出せないと言うことは、まさか、僕は恋というものをしたことがないんだろうか? いや、そんなはずはない。都会にいた頃だって、可愛いなとか、綺麗だなと思える女の子に出会ったことはあるし、まるきり縁や機会がなかったわけじゃない。けれど、それは全部最近の出来事だから、それは恋愛であっても初恋ではないはずだ。
「いや、僕のことはどうでも良いんだよ」
僕は昔の想い出とか、そういうものにあまり執着がない。今を生きるのと、明日に目を向けるので精一杯なんて言えばちょっと格好いい気もするけど、単純に思い出すのが嫌なのだ。昔のことというのは即ち両親が生きていた頃のことであり、それを普通に振り返り、思い返すことが出来るほど、僕にはまだ割り切りが出来てない。
だけど、穹のことは別だった。亮平に穹の初恋について尋ねられたとき、僕が動揺したのは事実だった。
「なんだかなぁ」
呟きながら、僕は教科書やノートをカバンに詰めて、帰り支度を始める。天女目はなにか用事があるとかで先に帰り、亮平も今日は農作業の手伝いに駆り出される羽目になったらしい。僕も隣のクラスまで穹を迎えに行って、さっさと帰ることにしよう。
「…………」
ふと、自分に視線を向けられていることに気付いて辺りを見回すと、渚さんがなんとも言えない複雑な表情を浮かべながら、僕を見つめ、いや、見つめていると言うよりは観察しているような感じだった。
「渚さん、どうしたの?」
「へっ!? あ、いえ、その……」
焦ったように声を出す渚さん。反応からして、僕を見ていたことに間違いはなさそうだ。渚さんはやや躊躇った風に口を噤んでいたが、やがて、意を決したように僕に訊ねてくる。
「昼休みの話なんですけど」
「……初恋がどうとかいう話?」
「はい、それです」
参ったな、聴かれていたのか。天女目と話していたから聴いてないと思ったんだけど、まあ、亮平があれだけ大声を出していれば、興味がなくても耳に入ってしまうだろう。
「あの話がどうかしたの?」
不思議なのは、どうして渚さんがあの話をするのかということだ。興味がなくても耳に入るとはいっても、聞き流せばいいだけの話であり、こうして話題に持ち出す必要はないはずだけど……
「結局、春日野くんの初恋の相手って、誰なんですか?」
「はっ!?」
突然そんなことを言われて、僕は言葉に詰まってしまった。何故、渚さんがそのようなことを訊いてくるのか、それも僕の初恋についてだなんて……まさか!? いや、そんなはずはない。これはなにかの間違い、もしくは罠に違いない。だけど、渚さんが冗談やからかいでこんなことを言うとは思えず、僕は混乱して――
「あ、瑛ってことはないですよね?」
「……なるほど」
どうやら、質問の意図はそこにあるらしい。おそらく渚さんは、僕があの話をしているときに天女目の方を見ていたのに気付いていて、それが気になったというところだろう。渚さんは天女目に対して過保護な一面があることは、付き合いの浅い僕でも知っている。
「実は、良く分からないんだよね。あんまり昔のことって憶えてなくて」
「そう、なんですか?」
「天女目とも昔からの知り合いだったよなぁって考えてたんだけど、それは単に幼友達って感じだから」
遊んだ回数にしたところで、そんなに多いわけではないのだ。記憶に残っている以上は印象が薄いわけではないけど、当時はそれほど特別な感情は抱いていなかったと、思う。あんまり自信はないけど。
「渚さんは、どうなの?」
「えっ……?」
「いや、ほら、初恋の想い出とか」
失礼なことを訊いている気もしたけど、先に訊ねてきたのは渚さんなのだから問題はないだろう。
「ありますよ、私にも」
それは、どこか昔を懐かしむような声だった。渚さんは窓際まで歩くと、窓に手を突きながら外の光景を見ている。グラウンドでは体育会系の部活動が行われており、活発そうな声が響いている。
「自慢ではありませんが、私は名家の生まれで、名士の娘です」
声に混じる僅かな自嘲は、渚さんの言葉が自慢などではないことを物語っていた。僕に背を見せている彼女の瞳は、どんな色をしているのだろう。
「子供の頃、私には友達が一人もいませんでした」
それほど意外な発言でも、ないように思えた。亮平が以前言っていた、昔の渚さんはお嬢様と言うことで近寄りがたい雰囲気があったという。
「幼稚園のときの話です。私が、当時はまだいた友達と遊んでいる最中に、転んで足をすりむいたんです。大した怪我じゃなかったけど、それでも血が出て、私は泣きながら家に帰りました」
家に帰って手当を受け、夜にはケロリとしていたそうだが、事件はむしろその後だった。一緒に遊んでいた子供の親が、謝罪をしに来たというのだ。それも、一家総出で。
「子供が遊んでいる最中に起こったことで、それも私が勝手に転んだだけだから謝罪する必要はない。そう言って、母は相手の親を宥めました。事実、相手の子供にはなんの責任もないんです」
にもかかわらず、泣きじゃくる子供の頭を無理やり下げさせ、必死で謝罪する親の姿に、幼いながらも渚さんは違和感を憶えたらしい。まるで、自分の方がなにか悪いことをしてしまったかのような、そんな気がしたのだ。
「それからも、同じようなことが起こる度に、同じような謝罪が繰り返されました。私が怪我をしようものなら、それこそ土下座をする勢いで謝罪をして、お詫びの菓子折を持参した人もいましたね」
名士であり街に多大な影響力を持つ渚さんのお父さんから不興を買いたくない。謝罪の主な理由はこれであったが、幼い渚さんや、周囲の子供たちにそんな理由が判るはずもない。
「そんなことが続いて、私が小学校に上がる頃には、私の周りに友達と呼べる存在は一人も居なくなっていました」
皆が皆、腫れ物を扱うかのように渚さんに接し、避けるようになっていった。名家の生まれのお嬢様である、それだけで、渚さんは近寄りがたい、付き合いづらい人間となってしまったのだ。
「私は孤独でした。自分の生まれを恨めしく思ったこともあります。けど、小学校の高学年になったときです」
高学年になってはじめてクラスが一緒になったクラスメイトが、渚さんに手を差し伸べたのだ。満面の笑みを浮かべながら、一人周囲の輪から外れている渚さんに向かって、「一緒に遊ぼうよ!」と声を掛けてくれたそうだ。
「熱心に差し出された手を握りかしたとき、私はその人のことが好きになりました。そして、あのとき抱いた想いは、私の中で今日まで生き続けています」
その人が誰であるかは、さすがに言うつもりはないらしく、僕も訊くつもりはなかった。むしろ、僕なんかにここまで話してくれたことが不思議なほどだ。
「つまらない話をしてしまいましたね。でも、私にとっては貴重な、宝物みたいな想い出なんです。きっとこれからも、ずっと大切にしていけるだけの」
振り返った渚さんの表情は、とても温かみのあるものだった。
「素敵な話だと思うよ、本当に」
僕の口調に実を感じたのか、渚さんは満足したように笑った。そう、誰にだって初恋というものがあり、それに見合った想い出がある。渚さんにあるように、亮平や、天女目にだってあるのだろう。
そしてそれは、僕や穹にしたところで、例外ではないのだ……
一日の授業が終わり、私は教室の前にポツンと立っていた。いつもならすぐに迎えに来てくれるはずのハルが、今日は何故か遅い。クラスメイトにでも捕まったのか、それとも掃除当番なのか。覗きに行こうかと思ったけど、やっぱり止めてこのまま待つことにする。
「初恋……か」
頭の中に、昼休みに瑛が言った言葉が浮かんでくる。瑛の話では、ハルがそんな話を誰かとしてたらしく、気になったから私に質問をしたらしい。本人に訊けばいいのに、と思わないでもなかったけど、私はその思いがけない質問に対し、ちゃんとした答えを出すことが出来なかった。
ハルの初恋、それについて私が一度も考えたことはなかった、という表現には嘘がある。正確に言えば、「考えたくなかった」のだ。気になりはしたし、関心もあったけど、それを知るのが私はとても怖かった。もし、ハルの初恋の相手が〝あの人〟だったりしたら、私はきっと立ち直れなくなるから。
「それと、私の初恋」
質問に対して言葉を詰まらせた私に、瑛は違う質問をぶつけてきた。
「じゃあじゃあ、穹ちゃんの初恋ってどんなの?」
あのとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴らなければ、私は押し黙ったまま、あの場に立ち尽くしていたかも知れない。ハルの初恋について答えられなかった私は、それ以上に自分の初恋についての答えを、持ち合わせていなかったのだ。瑛は単なる興味本位で訊いたんだろうけど、私にはその興味がない。きっとハルなんかは単純だから、「初恋の想い出は誰にでもある」とか思ってそうだけど、私は違う。
「想い出なんて、ないもん」
好きな相手というのは、今も昔もハルだけど、じゃあ、私はハルに恋をしたのかと言われると、疑問が浮かんでしまう。ハルは私にとっての唯一の恋愛対象であり、ハル以外にそういった感情を抱いたことがないのは確かなのに、ハルが初恋の相手であることに自信が持てずにいる。
「ハルは、どうなんだろう」
初恋というものは、私にとって未知の領域だけど、ハルは違う。ハルは私なんかと違って、ちゃんとした想い出を持っているはずだ。それはもしかしたら、〝あの人〟との想い出なのかも知れないし、全然違う、私の知らない人との想い出かも知れない。
あまり嬉しくもない考えに行き当たり、私がやや憮然とした表情をしていると、ハルが教室から出てくるのが見えた。こちらに顔を向け、軽く手を振ってくる。
「ハル!」
声が弾み、身体が軽くなっていくのを感じる。我ながら単純だと思うけど、その逆であるよりはずっといい。さっきまでの考えを振り払うと、私はハルの方へと歩き出した。
渚さんと話し込んでいたせいか、家に帰るのがいつもより若干遅れてしまった。迎えに行くのが遅くなったことに対し、穹は特になにも言わなかったけれど、それ以上に口数が少ないのが気になった。いや、元々穹は多弁な方ではないけど、帰り道でも僕の方をチラチラ見てはなにか言いたそうにしているといった感じで、まあ、それに関しては僕も似たようなもんだったと思うが。
「クラスでなにかあったのかな」
別のクラスであるからして、僕は普段穹が教室でどのような感じなのかを知らない。成績からいって僕よりは真面目に授業を受けているはずだけど、他のこと、例えばクラスメイトとの関係や付き合いなどはどうだろうか? 友達が出来たという報告はないし、そもそも本人に作る気があるのか、それすらも判らない。登下校はいつも僕と一緒だし、昼休みもほとんど一緒に昼ご飯を食べている。これでは友達の出来ようもないだろう。前々から心配しているのだが、穹自身は現状に満足とはいかないまでも不満はないようで、僕としては口の挟みようもなかった。クラスで孤立とか、そういうことにならなければいいのだが……
帰宅早々、穹のことばかり考え始めた自分に、僕は苦笑めいた感情を覚える。結局、自分のことより穹のことなのだ。今日亮平の奴に言われたことも、関心や興味は自分よりも穹の方に向いていた。
「昔も、同じようなことがあったっけ」
あれは、そう、まだ両親が存命中の話だ。穹が退院して幾月か過ぎ、買い付け先から帰国した父親が、僕にこのようなこと尋ねてきた。
穹に、恋人はいないのかと。
冗談などではなく、父親としては年頃の娘の恋愛模様ないし事情なりを心配していたのだろう。穹の可愛らしい容姿は両親の自慢でもあったし、無理からぬことだ。しかし、本人に直接尋ねるだけの勇気はなかったのか、質問されたのは僕だった。
意外すぎる質問に、僕が意表を突かれたのは言うまでもない。真剣に訊ねてくる父親の顔を、僕は直視できなかった。動揺しきった自分の表情を、悟られる気がして。
「まさか、そんな相手いるわけないよ」
本人でもないくせにきっぱりと断言してしまった僕は、慌てて付け加える。
「穹は家に籠もりがちだし、友達らしい友達もいないみたいだから、恋人だなんてそんな……あるわけないさ」
我ながら酷いことを言っていると思ったが、それは嘘ではなく事実だった。当時、都会にいたころも、穹は積極的に友人付き合いをするようなことはなく、暇さえあれば一日中パソコンと向かい合っているような生活を送っていたのだ。
息子の断言、その裏に存在する、本人さえも気付いていない大きな深みを理解せずに、父親は自分の懸念を口にする。お前はそう言うが、穹だって好きな奴の一人や二人いてもおかしくはないだろう。逆に、穹のことを好きだと言って告白してくる奴がいるかも知れないし、穹だってその気になるのではないか。
「考えすぎだよ、本当に。なにも心配するようなことはないし、僕が保証するよ」
思い返してみると、あのときの僕はどこか不機嫌だった。父親の言葉を流して、ごまかして、それ以上その話題を続けることから逃げ出したのだ。どうしてそんなことをしたのか、あのときは判らなかった。でも、今は違う。穹に関する間の恋だのといった話題に触れたくなかった、考えたくなかったかつての自分。その気持ちが、今なら判る。
「昔から、僕は情けなくて格好悪かったってことかな……」
自嘲気味に言いながら、記憶の書棚から今度は別の本を取り出してみる。
初恋やらの記憶は持ち合わせていない僕だが、恋愛と名の付く想い出は皆無ではなかった。世の中には物好きという者がいるらしく、こんな僕でも告白の類を受けたことがあるのだ。あるときは昔ながらの恋文で、またあるときは呼び出された場所での口頭で、いずれにせよ僕にもそういう機会があった。
比較的仲が良かったクラスの女子から告白されたとき、僕の心は揺れ動いた。相手の真剣さと、強い想いは、恋愛に鈍感な僕にさえ、しっかりと伝わってくるものだった。どう答えるべきか、〝どうすれば相手を傷つけずに断れるのか〟を考えている自分が、そこにいた。結果的に言えば、今の僕の暮らしを考えると告白を受け入れなかったことは正解なのだけど、当時の僕はそんな未来は知らないし、想像もしていなかったはずだ。それなのに、何故……?
不思議なことに、告白を受けたときに僕が考えていたのは、穹のことだった。無意識か、それとも意識下か、僕の頭に穹の顔が、悲しそうに僕を見つめる表情が思い浮かび、一瞬にして僕は持ちうるはずの選択肢の数々を消失してしまった。
「ごめん……」
紡ぎ出せた言葉の、情けないことときたら。相手は訊ねる、どうして、自分が嫌いなのかと。そうじゃなかったから否定すると、今度は他に誰か好きな人が、付き合っている人がいるのかと訊かれた。
「そういうわけじゃないんだけど……ね」
表現は難しいと思った。僕自身、自分の感情を良く理解できていなかったというのもあるし、理解できたところで、説明できることでもなかっただろう。
「放っておけない人がいて、今は、その人のことを大事にしてあげたいんだ」
丁度、穹が退院して間もないと言うこともあったのだろう。言葉は自然と僕の口から流れ出て、相手を納得させるだけの実があったらしい。「そっか」と、寂しそうな声を出して、相手は僕の謝絶を受け止めてくれた。
あのとき言った〝今〟は、意外なほど長く、現在進行形で続いている。大事だと思う気持ちは、大切という気持ちも飛び越え、僕の中で大きく変化していった……
僕は過去という名の回想録を、記憶の書棚にそっと戻した。久々に思い返してみて、感傷や感慨がなかったわけではないけど、それに浸っている暇はなかった。というのも、部屋の外から僕を呼ぶ声が響いてきたのだ。
『ハル、中にいる……よね?』
控えめな、そしてどこか遠慮がちな声。僕はゆっくりとした動作で、部屋のふすまを開けてみる。
「あっ、その、入っていい?」
制服から私服へと着替えた穹がそこに立っていた。表情を僅かに緊張させてはいるものの、その瞳はしっかりと僕を見つめてくる。同年代の少年らが見れば、愛らしさに息を呑むことだろう。
「うん、いいよ」
穹に対して閉ざす扉を、僕は持ち合わせてなどいなかった。
家に帰ると、さっさと部屋に行ってしまったハルと違い、私はキッチン兼食堂で紅茶を入れていた。今日のハルは、どことなく話しかけづらい雰囲気だった。まあ、ハルからすれば私も同じような空気を出していたかも知れないけど、要するにお互い余所余所しいのだ。
話したいこと、訊きたいこと、聞いて欲しいことに、言ってしまいたいこと。それらは二人とも持っているはずなのに、言葉として紡ぐことが出来ないのは、まだお互いに考えが纏まっていないからだろうか?
「ハルも、悩んでるのかな」
深刻な悩みではないにしろ、私が瑛の言葉に心を波打たせたように、ハルも思うところがあったのかも知れない。ハルも都会にいた頃は、私よりずっと充実した毎日を送っていたはずだから、愛だの恋だのといった奇怪に遭遇することも、多かったはずだ。ハルは隠しているみたいだけど、そういった噂を耳にしなかった分けじゃないし、〝橋渡しを頼まれたこと〟も、私にはあるのだから。
煎れ立ての紅茶を持って、私は自分の部屋へと帰る。制服をベッドの上に脱ぎ捨てて、ふと、着替える前に姿見の方へと向かう。
小さな身体が、そこに映し出されていた。
下着姿になると、制服のときよりも、華奢な身体がハッキリと露わになる。ハルとは違う、小さいままの私の身体。
私が復学をして間もない頃、クラスの女子がハルについて色々と訊いてきたことがある。当時、ハルは復学したばかりの私を心配して、今と同じように毎日教室まで迎えに着てくれていた。私に対する物珍しさと、双子と言うことで顔がよく似ていたことへの興味。
彼女はいるのか、どんな女がタイプなのか、そういった質問の数々を、私は煩わしげに聞き流してきた。彼女なんていないことは知っていたし、いるわけがないとも思っていたけど、それを断言したくもなかった。ハルの面子を守って、というわけでもなく、どこまでも自分本位な理由から。
あるとき、ハルが同学年の女子から告白を受けて、これをあっさり断ったという話を聞いた。ハルは私にそんなことを一言も言わなかったので驚いたけど、狭い学校の中、それも同学年の恋愛に関する噂は伝播しやすい。
ハルは身持ちが堅いと言うことで有名だったらしい。私が復学するずっと前から、人付き合いは決して悪くなかったけど、肝心なイベント、クリスマスとかその辺りには誰からの誘いも受けなかったという。
恋愛や性愛に、ハルが無関心であったとは思えない。ハルは極端な人間ではなかったから、人並みに情愛や情欲は持っていたはずだ。それなのに、どうして――
「私が、いるから?」
思い上がりというわけではなかっただろう。現に、私とハルの周囲にはそういった声もあり、「春日野は妹の世話を焼くのに大忙し」などと評されることもあった。ハル自身、自覚があったのかそうした声に反論せず、残り僅かとなる都会での生活を、私と一緒に過ごしていった……
制服から私服に着替えて、すっかり冷めてしまった紅茶に口を付ける。記憶の海をたゆたっている時間が、思いのほか長かったらしい。琥珀色に煎れた紅茶も、風味が消えては美味しくない。
「もう一度煎れて、ハルにも持って行こう」
口実であるにせよ、私はハルの顔が無性に見たくなっていた。
紅茶を煎れてきてくれた穹を部屋へと招き入れ、僕らは畳の上に座布団を敷いて腰を下ろした。椅子やベッドなどというものは僕の部屋には存在せず、家具や調度品も最低限のものしかない。いつか亮平が遊びに来たとき、その質素さに驚いていた。僕としては、これぐらいサッパリとしている方が、片付けも楽で良いと思うのだけど。
琥珀色の液体を身体に流し込むと、なんとなく気分が落ち着いてくる。隣に座っている穹に目を向けながら、僕は口を開いた。
「なぁ、穹……」
「ねぇ、ハル……」
重ねられた言葉に、僕らは目を丸くして見つめ合う。
「ハルからで、いいよ」
穹は薄く笑うと、琥珀色の紅茶を再び口に含んだ。僕は一呼吸置いて、再び穹に向かって語りかける。
「今日、クラスで初恋についての話題になってさ」
「うん、知ってる。瑛から聞いた」
「そ、そうなんだ。えっと、それじゃあ」
訊くなら、今しかない。この機会を逃したら、もう二度と訊くことが出来ないような、そんな錯覚に捕らわれる。僕は、意を決した。
「穹の初恋って、どんなのだった……?」
質問を受けても動じなかったのは、穹がある程度僕の質問を予期していたからだろうか? 目をつむり紅茶を飲んでいた穹は、やがて静かな動作でカップを置くと、僕の方に視線を向けてきた。透き通るような、その瞳で。
「私にはそう言うの、ないから」
言葉は、ハッキリとした断言だった。
「ないって、そんな」
「嘘じゃない。私には、恋をしている暇なんてなかった」
それは入院生活が長かったからとか、そういう意味だろうか? 困惑する僕に対して、穹は首を横に振る。
「違う。入院してたからとか、そういうことじゃない。私は、自分で恋がしたいとも思わなかった」
「それは、どうして?」
「……ハルが、いたから」
穹の導き出した答えに、僕は息を呑んだ。穹はスッと身体の向きを変え、僕の顔に自分の顔を、上目遣いに近づけてくる。
「私には最初からハルがいた。ハルが私の目の前にいて、いつも、どんなときでも私に笑顔を見せてくれたから」
だから、他にはなにもいらなかった。
その述懐は穹の心からの本音であって、そこに嘘偽りなど存在しない。穹は本心から、僕にそう言っているのだ。なら、僕はそれを素直に受け入れるべきだろう。
「ハルは、どう? 答えは……でた?」
訊きたいことは、お互いに同じだったようだ。穹がやや緊張した面持ちをしているのは、僕の答えにある種の覚悟をしているかも知れない。どんな答えでも受け入れようとする想いと、それが出来るか判らないという気持ち。
「僕は……」
今日一日、色々なことを考えてきた。かつて、僕には幾多の出会いがあり、幾人かの人が目の前に現れた。気持ちや想いの程度差はあれ、その人たちが僕を好いてくれたことに違いはない。
けれど、僕の瞳にその人たちは映らなかった。何故なら、僕の瞳はずっと、穹だけが映っていたのだから。穹のことだけを考え、穹のことだけを想い、それは僕にとっての当たり前のことだった。
だから、僕たちは――
「穹……好きだよ」
言うと、僕はごく自然な動作で穹の身体を抱きしめた。穹は驚いたようだが、キュッと僕の背中に手を回してきた。
「私も、ハルが好き」
穹も頷き、僕らは互いの想いを確かめ合った。
初恋というものが僕らにあったのだとすれば、それはずっと昔に経験したことであり、相手など最初から決まり切っていたのだ。考えても判らなかったのは当然で、探しても見つかるわけがなかった。
それを知り得たこと、実感できたことだけで僕は満足であり、そして……
幸せだった。
EMOTION the Best sola DVD-BOX
2010年6月27日 アニメ・マンガ コメント (3)
DVD-BOXが1万円以下で買えるなんて時代も変わりましたね。やはり時代はBDなのか、少し待てばBDも出そうな気がするんだけど、折角なので購入してみることに。だって、初回限定版DVD1本と同じ値段で全話見られるんだよ? 買っちゃうでしょ、これは。なんでこんなに安いのかは知らないけど、solaはオリジナル作品としては、傑作ではないにしろ名作と呼べるアニメだと思う。名作が言い過ぎなら良作、少なくともAngel Beatsよりは格段に面白い。
solaはテーマ的にも内容的にもシンプルな作品で、特に創作性があるわけでも、メッセージ性が強いわけでもないんだけど、それ故に物語としての矛盾や破綻がなくて、とても分かりやすい作りになっています。一言でいうと完成度の高い作品であり、単純ながら分かりやすい物語は、地味だけど安心してみることの出来るものに仕上がっていると思う。
商業面でどれぐらい成功したのかは知らないけど、私は売れたものが偉いという考えはあまりに好きじゃない。そもそも宣伝の規模が違いすぎるAngel Beatsと、商業成績で張り合うこと自体がおかしいでしょう。比較すべきは内容であって、売り上げじゃない。いささか極端な例えになるけど、ハンバーガーが最高級ステーキの100万倍売れているからといって、ハンバーガーがステーキより美味しいものだとは限らないでしょう? ハンバーガーの方が食べやすい、という意見があるにせよね……なにを書いてるんだろう、私は。
私が、麻枝准より久弥直樹の方が好きってのが以前にも書いた気がするけど、そういう個人的嗜好を省いても、ABはsolaにストーリーとその完成度に置いて劣ると思う。solaはテーマーにしろ内容にしろシンプルで分かりやすいし、限られた人数で繰り広げられる物語は無駄というものがない。逆にABは限定された空間という舞台を用意しているにも関わらず、大量に配置されたキャラクターには無駄が多く、矛盾や整合性のなさには目も当てられない。ABという作品は欲張りなのだ。言ってしまえば詰め込みすぎで、麻枝准がいうところの飽きさせない展開とやらが、逆に作品のテーマを語る上での邪魔となり、作品としての一貫性のなさをさらけ出してしまった。風呂敷を広げすぎたという人もいるが、私としては限られた数しか入らないカバンに、あれもこれも入れようとして失敗した、そんなふうに感じている。
技量にしろ実力にしろ、麻枝准は久弥直樹の足元にも及ばないと私は思っているが、ABとsolaはその差が顕著にでていると思う。下手くそな創作者というのは作品にキャラクターを大量に出してしまう傾向にあるとは、我が知り合いの編集者が言っていたことだが、書くのが上手い人間というのはそれらを全部使いきることが出来る。しかし、ABを見れば判るとおり、麻枝准にはそれが出来ていない。素人がひとつの話で登場させていいメインキャラは5名程度が限界と言われており、それ以上は扱い切れなくて破綻してしまうのだ。
逆に久弥直樹がsolaで登場させたキャラクターは7人であり、少し多いがどのキャラも無駄なく物語に絡めることに成功しており、それは彼の実力といっても大差ないだろう。花田十輝の力かも知れないが。
なにやらAB批判みたいなことを書いているが、私が書きたいのはあくまでsolaについて。この作品は七尾奈留がキャラ原案やってるから美少女アニメ、萌えアニメの一種に捉えられることが多いけど、キャラクターに萌えるか萌えないかは個人の趣味嗜好としても、作品の傾向としての萌え要素は極端に薄い。
主人公の森宮依人と、彼の前に現れた人間ではない少女四方茉莉。依人の姉である蒼乃や、茉莉を追う男辻堂剛史と彼に庇護されている神河繭子。それに森宮姉弟の友人である石月姉妹を交えた話は流れるように進んでいき、空というテーマを主軸に、これといった寄り道をせずに完結する。決して全員が幸せになるわけではないし、各人の過去を思えば悲劇であると考えてもいいだろう。しかし、ラストに現れた一欠片の希望は何人にも否定されるべきではない。取って付けたようなと言われてもだ。
やってしまったこと、やりたかったこと、やらなくてはいけなかったこと、茉莉と蒼乃の因縁や、その狭間に経つ依人。剛史が抱く繭子への想いや、森宮姉弟と関わってしまった石月姉妹の悲哀。決意による結果と、決断による結末。茉莉が求めていたものと、蒼乃が取り戻したかったもの。謎や疑問は残さず、矛盾や破綻は生じない。爽快感溢れる作品かは見た人の感じ方次第であろうが、すべてが終わった後は、確かに空のように澄み切っていたように、そう思える。
小難しい話なんてのはさ、アニメを観る上で必要ないのよ。単純でも地味でも、分かりやすいほうが良いじゃん。変にテーマ性を高くして話を難解にするよりも、シンプルなほうが観る人には伝わりやすいんだよ。私はそういう作品のほうが好きだし、よっぽど中身のある作品になると思うしね。
solaはその辺りがよく出来ていた作品だし、創作者としての技量と実力、そしてセンスが良く現れていた。結局、それが人としての差なんだよ。
solaはテーマ的にも内容的にもシンプルな作品で、特に創作性があるわけでも、メッセージ性が強いわけでもないんだけど、それ故に物語としての矛盾や破綻がなくて、とても分かりやすい作りになっています。一言でいうと完成度の高い作品であり、単純ながら分かりやすい物語は、地味だけど安心してみることの出来るものに仕上がっていると思う。
商業面でどれぐらい成功したのかは知らないけど、私は売れたものが偉いという考えはあまりに好きじゃない。そもそも宣伝の規模が違いすぎるAngel Beatsと、商業成績で張り合うこと自体がおかしいでしょう。比較すべきは内容であって、売り上げじゃない。いささか極端な例えになるけど、ハンバーガーが最高級ステーキの100万倍売れているからといって、ハンバーガーがステーキより美味しいものだとは限らないでしょう? ハンバーガーの方が食べやすい、という意見があるにせよね……なにを書いてるんだろう、私は。
私が、麻枝准より久弥直樹の方が好きってのが以前にも書いた気がするけど、そういう個人的嗜好を省いても、ABはsolaにストーリーとその完成度に置いて劣ると思う。solaはテーマーにしろ内容にしろシンプルで分かりやすいし、限られた人数で繰り広げられる物語は無駄というものがない。逆にABは限定された空間という舞台を用意しているにも関わらず、大量に配置されたキャラクターには無駄が多く、矛盾や整合性のなさには目も当てられない。ABという作品は欲張りなのだ。言ってしまえば詰め込みすぎで、麻枝准がいうところの飽きさせない展開とやらが、逆に作品のテーマを語る上での邪魔となり、作品としての一貫性のなさをさらけ出してしまった。風呂敷を広げすぎたという人もいるが、私としては限られた数しか入らないカバンに、あれもこれも入れようとして失敗した、そんなふうに感じている。
技量にしろ実力にしろ、麻枝准は久弥直樹の足元にも及ばないと私は思っているが、ABとsolaはその差が顕著にでていると思う。下手くそな創作者というのは作品にキャラクターを大量に出してしまう傾向にあるとは、我が知り合いの編集者が言っていたことだが、書くのが上手い人間というのはそれらを全部使いきることが出来る。しかし、ABを見れば判るとおり、麻枝准にはそれが出来ていない。素人がひとつの話で登場させていいメインキャラは5名程度が限界と言われており、それ以上は扱い切れなくて破綻してしまうのだ。
逆に久弥直樹がsolaで登場させたキャラクターは7人であり、少し多いがどのキャラも無駄なく物語に絡めることに成功しており、それは彼の実力といっても大差ないだろう。花田十輝の力かも知れないが。
なにやらAB批判みたいなことを書いているが、私が書きたいのはあくまでsolaについて。この作品は七尾奈留がキャラ原案やってるから美少女アニメ、萌えアニメの一種に捉えられることが多いけど、キャラクターに萌えるか萌えないかは個人の趣味嗜好としても、作品の傾向としての萌え要素は極端に薄い。
主人公の森宮依人と、彼の前に現れた人間ではない少女四方茉莉。依人の姉である蒼乃や、茉莉を追う男辻堂剛史と彼に庇護されている神河繭子。それに森宮姉弟の友人である石月姉妹を交えた話は流れるように進んでいき、空というテーマを主軸に、これといった寄り道をせずに完結する。決して全員が幸せになるわけではないし、各人の過去を思えば悲劇であると考えてもいいだろう。しかし、ラストに現れた一欠片の希望は何人にも否定されるべきではない。取って付けたようなと言われてもだ。
やってしまったこと、やりたかったこと、やらなくてはいけなかったこと、茉莉と蒼乃の因縁や、その狭間に経つ依人。剛史が抱く繭子への想いや、森宮姉弟と関わってしまった石月姉妹の悲哀。決意による結果と、決断による結末。茉莉が求めていたものと、蒼乃が取り戻したかったもの。謎や疑問は残さず、矛盾や破綻は生じない。爽快感溢れる作品かは見た人の感じ方次第であろうが、すべてが終わった後は、確かに空のように澄み切っていたように、そう思える。
小難しい話なんてのはさ、アニメを観る上で必要ないのよ。単純でも地味でも、分かりやすいほうが良いじゃん。変にテーマ性を高くして話を難解にするよりも、シンプルなほうが観る人には伝わりやすいんだよ。私はそういう作品のほうが好きだし、よっぽど中身のある作品になると思うしね。
solaはその辺りがよく出来ていた作品だし、創作者としての技量と実力、そしてセンスが良く現れていた。結局、それが人としての差なんだよ。
コンプエース版ヨスガノソラ 第10話「雨降って、地固まらず」
2010年6月26日 ヨスガノソラ
春日野穹bot→URL:http://twitter.com/sora_k_bot
表紙の影響か、結構売れてるみたいですね。巻頭のカラーページにヨスガノソラのアニメ化について載ってたけど、情報量としてはアニメ誌のそれと大差ありませんでした。ただ、記事としての文章がニュータイプより微妙だと感じてしまった。言いたいことというか、書きたいことは判るんだけど、なんかずれているというか、仮にもコミカライズやってるところがこれでいいの? という感じ。
一応、以下が引用になるけど、
なんかもう、私がなにか言うまでもなく突っ込みどころ満載な文章なんだけど、ヨスガに感動モノとしての、所謂泣きゲー要素なんてあったかしら。てっきり穹をはじめとしたヒロインの可愛らしさ、ハッシー原画が凄く受けた作品と認識してるんだけど。私はヨスガノソラのシナリオ好きだけど、それでも多くの感動を呼んだ名作がこの秋、ついにアニメで登場! なんて書かれると、違和感を感じずにはいられない。
まあ、それはともかくとしてコミカライズの第10話。重要なイベントをほとんど消化してしまったあとで、どのように穹ルートへ入るのかと思っていましたが、予想通りオリジナル展開で事を運び始めました。
夏休みはまだ続いていて、隣町のアーケード街に出かけたハルとその友人たち。なんの罰ゲームか、ハルが女装の刑にあっており、よりにもよってミニスカートを履いている。ハルの手足はやっぱり細めだなぁと思いつつ、ミニスカ履くぐらいだから毛もほとんど生えてないんでしょうね。ハルはよっぽど嫌なのか泣いてしまっていたけど、その可愛らしい姿に女性陣と亮平は絶賛。奈緒が盛り上がり、渚さんが顔を赤らめるのは判るんだけど、委員長が目を輝かせているのは意外だった。委員長はなんていうか、ハルにカッコ良さを求めていると思ったから。
「うぅ…なんで僕が…」
奈緒に可愛いと絶賛されるハルだけど、その反応はさらに嫌だと涙を流す。亮平に至っては食べちゃいたいぐらいと発言し、「亮平…ちょっと近づかかないでくれる?」と涙目のハル。
「ほんと…かわいい」
「似合ってるよ、ハル」
呟く穹の表情は、どこか余裕と優越感に満ちたもの。底の知れない笑みには違和感があり、可愛らしさ以上に感じるものがある。
「穹…」
穹の言葉に頬をかくハル。このときの穹の衣装はツインテールに黒スカート、銀十字のアクセサリーが付いた原作ではおなじみの私服だけど、実はコミカライズでは今回が初出になります。正確にはコミックスの描き下ろしで既に描かれてるけど、本編では初めて。前回、奈緒シナリオのバスの下りがあったけど、原作ではこの至福を着ているはずのシーンも、コミカライズではいつもの白一色の私服だったから、こんな風に縦ブチ抜きで穹の私服の全体像が描かれるのはいいもんですね。
「じゃあ次は私のセレクトで」
背景文字によるとゴスロリらしい服装をハルに差し出す穹。どこらへんがゴスロリなの? とかは言ってはいけません。
「いや、もういいって!!」
拒むハルだけど奈緒に捕まってしまい、虚しい叫び声だけが響くのだった。
「あの時は笑ったなー」
所変わって奥木染。どうやら改装だったらしい服屋での下りを、ハルが現像した写真を見ながら思い出し笑いをする亮平。その場には奈緒の姿もあり、口ぶりから察するに、となmり街へと出かけたのはちょっと前のことらしい。
「あれ? 女装写真が入ってない…」
「入れるわけないでしょ」
残念がる奈緒に、穹ちゃんも喜んでいたのにという亮平。
「そういえば、穹ちゃんは?」
「あ、ああ、家だよ…」
穹のことに触れられ、ハルの表情が微妙妙に変化する。歯切れも悪くなり、それ以上話したくないのかその場を後にしてしまう。
「…街に行ったとき思ったんだけどさ」
帰るハルの後ろ姿を見ながら、亮平が奈央に対して呟きます。
「穹ちゃん、悠のこと本当に好きなんだな」
「いまさら何言ってるのよ」
「まぁ、あの様子を見ればな」
街へ遊びに行ったときなにがあったのか、穹のハルへの思いを強く感じさせるような、そんな出来事があったのでしょうか? 原作にないイベントだけに想像するしかないけど、委員長シナリオにおけるデートシーンの穹とか、その辺りかな。せっかくのオリジナル展開なんだし、その部分をしっかり描いても良かった気がする。最初の罰ゲームシーンだけじゃ、イマイチ伝わりづらいし。
「はるちゃんのこと、大事に思ってるのよ」
「悠のヤツは、どう思ってるのかね」
穹はハルのことが好き、これに関しては亮平でなくても、例えば渚さんや委員長であっても気づいていることでしょう。しかし、それはあくまで兄妹としてであり、穹のハルに対する気持ちは度を越したブラコンのようなものだと思われているに違いありません。ブラコンやシスコンがどれぐらい珍しいのかは知りませんが、穹の感情の爆発を直接叩きつけられた奈緒でさえ、その深みに気づくことは出来ませんでした。これはハルと穹の境遇が関係していると思われ、原作の奈緒も言っていましたが、穹の言動は両親を失い、最後の家族となったハルを捕られまいとするため、そのように周囲は解釈していたのでしょう。親もおらず、頼れるものはハルだけ。そりゃあ、ブラコンにもなるさと、そんな感じで。
けれど、穹がハルに抱いていたのは、妹が兄に対して抱く親愛以上のものがあって、ハルはそれに気づきかけていたのです。
「なんか…入りづらいな…」
最近…穹の態度が変わってきた気がする。呟くハルの表情は重く、自宅に入るのさえためらってしまうほどだった。
「なんとなく…決まづいんだよな」
奈緒との関係を清算させてからなにがあったのか、キス以上にハルが困惑するような出来事が、二人の間で繰り広げられていたということでしょうか? 流れとしては判るんだけど、今回は少し唐突感のある展開が多かったかも。
「ただいまー」
恐る恐る家に入るハルだけど、それを聞きつけた穹がすぐさまドタドタと走ってきます。
「ハルッ。ハル! どこ行ってたの!?」
まさに血相を変えて、という表現がふさわしい穹の態度。怒ってはいないにせよ、その勢いにハルは焦ります。
「いや…みんなに写真渡しに…」
「そう…なんだ。もう…ひとこと言ってよね」
「あ…うん…」
穹に行き先も告げずに黙ってだけてしまう辺り、ハルは穹と会話することにかなりの気まずさを、一方的ではあるにせよ感じているのかもしれません。
「お昼ごはん作ったから、早く食べてね」
「……」
穹が自分から料理をすることは、原作でもあったことです。あれは朝食だったけど、普段は面倒くさがりで自分からなにをしようともしない穹が、積極的に家のことを手伝ってくれる。喜んでもいいはずのことに、ハルはなぜだか困惑が隠せない。
「おいしい?」
「う、うん」
「ハルの好きな物ばかりだから、たくさん食べてね」
数日前からの違和感。
「ほら、こっちも」
「いいから」
「むぐっ」
無理矢理、穹にスプーンを突っ込まれるハル。積極さを通り越した、強引さ。
「ふふっ」
満面の笑みを浮かべている穹。
どこか…甘えるような、すがるような、正直どう接していいのか戸惑っていると、ハルは妹の変化に動揺しています。
穹は珍しく、というより原作・コミカライズ通して初めて髪を一つ縛りにして洗い物をし始める。
「ねぇハル、午後なんだけどいっしょに…」
「え!? あ…えっと…」
穹がなにを言おうとしたのか、ハルと一緒にどこかへ行きたかったのか、それともなにかしたかったのか、それはわかりません。
「そうだ!! 天女目にも写真を渡さないと」
「そんなの、いつでも…」
ハルの行動は、明らかに穹の言葉を遮る目的で発せられたもの。
「いや、早めに渡しときたいしさ。今から行ってくるよ」
「あっ、ハル!」
バタンと扉が閉まり、逃げるように家を出て行ってしまうハル。穹には、そんなハルを止めることができませんでした。
「あ…」
ぎりっと、歯ぎしりをする穹。先程まで満面の笑みを見せていたはずなのに、それが吹き飛んでしまうほどきつく強烈な表情をみせている。怒りと苛立、思い通りに行かないことへの不満。穹がここまでの表情を見せるとは、正直思いませんでした。
「ハル…」
真っ暗な画面に、ただ名前を呟くふき出しだけが映る。まるで心が闇に紛れたような、そんな穹の心境や深みを映し出しているようで、寒気を覚えた。
瑛に写真を渡すといった手前、ハルは叉依姫神社を訪れていました。
「逃げてる…よな。どう見ても…」
自分が穹から逃げたことに、ハルは自覚を持っていました。兄が妹から逃げるなんて、普通であればあり得ないこと。だけどハルは穹と一番近くにいるせいか、穹が見せ始めた危険性を、ある種の違和感として肌で感じ始めていたのでしょう。それは6話におけるキスもそうだし、この数日間でもっと色々なことがあったのかもしれません。
ハルは神社の境内で、猫の師匠を見つけます。相変わらず堂々とした姿に、腰をかがめて話しかけてみることに。
「気楽でいいねぇ。悩みなんかないんだろ?」
師匠がなにかを悩んでいるかはともかく、少なくともハルには悩みごとがあります。
「なにやってるの?」
「天女目…」
「いらっしゃい、ハル君」
瑛もまた笑顔を浮かべているが、それは穹の浮かべていたものと、まったく異なるもの。この前の写真を渡そうと思って、と立ち上がるハルに、瑛は感謝の言葉を示します。
「……女装の写真はないの?」
「ないよ!!」
そのまま帰らず、縁側にてお茶を頂くハル。今日も暑いねぇなんて、平凡なことを呟きながらお茶を飲むハルに、瑛はなにかを感じたのでしょう。
「……何か悩み?」
瑛の鋭い指摘に、ハルの表情が固まります。
「何か言いたそうな顔してるよ」
「天女目…」
「あたしでよければ、相談にのるけど」
「ありがと」
人の心を読むのが上手い瑛に見透かされ、ハルはポツリポツリと自分の悩みを打ち明けます。
「穹のことなんだけどさ」
「穹ちゃん?」
「なんか最近、様子がおかしいんだ。家のこと手伝ってくれるのはうれしいけど…妙に僕にかまってくるし……どうしたんだろうなって…」
普通であれば考えすぎ、悩みであるとさえ思われないようなハルの悩み。家のことを手伝ってもらっているのだからそれでいいじゃないか、贅沢な奴だと、そんなことを言われてもおかしくはない。
「……そうだね、あたしに言えるのは」
瑛は穹の気持ちにどこまで気づいているのか、それが許されることではないと分かっているからなのか、悩みを打ち明けるハルに対し、僅かながら悲痛な表情を見せます。おそらく瑛はハルよりも早く、穹の心の中や感情を読み取っていたのでしょう。
「穹ちゃんのことをちゃんと見てあげて」
「そうなった理由が何かあるはずだよ。ちゃんとそばで見てあげて」
「どんな形であれ、穹ちゃんにはハル君が必要なんだよ」
この時点で、瑛はさり気なくですが、穹が兄以外の形としてハルを必要としていることに言及しています。けれど、ハルはそこまで気づくことができません。
「ありがと。少し気が楽になったよ」
「そう? 良かった」
「天女目は何でもお見通しな気がするなぁ」
ハルもまた、何気なくですが瑛という少女の本質を理解し始めていました。それは瑛が少々深く春日野兄妹と関わっているからでしょうが、渚さんでも気づけなかった瑛の本質にハルが気づいたのは、ハルが穹の内心に気づけなかったのと同じ理由なのでしょう。要するに距離感と関係性。近ければ近いほど、見えにくくなるものもある。
「それより! 早く帰ってあげないと」
「あっ、う、うん」
半ば強引にハルを送り出す瑛。手を振って見送りますが、ふいに師匠の様子がおかしいことに気づきます。
「どうしたの師匠?」
動物は、特に猫はとても敏感な生き物だといいます。このときの師匠がなにを感じていたのかは分かりませんが、ざわめく木々の音に身を任せながら、じっと空を眺めている。何かが起こりそうな、そんな予感を覚えていたのかもしれません。
ハルのいない春日野家では、親戚からの電話を穹が受けていました。原作ではハルが応対するはずの電話。穹は不安そうに見つめているだけだったのに、コミカライズではまるで違いました。
『あの話は考えてくれた?』
「考えてません」
『でも、二人だけで暮らしていくのも大変でしょう?』
「問題ありません」
原作で、ハルと穹が両親の初盆のため都会へと戻った際、穹は援助の手を差し伸べようとする親戚の言葉を、半狂乱に近い形で嫌がり、振り払ったといいます。それとはまた違ったコミカライズにおける穹のキツさと固さ。自室に戻った穹は、電話での親戚の言葉を思い返します。
――穹ちゃんはそうでも…悠くんはどうかしら? もっと私たちを頼ってくれてもいいのよ
確かに、ハルの気持ちがどうであれ、穹が自分の感情を押し通していることに変わりはありません。そんなことは穹だって分かっていますが、ベッドでうずくまる穹はそれでも相手の好意を否定します。
「頼ったら…離ればなれになっちゃうじゃない」
コミカライズだけ読んでいるとこの発言も納得がいきそうなものですが、実は原作だと少し事情が変わります。頑ななハルと穹に対して、親戚は妥協案として二人が元々住んでいたマンションで一緒に暮らしてもいいとさえ言うのですが、穹はそれすらも拒否したのです。まるで、ハルとの二人きりの生活を邪魔されたくないとでも言いたげに。
「ハル…ハル」
ハルの名前を呟きながら、右手を自分のスカートの中へと入れる穹。
「んっ」
「ハルは私のこと迷惑なんかじゃないよね?」
頬を赤らめ、切なそうに、穹はハルへの思いを叫ぶ。
「私はこんなに…愛しているのに」
「ハルのためなら…何だってしてあげられるのに…」
「好きだよ、ハル。ずっと…いっしょにいて…」
穹がハルのことを愛していると言葉にするのは、原作でもなかなかありません。特にこのシーンでそこまで言うとは思ってなかっただけに、少々驚きました。直接的というか、ストレートですよね。
ハルがいないからこそいえた言葉であり、出来た行為。けれど、穹は多分気づいていない。
――ソ…ラ?
部屋の外に、茫然自失となったハルがいることに。
――穹が…僕のことを? 兄としてではなくて?
――そんな…そんな…
冷や汗を流すハルは、原作と違って愕然としているイメージが強いです。これは原作とコミカライズにおける認識度の差であり、原作でのハルはキスをされた際に穹が自分を想っていることを強く認識してしまい、そこから穹のことを避け始めるのですが、コミカライズでは今まさに、この瞬間に穹の想いに気づいたのです。だからこそ原作のように興奮するわけでもなく、ハルは衝撃と驚きに打ちのめされたのです。
そんな事実を前にしてハルはどう動くのか、ということろで次回に続く。
まあ、感想としては大きく分けて二つですね。
水風天は流石だね! というのがまず最初に来ると思う。やっぱりエロ漫画も描いてる人はちがうというか、これってコミックスでは右手首の先が見えたりしないんですかね?w 下着は脱いでいないんだから、そこを描写しても大丈夫だと思うんだけど、コミックスで加筆修正とかされたら最高だよね。いや、もしかしたら予め描いてあるかもしれないし。原作と違って短いし、特に下着とか指使いが見えたわけでもないのに、何故だか凄くエロイ。足か、白い足のせいなのか。
原作と違って角度がなく、ほぼ真正面から自慰をする穹を描いた、というのも大きいのかな。この切なそうな表情がたまりません。
後もう一つは、やはり穹が徐々に病みつつあるということでしょうか? ハルに対してでさえ、直接ではないにしろ激しい怒りや苛立ちを見せる穹。歯ぎしりをするなんて、原作だとちょっと考えられませんよね。ハルがそんな穹に戸惑い、若干引き気味なのは、上に書いた通り穹の気持ちを人気ししきれてないからだと思います。この時点でハルが穹を避けているのは本能的なものですし、原作のそれと理由は大きく違う。故にコミカライズのハルがこの先どうするのか、それには結構興味が有ります。突き放すのか、受け入れるのか、それとも逃げ出してしまうのか。
例えば次回も穹の自慰が続いていて、それに言いようのない興奮をハルが感じ始めるとか、そういう流れも悪くはないと思うんですよ。ハルが一線を越えるには、明確に穹へ欲情する必要がありますから。今の時点では、引き気味ということもあってそれが薄いよね。おそらくは次回のラストで一線は越えてしまうんだろうけど、それをどこまで描くことが出来るのか。水風天に技術があるといっても、雑誌としての規制もあるだろうし、あまり期待しない方はいいのかな。アニメがTVアニメになった時点で、動作的なエロとは無縁になってしまったし、コミカライズには頑張って欲しいんだけど……あぁ、ヨスガもエロアニメとかにならないかな。TVアニメってネタとしてのエロには寛容なのに、割とマジなエロは避ける傾向にある気がするし。
まあ、コミカライズは次回が山場だと思います。ハルと穹はどうなるのか、出来ればぼかすことなく描ききって欲しいです。
表紙の影響か、結構売れてるみたいですね。巻頭のカラーページにヨスガノソラのアニメ化について載ってたけど、情報量としてはアニメ誌のそれと大差ありませんでした。ただ、記事としての文章がニュータイプより微妙だと感じてしまった。言いたいことというか、書きたいことは判るんだけど、なんかずれているというか、仮にもコミカライズやってるところがこれでいいの? という感じ。
一応、以下が引用になるけど、
のどかな田舎風景のもと紡がれる「縁」の物語
不慮の事故により両親を亡くした主人公・春日野悠は、妹の穹を連れてかつて祖父の暮らしていた奥木染へと移り住む。幼少のころ遊んでくれたお姉さん・奈緒との再会や、新しい友人たちとの出会い。優しく流れていく時間は、しだいに彼らの心に変化をもたらしていく……
感動的なストーリーが人気を博したAVGが今秋TVアニメに。今後の続報に乞うご期待!
なんかもう、私がなにか言うまでもなく突っ込みどころ満載な文章なんだけど、ヨスガに感動モノとしての、所謂泣きゲー要素なんてあったかしら。てっきり穹をはじめとしたヒロインの可愛らしさ、ハッシー原画が凄く受けた作品と認識してるんだけど。私はヨスガノソラのシナリオ好きだけど、それでも多くの感動を呼んだ名作がこの秋、ついにアニメで登場! なんて書かれると、違和感を感じずにはいられない。
まあ、それはともかくとしてコミカライズの第10話。重要なイベントをほとんど消化してしまったあとで、どのように穹ルートへ入るのかと思っていましたが、予想通りオリジナル展開で事を運び始めました。
夏休みはまだ続いていて、隣町のアーケード街に出かけたハルとその友人たち。なんの罰ゲームか、ハルが女装の刑にあっており、よりにもよってミニスカートを履いている。ハルの手足はやっぱり細めだなぁと思いつつ、ミニスカ履くぐらいだから毛もほとんど生えてないんでしょうね。ハルはよっぽど嫌なのか泣いてしまっていたけど、その可愛らしい姿に女性陣と亮平は絶賛。奈緒が盛り上がり、渚さんが顔を赤らめるのは判るんだけど、委員長が目を輝かせているのは意外だった。委員長はなんていうか、ハルにカッコ良さを求めていると思ったから。
「うぅ…なんで僕が…」
奈緒に可愛いと絶賛されるハルだけど、その反応はさらに嫌だと涙を流す。亮平に至っては食べちゃいたいぐらいと発言し、「亮平…ちょっと近づかかないでくれる?」と涙目のハル。
「ほんと…かわいい」
「似合ってるよ、ハル」
呟く穹の表情は、どこか余裕と優越感に満ちたもの。底の知れない笑みには違和感があり、可愛らしさ以上に感じるものがある。
「穹…」
穹の言葉に頬をかくハル。このときの穹の衣装はツインテールに黒スカート、銀十字のアクセサリーが付いた原作ではおなじみの私服だけど、実はコミカライズでは今回が初出になります。正確にはコミックスの描き下ろしで既に描かれてるけど、本編では初めて。前回、奈緒シナリオのバスの下りがあったけど、原作ではこの至福を着ているはずのシーンも、コミカライズではいつもの白一色の私服だったから、こんな風に縦ブチ抜きで穹の私服の全体像が描かれるのはいいもんですね。
「じゃあ次は私のセレクトで」
背景文字によるとゴスロリらしい服装をハルに差し出す穹。どこらへんがゴスロリなの? とかは言ってはいけません。
「いや、もういいって!!」
拒むハルだけど奈緒に捕まってしまい、虚しい叫び声だけが響くのだった。
「あの時は笑ったなー」
所変わって奥木染。どうやら改装だったらしい服屋での下りを、ハルが現像した写真を見ながら思い出し笑いをする亮平。その場には奈緒の姿もあり、口ぶりから察するに、となmり街へと出かけたのはちょっと前のことらしい。
「あれ? 女装写真が入ってない…」
「入れるわけないでしょ」
残念がる奈緒に、穹ちゃんも喜んでいたのにという亮平。
「そういえば、穹ちゃんは?」
「あ、ああ、家だよ…」
穹のことに触れられ、ハルの表情が微妙妙に変化する。歯切れも悪くなり、それ以上話したくないのかその場を後にしてしまう。
「…街に行ったとき思ったんだけどさ」
帰るハルの後ろ姿を見ながら、亮平が奈央に対して呟きます。
「穹ちゃん、悠のこと本当に好きなんだな」
「いまさら何言ってるのよ」
「まぁ、あの様子を見ればな」
街へ遊びに行ったときなにがあったのか、穹のハルへの思いを強く感じさせるような、そんな出来事があったのでしょうか? 原作にないイベントだけに想像するしかないけど、委員長シナリオにおけるデートシーンの穹とか、その辺りかな。せっかくのオリジナル展開なんだし、その部分をしっかり描いても良かった気がする。最初の罰ゲームシーンだけじゃ、イマイチ伝わりづらいし。
「はるちゃんのこと、大事に思ってるのよ」
「悠のヤツは、どう思ってるのかね」
穹はハルのことが好き、これに関しては亮平でなくても、例えば渚さんや委員長であっても気づいていることでしょう。しかし、それはあくまで兄妹としてであり、穹のハルに対する気持ちは度を越したブラコンのようなものだと思われているに違いありません。ブラコンやシスコンがどれぐらい珍しいのかは知りませんが、穹の感情の爆発を直接叩きつけられた奈緒でさえ、その深みに気づくことは出来ませんでした。これはハルと穹の境遇が関係していると思われ、原作の奈緒も言っていましたが、穹の言動は両親を失い、最後の家族となったハルを捕られまいとするため、そのように周囲は解釈していたのでしょう。親もおらず、頼れるものはハルだけ。そりゃあ、ブラコンにもなるさと、そんな感じで。
けれど、穹がハルに抱いていたのは、妹が兄に対して抱く親愛以上のものがあって、ハルはそれに気づきかけていたのです。
「なんか…入りづらいな…」
最近…穹の態度が変わってきた気がする。呟くハルの表情は重く、自宅に入るのさえためらってしまうほどだった。
「なんとなく…決まづいんだよな」
奈緒との関係を清算させてからなにがあったのか、キス以上にハルが困惑するような出来事が、二人の間で繰り広げられていたということでしょうか? 流れとしては判るんだけど、今回は少し唐突感のある展開が多かったかも。
「ただいまー」
恐る恐る家に入るハルだけど、それを聞きつけた穹がすぐさまドタドタと走ってきます。
「ハルッ。ハル! どこ行ってたの!?」
まさに血相を変えて、という表現がふさわしい穹の態度。怒ってはいないにせよ、その勢いにハルは焦ります。
「いや…みんなに写真渡しに…」
「そう…なんだ。もう…ひとこと言ってよね」
「あ…うん…」
穹に行き先も告げずに黙ってだけてしまう辺り、ハルは穹と会話することにかなりの気まずさを、一方的ではあるにせよ感じているのかもしれません。
「お昼ごはん作ったから、早く食べてね」
「……」
穹が自分から料理をすることは、原作でもあったことです。あれは朝食だったけど、普段は面倒くさがりで自分からなにをしようともしない穹が、積極的に家のことを手伝ってくれる。喜んでもいいはずのことに、ハルはなぜだか困惑が隠せない。
「おいしい?」
「う、うん」
「ハルの好きな物ばかりだから、たくさん食べてね」
数日前からの違和感。
「ほら、こっちも」
「いいから」
「むぐっ」
無理矢理、穹にスプーンを突っ込まれるハル。積極さを通り越した、強引さ。
「ふふっ」
満面の笑みを浮かべている穹。
どこか…甘えるような、すがるような、正直どう接していいのか戸惑っていると、ハルは妹の変化に動揺しています。
穹は珍しく、というより原作・コミカライズ通して初めて髪を一つ縛りにして洗い物をし始める。
「ねぇハル、午後なんだけどいっしょに…」
「え!? あ…えっと…」
穹がなにを言おうとしたのか、ハルと一緒にどこかへ行きたかったのか、それともなにかしたかったのか、それはわかりません。
「そうだ!! 天女目にも写真を渡さないと」
「そんなの、いつでも…」
ハルの行動は、明らかに穹の言葉を遮る目的で発せられたもの。
「いや、早めに渡しときたいしさ。今から行ってくるよ」
「あっ、ハル!」
バタンと扉が閉まり、逃げるように家を出て行ってしまうハル。穹には、そんなハルを止めることができませんでした。
「あ…」
ぎりっと、歯ぎしりをする穹。先程まで満面の笑みを見せていたはずなのに、それが吹き飛んでしまうほどきつく強烈な表情をみせている。怒りと苛立、思い通りに行かないことへの不満。穹がここまでの表情を見せるとは、正直思いませんでした。
「ハル…」
真っ暗な画面に、ただ名前を呟くふき出しだけが映る。まるで心が闇に紛れたような、そんな穹の心境や深みを映し出しているようで、寒気を覚えた。
瑛に写真を渡すといった手前、ハルは叉依姫神社を訪れていました。
「逃げてる…よな。どう見ても…」
自分が穹から逃げたことに、ハルは自覚を持っていました。兄が妹から逃げるなんて、普通であればあり得ないこと。だけどハルは穹と一番近くにいるせいか、穹が見せ始めた危険性を、ある種の違和感として肌で感じ始めていたのでしょう。それは6話におけるキスもそうだし、この数日間でもっと色々なことがあったのかもしれません。
ハルは神社の境内で、猫の師匠を見つけます。相変わらず堂々とした姿に、腰をかがめて話しかけてみることに。
「気楽でいいねぇ。悩みなんかないんだろ?」
師匠がなにかを悩んでいるかはともかく、少なくともハルには悩みごとがあります。
「なにやってるの?」
「天女目…」
「いらっしゃい、ハル君」
瑛もまた笑顔を浮かべているが、それは穹の浮かべていたものと、まったく異なるもの。この前の写真を渡そうと思って、と立ち上がるハルに、瑛は感謝の言葉を示します。
「……女装の写真はないの?」
「ないよ!!」
そのまま帰らず、縁側にてお茶を頂くハル。今日も暑いねぇなんて、平凡なことを呟きながらお茶を飲むハルに、瑛はなにかを感じたのでしょう。
「……何か悩み?」
瑛の鋭い指摘に、ハルの表情が固まります。
「何か言いたそうな顔してるよ」
「天女目…」
「あたしでよければ、相談にのるけど」
「ありがと」
人の心を読むのが上手い瑛に見透かされ、ハルはポツリポツリと自分の悩みを打ち明けます。
「穹のことなんだけどさ」
「穹ちゃん?」
「なんか最近、様子がおかしいんだ。家のこと手伝ってくれるのはうれしいけど…妙に僕にかまってくるし……どうしたんだろうなって…」
普通であれば考えすぎ、悩みであるとさえ思われないようなハルの悩み。家のことを手伝ってもらっているのだからそれでいいじゃないか、贅沢な奴だと、そんなことを言われてもおかしくはない。
「……そうだね、あたしに言えるのは」
瑛は穹の気持ちにどこまで気づいているのか、それが許されることではないと分かっているからなのか、悩みを打ち明けるハルに対し、僅かながら悲痛な表情を見せます。おそらく瑛はハルよりも早く、穹の心の中や感情を読み取っていたのでしょう。
「穹ちゃんのことをちゃんと見てあげて」
「そうなった理由が何かあるはずだよ。ちゃんとそばで見てあげて」
「どんな形であれ、穹ちゃんにはハル君が必要なんだよ」
この時点で、瑛はさり気なくですが、穹が兄以外の形としてハルを必要としていることに言及しています。けれど、ハルはそこまで気づくことができません。
「ありがと。少し気が楽になったよ」
「そう? 良かった」
「天女目は何でもお見通しな気がするなぁ」
ハルもまた、何気なくですが瑛という少女の本質を理解し始めていました。それは瑛が少々深く春日野兄妹と関わっているからでしょうが、渚さんでも気づけなかった瑛の本質にハルが気づいたのは、ハルが穹の内心に気づけなかったのと同じ理由なのでしょう。要するに距離感と関係性。近ければ近いほど、見えにくくなるものもある。
「それより! 早く帰ってあげないと」
「あっ、う、うん」
半ば強引にハルを送り出す瑛。手を振って見送りますが、ふいに師匠の様子がおかしいことに気づきます。
「どうしたの師匠?」
動物は、特に猫はとても敏感な生き物だといいます。このときの師匠がなにを感じていたのかは分かりませんが、ざわめく木々の音に身を任せながら、じっと空を眺めている。何かが起こりそうな、そんな予感を覚えていたのかもしれません。
ハルのいない春日野家では、親戚からの電話を穹が受けていました。原作ではハルが応対するはずの電話。穹は不安そうに見つめているだけだったのに、コミカライズではまるで違いました。
『あの話は考えてくれた?』
「考えてません」
『でも、二人だけで暮らしていくのも大変でしょう?』
「問題ありません」
原作で、ハルと穹が両親の初盆のため都会へと戻った際、穹は援助の手を差し伸べようとする親戚の言葉を、半狂乱に近い形で嫌がり、振り払ったといいます。それとはまた違ったコミカライズにおける穹のキツさと固さ。自室に戻った穹は、電話での親戚の言葉を思い返します。
――穹ちゃんはそうでも…悠くんはどうかしら? もっと私たちを頼ってくれてもいいのよ
確かに、ハルの気持ちがどうであれ、穹が自分の感情を押し通していることに変わりはありません。そんなことは穹だって分かっていますが、ベッドでうずくまる穹はそれでも相手の好意を否定します。
「頼ったら…離ればなれになっちゃうじゃない」
コミカライズだけ読んでいるとこの発言も納得がいきそうなものですが、実は原作だと少し事情が変わります。頑ななハルと穹に対して、親戚は妥協案として二人が元々住んでいたマンションで一緒に暮らしてもいいとさえ言うのですが、穹はそれすらも拒否したのです。まるで、ハルとの二人きりの生活を邪魔されたくないとでも言いたげに。
「ハル…ハル」
ハルの名前を呟きながら、右手を自分のスカートの中へと入れる穹。
「んっ」
「ハルは私のこと迷惑なんかじゃないよね?」
頬を赤らめ、切なそうに、穹はハルへの思いを叫ぶ。
「私はこんなに…愛しているのに」
「ハルのためなら…何だってしてあげられるのに…」
「好きだよ、ハル。ずっと…いっしょにいて…」
穹がハルのことを愛していると言葉にするのは、原作でもなかなかありません。特にこのシーンでそこまで言うとは思ってなかっただけに、少々驚きました。直接的というか、ストレートですよね。
ハルがいないからこそいえた言葉であり、出来た行為。けれど、穹は多分気づいていない。
――ソ…ラ?
部屋の外に、茫然自失となったハルがいることに。
――穹が…僕のことを? 兄としてではなくて?
――そんな…そんな…
冷や汗を流すハルは、原作と違って愕然としているイメージが強いです。これは原作とコミカライズにおける認識度の差であり、原作でのハルはキスをされた際に穹が自分を想っていることを強く認識してしまい、そこから穹のことを避け始めるのですが、コミカライズでは今まさに、この瞬間に穹の想いに気づいたのです。だからこそ原作のように興奮するわけでもなく、ハルは衝撃と驚きに打ちのめされたのです。
そんな事実を前にしてハルはどう動くのか、ということろで次回に続く。
まあ、感想としては大きく分けて二つですね。
水風天は流石だね! というのがまず最初に来ると思う。やっぱりエロ漫画も描いてる人はちがうというか、これってコミックスでは右手首の先が見えたりしないんですかね?w 下着は脱いでいないんだから、そこを描写しても大丈夫だと思うんだけど、コミックスで加筆修正とかされたら最高だよね。いや、もしかしたら予め描いてあるかもしれないし。原作と違って短いし、特に下着とか指使いが見えたわけでもないのに、何故だか凄くエロイ。足か、白い足のせいなのか。
原作と違って角度がなく、ほぼ真正面から自慰をする穹を描いた、というのも大きいのかな。この切なそうな表情がたまりません。
後もう一つは、やはり穹が徐々に病みつつあるということでしょうか? ハルに対してでさえ、直接ではないにしろ激しい怒りや苛立ちを見せる穹。歯ぎしりをするなんて、原作だとちょっと考えられませんよね。ハルがそんな穹に戸惑い、若干引き気味なのは、上に書いた通り穹の気持ちを人気ししきれてないからだと思います。この時点でハルが穹を避けているのは本能的なものですし、原作のそれと理由は大きく違う。故にコミカライズのハルがこの先どうするのか、それには結構興味が有ります。突き放すのか、受け入れるのか、それとも逃げ出してしまうのか。
例えば次回も穹の自慰が続いていて、それに言いようのない興奮をハルが感じ始めるとか、そういう流れも悪くはないと思うんですよ。ハルが一線を越えるには、明確に穹へ欲情する必要がありますから。今の時点では、引き気味ということもあってそれが薄いよね。おそらくは次回のラストで一線は越えてしまうんだろうけど、それをどこまで描くことが出来るのか。水風天に技術があるといっても、雑誌としての規制もあるだろうし、あまり期待しない方はいいのかな。アニメがTVアニメになった時点で、動作的なエロとは無縁になってしまったし、コミカライズには頑張って欲しいんだけど……あぁ、ヨスガもエロアニメとかにならないかな。TVアニメってネタとしてのエロには寛容なのに、割とマジなエロは避ける傾向にある気がするし。
まあ、コミカライズは次回が山場だと思います。ハルと穹はどうなるのか、出来ればぼかすことなく描ききって欲しいです。
クドわふたー 初回限定版
2010年6月25日 アニメ・マンガ
今日は熱中症で危うく倒れそうだった。職場の昼休みに秋葉原行ったんですけど、秋葉では用が足りなかったので神保町まで行ったんですよ。このクソ暑い中を。梅雨が明けたのかどうかはしらないけど、見上げた空は雲ひとつない空でさ。
太陽とかガンガン照りつけてくるのね。地面とかジリジリ行ってるし、普通に歩くだけで汗が吹き出してくる。神保町で本屋巡りしたけど、もう暑さで倒れそうだった。
歩きまわったおかげでなんとか目的の本は手にいれたんだけど、さすが学生街ということもあってか、平日でも人が多い印象を受けました。まあ、昼時ってのもあるんだろうけど、どこの本屋もそれなりに人がいてさ。小さい本屋だと、人が2~3人いるだけで途端に動きづらくなるから、入店する際はいつも気を使います。
私は神保町という街が決して嫌いではないけど、それほど思い入れもないんですよね。何分、東京都民ではないから通いつめるほど頻繁に行けるわけでもないし、今でこそ職場の近くにあるとはいえ、それでもわざわざ神保町に行くだけの用事がない。今日みたいにどうしても行かなければいけない理由とか、そういうのがあるならともかくね。基本的に漫画雑誌とかはメロンとかそっち系のショップで買うし、一般書籍は地元の本屋か、もしくは横浜の大型書店とかに行きますから。
まあ、学生時代もどちらかと言えば早稲田の古書店街に縁があった人間だから、思い入れがないというよりは、縁自体がないんだろうね。さすがに、R.O.D.の舞台でしょ? とか、そんなさもしい知識しかないわけじゃないけど、考えてみれば人生で数えるほどしか神保町には行ってないのかもしれない。九段下と御茶ノ水は、それこそ数えきれないほど行ってるんだけど。
神保町は文化の街だと思うんですよ。渋谷とか、そういうところとは違った意味でね。本の街というイメージが強いけど、あそこは学生街で若者も多いし、飲食店もかなりの数があるから食文化という意味でも盛んだし。常に時代の波に流されいる秋葉原とは対照的に、古風な趣というのが僅かにも残っていると、そんな感じがしました。金に余裕があったら飲食店巡りとかするのも面白そうなんですけどね。なにせ、飲食物に金使うのが嫌いなケチンボで、さらに偏食家だから出来っこないという。あぁ、私ってなんて面白みのない奴なんだ。
仕事帰りに横浜のソフマップへ寄って、予約していたクドわふたーを引き取ってきました。分類的にはFDでいいのかな? keyトしては珍しく、コンスタントに作品を出している気がするけど、智代アフターみたいな作品でないことを祈りたいですね。まあ、音楽以外で麻枝准は関わってないみたいだから、それは大丈夫だと思うけど。
話題作だけど、実はそれほど興味はありませんでした。リトルバスターズ自体、それほど面白いとも思わなかったしね。予約したのだってただ単にソフマップの特典が面白そうだったのと、どの店舗行ってもCMが流れていたから。そんな適当な理由のせいか、ものがいくらだかも知らなくて結構焦りました。いや、公式サイトで値段を調べたつもりだったんだけど、ソフマップだと3000円ぐらい高いのねw てっきり、あの特典が全部ついて他の店舗と同じ値段だと思ってました。どんだけ豪華特典なんだと驚いてたけど、そうか値段が違ったのか……持ち合わせが足りてよかったです。
まだプレイしてないけど、買ってみた感想としてはとにかく箱がデカイ!の一言に尽きるかな。丁度、フォルトの箱と同じぐらい? こんな大きいものだとも思っていなかったから、持って帰るのには少々苦労しました。エロゲの箱もどんどん大きくなっていくなぁ。正直、置き場所に困るというかなんというかなんだけど、最近は如何に良い特典をつけるかになってきてるよね。ソフマップやメッセサンオーで布モノの特典を付けるのがデフォルトになってきたし、今回のソフマップ限定版ですか? こういった商法も今後増えてくるんじゃないでしょうか。別に商法そのものは否定しないし、特典がつくことを嬉しいと思う気持ちも確かにあるんだけど、エロゲが1つの作品というよりはコレクターズアイテムになりつつあるような気もして、結構複雑なのです。
丁度、明日は休みですし、時間があったらクドわふたーはプレイしてみようと思います。実は、先に白状してしまうと、あまりクドの声が好きじゃないんだけど、これは聴いていればそのうち慣れるのかな。特に調べてないから声優が誰なのかとか全然知らない。ビックリするほど有名所だったりするんだろうか。key作品ならあり得ない話じゃないけど、少なくとも川上とも子や田村ゆかりには聞こえなかったな。どちらもKanon以降のkey作品では皆勤賞の声優だけど。
しかし、限定版の箱のイラスト……いや、キングサイズベッドシーツにも使われてる奴さ、クドとその他二人のヒロインの水着姿なんだけど、もしかしてこの二人ともイベントあったりするんですかね? クドオンリーFDなのかさえ知らないや。さすがにkeyでハーレム展開はないと思うけど、イベントあると楽しそうだなぁ。
太陽とかガンガン照りつけてくるのね。地面とかジリジリ行ってるし、普通に歩くだけで汗が吹き出してくる。神保町で本屋巡りしたけど、もう暑さで倒れそうだった。
歩きまわったおかげでなんとか目的の本は手にいれたんだけど、さすが学生街ということもあってか、平日でも人が多い印象を受けました。まあ、昼時ってのもあるんだろうけど、どこの本屋もそれなりに人がいてさ。小さい本屋だと、人が2~3人いるだけで途端に動きづらくなるから、入店する際はいつも気を使います。
私は神保町という街が決して嫌いではないけど、それほど思い入れもないんですよね。何分、東京都民ではないから通いつめるほど頻繁に行けるわけでもないし、今でこそ職場の近くにあるとはいえ、それでもわざわざ神保町に行くだけの用事がない。今日みたいにどうしても行かなければいけない理由とか、そういうのがあるならともかくね。基本的に漫画雑誌とかはメロンとかそっち系のショップで買うし、一般書籍は地元の本屋か、もしくは横浜の大型書店とかに行きますから。
まあ、学生時代もどちらかと言えば早稲田の古書店街に縁があった人間だから、思い入れがないというよりは、縁自体がないんだろうね。さすがに、R.O.D.の舞台でしょ? とか、そんなさもしい知識しかないわけじゃないけど、考えてみれば人生で数えるほどしか神保町には行ってないのかもしれない。九段下と御茶ノ水は、それこそ数えきれないほど行ってるんだけど。
神保町は文化の街だと思うんですよ。渋谷とか、そういうところとは違った意味でね。本の街というイメージが強いけど、あそこは学生街で若者も多いし、飲食店もかなりの数があるから食文化という意味でも盛んだし。常に時代の波に流されいる秋葉原とは対照的に、古風な趣というのが僅かにも残っていると、そんな感じがしました。金に余裕があったら飲食店巡りとかするのも面白そうなんですけどね。なにせ、飲食物に金使うのが嫌いなケチンボで、さらに偏食家だから出来っこないという。あぁ、私ってなんて面白みのない奴なんだ。
仕事帰りに横浜のソフマップへ寄って、予約していたクドわふたーを引き取ってきました。分類的にはFDでいいのかな? keyトしては珍しく、コンスタントに作品を出している気がするけど、智代アフターみたいな作品でないことを祈りたいですね。まあ、音楽以外で麻枝准は関わってないみたいだから、それは大丈夫だと思うけど。
話題作だけど、実はそれほど興味はありませんでした。リトルバスターズ自体、それほど面白いとも思わなかったしね。予約したのだってただ単にソフマップの特典が面白そうだったのと、どの店舗行ってもCMが流れていたから。そんな適当な理由のせいか、ものがいくらだかも知らなくて結構焦りました。いや、公式サイトで値段を調べたつもりだったんだけど、ソフマップだと3000円ぐらい高いのねw てっきり、あの特典が全部ついて他の店舗と同じ値段だと思ってました。どんだけ豪華特典なんだと驚いてたけど、そうか値段が違ったのか……持ち合わせが足りてよかったです。
まだプレイしてないけど、買ってみた感想としてはとにかく箱がデカイ!の一言に尽きるかな。丁度、フォルトの箱と同じぐらい? こんな大きいものだとも思っていなかったから、持って帰るのには少々苦労しました。エロゲの箱もどんどん大きくなっていくなぁ。正直、置き場所に困るというかなんというかなんだけど、最近は如何に良い特典をつけるかになってきてるよね。ソフマップやメッセサンオーで布モノの特典を付けるのがデフォルトになってきたし、今回のソフマップ限定版ですか? こういった商法も今後増えてくるんじゃないでしょうか。別に商法そのものは否定しないし、特典がつくことを嬉しいと思う気持ちも確かにあるんだけど、エロゲが1つの作品というよりはコレクターズアイテムになりつつあるような気もして、結構複雑なのです。
丁度、明日は休みですし、時間があったらクドわふたーはプレイしてみようと思います。実は、先に白状してしまうと、あまりクドの声が好きじゃないんだけど、これは聴いていればそのうち慣れるのかな。特に調べてないから声優が誰なのかとか全然知らない。ビックリするほど有名所だったりするんだろうか。key作品ならあり得ない話じゃないけど、少なくとも川上とも子や田村ゆかりには聞こえなかったな。どちらもKanon以降のkey作品では皆勤賞の声優だけど。
しかし、限定版の箱のイラスト……いや、キングサイズベッドシーツにも使われてる奴さ、クドとその他二人のヒロインの水着姿なんだけど、もしかしてこの二人ともイベントあったりするんですかね? クドオンリーFDなのかさえ知らないや。さすがにkeyでハーレム展開はないと思うけど、イベントあると楽しそうだなぁ。
井の中の蛙、大海に行かず
2010年6月24日 アニメ・マンガくろのさんと抱き枕の件を話していて、夏コミ合わせで作ることが確定しました。懸念していた絵柄の方も、くろのさんの方から片面に2キャラ配置している抱き枕の存在を教えられたので、ラフの方を修正する感じで進みそうです。なので、片面印刷ですね。やっぱり、ルクリュとシエルの絡みをなくしてしまうのは勿体無いという結論になりましたw
しかし、2キャラ配置している抱き枕ってあるもんなんですね。シーツと違って抱き枕は個人ないし単体のものという認識があったから、結構意外でした。
片面印刷だと両面より印刷費が安いから、その分良い生地を使えそうです。ネタとはいえ作るからには良いものを作りたいじゃない? くろのさんだって妥協せずに描いてくれるんだから、私の方でもそれに応えなくてはいけないなと。売り物じゃないからこそ、拘れるところには拘りたいといいますか。売り物なら採算とか生産性を考えなきゃいけないけど、これはあくまで個人の趣味だしね。利益とか利率とか、そういう難しいことは一切抜きに、如何にいいものを作ることが出来るかという挑戦です。
ただ、くろのさんの話では抱き枕欲しいみたいなコメントくれてる人もいるそうなんだけど、一応需要はあるんですかね? いや、シエルはともかくルクリュはオリキャラだし、その辺りはハードル高いんじゃないかなと思ってたので。欲しいと言ってくれる人がいるのは嬉しいけど、現実問題として人に売るには単価が高くなりすぎると思う。サイズが小さくて安い生地の抱き枕カバーなら7000円ぐらいで買えてしまう昨今に、カバー1枚で1万5000円とか現実味がないじゃないですか。それでも欲しいという人はいるのかもしれないけど、さすがに同人サークルが売っていいものとしては高すぎると思うんですよ。いくら利益が発生しないとは言っても。
まあ、価格を落とす方法なんていくらでもあるんだけど、夏コミではとりあえず展示にとどめます。これがなのはキャラなら、あるいは凄い需要があるのかもしれないけどねー。フェイトの抱き枕なんて、最近じゃ定番でしょう。私はセインを所望するけどw
夏コミの準備は私もチャカポコ進めていたりするんですが、新刊を2冊にしたことで結構精神的余裕が出来ています。これが油断とならない内に本を仕上げないといけないんだけど、ヨスガ本はともかくゼロボンは画像一式が手元に来てからだしね。以前の日記にも書いたと思うけど、私は前回の読本の出来に不満があったから、今回はそれを踏まえた上での誌面構成というか装丁になると思います。
具体的に言うと、前回は比較的文章コンテンツが多かったから右開きの本にしたけど、ゼロボンに関して言えば左開きのイラスト本とかにしても良いと思うんですよ。なので、デザインイメージは今のところヨスガノソラのVFBとかを想定してて。これは完結編の1話を載せるか載せないかで決まるんだけど、その方がすっきりとした誌面になる気がして。読本は確か漫画のムック本みたいのを参考にして作ったんだけど、ゼロボンは前述の通りエロゲのVFBだから、そこら辺はガラリと変わるんじゃないかなと。むしろ、読本の名前を引き継がない時点で別物なんだし、前の形に囚われなくていいんじゃないだろうか。まあ、これに関しては仮印刷してみての感じも含めてだけど。
ヨスガノソラでスペース取ってるとはいえ、小説本以外になにを出すわけでもないから、自然とゼロボンの方に力が入ってしまう。ヨスガに関しても、なんか盛り上がる企画とか立てられたら良いんですけどね。如何せん、絵描きでない私には出来ることと出来ないことの差が多すぎる。別に物書きである自分を殊更卑下しているわけじゃないけど、物事をストレートに伝えるには、やはり視覚的イメージが一番なんですよ。くろのさんとの会話で、ラノベにおける挿絵の話になったけど、常に表紙絵・口絵・挿絵が存在するラノベは、ある程度描写力がなくてもなんとかなってしまうものだしね。これが二次創作になれば、受けてはさらに作品の知識を持っているから、余計にキャラクター描写が必要なくなってくる。二次創作のSSとかが比較的書きやすいとされているのは、そういった事情もあるからなんですよね。私もそういったものを書いている人だから、あまり偉そうなことは言えないけどさ。
ラノベ作家にどうしてもなりたいという奴がいて、実際のラノベ作家に作品を見てもらっているという光景をこの前見たんだけど、なんというか最近の若い奴は可愛げがないね。自分が、というより作品が貶されることに慣れていないのか、相手の指摘や注意を素直に受け止めることができない傾向にあるように思えた。自分から作品を見せておいて、もっともなことを言われて不愉快な気分になるって、一体何様なんだろうか。
私はなにせ作家ではないし、その作家志望曰く作家じゃない奴はどれも一緒らしいからなにも言わなかったけど、あんなんで実際の編集者とかやり取り出来るのかな。仕事柄そういう場面に接することもよくあるが、優しい人ばかりなわけもないし、誉めてくれる人ばかりじゃないんですよ。ネット物書きとか、それこそ同人作家とかやってると、読者が次第に淘汰されていって、それこそ好意的なファンや信者だけになるから、批判とかを受け付けにくい、耐性のない人間になってしまうんですね。そして自分を賞賛してくれる今の環境が楽しくて、それに満足してしまうことが多々ある。井の中の蛙が大海を恐れ、居心地のいい井の中に閉じこもり続けるというわけです。
作家が作品を褒めてもらいたいのは当然としても、それだけではイケナイということを、作家志望の学生とかには分かっていて欲しいものです。どんな天才だって、批判されるときはされるんだからさ。避けては通れない道なんですよ。
しかし、2キャラ配置している抱き枕ってあるもんなんですね。シーツと違って抱き枕は個人ないし単体のものという認識があったから、結構意外でした。
片面印刷だと両面より印刷費が安いから、その分良い生地を使えそうです。ネタとはいえ作るからには良いものを作りたいじゃない? くろのさんだって妥協せずに描いてくれるんだから、私の方でもそれに応えなくてはいけないなと。売り物じゃないからこそ、拘れるところには拘りたいといいますか。売り物なら採算とか生産性を考えなきゃいけないけど、これはあくまで個人の趣味だしね。利益とか利率とか、そういう難しいことは一切抜きに、如何にいいものを作ることが出来るかという挑戦です。
ただ、くろのさんの話では抱き枕欲しいみたいなコメントくれてる人もいるそうなんだけど、一応需要はあるんですかね? いや、シエルはともかくルクリュはオリキャラだし、その辺りはハードル高いんじゃないかなと思ってたので。欲しいと言ってくれる人がいるのは嬉しいけど、現実問題として人に売るには単価が高くなりすぎると思う。サイズが小さくて安い生地の抱き枕カバーなら7000円ぐらいで買えてしまう昨今に、カバー1枚で1万5000円とか現実味がないじゃないですか。それでも欲しいという人はいるのかもしれないけど、さすがに同人サークルが売っていいものとしては高すぎると思うんですよ。いくら利益が発生しないとは言っても。
まあ、価格を落とす方法なんていくらでもあるんだけど、夏コミではとりあえず展示にとどめます。これがなのはキャラなら、あるいは凄い需要があるのかもしれないけどねー。フェイトの抱き枕なんて、最近じゃ定番でしょう。私はセインを所望するけどw
夏コミの準備は私もチャカポコ進めていたりするんですが、新刊を2冊にしたことで結構精神的余裕が出来ています。これが油断とならない内に本を仕上げないといけないんだけど、ヨスガ本はともかくゼロボンは画像一式が手元に来てからだしね。以前の日記にも書いたと思うけど、私は前回の読本の出来に不満があったから、今回はそれを踏まえた上での誌面構成というか装丁になると思います。
具体的に言うと、前回は比較的文章コンテンツが多かったから右開きの本にしたけど、ゼロボンに関して言えば左開きのイラスト本とかにしても良いと思うんですよ。なので、デザインイメージは今のところヨスガノソラのVFBとかを想定してて。これは完結編の1話を載せるか載せないかで決まるんだけど、その方がすっきりとした誌面になる気がして。読本は確か漫画のムック本みたいのを参考にして作ったんだけど、ゼロボンは前述の通りエロゲのVFBだから、そこら辺はガラリと変わるんじゃないかなと。むしろ、読本の名前を引き継がない時点で別物なんだし、前の形に囚われなくていいんじゃないだろうか。まあ、これに関しては仮印刷してみての感じも含めてだけど。
ヨスガノソラでスペース取ってるとはいえ、小説本以外になにを出すわけでもないから、自然とゼロボンの方に力が入ってしまう。ヨスガに関しても、なんか盛り上がる企画とか立てられたら良いんですけどね。如何せん、絵描きでない私には出来ることと出来ないことの差が多すぎる。別に物書きである自分を殊更卑下しているわけじゃないけど、物事をストレートに伝えるには、やはり視覚的イメージが一番なんですよ。くろのさんとの会話で、ラノベにおける挿絵の話になったけど、常に表紙絵・口絵・挿絵が存在するラノベは、ある程度描写力がなくてもなんとかなってしまうものだしね。これが二次創作になれば、受けてはさらに作品の知識を持っているから、余計にキャラクター描写が必要なくなってくる。二次創作のSSとかが比較的書きやすいとされているのは、そういった事情もあるからなんですよね。私もそういったものを書いている人だから、あまり偉そうなことは言えないけどさ。
ラノベ作家にどうしてもなりたいという奴がいて、実際のラノベ作家に作品を見てもらっているという光景をこの前見たんだけど、なんというか最近の若い奴は可愛げがないね。自分が、というより作品が貶されることに慣れていないのか、相手の指摘や注意を素直に受け止めることができない傾向にあるように思えた。自分から作品を見せておいて、もっともなことを言われて不愉快な気分になるって、一体何様なんだろうか。
私はなにせ作家ではないし、その作家志望曰く作家じゃない奴はどれも一緒らしいからなにも言わなかったけど、あんなんで実際の編集者とかやり取り出来るのかな。仕事柄そういう場面に接することもよくあるが、優しい人ばかりなわけもないし、誉めてくれる人ばかりじゃないんですよ。ネット物書きとか、それこそ同人作家とかやってると、読者が次第に淘汰されていって、それこそ好意的なファンや信者だけになるから、批判とかを受け付けにくい、耐性のない人間になってしまうんですね。そして自分を賞賛してくれる今の環境が楽しくて、それに満足してしまうことが多々ある。井の中の蛙が大海を恐れ、居心地のいい井の中に閉じこもり続けるというわけです。
作家が作品を褒めてもらいたいのは当然としても、それだけではイケナイということを、作家志望の学生とかには分かっていて欲しいものです。どんな天才だって、批判されるときはされるんだからさ。避けては通れない道なんですよ。
「あなたに驚くべき事実って奴を教えてあげますよ」
「世の中そうそう衝撃の事実なんてあるわけないさ」
「現在放送中のワサビもんことドラえもんって、もう5年以上やってるらしいですよ?」
「え……マジで?」
「はい、マジです」
悲恋堂の奥で映画を見ていたとき、急にそんな話を振られた。5年といえば小学生が卒業していてもおかしくない年であり、今の子供の中には大山版のドラえもんを知らないという子もいるのではないだろうか。なんていうか、新しいドラえもんの映画が何作公開されたかを考えればすぐに分かることであるのに、私の感覚ではまだ2~3年ぐらいだと思っていた。5年放送したからにはもう5年ぐらいは放送するのだろうし、10年などあっという間だ。あのケロロ軍曹ですら、実は6~7年は放送しているのだから、時の流れというのは本当に早いものである。
そういえば、店主の話によると来年のドラえもんの映画は鉄人兵団のリメイクらしい。どうやら新しいドラえもんはリメイクとオリジナルを交互にやることに決めたようで、80年代と90年代のドラえもん映画が好きな身としてはなんとも言えない気分である。私が一番好きな映画は海底鬼岩城と大魔境であるが、前者がリメイクされた日にはどんな内容であっても認められないかもしれない。
「きっと鉄人兵団がフルCGで描かれたりするんですよ。もう、映像とか3D映画並になって」
「ジュドことザンダクロスがリアルロボットになるのか」
「百式からエヴァになったりね」
まあ、私は新しいドラえもんの映画は一つも見てないから、来年なにが公開されようと見に行くつもりはない。コナンだけは相変わらず惰性で見続けているが、そういえば今年のポケモンの映画は見に行きたいんだよな。
私は後から出てきた女が好きなので、ポケモンのヒカリは結構好きなんだけど、DPはどうやら秋完結らしいですね。サトシと並ぶ主人公として登場したヒロインのヒカリですが、なんでも新作発売に合わせて降板する可能性があるとかないとか。もう確定してるのかな? サトシが降板するなんてことはまずあり得ないし、ヒロインが一人増える展開も考えづらいから、ヒカリもまたシリーズヒロインだったということかな。もう一人の主人公であったことは間違いないんだろうけど、大人の事情には勝てなかったとういうことか。
ヒカリはサトシにとって良いヒロインだと思うんですけどね。例えば初期のヒロインであったカスミは勝気というよりはお姉さんタイプで、ジムリーダーとしても経験豊富な設定から、どうしてもサトシと対等の関係になることが出来なかった。当時のサトシはポケモンの素人だったし、それに対してカスミは先輩も先輩。勢いと根性で乗り切ろうとするサトシに対し、カスミは冷静さとか堅実さを求めてしまう。それは悪いことじゃないんだけど、結局その差がすれ違いになってしまった。次に登場したハルカに関しては、そもそも性格が違いすぎますからね。彼女には自分の周囲を取り巻くキャラが存在していたし、サトシに対してどうこうというキャラにはなれなかった。
それに比べてヒカリの性格はサトシのそれによく似ていて、サトシとの差や距離を感じさせません。カスミが先輩でありお姉さん的思考を持っていたのとは違ってね。トレーナーとしてはサトシが先輩なんだけど、ヒカリは別にトレーナーではないから、それもまた関係ないし、互いに違った夢と目標を持っている二人だからこそ、反発しあうことが少ないんですね。たまに喧嘩はするけど、その喧嘩自体が対等な関係であることを示しているというかなんというか。
けど、この前放送していたヒカリの幼馴染vsサトシの話はどうかと思ったな。いや、実質ヒカリを賭けての戦いだったことをサトシは知らないわけじゃない? 知っていれば、もう少し本気を出したというか、それこそピカチュウで戦ってもおかしくないほどのバトルを繰り広げた気がするのですよ。そんな、当のサトシはなにも知らないのに、サトシに勝ったら一緒に旅をしてくれとかおかしくないかと。でも、そのことをヒカリがサトシに相談しなかった時点で、もう脈はないのかと思った。自分で決めるべきことだとミカンが言っていたからかも知れないが。
ヒカリはどうするのかな。サトシと旅を続けるのか、幼馴染と共に行くのか、地元に帰るもしくは一人旅を始めるのか。幼馴染が気づいたように、サトシとヒカリの関係はかなり深いものになってるんですよ。ヒカリはサトシの応援に行くことは当然だと思ってるし、そこに恋心があるのかはともかく、そう思えるだけの関係になっていたことへ、危機感を抱いたのでしょう。
にしても、サトシが負けるにしてさ、あそこでヒカリがサトシの名前を叫ぶとかして、バトルには勝ったが勝負には負けたとか、そういう展開にすればまだサトシの面目も保てたと思うのよ。あんなあっさり負けてどうするんだと。まあ、ポケモンの薄い恋愛要素を考えると仕方ないのかも知れないが。
「世の中そうそう衝撃の事実なんてあるわけないさ」
「現在放送中のワサビもんことドラえもんって、もう5年以上やってるらしいですよ?」
「え……マジで?」
「はい、マジです」
悲恋堂の奥で映画を見ていたとき、急にそんな話を振られた。5年といえば小学生が卒業していてもおかしくない年であり、今の子供の中には大山版のドラえもんを知らないという子もいるのではないだろうか。なんていうか、新しいドラえもんの映画が何作公開されたかを考えればすぐに分かることであるのに、私の感覚ではまだ2~3年ぐらいだと思っていた。5年放送したからにはもう5年ぐらいは放送するのだろうし、10年などあっという間だ。あのケロロ軍曹ですら、実は6~7年は放送しているのだから、時の流れというのは本当に早いものである。
そういえば、店主の話によると来年のドラえもんの映画は鉄人兵団のリメイクらしい。どうやら新しいドラえもんはリメイクとオリジナルを交互にやることに決めたようで、80年代と90年代のドラえもん映画が好きな身としてはなんとも言えない気分である。私が一番好きな映画は海底鬼岩城と大魔境であるが、前者がリメイクされた日にはどんな内容であっても認められないかもしれない。
「きっと鉄人兵団がフルCGで描かれたりするんですよ。もう、映像とか3D映画並になって」
「ジュドことザンダクロスがリアルロボットになるのか」
「百式からエヴァになったりね」
まあ、私は新しいドラえもんの映画は一つも見てないから、来年なにが公開されようと見に行くつもりはない。コナンだけは相変わらず惰性で見続けているが、そういえば今年のポケモンの映画は見に行きたいんだよな。
私は後から出てきた女が好きなので、ポケモンのヒカリは結構好きなんだけど、DPはどうやら秋完結らしいですね。サトシと並ぶ主人公として登場したヒロインのヒカリですが、なんでも新作発売に合わせて降板する可能性があるとかないとか。もう確定してるのかな? サトシが降板するなんてことはまずあり得ないし、ヒロインが一人増える展開も考えづらいから、ヒカリもまたシリーズヒロインだったということかな。もう一人の主人公であったことは間違いないんだろうけど、大人の事情には勝てなかったとういうことか。
ヒカリはサトシにとって良いヒロインだと思うんですけどね。例えば初期のヒロインであったカスミは勝気というよりはお姉さんタイプで、ジムリーダーとしても経験豊富な設定から、どうしてもサトシと対等の関係になることが出来なかった。当時のサトシはポケモンの素人だったし、それに対してカスミは先輩も先輩。勢いと根性で乗り切ろうとするサトシに対し、カスミは冷静さとか堅実さを求めてしまう。それは悪いことじゃないんだけど、結局その差がすれ違いになってしまった。次に登場したハルカに関しては、そもそも性格が違いすぎますからね。彼女には自分の周囲を取り巻くキャラが存在していたし、サトシに対してどうこうというキャラにはなれなかった。
それに比べてヒカリの性格はサトシのそれによく似ていて、サトシとの差や距離を感じさせません。カスミが先輩でありお姉さん的思考を持っていたのとは違ってね。トレーナーとしてはサトシが先輩なんだけど、ヒカリは別にトレーナーではないから、それもまた関係ないし、互いに違った夢と目標を持っている二人だからこそ、反発しあうことが少ないんですね。たまに喧嘩はするけど、その喧嘩自体が対等な関係であることを示しているというかなんというか。
けど、この前放送していたヒカリの幼馴染vsサトシの話はどうかと思ったな。いや、実質ヒカリを賭けての戦いだったことをサトシは知らないわけじゃない? 知っていれば、もう少し本気を出したというか、それこそピカチュウで戦ってもおかしくないほどのバトルを繰り広げた気がするのですよ。そんな、当のサトシはなにも知らないのに、サトシに勝ったら一緒に旅をしてくれとかおかしくないかと。でも、そのことをヒカリがサトシに相談しなかった時点で、もう脈はないのかと思った。自分で決めるべきことだとミカンが言っていたからかも知れないが。
ヒカリはどうするのかな。サトシと旅を続けるのか、幼馴染と共に行くのか、地元に帰るもしくは一人旅を始めるのか。幼馴染が気づいたように、サトシとヒカリの関係はかなり深いものになってるんですよ。ヒカリはサトシの応援に行くことは当然だと思ってるし、そこに恋心があるのかはともかく、そう思えるだけの関係になっていたことへ、危機感を抱いたのでしょう。
にしても、サトシが負けるにしてさ、あそこでヒカリがサトシの名前を叫ぶとかして、バトルには勝ったが勝負には負けたとか、そういう展開にすればまだサトシの面目も保てたと思うのよ。あんなあっさり負けてどうするんだと。まあ、ポケモンの薄い恋愛要素を考えると仕方ないのかも知れないが。
布モノは男のロマンだ
2010年6月22日 アニメ・マンガどこかにベッドシーツを1枚から印刷してくれる同人グッズ屋はないもんかな。いや、別に同人グッズ屋に限定しなくてもいいんだけど、布モノはなかなか小口の注文を受け付けてくれないから困る。抱き枕は割とメジャーになったのか1枚から印刷してくれるところもあるんだけど、シーツはなぁ。100枚とか刷ってどうするのって感じだし。今回製作予定の抱き枕は、売り物として作るわけじゃないからね。
なんでシーツに拘ってるのかというと、ラフ見ても判るように絵柄がルクリュとシエルの二人じゃないですか? キャラが二人だと、抱き枕の限界と言われている横幅50センチじゃ足りない気がするのよ。だったら、いっそ大判のシーツにした方が、かなり余裕持って描けるのかなと思ったんだけど……印刷してくれるところがないと始まらない。
まあ、私が細かいこと気にしすぎなのかな。いざとなったら両面印刷にして表ルクリュで裏シエルとか、そういうので対応すればいいか。くろのさんが横幅足りない、作業しにくいということになったら、二人の絡みを解くのはもったいないけど分ける感じで。むしろ、その方がやりやすいと思うし、要相談ってとこでしょうね。ちょっと早めに時間見つけて話てみよう。絡みのある方はポスターで制作するとか、媒体を変えればいくらでも応用は出来るはずだし。
にしても、気付いたら抱き枕を作ることで決定している自分がいるw 既に印刷屋の候補は2つに絞ってるんだけど、やはり印刷屋によって使える生地に差がありますね。良い生地は高いってのは当たり前の話だけど、2WAYトリコットとか憧れるよね。これは一般にスク水とか作る際に使われる素材なんだけど、今じゃ良い抱き枕の代名詞みたいな生地になっている。最近じゃ、サテンやスウェードで作る方が珍しいんじゃないかな。私だって出来れば良い生地で作りたいけど、予算との兼ね合いもあるから……まあ、作るとしたって2枚しか作らないから、そこまで気にすることでもないのかも知れないけど。
さて、そんな楽しくなってきた夏コミですが、ここで一つ楽しくない話をします。実は様々な事情があって夏コミで出す新刊の数を減らすことにしました。正直言って不本意なんですが、同人活動やっている場合じゃないそうだから、規模を縮小します。先週はこの件で悲恋堂を始め、周囲と一悶着起こしてたんだけど、最終的には私が妥協しました。一度やるといったことを撤回するのは心苦しいけど、周囲の言うことの方が正しいのも分かっているから……決断しなければならないときもある。
それで、具体的に新刊4冊のうち、2冊までしか制作しないことにしました。丁度半分、後は既刊でも置いて置くことにします、以下が作る本と作らない本の詳細で、
ヨスガノソラ新刊その1→制作中
ヨスガノソラ新刊その2→制作中止、HPコンテンツ化予定
ロックマンゼロ2-逆襲の救世主-読本→「ゼロボン」として制作中
id [イド] - Rebirth Session -本→製作中止
サークルカットにまで書いてあるid本を切るのは本当に心苦しいんだけど、同人誌ばかり作っていると怒られてしまうもので。私が同人で飯を食っている商業同人の人ならともかく、あくまで趣味同人の人だからね。優先させるべことは他にもあるのですよ。まあ、仕方ないことだと割り切るしかないのでしょう。同人活動が楽しい時期だけにキツイですけど、天秤に掛けられたものが重すぎた。
ただ、idの本なんて今作らないと絶対に作らなそうだしなぁ……冬コミ申し込むかどうかは未定なんだけど、FDとか出るならまだしも、冬までテンション持ちそうにないし。それに当分、新刊同人誌作っている余裕があるかどうか。来年のCOMIC1に関しては、既に考えていることがあるんですけどね。本当は冬コミのつもりだったけど、さすがに時間なさそうなので。
なので、夏コミは「ゼロボン」を中心に企画を進めて行くことになるのかな。前回の読本は誌面構成や版型に色々不満があったから、ガラリと構成や装丁を変えてみようかと思います。あれはなにを参考に作ったんだったかな……とりあえず、制作は7月からを予定。
そういえば、夏コミはなんとか売り子を確保したけど、1枚チケット余ったな。スペースの手伝いはしたくない、チケットだけ寄越せとか言ってくる奴の多いこと、多いこと。まあ、今回はくろのさんも来れなさそうだし、誰か知り合いに渡すかな。
なんでシーツに拘ってるのかというと、ラフ見ても判るように絵柄がルクリュとシエルの二人じゃないですか? キャラが二人だと、抱き枕の限界と言われている横幅50センチじゃ足りない気がするのよ。だったら、いっそ大判のシーツにした方が、かなり余裕持って描けるのかなと思ったんだけど……印刷してくれるところがないと始まらない。
まあ、私が細かいこと気にしすぎなのかな。いざとなったら両面印刷にして表ルクリュで裏シエルとか、そういうので対応すればいいか。くろのさんが横幅足りない、作業しにくいということになったら、二人の絡みを解くのはもったいないけど分ける感じで。むしろ、その方がやりやすいと思うし、要相談ってとこでしょうね。ちょっと早めに時間見つけて話てみよう。絡みのある方はポスターで制作するとか、媒体を変えればいくらでも応用は出来るはずだし。
にしても、気付いたら抱き枕を作ることで決定している自分がいるw 既に印刷屋の候補は2つに絞ってるんだけど、やはり印刷屋によって使える生地に差がありますね。良い生地は高いってのは当たり前の話だけど、2WAYトリコットとか憧れるよね。これは一般にスク水とか作る際に使われる素材なんだけど、今じゃ良い抱き枕の代名詞みたいな生地になっている。最近じゃ、サテンやスウェードで作る方が珍しいんじゃないかな。私だって出来れば良い生地で作りたいけど、予算との兼ね合いもあるから……まあ、作るとしたって2枚しか作らないから、そこまで気にすることでもないのかも知れないけど。
さて、そんな楽しくなってきた夏コミですが、ここで一つ楽しくない話をします。実は様々な事情があって夏コミで出す新刊の数を減らすことにしました。正直言って不本意なんですが、同人活動やっている場合じゃないそうだから、規模を縮小します。先週はこの件で悲恋堂を始め、周囲と一悶着起こしてたんだけど、最終的には私が妥協しました。一度やるといったことを撤回するのは心苦しいけど、周囲の言うことの方が正しいのも分かっているから……決断しなければならないときもある。
それで、具体的に新刊4冊のうち、2冊までしか制作しないことにしました。丁度半分、後は既刊でも置いて置くことにします、以下が作る本と作らない本の詳細で、
ヨスガノソラ新刊その1→制作中
ヨスガノソラ新刊その2→制作中止、HPコンテンツ化予定
ロックマンゼロ2-逆襲の救世主-読本→「ゼロボン」として制作中
id [イド] - Rebirth Session -本→製作中止
サークルカットにまで書いてあるid本を切るのは本当に心苦しいんだけど、同人誌ばかり作っていると怒られてしまうもので。私が同人で飯を食っている商業同人の人ならともかく、あくまで趣味同人の人だからね。優先させるべことは他にもあるのですよ。まあ、仕方ないことだと割り切るしかないのでしょう。同人活動が楽しい時期だけにキツイですけど、天秤に掛けられたものが重すぎた。
ただ、idの本なんて今作らないと絶対に作らなそうだしなぁ……冬コミ申し込むかどうかは未定なんだけど、FDとか出るならまだしも、冬までテンション持ちそうにないし。それに当分、新刊同人誌作っている余裕があるかどうか。来年のCOMIC1に関しては、既に考えていることがあるんですけどね。本当は冬コミのつもりだったけど、さすがに時間なさそうなので。
なので、夏コミは「ゼロボン」を中心に企画を進めて行くことになるのかな。前回の読本は誌面構成や版型に色々不満があったから、ガラリと構成や装丁を変えてみようかと思います。あれはなにを参考に作ったんだったかな……とりあえず、制作は7月からを予定。
そういえば、夏コミはなんとか売り子を確保したけど、1枚チケット余ったな。スペースの手伝いはしたくない、チケットだけ寄越せとか言ってくる奴の多いこと、多いこと。まあ、今回はくろのさんも来れなさそうだし、誰か知り合いに渡すかな。
時計の針は錆びついて
2010年6月21日 アニメ・マンガ秋葉原のヨドバシでHG 1/144 ガイアガンダムを買ってきました。本当は1/100スケールが欲しくて横浜のヨドバシとかを探してたんですが、なんかガイアって1/100スケールないみたいですね。ルナマリアのザクでさえ出ているというのに。私は不器用だからガンプラは大きいのを好んで作るんだけど、まあ、カオス、ガイア、アビスの3体はあんまり人気なかったからね。確かに私もガイア以外はちょっと……という感じだ。
職場が秋葉の隣町にあるから、割とヨドバシとかも行きやすいんだけど、考えてみればヨドバシでガンプラ買ったのって初めてかも。基本的にさくらやホビー館とか、ユザワヤでしか買わない人だったので。もっとも前者は今年の2月に閉店して、後者は地元近くの店がホビー売り場縮小しちゃったので利用頻度は激減しましたけど。ユザワヤといえば蒲田店が一番良いのでしょうけど、あそこはモデルガン含めたホビーがかなり充実してますからね。プラモだってガンプラ以外に沢山あるし、特撮系の玩具も多かった気がする。まあ、最近は行ってないから今がどんな感じかは分からないんだけど、そういやぷにケットで蒲田を訪れた際、モデルガン屋を見つけたけど、意外にそういう店多いんですかね。私はもうサバゲとかそういう歳でもないんで、銃器類に関してはさほど興味もないんだけど。
話を秋葉に戻して、ガイア買ったら何故か特典としてZのクリアファイルがついてきた。なんかキャンペーンとかやってるんですかね。私はZのデザインって現代でも通用するものだと思ってるんだけど、実は作品的にはZZの方が好きなのよね。決して、エルピー・プルがすきだからとか、そういう理由じゃないが。いや、プルはプルで大好きだけどさ。本多知恵子の声とか最高じゃない。
SEEDシリーズもOOの登場で一つ前の作品になってしまいましたし、ガンプラ自体はそんなに置いてない印象があった。まあ、SEEDってASTRAYやMSVはともかく、TVシリーズに登場する機体にあまり魅力を感じなかったんだよね。カッコ悪いとは言わないけど、特にカッコいいと呼べる機体も少ないというか? ストフリは結構な人気だったらしいけど、フリーダムシリーズはどうも好きになれない。そういや、昔ストフリが出る前だかに近場のユザワヤ行ったとき、ちびっ子が母親にストフリねだってたっけ。漫画以外の本を読むなら買ってあげるとか母親は言ってたけど、本を読んでガンプラ買ってもらえるなんて夢のような話だと思ったな。まあ、それぐらい今の子供が本読まないのかもしれないけど……まてよ、デス種放送当時の話なんだから、これも5年ぐらい前の話だったりするのか。うわー、時が経つのは本当に早い。
種といえば、私も昔はデス種でSSとか書いてたんだよね。今一番書き直したい作品の一つなんだけど、あんな作品よく70話も書けたもんだ。若さって偉大だ。あれはラストの展開と中盤の銀英伝パロがキツすぎて、もう読めたもんじゃない。クロスSSとしてはアクが強すぎたよね。あれは人を選ぶというか、そういや書くだけ書いた外伝を投下する前にスレが消えたんだっけ。HPにでも公開し直すかな。書きなおすこと前提で。
種のクロスSSで傑作があるとすれば、間違いなくW-DESTINYでしょう。あのクオリティを出したくて頑張ったが、遂にたどり着くことが出来なかった。傑作と評するにふさわしいこの作品に欠点があるとすれば、それは未完で更新が停止したことでしょうかね。まあ、ネットのSSにはよくあることです。いいところで止まっちゃったんだよ、これがw もう数年前の作品だし、再開を望むのは無理でしょうね。まったく、残念でならない。
そういや、これはクロスSSじゃないけど、機動戦士GUNDAM SEED Revivalってどうなったんですかね。あれは名作になりそうなほど盛り上がっていたSS企画だけど、中断して随分経ちますね。やっぱり、複数人が参加する企画だとこうなるのかなという典型例な気がする。いや、作品としては凄い楽しいんだよ。読み物としても良く出来てた。けど、あれは設定や構成だけが先走りして、言ってしまえば企画することの楽しさだけで満足してしまったと思う。実際書き始めると、これは現実のアニメ制作とかゲーム作りにも言えることだけど、複数人の作業だからね。メインで書く人、サブで書く人、自分がやりたいこと、他人がやりたいこと、それらを擦り合わせるには全体を統括するプロデューサーが必要なんですよ。じゃないと、企画の統一性が保てなくなるから。
いい作品なんだけど、デス種に対する負の感情が強すぎたというか、メイリンの設定があれだったので私としては……主人公は超可愛いんだけどさ。あそこまで企画膨らましておいて放置するというのも勿体無いし、なんとか完結して欲しいんだけどねぇ。
そういや、昨日の日記で大事なことを書き忘れたんだけど、そのことに気づいたのが今日の日記のラストだから、明日の日記で改めて発表することにします。あんまり良い話ではないから気が重いんだけど、決断してしまったからには仕方ない。あぁ、でもデス種の話もしたりないんだよな。あれだけ書いたのに、まだメイリンで書くことがあるという私。ガンダムヒロインでは2番目に好きかもしれない。
職場が秋葉の隣町にあるから、割とヨドバシとかも行きやすいんだけど、考えてみればヨドバシでガンプラ買ったのって初めてかも。基本的にさくらやホビー館とか、ユザワヤでしか買わない人だったので。もっとも前者は今年の2月に閉店して、後者は地元近くの店がホビー売り場縮小しちゃったので利用頻度は激減しましたけど。ユザワヤといえば蒲田店が一番良いのでしょうけど、あそこはモデルガン含めたホビーがかなり充実してますからね。プラモだってガンプラ以外に沢山あるし、特撮系の玩具も多かった気がする。まあ、最近は行ってないから今がどんな感じかは分からないんだけど、そういやぷにケットで蒲田を訪れた際、モデルガン屋を見つけたけど、意外にそういう店多いんですかね。私はもうサバゲとかそういう歳でもないんで、銃器類に関してはさほど興味もないんだけど。
話を秋葉に戻して、ガイア買ったら何故か特典としてZのクリアファイルがついてきた。なんかキャンペーンとかやってるんですかね。私はZのデザインって現代でも通用するものだと思ってるんだけど、実は作品的にはZZの方が好きなのよね。決して、エルピー・プルがすきだからとか、そういう理由じゃないが。いや、プルはプルで大好きだけどさ。本多知恵子の声とか最高じゃない。
SEEDシリーズもOOの登場で一つ前の作品になってしまいましたし、ガンプラ自体はそんなに置いてない印象があった。まあ、SEEDってASTRAYやMSVはともかく、TVシリーズに登場する機体にあまり魅力を感じなかったんだよね。カッコ悪いとは言わないけど、特にカッコいいと呼べる機体も少ないというか? ストフリは結構な人気だったらしいけど、フリーダムシリーズはどうも好きになれない。そういや、昔ストフリが出る前だかに近場のユザワヤ行ったとき、ちびっ子が母親にストフリねだってたっけ。漫画以外の本を読むなら買ってあげるとか母親は言ってたけど、本を読んでガンプラ買ってもらえるなんて夢のような話だと思ったな。まあ、それぐらい今の子供が本読まないのかもしれないけど……まてよ、デス種放送当時の話なんだから、これも5年ぐらい前の話だったりするのか。うわー、時が経つのは本当に早い。
種といえば、私も昔はデス種でSSとか書いてたんだよね。今一番書き直したい作品の一つなんだけど、あんな作品よく70話も書けたもんだ。若さって偉大だ。あれはラストの展開と中盤の銀英伝パロがキツすぎて、もう読めたもんじゃない。クロスSSとしてはアクが強すぎたよね。あれは人を選ぶというか、そういや書くだけ書いた外伝を投下する前にスレが消えたんだっけ。HPにでも公開し直すかな。書きなおすこと前提で。
種のクロスSSで傑作があるとすれば、間違いなくW-DESTINYでしょう。あのクオリティを出したくて頑張ったが、遂にたどり着くことが出来なかった。傑作と評するにふさわしいこの作品に欠点があるとすれば、それは未完で更新が停止したことでしょうかね。まあ、ネットのSSにはよくあることです。いいところで止まっちゃったんだよ、これがw もう数年前の作品だし、再開を望むのは無理でしょうね。まったく、残念でならない。
そういや、これはクロスSSじゃないけど、機動戦士GUNDAM SEED Revivalってどうなったんですかね。あれは名作になりそうなほど盛り上がっていたSS企画だけど、中断して随分経ちますね。やっぱり、複数人が参加する企画だとこうなるのかなという典型例な気がする。いや、作品としては凄い楽しいんだよ。読み物としても良く出来てた。けど、あれは設定や構成だけが先走りして、言ってしまえば企画することの楽しさだけで満足してしまったと思う。実際書き始めると、これは現実のアニメ制作とかゲーム作りにも言えることだけど、複数人の作業だからね。メインで書く人、サブで書く人、自分がやりたいこと、他人がやりたいこと、それらを擦り合わせるには全体を統括するプロデューサーが必要なんですよ。じゃないと、企画の統一性が保てなくなるから。
いい作品なんだけど、デス種に対する負の感情が強すぎたというか、メイリンの設定があれだったので私としては……主人公は超可愛いんだけどさ。あそこまで企画膨らましておいて放置するというのも勿体無いし、なんとか完結して欲しいんだけどねぇ。
そういや、昨日の日記で大事なことを書き忘れたんだけど、そのことに気づいたのが今日の日記のラストだから、明日の日記で改めて発表することにします。あんまり良い話ではないから気が重いんだけど、決断してしまったからには仕方ない。あぁ、でもデス種の話もしたりないんだよな。あれだけ書いたのに、まだメイリンで書くことがあるという私。ガンダムヒロインでは2番目に好きかもしれない。
「ゼロボン」製作決定
2010年6月20日 アニメ・マンガ
はい、そういうわけでくろのとくろえさんの方で既に発表されてますが、夏コミにて出す本の詳細がひとつ決まりました。いや、くろのさんとメッセでエロい話してたらね? なんかノリと勢いと流れでこういうことにになっちゃったんだよ。
というわけでシャリテクロワール夏コミ新刊「ロックマンゼロ2-逆襲の救世主-読本」略して、「ゼロボン」の表紙をくろのとくろえのくろのさんに担当して貰うことになりましたー!!!
もう、本当にありがとうございますですよ。このクソ忙しいときに、修羅場中ですよ修羅場中。
丁度、読本を出すにあたって画像の件とかを話していて、当初の予定では既存のイラストを使いまわす形で表紙は制作するつもりだったんですけどね? その後、私とは特に関係ない別件の話をしている時に、抱き枕カバー風イラストなるものの話で盛り上がって。ルクリュ&シエルの抱き枕カバー風イラストとかいいよねーとか言ってたんですよ。で、私が来年執筆予定の完結編を書くにあたって、人間大のルクリュの資料を欲しがっていたのと、えちぃポーズのルクリュとシエルみたいよー!という欲望満載なこと言ってたら、うっかり、お互いその気になってしまいまして……うん、ノリと勢いって凄いよね。
なので正式に依頼して書いてもらうことにしました。当初は、抱き枕カバー風イラストのポスターを予定してたんですが、これ、表紙にも使えばえちぃ本だと思って買ってく人がいるんじゃね? と、私が実にあさましいこと言ったので表紙にも使ってみることにw でも、ルクリュとシエルって、オメガを除けば逆襲の救世主から登場した唯一の新キャラですし、そう考えるとこの二人が読本の表紙を飾るってのは当然なのかもしれませんね。
ちなみに略して「ゼロボン」は、くろのさん発案です。最初、「ゼロホン」と「ゼロボン」で、どちらにしようか迷ったんだけど、濁点あった方がフォントが可愛く見えるかなと思って。ボンバーマンにいそうな名前だよね。
話をした数時間後にはラフが届くという驚異のスピードに簡単しつつ、ラフを見てビックリ。まさか、ここまでエロイ、もとい凄いものが来るとは思わなかった。ラフはくろのさんとこで見れると思うけど、だってこれ色が付くんだよ? モノクロじゃないんだよね? このお尻突き出しちゃってるルクリュがさらにエロくなるんだぜ!? もう、あれですよ。ラフを見た瞬間に閃いてしまいましたよ。
「これ、普通に抱き枕化してもいいんじゃないか?」
半分オリジナルみたいなもんだけど、今は抱き枕専門の印刷所とかありますからね。ちょっとお高いですが、作ろうと思って作れないものじゃないことが判明しまして。当然、売るほどの量を作れるわけもないから、完全な自己満足になるんだけど……っていうか、仮に抱き枕作るとして、夏コミ会場まで買いに行きますという猛者はいたりするんだろうか。私はともかく、くろのさんのファンにはいるかもしれないな。
ただ、実際に抱き枕化するだけの時間があるか、という問題もあるんですよ。単なるポスターと違って、抱き枕には専用の画像サイズがありますからね。例えば一番標準的な1600x450サイズの抱き枕を作る場合、原稿の大きさを1600mmx500mmとして、布代部分を設ける必要があるから実際は1640mmx540mmで作成する必要があるとか、とにかく細かい仕様があるんですよ。なにせ大きな布に出力するわけだしね? このクソ忙しいときに頼んでいる身としては、そこまで指定とかは出来ないなと、そう思いまして。
というか、この絵柄だったらむしろシーツの方が良いかもしれないとか、そんなことまで考えだす始末。両面ならともかく、片面でキャラ二人の枕カバーってのも珍しいと思うし、だったらハルカナソラシーツよろしく、シーツにしてしまうのも……どこかにシーツ制作してくれる印刷屋はないかなー。
だから、本当に抱き枕ないしシーツとして作る場合は、もう一度ばかしくろのさんと話す必要があるかな。問題はそこまでの時間があるかどうか、何気に6月が終わろうとしているんだよね。半年過ぎるの早いな、おい。ゼロボンのイラスト企画が抱き枕になるかシーツになるか、それとも無難にポスターになるかは……まあ、ポスターは安く作れますから、普通に1~2枚作ってもいいと思うんですよ。問題は布だね。こればっかりは制作費だけあればいいってわけでもないから、もうちょっと考えてみます。
おかしいな、いつの間にか布モノ制作にまじになっている自分がいるぞw もう、ルクリュ可愛すぎるよルクリュ。
というわけでシャリテクロワール夏コミ新刊「ロックマンゼロ2-逆襲の救世主-読本」略して、「ゼロボン」の表紙をくろのとくろえのくろのさんに担当して貰うことになりましたー!!!
もう、本当にありがとうございますですよ。このクソ忙しいときに、修羅場中ですよ修羅場中。
丁度、読本を出すにあたって画像の件とかを話していて、当初の予定では既存のイラストを使いまわす形で表紙は制作するつもりだったんですけどね? その後、私とは特に関係ない別件の話をしている時に、抱き枕カバー風イラストなるものの話で盛り上がって。ルクリュ&シエルの抱き枕カバー風イラストとかいいよねーとか言ってたんですよ。で、私が来年執筆予定の完結編を書くにあたって、人間大のルクリュの資料を欲しがっていたのと、えちぃポーズのルクリュとシエルみたいよー!という欲望満載なこと言ってたら、うっかり、お互いその気になってしまいまして……うん、ノリと勢いって凄いよね。
なので正式に依頼して書いてもらうことにしました。当初は、抱き枕カバー風イラストのポスターを予定してたんですが、これ、表紙にも使えばえちぃ本だと思って買ってく人がいるんじゃね? と、私が実にあさましいこと言ったので表紙にも使ってみることにw でも、ルクリュとシエルって、オメガを除けば逆襲の救世主から登場した唯一の新キャラですし、そう考えるとこの二人が読本の表紙を飾るってのは当然なのかもしれませんね。
ちなみに略して「ゼロボン」は、くろのさん発案です。最初、「ゼロホン」と「ゼロボン」で、どちらにしようか迷ったんだけど、濁点あった方がフォントが可愛く見えるかなと思って。ボンバーマンにいそうな名前だよね。
話をした数時間後にはラフが届くという驚異のスピードに簡単しつつ、ラフを見てビックリ。まさか、ここまでエロイ、もとい凄いものが来るとは思わなかった。ラフはくろのさんとこで見れると思うけど、だってこれ色が付くんだよ? モノクロじゃないんだよね? このお尻突き出しちゃってるルクリュがさらにエロくなるんだぜ!? もう、あれですよ。ラフを見た瞬間に閃いてしまいましたよ。
「これ、普通に抱き枕化してもいいんじゃないか?」
半分オリジナルみたいなもんだけど、今は抱き枕専門の印刷所とかありますからね。ちょっとお高いですが、作ろうと思って作れないものじゃないことが判明しまして。当然、売るほどの量を作れるわけもないから、完全な自己満足になるんだけど……っていうか、仮に抱き枕作るとして、夏コミ会場まで買いに行きますという猛者はいたりするんだろうか。私はともかく、くろのさんのファンにはいるかもしれないな。
ただ、実際に抱き枕化するだけの時間があるか、という問題もあるんですよ。単なるポスターと違って、抱き枕には専用の画像サイズがありますからね。例えば一番標準的な1600x450サイズの抱き枕を作る場合、原稿の大きさを1600mmx500mmとして、布代部分を設ける必要があるから実際は1640mmx540mmで作成する必要があるとか、とにかく細かい仕様があるんですよ。なにせ大きな布に出力するわけだしね? このクソ忙しいときに頼んでいる身としては、そこまで指定とかは出来ないなと、そう思いまして。
というか、この絵柄だったらむしろシーツの方が良いかもしれないとか、そんなことまで考えだす始末。両面ならともかく、片面でキャラ二人の枕カバーってのも珍しいと思うし、だったらハルカナソラシーツよろしく、シーツにしてしまうのも……どこかにシーツ制作してくれる印刷屋はないかなー。
だから、本当に抱き枕ないしシーツとして作る場合は、もう一度ばかしくろのさんと話す必要があるかな。問題はそこまでの時間があるかどうか、何気に6月が終わろうとしているんだよね。半年過ぎるの早いな、おい。ゼロボンのイラスト企画が抱き枕になるかシーツになるか、それとも無難にポスターになるかは……まあ、ポスターは安く作れますから、普通に1~2枚作ってもいいと思うんですよ。問題は布だね。こればっかりは制作費だけあればいいってわけでもないから、もうちょっと考えてみます。
おかしいな、いつの間にか布モノ制作にまじになっている自分がいるぞw もう、ルクリュ可愛すぎるよルクリュ。
破れた布を縫い合わせ
2010年6月19日 アニメ・マンガ珍しく一週間置きに物書きの集まりがあったので、新宿は山珍居の近くまで行ってきた。山珍居というのは知る人ぞ知る文芸家や作家たちの聖地で、あのSF作家クラブ発足の地でも知られています。私はあまり新宿に縁がないのと、偉大すぎる店を前に入る勇気がないので未だに来店したことはないのですが、普通に台湾料理屋としても美味しいらしい。
顔を出した集まりでは作家も幾人か来てたけど、その中の一人であるラノベ作家が、今年から刊行を始めたシリーズを打ち切られた旨を報告、いや、ほとんどあれは愚痴だったかな。今年から始めたという時点で刊行数なんてたかが知れてるんだけど、ラノベってのは売れないと1冊ないし2冊で切り捨てますからね。よくあることです。
ラノベって華やかな世界に見えるけど、そんなことは全然ないんですよ。苦労して新人賞とって、本が出せたと思ったら即打ち切り。それにショックを受けて辞める奴もいれば、へこたれずに頑張る奴もいる。デビュー作でヒットする人もいれば、例えば野村美月みたいに何作か書いてやっとヒットに恵まれたなんて人もいるわけで。高橋弥七郎なんかも、デビュー作がウケなかったからシャナ書いたわけだしね。
私はどちらかと言えば、デビュー作から大ヒットするのは良い傾向じゃないと思うんですよね。西尾維新みたいのは別としても、例えばおかゆまさきとか、デビュー作が個性際立った作品過ぎると、後が続かないじゃない? 1作目を超える2作目を書くのは難しく、だからこそあかほりさとるなんかは女性声優に作家と結婚する場合は、2作目もヒットしている奴にしろ、なんて言うわけで。
何作か書いた後にヒットをつかみとった人は、なにせ下積みが長いからちょっとやそっとじゃヘコタレない。1つの作品が評価されれば前の作品も再評価され始めるし、それによって次の作品にもつなげることが出来る。処女作しか持っていない作家とは、手持ちの数が違うんですよ。鎌池和馬のヘビーオブジェクトが売れてるのかはしらないけど、あれにしたってファンはヘビーよりも禁書の新作を強く望んでいるわけだし、大ヒットを飛ばしすぎるというのも、それはそれで考えものです。ヒット作に縛られるから。
愚痴っていたラノベ作家が打ち切りにショックを受けていたのかはしりませんが、こういうのは割り切らないとダメです。ラノベに限らずですが、本は作品であると同時に商品であることを理解しないといけない。好きなものをひたすら書いていたいなら同人誌でも作っていろという話で、自分の書きたいものだけ書いて金を儲けようなんて、本来はおこがましいことなんですよ。この日記でも何度か書いてるけど、大御所や大家はまだしも、新人作家に好きな作品を書く自由なんてないからね? 一発当てたならそのシリーズを書き続けなきゃいけないし、鳴かず飛ばずだとしても今度は売れるものを書けと編集から指示が飛ぶ。そうやって何年、何十年かの年月を経て、やっと自分の書きたいものを書かせてもらえるようになるんです。西尾維新とかあの辺は、特別なんです。
自分の中で何年も温めてきた作品があるとして、それこそ学生の頃から広げ続けてきた世界観があるとする。その思い入れの強い作品で賞を取り、本も出した。しかし売れなくて、僅か2巻で打ち切りとなった。自分の作品が世界が、人々によって否定されたのだ。そんな作家の末路と言ったらない。なにせその作品を書くためだけに作家になったようなものだから、後が続かないのだ。書きたいものを世に出して、それがあっさり打ち切られると、途端に書けなくなってしまう。こんな風に潰れていったラノベ作家が本当に多い。
まあ、今回愚痴っていた知り合いは一度や二度打ち切られたぐらいでへこたれるような奴ではないと思うが、ラノベなんて売れないなんだと再認識させられた。あんまり悲しくないのは、他人事以前に打ち切られた作品が好きじゃなかったからだろうか。あれは人を選ぶって。ああいう突き抜けた作品は。次回作では方向修正するらしいけど、ガラリと雰囲気を変えたら変えたで、それまでついてきた読者が戸惑うよな気がしないでもない。レーベルの色合いってのもあるし、私はあのレーベルでお固いものを書いてもウケないと思うんだけどな。軽い作品が駄目だったから固くしようなんて、少々短絡的すぎやしないか。
なんにせよ不景気な話題ですよ。PHPのスマッシュ文庫は何年持つかという酷い予想をしてきたけど、その場にいる誰もがあれは長続きしないものと考えているんだよね。ラノベレーベルもラノベも無駄に乱立されているけど、生き残れるのはほんの一握りでしかないのです。私は立場上、あんまりラノベと関係ない人になっているけど、それでも無視出来るような状況ではなくなってきてる。どこから破綻するのか、電撃文庫はあのままでいいんだろうかね、本当に。
顔を出した集まりでは作家も幾人か来てたけど、その中の一人であるラノベ作家が、今年から刊行を始めたシリーズを打ち切られた旨を報告、いや、ほとんどあれは愚痴だったかな。今年から始めたという時点で刊行数なんてたかが知れてるんだけど、ラノベってのは売れないと1冊ないし2冊で切り捨てますからね。よくあることです。
ラノベって華やかな世界に見えるけど、そんなことは全然ないんですよ。苦労して新人賞とって、本が出せたと思ったら即打ち切り。それにショックを受けて辞める奴もいれば、へこたれずに頑張る奴もいる。デビュー作でヒットする人もいれば、例えば野村美月みたいに何作か書いてやっとヒットに恵まれたなんて人もいるわけで。高橋弥七郎なんかも、デビュー作がウケなかったからシャナ書いたわけだしね。
私はどちらかと言えば、デビュー作から大ヒットするのは良い傾向じゃないと思うんですよね。西尾維新みたいのは別としても、例えばおかゆまさきとか、デビュー作が個性際立った作品過ぎると、後が続かないじゃない? 1作目を超える2作目を書くのは難しく、だからこそあかほりさとるなんかは女性声優に作家と結婚する場合は、2作目もヒットしている奴にしろ、なんて言うわけで。
何作か書いた後にヒットをつかみとった人は、なにせ下積みが長いからちょっとやそっとじゃヘコタレない。1つの作品が評価されれば前の作品も再評価され始めるし、それによって次の作品にもつなげることが出来る。処女作しか持っていない作家とは、手持ちの数が違うんですよ。鎌池和馬のヘビーオブジェクトが売れてるのかはしらないけど、あれにしたってファンはヘビーよりも禁書の新作を強く望んでいるわけだし、大ヒットを飛ばしすぎるというのも、それはそれで考えものです。ヒット作に縛られるから。
愚痴っていたラノベ作家が打ち切りにショックを受けていたのかはしりませんが、こういうのは割り切らないとダメです。ラノベに限らずですが、本は作品であると同時に商品であることを理解しないといけない。好きなものをひたすら書いていたいなら同人誌でも作っていろという話で、自分の書きたいものだけ書いて金を儲けようなんて、本来はおこがましいことなんですよ。この日記でも何度か書いてるけど、大御所や大家はまだしも、新人作家に好きな作品を書く自由なんてないからね? 一発当てたならそのシリーズを書き続けなきゃいけないし、鳴かず飛ばずだとしても今度は売れるものを書けと編集から指示が飛ぶ。そうやって何年、何十年かの年月を経て、やっと自分の書きたいものを書かせてもらえるようになるんです。西尾維新とかあの辺は、特別なんです。
自分の中で何年も温めてきた作品があるとして、それこそ学生の頃から広げ続けてきた世界観があるとする。その思い入れの強い作品で賞を取り、本も出した。しかし売れなくて、僅か2巻で打ち切りとなった。自分の作品が世界が、人々によって否定されたのだ。そんな作家の末路と言ったらない。なにせその作品を書くためだけに作家になったようなものだから、後が続かないのだ。書きたいものを世に出して、それがあっさり打ち切られると、途端に書けなくなってしまう。こんな風に潰れていったラノベ作家が本当に多い。
まあ、今回愚痴っていた知り合いは一度や二度打ち切られたぐらいでへこたれるような奴ではないと思うが、ラノベなんて売れないなんだと再認識させられた。あんまり悲しくないのは、他人事以前に打ち切られた作品が好きじゃなかったからだろうか。あれは人を選ぶって。ああいう突き抜けた作品は。次回作では方向修正するらしいけど、ガラリと雰囲気を変えたら変えたで、それまでついてきた読者が戸惑うよな気がしないでもない。レーベルの色合いってのもあるし、私はあのレーベルでお固いものを書いてもウケないと思うんだけどな。軽い作品が駄目だったから固くしようなんて、少々短絡的すぎやしないか。
なんにせよ不景気な話題ですよ。PHPのスマッシュ文庫は何年持つかという酷い予想をしてきたけど、その場にいる誰もがあれは長続きしないものと考えているんだよね。ラノベレーベルもラノベも無駄に乱立されているけど、生き残れるのはほんの一握りでしかないのです。私は立場上、あんまりラノベと関係ない人になっているけど、それでも無視出来るような状況ではなくなってきてる。どこから破綻するのか、電撃文庫はあのままでいいんだろうかね、本当に。
走れ、ただひたすらに
2010年6月18日 アニメ・マンガ今週は精神的にかなり参ってて、デス種がなければおそらく乗り切ることが出来なかったと思う。メイリンはどうしてあんなに可愛いんだろうか。私はかなり細かい部分までメイリンを見過ぎているので、アスラン×メイリン+カガリについてはかなり深い部分まで語れます。例えばメイリンがアスランと一緒に脱走したのは、ある意味で彼とカガリの関係を終わらせる意味合いもあったんじゃないかと、そう思うのです。メイリンは別にアスランを奪ったわけじゃないのです。カガリがアスランと別れ、アスランがカガリから離れただけで、メイリンはそんなアスランを支えていただけですから。
まあ、デス種の話はともかくとして、今週は本当にしんどかった。デス種日記にくろのとくろえのくろのさんがコメントくれたけど、時系列上でいえば今日の真夜中、久しぶりにメッセで会話をしました。なんていうか、人生相談? 色々な人に相談して、悲恋堂の店主なんかとは喧嘩にまで発展した話なんだけど、くろのさんに相談してよかったわホント。具体的にどんな話だったのかは、酷く個人的なことだから書かないけど、ちょっとばかし夏コミに影響が出たので、その部分に関しては日曜の日記に詳細載せます。
それで、お互いになんていうか抱えてるものがあったというか、話すとやっぱりスッキリするね。最近はどっちも忙しかったからなかなかそういう機会もなくて、話している最中にノリと勢いでちょっとした企画が決まってしまった。くろのさんところでは時系列上はともかく既に発表されていると思うけど、私は日曜合わせで。7月にしようかと思ったけど、考えてみれば引き伸ばす理由が特になかった。
なんかスカル漫画のネタ企画とかやってるらしいですね。後は特撮のレビューと玩具ですか。私は自慢じゃないけど不器用なので、ああいう玩具の改造とか見ると凄いなー、やってみたいなーとは思うんだけど、なかなかね。ガンプラは買う予定だけど、それだって素組み以上のことは出来ないだろうし。ああいう技術は憧れるというか、物凄い偏見になっちゃうけど絵描きさんだから手先が器用なんだろうか。いや、私が不器用すぎるだけか……
そうそう、そんなくろのさんのブログで超久しぶりにマスクマンのOPを見た。見たと言ってもYouTubeの動画のリンクが貼ってあっただけなんだけど、昔の戦隊ってこういうのだったんだよねぇ。私はマスクマンの次の作品であるライブマンの方に圧倒的な思い入れがあるんだけど、こうして見比べるとOPのロゴの出し方とかはそっくりですね。
ライブマンという作品は戦隊作品史上初のロボット同士による合体が行われた作品で、これは初めてか分からないけど、敵の組織が戦隊ロボを上回るロボット兵器を投入してきた作品でもあります。なにせ敵が天才科学者集団ですからね。ギガボルトのカッコ良さと、ライブロボを叩きのめし、超獣剣を受け止める下りはもう最高ですよ。
私はギンガマン以降の戦隊とはちょっと馴染みが薄いんですけど、役者の低年齢化に合わせてシリアスな作品が減ってきたような印象を覚えます。シンケンジャーは小林靖子がその辺りの割合を上手く書き分けてたみたいだけど、全体的にシリアスで大人も視聴に耐えうる内容が続いている平成ライダーと違い、あくまで戦隊は子供向けを貫いていますよね。私としてはここらでメタルヒーロー系にも復活してもらいたんだけど……そういや、身内がトトメスとかイパネマのような実写魔法少女モノが復活するとか言ってたが、あの話はどうなったんだろうな。実はもう、どこかでやってるのだろうか。
個人的にはロボタックみたいな作品をもう一度やるのもいいと思うんだけどねぇ。あれは声優の影響もあったんだろうけど、熱いときはとことん熱い作品だったじゃないですか。ああいうホームコメディ要素を持った特撮というのも悪くない気がする。勿論、ウインスペクター系列の作品も強く望んでるけどさ。
コメディといえばシャンゼリオンは……あれは、あれ以上に完成された作品はないというほどの傑作だからな。超光戦士シャンゼリオンという特撮作品を見たことない人は、一度見ることをお勧めします。
それにしてもデス種面白いなぁ。同じ内容の日記が3日も4日も連続するのはまずいダルと思って今回は序盤だけにしてみたけど、これは苦手意識があって買わなかった、連合vs.Z.A.F.T.II PLUSをやる時が来たのかもしれない。基本、Gジェネみたいなゲームが好きな人だから、自分でMS動かしたりするのが苦手で。アスラン主人公のメイリンルートとかあればすぐに買うんだけど、そんなもんあったら発売当時に手に入れてるなw まあ、オペ子だからパイロットとしては使えないんだろうな。アスランとの絡みがあるか調べてみるか。
まあ、デス種の話はともかくとして、今週は本当にしんどかった。デス種日記にくろのとくろえのくろのさんがコメントくれたけど、時系列上でいえば今日の真夜中、久しぶりにメッセで会話をしました。なんていうか、人生相談? 色々な人に相談して、悲恋堂の店主なんかとは喧嘩にまで発展した話なんだけど、くろのさんに相談してよかったわホント。具体的にどんな話だったのかは、酷く個人的なことだから書かないけど、ちょっとばかし夏コミに影響が出たので、その部分に関しては日曜の日記に詳細載せます。
それで、お互いになんていうか抱えてるものがあったというか、話すとやっぱりスッキリするね。最近はどっちも忙しかったからなかなかそういう機会もなくて、話している最中にノリと勢いでちょっとした企画が決まってしまった。くろのさんところでは時系列上はともかく既に発表されていると思うけど、私は日曜合わせで。7月にしようかと思ったけど、考えてみれば引き伸ばす理由が特になかった。
なんかスカル漫画のネタ企画とかやってるらしいですね。後は特撮のレビューと玩具ですか。私は自慢じゃないけど不器用なので、ああいう玩具の改造とか見ると凄いなー、やってみたいなーとは思うんだけど、なかなかね。ガンプラは買う予定だけど、それだって素組み以上のことは出来ないだろうし。ああいう技術は憧れるというか、物凄い偏見になっちゃうけど絵描きさんだから手先が器用なんだろうか。いや、私が不器用すぎるだけか……
そうそう、そんなくろのさんのブログで超久しぶりにマスクマンのOPを見た。見たと言ってもYouTubeの動画のリンクが貼ってあっただけなんだけど、昔の戦隊ってこういうのだったんだよねぇ。私はマスクマンの次の作品であるライブマンの方に圧倒的な思い入れがあるんだけど、こうして見比べるとOPのロゴの出し方とかはそっくりですね。
ライブマンという作品は戦隊作品史上初のロボット同士による合体が行われた作品で、これは初めてか分からないけど、敵の組織が戦隊ロボを上回るロボット兵器を投入してきた作品でもあります。なにせ敵が天才科学者集団ですからね。ギガボルトのカッコ良さと、ライブロボを叩きのめし、超獣剣を受け止める下りはもう最高ですよ。
私はギンガマン以降の戦隊とはちょっと馴染みが薄いんですけど、役者の低年齢化に合わせてシリアスな作品が減ってきたような印象を覚えます。シンケンジャーは小林靖子がその辺りの割合を上手く書き分けてたみたいだけど、全体的にシリアスで大人も視聴に耐えうる内容が続いている平成ライダーと違い、あくまで戦隊は子供向けを貫いていますよね。私としてはここらでメタルヒーロー系にも復活してもらいたんだけど……そういや、身内がトトメスとかイパネマのような実写魔法少女モノが復活するとか言ってたが、あの話はどうなったんだろうな。実はもう、どこかでやってるのだろうか。
個人的にはロボタックみたいな作品をもう一度やるのもいいと思うんだけどねぇ。あれは声優の影響もあったんだろうけど、熱いときはとことん熱い作品だったじゃないですか。ああいうホームコメディ要素を持った特撮というのも悪くない気がする。勿論、ウインスペクター系列の作品も強く望んでるけどさ。
コメディといえばシャンゼリオンは……あれは、あれ以上に完成された作品はないというほどの傑作だからな。超光戦士シャンゼリオンという特撮作品を見たことない人は、一度見ることをお勧めします。
それにしてもデス種面白いなぁ。同じ内容の日記が3日も4日も連続するのはまずいダルと思って今回は序盤だけにしてみたけど、これは苦手意識があって買わなかった、連合vs.Z.A.F.T.II PLUSをやる時が来たのかもしれない。基本、Gジェネみたいなゲームが好きな人だから、自分でMS動かしたりするのが苦手で。アスラン主人公のメイリンルートとかあればすぐに買うんだけど、そんなもんあったら発売当時に手に入れてるなw まあ、オペ子だからパイロットとしては使えないんだろうな。アスランとの絡みがあるか調べてみるか。
傷の舐め合いと、支え合い
2010年6月17日 アニメ・マンガ
私の創作上における恋愛観の究極はアスメイです。以前、D・N・ANGELに触れた際にも書いたと思いますが、私の中で理想としている恋愛関係は、恋と愛の移り変わりであり、始めに出てきた女より、後から出てきた女とくっつく方が好きなんですよ。これはなにもNTR好きというわけじゃなくて、例えばメモオフ2ndでは伊波健は白河ほたるとくっ付くべきだと考えていたり例外もあるんだけど、基本的には貫く愛より移りゆく恋の方が好きです。
アスメイ、つまりアスラン×メイリンのカップリングは、私が好ましいと思う恋愛関係の要素をすべて持っていて、デス種でアスランが最終的にメイリンへ落ち着いた流れは見事だと思うんですよ。昨日の日記でルナマリアとミーアに触れたわけだけど、この二人とメイリンの違いは、即ちアスランが相手の中にある自分への気持ち、恋愛感情を認識しているかどうかなんです。
メイリンは当初、アスランという人間にそれほど興味を持っていませんでした。ルナマリアと違って英雄としてのアスランというものに対し、事前知識のようなものを彼女は持っていなかった。だからルナのように積極的に接することはなかったし、彼が自分たちの味方であることを理解したのも、おそらく15話からなんでしょう。仲間として、フェイスというトップエリートになった舞い戻ってきたアスランにメイリンは興味を抱きますが、それはまだまだミーハーな所を抜け出せるものじゃなくて、姉であるルナマリアほど積極的ではない。同じパイロットではないメイリンにとって、アスランの情報とは資料がすべてであって、英雄としての実感が湧きにくいんですね。
つまり、ルナマリアはアスランを英雄としてみていたけど、メイリンはエリートとしてアスランを見ていた。この時点で姉妹の認識に差があるわけで、これが結構大きいものとなってくるわけです。近いほど見えないものがあるという奴で、ルナマリアは戦場における英雄としてのアスランは強く意識していたけど、戦闘で絡むことが少ないメイリンはさほどそれを重要視していない。36話の回想もそうですが、メイリンはアスランが苦悩している姿をちゃんと見てきているんですよ。SUIT CDのVol.9でも補足されましたけど、メイリンはアスランの英雄やエリートとしての一面以外をちゃんと見てきた。それはルナも同じかもしれないけど、メイリンは姉ほどアスランに近くなくて、より客観的な視線でアスランを見始めていたんですよ。21話のような場面に遭遇したわけではないけど、メイリンは意外と早く自分の中にあるエリート像ではない、アスラン・ザラという個人を観察するようになるんです。
それは石田彰が分析するように姉に対する張り合いもあったんだろうし、19話の時点では間違いなくそうだった。でも、メイリンはアスランの中にある弱さを見透すことが出来ていた。かつての仲間との間に苦悩し、孤立感を深めていくアスランは、エリートなどではないただの人間であると、ルナマリアがショックを受けたアスランの人間臭さに、メイリンは逆に親しみというか、距離感の縮まりを感じたんじゃないでしょうか? 遠いと思っていた人が、実は結構近かった、みたいな。
メイリン役の折笠さんは、最初はミーハーであり姉との張りあいから始まってはいるけど、それが物語を進めていく内に、恋へと変わっていったのではないかと考えていて、それに関しては完全同意します。ただ、最初から好意を持っていたミーアはともかくとして、メイリンの残念なところはその変わっていた部分が描写しきれておらず、いささか唐突感があるところでしょうか。第3クールのOPとか、いきなりメイリンが加わってきたと思った人も多いんじゃないかな。
ただ、メイリンがアスランに対するヒロインであるという事実は揺ぎ無いものがあり、それに関しては割と明確な解説ができると思います。そもそも、ヒロインでないのなら一緒に脱走する必要がないわけで、言ってしまえば脱走の手引きをするだけでもいいんです。手伝うだけ手伝ってさようなら、付いていかない話の流れだって、作れないことはないでしょう。
36話であるアスラン脱走は、一見するとミーアとメイリンの対比になっています。差し出された手をつかめなかった少女と、その手をつかんだ少女。しかし、もっと言えば手を差し伸べられなかった少女、ルナマリアもいるのです。
自らをラクスたらしめるためにアスランを求めたミーアと、自分の知らぬところでアスランに行動を起こされ、すれ違うことすら出来なかったルアナマリア。どうしてルナマリアでは駄目だったのか? 当時、アスランに対する描写が少なかったメイリンに対し、曲がりなりにもルナマリアはアスランに恋する少女でした。アスランの手助けをするなら、むしろルナマリアの方が適任だったのではないか? という意見も聞かれたほどです。
けれど、あの状況下にいたのがルナマリアだったらどうでしょうか? 彼女は実のところメイリン以上にアスランが追われる理由を知っている少女ですが、であればこそアスランに脱走することを進めなかったのではないかと思います。彼女にとってアスランはザフトの英雄であって、そのアスランがザフトを離れるというのは想像が出来なかったんじゃないかと。故にルナへアスランが手を差し伸べたとして、彼女はその手をつかむだけではなく、逆にアスランを引き戻そうとするのではないかと、そう思うのですよ。ミーアとは違った意味でね。だからこそ、アスランの手がルナマリアへ差し伸べられることはなかった。
メイリンがアスランと一緒に脱走した理由はなんでしょうか? 話の流れ的には成り行きだけど、彼女がアスランを助けた理由は本人にも不明確でした。
「殺されるぐらいなら、行った方がいいです」
メイリンは保安部の人間がアスランを銃殺する可能性に言及していたことを知っており、アスランがジブラルタルに居続ければ殺されてしまうかもしれないと考えています。それは追跡してきた例がすぐさま発砲したことで現実のものとなるのですが、アスランを死なせたくなかったと考えれば、咄嗟の行動にも理由は付きます。
それでもアスランにとってメイリンはほとんど話したことがないルナマリアの妹であって、どうしてそこまでしてくれるのか、それが理解出来ませんでした。危険を冒してまで何故……けれど、メイリン自身は自分の行動理由がわからないという。
互いに自分の気持ちを認識しない中で、もっとも簡単な言葉でそれを表現し、アスランへと伝えたのは意外にもカガリでした。
「お前のこと好きなんだろう、きっと」
アスランがその言葉になにを思ったのかは不明ですが、およそ恋愛感情というものに鈍感なアスランが、他でもないカガリから自身に向けられる強い好意を認識させられたのです。この時点で、アスランはメイリンが自分に恋愛としての好意を持ってくれている存在だと気づくわけですね。半信半疑だったかもしれないけど、そうしてくるとメイリンがどうして自分にここまでしてくれたのか、一応の納得が行くわけですから。
では、アスランにとってのメイリンとはどういう存在だったのでしょうか? これまでは単に艦橋にいるオペレーターで、ルナマリアの妹でしかなかった。じゃあ、これからは? 制作がアスランとカガリのことをどう思っていたのかはアニメ誌のインタビューが詳しいですが、監督と脚本家はアスランとカガリの恋愛関係を否定しています。恋愛感情そのものは、まあ、種の頃のこともありますし否定出来るものではないと思いますが、それにしたってそれほど強いものではない。アスランにとってメイリンは弱い立場から自分を慕ってくれる存在であり、これまでのカガリやルナマリア、覚醒したラクスなんかとは全然違うんですよ。アスランにとってメイリンは守るべき弱者であるにも関わらず、逆に自分が助けられた。アスランは、おそらく初めて他者に寄り掛かることを知ったのではないか? ザフトから逃げるという、ある種アスランの弱さの発露を否定せず、彼と共に逃げてくれた少女、それがメイリンなんです。
アスランは自分がそれほど強い人間であるとは思っていなくて、むしろ人並に弱さも持っています。けれど、カガリはそもそも人として強くあろうとしているから、アスランはそれにあわせて自己を律する必要があるし、弱さや甘えを見せることが出来ない。カガリは自分の弱さをアスランにぶつけることが出来ても、アスランの弱さを受け止めることが出来ないんですよ。それはカガリが大人の男性に囲まれて育ってきたからで、アスランの中にある弱さに気づくことが出来ない。この辺りは、アスランを強い英雄として見ているルナマリアと大差ありませんね。
メイリンは既にトップエリートなどといった偶像からは覚めきっていますし、自分のことは自分で決められる判断力を持っています。それはアスランを保安部から助けた時もそうですし、格納庫でアスランから差し出された手をつかんだ時もそうです。状況に流されているように見えるメイリンですが、よく見るとその場その場の決断は、全部自分でしているんですよ。42話においてAAでアスランの傍にいることを決めた時も。
カガリとメイリンの最大の違いは、アスランのことをどれだけ考えているかということです。カガリだってなにも考えていないわけじゃないけど、彼女にはオーブという国のことが第一であり、その次に元首としての自分のこと、アスランのことはそうした諸々が済んだ後、初めて考えることが出来るんですよ。言ってしまえば、メイリンは身軽なんですね。身軽に、けれどしっかりアスランを見つめることが出来る。36話の回想も、描写不足を補う意味があるにせよ、どれだけメイリンがアスランを見てきたかという表れですから。
気が強い女の子をアスランが好まないというのは、奇しくも石田彰の趣味と似たものがありますが、メイリンはアスランを立てる娘だからね。カガリは築けるはずもない対等を築ことうして失敗し、ルナマリアもまた対等に近いパートナーを目指していた節がある。ミーアなんて、婚約者という存在自体が対等を示していましたから。
アスランがそうした少女たちをどのように感じていたのか、嫌いではなかったにせよ、そこまで好きだったのかどうか、45話でカガリとの関係が終わったとき、アスランはどことなく晴れやかでした。恋愛という縛りがあったからこそ複雑化していた関係性が解消されたことで、案外肩の荷が降りたと感じたのかもしれませんね。二人の関係に恋愛は必要なかったと、そう思ったのかもしれない。確かに、別に好き合ってなくても嫌い合ってなければいいわけですし。
アスランにも弱いところがあって、彼は誰かを守りたいと思うと同時に、誰かに縋りたいと思うことだってある。癒しが欲しい、落ち着きたい、これは脚本家と石田彰が言っていたことですが、本質的にはシンのそれと代わりはないんですよ。想い出の中のマユ、守るべき存在のステラ、傷の舐め合いのルナ、手当たり次第に女性へ縋っている傾向があるシンだけど、それは彼が弱いからで、彼にはルナの持つある種の強さが必要なんです。
アスランの場合は、プライドがそれを邪魔した。彼は自分の弱さを意識しながら、それを発露させることを避けていた。けれどメイリンという、自分の背中を支え、安らぎを与えてくれる存在に出会ったことで、アスランは癒しを得ることが出来た。メイリンに自己主張というものがないわけじゃないけど、決して声高でもないし、間違った判断をする娘でもない。
カガリやルナと違って、急ぐ理由がメイリンにはないんですよ。前者はともかく、後者のルナは自分とアスランの間にパイロットしての差があることを知っているから、それを埋めるためにも積極的にならざるを得なかった。しかし、パイロットではないメイリンにとって、それは埋める必要がない差であって、また、アスランが女性に求めているのもそういうのじゃないんですよ。
アスランがメイリンに感じているのは責任感が強いんだろうけど、それと同時に自分が守るべき存在として彼女を見ているんですね。言ってしまえばメイリンを弱い存在だと思っているんだけど、メイリンもまた自分が弱い存在であることを知っている。だからこそ、メイリンは強さを主張しないんです。弱いなら弱いなりに出来ることがあると、それが分かっているからこそメイリンは公私に渡ってアスランをサポートすることが出来た。まあ、アスランの傍以外に自分の居場所がなかったからでもあるんだけどさ。
劇場版が果たして公開されるのかはともかく、私はアスメイままで行って欲しい。石田彰があそこまで言ってるんだし、もうメイリン以外はあり得ないでしょう。カガリにアスランは必要ないけど、アスランにメイリンは必要なんですよ。
FINAL PLUSのEDがそうだったけど、メイリンはアスランから一歩下がって付いていくことの出来る少女です。あくせくしなくていいんですよね。カガリなんかは常に先へ先へ、アスランよりも前に行こうとするから、それに合わせるのが大変だった。けれど、メイリンは違う。アスランの一歩後ろにいて、彼が迷ったきや、立ち止まってしまいそうになったとき、そっと背中を押して、支えてくれる。強引に引っ張るわけでも、力強く押し出すわけでもない。メイリンとは、そういう少女なんです。
出来る事ならアスランにはこのままメイリンとくっついて欲しいと、切に願います。
アスメイ、つまりアスラン×メイリンのカップリングは、私が好ましいと思う恋愛関係の要素をすべて持っていて、デス種でアスランが最終的にメイリンへ落ち着いた流れは見事だと思うんですよ。昨日の日記でルナマリアとミーアに触れたわけだけど、この二人とメイリンの違いは、即ちアスランが相手の中にある自分への気持ち、恋愛感情を認識しているかどうかなんです。
メイリンは当初、アスランという人間にそれほど興味を持っていませんでした。ルナマリアと違って英雄としてのアスランというものに対し、事前知識のようなものを彼女は持っていなかった。だからルナのように積極的に接することはなかったし、彼が自分たちの味方であることを理解したのも、おそらく15話からなんでしょう。仲間として、フェイスというトップエリートになった舞い戻ってきたアスランにメイリンは興味を抱きますが、それはまだまだミーハーな所を抜け出せるものじゃなくて、姉であるルナマリアほど積極的ではない。同じパイロットではないメイリンにとって、アスランの情報とは資料がすべてであって、英雄としての実感が湧きにくいんですね。
つまり、ルナマリアはアスランを英雄としてみていたけど、メイリンはエリートとしてアスランを見ていた。この時点で姉妹の認識に差があるわけで、これが結構大きいものとなってくるわけです。近いほど見えないものがあるという奴で、ルナマリアは戦場における英雄としてのアスランは強く意識していたけど、戦闘で絡むことが少ないメイリンはさほどそれを重要視していない。36話の回想もそうですが、メイリンはアスランが苦悩している姿をちゃんと見てきているんですよ。SUIT CDのVol.9でも補足されましたけど、メイリンはアスランの英雄やエリートとしての一面以外をちゃんと見てきた。それはルナも同じかもしれないけど、メイリンは姉ほどアスランに近くなくて、より客観的な視線でアスランを見始めていたんですよ。21話のような場面に遭遇したわけではないけど、メイリンは意外と早く自分の中にあるエリート像ではない、アスラン・ザラという個人を観察するようになるんです。
それは石田彰が分析するように姉に対する張り合いもあったんだろうし、19話の時点では間違いなくそうだった。でも、メイリンはアスランの中にある弱さを見透すことが出来ていた。かつての仲間との間に苦悩し、孤立感を深めていくアスランは、エリートなどではないただの人間であると、ルナマリアがショックを受けたアスランの人間臭さに、メイリンは逆に親しみというか、距離感の縮まりを感じたんじゃないでしょうか? 遠いと思っていた人が、実は結構近かった、みたいな。
メイリン役の折笠さんは、最初はミーハーであり姉との張りあいから始まってはいるけど、それが物語を進めていく内に、恋へと変わっていったのではないかと考えていて、それに関しては完全同意します。ただ、最初から好意を持っていたミーアはともかくとして、メイリンの残念なところはその変わっていた部分が描写しきれておらず、いささか唐突感があるところでしょうか。第3クールのOPとか、いきなりメイリンが加わってきたと思った人も多いんじゃないかな。
ただ、メイリンがアスランに対するヒロインであるという事実は揺ぎ無いものがあり、それに関しては割と明確な解説ができると思います。そもそも、ヒロインでないのなら一緒に脱走する必要がないわけで、言ってしまえば脱走の手引きをするだけでもいいんです。手伝うだけ手伝ってさようなら、付いていかない話の流れだって、作れないことはないでしょう。
36話であるアスラン脱走は、一見するとミーアとメイリンの対比になっています。差し出された手をつかめなかった少女と、その手をつかんだ少女。しかし、もっと言えば手を差し伸べられなかった少女、ルナマリアもいるのです。
自らをラクスたらしめるためにアスランを求めたミーアと、自分の知らぬところでアスランに行動を起こされ、すれ違うことすら出来なかったルアナマリア。どうしてルナマリアでは駄目だったのか? 当時、アスランに対する描写が少なかったメイリンに対し、曲がりなりにもルナマリアはアスランに恋する少女でした。アスランの手助けをするなら、むしろルナマリアの方が適任だったのではないか? という意見も聞かれたほどです。
けれど、あの状況下にいたのがルナマリアだったらどうでしょうか? 彼女は実のところメイリン以上にアスランが追われる理由を知っている少女ですが、であればこそアスランに脱走することを進めなかったのではないかと思います。彼女にとってアスランはザフトの英雄であって、そのアスランがザフトを離れるというのは想像が出来なかったんじゃないかと。故にルナへアスランが手を差し伸べたとして、彼女はその手をつかむだけではなく、逆にアスランを引き戻そうとするのではないかと、そう思うのですよ。ミーアとは違った意味でね。だからこそ、アスランの手がルナマリアへ差し伸べられることはなかった。
メイリンがアスランと一緒に脱走した理由はなんでしょうか? 話の流れ的には成り行きだけど、彼女がアスランを助けた理由は本人にも不明確でした。
「殺されるぐらいなら、行った方がいいです」
メイリンは保安部の人間がアスランを銃殺する可能性に言及していたことを知っており、アスランがジブラルタルに居続ければ殺されてしまうかもしれないと考えています。それは追跡してきた例がすぐさま発砲したことで現実のものとなるのですが、アスランを死なせたくなかったと考えれば、咄嗟の行動にも理由は付きます。
それでもアスランにとってメイリンはほとんど話したことがないルナマリアの妹であって、どうしてそこまでしてくれるのか、それが理解出来ませんでした。危険を冒してまで何故……けれど、メイリン自身は自分の行動理由がわからないという。
互いに自分の気持ちを認識しない中で、もっとも簡単な言葉でそれを表現し、アスランへと伝えたのは意外にもカガリでした。
「お前のこと好きなんだろう、きっと」
アスランがその言葉になにを思ったのかは不明ですが、およそ恋愛感情というものに鈍感なアスランが、他でもないカガリから自身に向けられる強い好意を認識させられたのです。この時点で、アスランはメイリンが自分に恋愛としての好意を持ってくれている存在だと気づくわけですね。半信半疑だったかもしれないけど、そうしてくるとメイリンがどうして自分にここまでしてくれたのか、一応の納得が行くわけですから。
では、アスランにとってのメイリンとはどういう存在だったのでしょうか? これまでは単に艦橋にいるオペレーターで、ルナマリアの妹でしかなかった。じゃあ、これからは? 制作がアスランとカガリのことをどう思っていたのかはアニメ誌のインタビューが詳しいですが、監督と脚本家はアスランとカガリの恋愛関係を否定しています。恋愛感情そのものは、まあ、種の頃のこともありますし否定出来るものではないと思いますが、それにしたってそれほど強いものではない。アスランにとってメイリンは弱い立場から自分を慕ってくれる存在であり、これまでのカガリやルナマリア、覚醒したラクスなんかとは全然違うんですよ。アスランにとってメイリンは守るべき弱者であるにも関わらず、逆に自分が助けられた。アスランは、おそらく初めて他者に寄り掛かることを知ったのではないか? ザフトから逃げるという、ある種アスランの弱さの発露を否定せず、彼と共に逃げてくれた少女、それがメイリンなんです。
アスランは自分がそれほど強い人間であるとは思っていなくて、むしろ人並に弱さも持っています。けれど、カガリはそもそも人として強くあろうとしているから、アスランはそれにあわせて自己を律する必要があるし、弱さや甘えを見せることが出来ない。カガリは自分の弱さをアスランにぶつけることが出来ても、アスランの弱さを受け止めることが出来ないんですよ。それはカガリが大人の男性に囲まれて育ってきたからで、アスランの中にある弱さに気づくことが出来ない。この辺りは、アスランを強い英雄として見ているルナマリアと大差ありませんね。
メイリンは既にトップエリートなどといった偶像からは覚めきっていますし、自分のことは自分で決められる判断力を持っています。それはアスランを保安部から助けた時もそうですし、格納庫でアスランから差し出された手をつかんだ時もそうです。状況に流されているように見えるメイリンですが、よく見るとその場その場の決断は、全部自分でしているんですよ。42話においてAAでアスランの傍にいることを決めた時も。
カガリとメイリンの最大の違いは、アスランのことをどれだけ考えているかということです。カガリだってなにも考えていないわけじゃないけど、彼女にはオーブという国のことが第一であり、その次に元首としての自分のこと、アスランのことはそうした諸々が済んだ後、初めて考えることが出来るんですよ。言ってしまえば、メイリンは身軽なんですね。身軽に、けれどしっかりアスランを見つめることが出来る。36話の回想も、描写不足を補う意味があるにせよ、どれだけメイリンがアスランを見てきたかという表れですから。
気が強い女の子をアスランが好まないというのは、奇しくも石田彰の趣味と似たものがありますが、メイリンはアスランを立てる娘だからね。カガリは築けるはずもない対等を築ことうして失敗し、ルナマリアもまた対等に近いパートナーを目指していた節がある。ミーアなんて、婚約者という存在自体が対等を示していましたから。
アスランがそうした少女たちをどのように感じていたのか、嫌いではなかったにせよ、そこまで好きだったのかどうか、45話でカガリとの関係が終わったとき、アスランはどことなく晴れやかでした。恋愛という縛りがあったからこそ複雑化していた関係性が解消されたことで、案外肩の荷が降りたと感じたのかもしれませんね。二人の関係に恋愛は必要なかったと、そう思ったのかもしれない。確かに、別に好き合ってなくても嫌い合ってなければいいわけですし。
アスランにも弱いところがあって、彼は誰かを守りたいと思うと同時に、誰かに縋りたいと思うことだってある。癒しが欲しい、落ち着きたい、これは脚本家と石田彰が言っていたことですが、本質的にはシンのそれと代わりはないんですよ。想い出の中のマユ、守るべき存在のステラ、傷の舐め合いのルナ、手当たり次第に女性へ縋っている傾向があるシンだけど、それは彼が弱いからで、彼にはルナの持つある種の強さが必要なんです。
アスランの場合は、プライドがそれを邪魔した。彼は自分の弱さを意識しながら、それを発露させることを避けていた。けれどメイリンという、自分の背中を支え、安らぎを与えてくれる存在に出会ったことで、アスランは癒しを得ることが出来た。メイリンに自己主張というものがないわけじゃないけど、決して声高でもないし、間違った判断をする娘でもない。
カガリやルナと違って、急ぐ理由がメイリンにはないんですよ。前者はともかく、後者のルナは自分とアスランの間にパイロットしての差があることを知っているから、それを埋めるためにも積極的にならざるを得なかった。しかし、パイロットではないメイリンにとって、それは埋める必要がない差であって、また、アスランが女性に求めているのもそういうのじゃないんですよ。
アスランがメイリンに感じているのは責任感が強いんだろうけど、それと同時に自分が守るべき存在として彼女を見ているんですね。言ってしまえばメイリンを弱い存在だと思っているんだけど、メイリンもまた自分が弱い存在であることを知っている。だからこそ、メイリンは強さを主張しないんです。弱いなら弱いなりに出来ることがあると、それが分かっているからこそメイリンは公私に渡ってアスランをサポートすることが出来た。まあ、アスランの傍以外に自分の居場所がなかったからでもあるんだけどさ。
劇場版が果たして公開されるのかはともかく、私はアスメイままで行って欲しい。石田彰があそこまで言ってるんだし、もうメイリン以外はあり得ないでしょう。カガリにアスランは必要ないけど、アスランにメイリンは必要なんですよ。
FINAL PLUSのEDがそうだったけど、メイリンはアスランから一歩下がって付いていくことの出来る少女です。あくせくしなくていいんですよね。カガリなんかは常に先へ先へ、アスランよりも前に行こうとするから、それに合わせるのが大変だった。けれど、メイリンは違う。アスランの一歩後ろにいて、彼が迷ったきや、立ち止まってしまいそうになったとき、そっと背中を押して、支えてくれる。強引に引っ張るわけでも、力強く押し出すわけでもない。メイリンとは、そういう少女なんです。
出来る事ならアスランにはこのままメイリンとくっついて欲しいと、切に願います。
それは果たして女難なの?
2010年6月16日 アニメ・マンガ
DVD-BOXを買ってしまいそうなほどデス種がマイブームなんだけど、予想としては種のBOXほど売れないと思うんだよね。それはデス種が不人気だからというわけではなくて、この作品は放送当時に出たDVDの売り上げが結構良かったんですよ。5年前をどれぐらい昔と捉えるかは人それぞれだろうけど、ファンなら単体でDVDを持っていそうな作品であるし、わざわざBOXを買うってことはないんじゃないかと思う。私みたいに、DVD持ってない人間は別としてね。
昨日の日記でアスラン・ザラについて語ると書きましたが、これにはちょっとしたわけがあります。というのも、今から4ヵ月ぐらい前の話になるんですが、アニメ会社のサンライズがやっているネットラジオで、夜のサンライズアワーというのがあるんですよ。種に出演してた千葉一伸と鳥海勝美がパーソナリティで、主にサンライズ作品の宣伝を兼ねて毎回ゲストを読んでトークするんですが、その番組にアスラン・ザラの中の人である石田彰がやってきまして。その際、アスランの俗に言う女難についての話になり、石田彰的にはどのヒロインが一番好きか、ということに言及したんですよ。
まあ、石田彰的にはメイリンが好きであるという結論だったんですが、これに関しては前々からイベント等でよく言っていることですし、私としては不思議でも何でもなかったんですけど、この話をした際のアスラン及びアスランの周囲の女性達に対する石田彰の分析が凄く面白くって。冷静にして的確で、なんだかんだいってアスランの事良く分かっているなぁと、そう感じました。
なんで、私も石田彰の非の打ち所が無い分析を踏まえつつ、デス種のもうひとつの争点でもあった、結局アスランは誰とくっついたのか、誰が好きだったのかということについて語ってみようと思います。まあ、実のところ先日悲恋堂と議論したばかりなので、それの書き出しみたいなもんなんですけどね。
デス種におけるアスランは、まずカガリ・ユラ・アスハの護衛官アレックス・ディノとして登場し、主要ヒロインとはアレックスとして出会います。カガリは正体知ってるからともかくとして、ルナマリアやメイリンは違いますよね? まあ、話の都合もあるんでしょうが、割とあっさり正体はバレるんですけど。そのタイミングというのが、例えばシンよりも早くアスランと出会ったルナマリアは2話の時点で、カガリがアレックスをアスランと呼びかけたことで疑惑を持ち、メイリンは3話の最後、議長の発言でそれを知ることになります。二人が明確に正体を知るのは4話の後半ですか。
ルナマリアは最初からアスランを強く意識ていて、割と挑発的な言動をしてみせたり、結構積極的な態度で接していました。これはザフトの英雄であるアスランとはどんな人なのかと、まあ、探りを入れる意味もあったのでしょう。現にユニウスセブンでの共闘後は、アスランのことをこちら側の人間として受け入れる姿勢を見せましたしね。アスランがザフトにどれだけ愛着を持っているのかはしりませんが、ルナマリアにせがまれて射撃を見せてやる辺り、まんざらでもない部分があったのでしょう。ルナマリアは白兵戦最強であるアスランの射撃の腕に純粋に感動し、メイリンも呆然と見てしまう。まだ実感はわいてないんでしょうが、英雄としてのアスラン・ザラを僅かながらにも垣間見るんですね。ルナマリアの場合はこの時点でアスランをアスランであると認識して、その点に関してはメイリンよりも一歩先に進んでました。そう、ルナは早かったんですよ。早すぎたゆえに、終わるのもまた早かったと言いますか。これに付いては後述します。
次に登場するヒロインは、放送開始以前にラクツーとか言われていた少女、ミーア・キャンベルです。石田彰の分析によれば、ミーアがアスランのことを好きな理由はラクスという役になりきるがあまり、ラクスの婚約者であるアスランのことも好きにならなければいけないという、いわば役作りの一環のようなものだったのではないか、ということです。これはあながち間違っていないというか、ミーアに関して言えばアスランに対する純粋な好意は半分ぐらいだったんではないかと思う。元々がファンだったという設定があるにせよ、例えば19話で再登場したミーアは、役作りにしては少々過剰にアスランへと接近していましたよね。単にラクス役に慣れただけだとも言えるけど、少なくとも初登場時の謙虚さは抜けて、アスランへの自分なりの好意を明確にしだしたと思う。
そして21話の添い寝イベントが発生するんだけど、これはミーアの言葉をそのまま受け取るなら、ラクス役としてやるべきことをやった、ということになるのかな。けど、ここで問題なのはミーアがアスランに抱かれことをまるで拒否しなかったことで、そもそも自主的にあのような行動に出たことでしょう。アスランのことが嫌いなら例えお役目でも抱かれたくなんてないだろうし、そう考えるとミーアは身体を捧げるほどにはアスランのことを好きだったのではないだろうか。ミーアの貞操観念がどうなってるのかはしらないけど、仮に処女だとすれば相当アスランのことを……ただまあ、ミーアはアスランのことを好きではあったけど、ミーア個人として愛し切ることが出来なかったんじゃないだろうか。36話でアスランの手をとらなかったとき、ミーアは多分後悔はしたんでしょう。後悔はしたけど、それでもアスランに付いていくという選択肢を選ぶことが出来ず、結果として44話の没落に繋がるわけです。
私の中でミーアは、アスランのことを愛し切ることが出来なかった少女ですね。彼女はミーア・キャンベルとして、もっとアスランと接するべきだった。
話をルナマリアに戻しますけど、ルナマリアがアスランに明確な好意を持ったのはおそらく7話です。英雄として、ザフト軍人としての凄さをアスランの中に垣間見て、それが15話でフェイスとしての形になって戻ってきた。初期のメイリンはただのミーハーですけど、ルナマリアは同じモビルスーツパイロットとして、尊敬以上の好意を割と自然に出すことが出来たんですね。15話で突然積極的になったと思われがちですが、それ以前にもフラグ用なものはあったんですよ。
ルナに欠点があったとすれば、それはアスラン・ザラという人物の内面をあまり見なかったことだと思う。まあ、アスランは自分自身の心の中を他者に見せない人でもあったけど、ルナは基本的に英雄としてのアスランと、軍人としてのアスランを見ているんですよ。もちろん、彼の中に悩みや葛藤があることも分かっているんだけど、それがアスランの弱さであることに気づかない。ルナの中で、アスランは強い英雄なわけですから。ルナはアスランのことを尊敬していたし、序盤ではかなりの好意を持っていたんだろうけど、それが概念的な、英雄としての強さに惹かれていたんではないかと、そう思うのです。
ルナマリアがアスランとの間に距離を置き、やがて離れるきっかけとなったのは間違いなく19話と21話ですけど、19話においてルナマリアがミーアに感じたのは最初は嫉妬心で、次に困惑だと考えています。まあ、ミーアというよりラクス・クラインに対してなんですが、アスランの婚約者としての知識はあっても、あんまり実感は湧きにくかったと思うんですよ。連絡を取り合っていなかったという指摘は色々な意味で正しいけど、これはルナにとっての余裕の表れで、今アスランともっとも近い存在は自分だという意識があった。けれど、すぐにラクスことミーアが現れたことでその余裕が揺らぎ、嫉妬を覚えた。そして畳み掛けるようにアスランが今夜ミーアと共に過ごすという事実を知って、急に婚約者としてのラクスの存在を強く認識してしまい、困惑するんですよ。
21話の冒頭は、そうした嫉妬や困惑を、ルナマリア並に仕切り直したかったんだと思うんです。けれどそこにあったのは、アスランの部屋で彼と一夜をともにした、一緒に寝たようにしか見えないラクスことミーアの姿。ルナマリアはミーアの勢いに圧倒されてフラフラになるわけだけど、実はアスランに対して怒っているわけじゃないんですよ。これはミーアが、そしてルナマリア自身も言ってましたが、事実はともかくアスランとラクスが婚約者である以上、久方ぶりにあった二人がそういうことをしていても、なんら不思議なことはない、普通なことなんです。まあ、ルナマリアが性的に潔癖な人であれば、そういうことそれ自体に不潔感を覚えたとも考えられるけど、それが理由のすべてだとも思えない。
ルナマリアにとってアスランは英雄だったけど、21話でとても人間臭い一面を見てしまったんでしょうね。アイドルはトイレに行かないじゃないけど、ルナはアスランを英雄視していて、英雄が性的にふしだらであるはずがないと思い込んでいた。まあ、事実なにもなかったわけだからルナが憤ることはないはずなんですが、ルナはアスランを信じることが出来なかった。仮にルナがミーアとの対決に勝っていれば違ったんでしょうが、ミーアという存在に、ラクスという婚約者に圧倒されてしまったルナには、アスランを信じきれなかった。ルナは負けたんです。ラクスという存在になっていた、ミーア・キャンベルに。
アスランという英雄像が砕かれた結果、ルナマリアとアスランの関係は複雑なものに変化します。元々、アスランはルナのことを自分好意的な後輩ぐらいの認識でしか見ていなかったし、元より女性心理、いわゆる乙女心に鈍感な男です。多分ですが、自分がルナマリアにとっての恋愛対象であり、恋愛感情を向けられていたことにも気づかなかったんではないでしょうか。ミーアはあれで普通の女の子としての感覚を持ってますから、それを察知してルナを追い払うわけですが、アスランはどこまでも鈍感だった。
思うにルナは、自分の気持をもっと正直にぶつければ良かったんですよ。これはシンにも言えることだけど、この二人は明確にアスランへ求めているものがあって、でも英雄であるという認識がそれを邪魔してしまう。英雄なら、英雄と呼ばれるほどの人なら自分でなんとかするはずだ、出来るはずだと、もちろんルナが告白したとしてアスランがそれを受け入れたとも考えづらいんだけど、その後におけるアスランの行動に一定の影響や変化は与えたに違いない。まあ、あれだよね、アスランには年長者としての自覚が足りなかった。英雄としての意識があるのは問題かもしれないけど、虚名にせよ頭の片隅に置いておくべきだったんですよ。自分が他者からどう見られて、なにを期待されているのか。ルナにしろ、シンにしろ、二人はアスランの二重の意味で裏切られたと感じているはずですから。
そうしたルナマリアとミーアに続いて、いよいよメイリン・ホークが現れたわけだけど、長くなったので明日の日記で書くことにします。アスランは何故カガリと別れたのか、そもそもこの二人は好き合っていたのか、どうしてメイリンはアスランにとってのヒロインになれたのかという本題です。まあ、この時点で私がどのヒロイン好きかバレバレですね。アスカガなんて滅んでしまえばいいんだ、ほんと。カガリ・ユラ・アスハほど好きになれないキャラもいないよ。
昨日の日記でアスラン・ザラについて語ると書きましたが、これにはちょっとしたわけがあります。というのも、今から4ヵ月ぐらい前の話になるんですが、アニメ会社のサンライズがやっているネットラジオで、夜のサンライズアワーというのがあるんですよ。種に出演してた千葉一伸と鳥海勝美がパーソナリティで、主にサンライズ作品の宣伝を兼ねて毎回ゲストを読んでトークするんですが、その番組にアスラン・ザラの中の人である石田彰がやってきまして。その際、アスランの俗に言う女難についての話になり、石田彰的にはどのヒロインが一番好きか、ということに言及したんですよ。
まあ、石田彰的にはメイリンが好きであるという結論だったんですが、これに関しては前々からイベント等でよく言っていることですし、私としては不思議でも何でもなかったんですけど、この話をした際のアスラン及びアスランの周囲の女性達に対する石田彰の分析が凄く面白くって。冷静にして的確で、なんだかんだいってアスランの事良く分かっているなぁと、そう感じました。
なんで、私も石田彰の非の打ち所が無い分析を踏まえつつ、デス種のもうひとつの争点でもあった、結局アスランは誰とくっついたのか、誰が好きだったのかということについて語ってみようと思います。まあ、実のところ先日悲恋堂と議論したばかりなので、それの書き出しみたいなもんなんですけどね。
デス種におけるアスランは、まずカガリ・ユラ・アスハの護衛官アレックス・ディノとして登場し、主要ヒロインとはアレックスとして出会います。カガリは正体知ってるからともかくとして、ルナマリアやメイリンは違いますよね? まあ、話の都合もあるんでしょうが、割とあっさり正体はバレるんですけど。そのタイミングというのが、例えばシンよりも早くアスランと出会ったルナマリアは2話の時点で、カガリがアレックスをアスランと呼びかけたことで疑惑を持ち、メイリンは3話の最後、議長の発言でそれを知ることになります。二人が明確に正体を知るのは4話の後半ですか。
ルナマリアは最初からアスランを強く意識ていて、割と挑発的な言動をしてみせたり、結構積極的な態度で接していました。これはザフトの英雄であるアスランとはどんな人なのかと、まあ、探りを入れる意味もあったのでしょう。現にユニウスセブンでの共闘後は、アスランのことをこちら側の人間として受け入れる姿勢を見せましたしね。アスランがザフトにどれだけ愛着を持っているのかはしりませんが、ルナマリアにせがまれて射撃を見せてやる辺り、まんざらでもない部分があったのでしょう。ルナマリアは白兵戦最強であるアスランの射撃の腕に純粋に感動し、メイリンも呆然と見てしまう。まだ実感はわいてないんでしょうが、英雄としてのアスラン・ザラを僅かながらにも垣間見るんですね。ルナマリアの場合はこの時点でアスランをアスランであると認識して、その点に関してはメイリンよりも一歩先に進んでました。そう、ルナは早かったんですよ。早すぎたゆえに、終わるのもまた早かったと言いますか。これに付いては後述します。
次に登場するヒロインは、放送開始以前にラクツーとか言われていた少女、ミーア・キャンベルです。石田彰の分析によれば、ミーアがアスランのことを好きな理由はラクスという役になりきるがあまり、ラクスの婚約者であるアスランのことも好きにならなければいけないという、いわば役作りの一環のようなものだったのではないか、ということです。これはあながち間違っていないというか、ミーアに関して言えばアスランに対する純粋な好意は半分ぐらいだったんではないかと思う。元々がファンだったという設定があるにせよ、例えば19話で再登場したミーアは、役作りにしては少々過剰にアスランへと接近していましたよね。単にラクス役に慣れただけだとも言えるけど、少なくとも初登場時の謙虚さは抜けて、アスランへの自分なりの好意を明確にしだしたと思う。
そして21話の添い寝イベントが発生するんだけど、これはミーアの言葉をそのまま受け取るなら、ラクス役としてやるべきことをやった、ということになるのかな。けど、ここで問題なのはミーアがアスランに抱かれことをまるで拒否しなかったことで、そもそも自主的にあのような行動に出たことでしょう。アスランのことが嫌いなら例えお役目でも抱かれたくなんてないだろうし、そう考えるとミーアは身体を捧げるほどにはアスランのことを好きだったのではないだろうか。ミーアの貞操観念がどうなってるのかはしらないけど、仮に処女だとすれば相当アスランのことを……ただまあ、ミーアはアスランのことを好きではあったけど、ミーア個人として愛し切ることが出来なかったんじゃないだろうか。36話でアスランの手をとらなかったとき、ミーアは多分後悔はしたんでしょう。後悔はしたけど、それでもアスランに付いていくという選択肢を選ぶことが出来ず、結果として44話の没落に繋がるわけです。
私の中でミーアは、アスランのことを愛し切ることが出来なかった少女ですね。彼女はミーア・キャンベルとして、もっとアスランと接するべきだった。
話をルナマリアに戻しますけど、ルナマリアがアスランに明確な好意を持ったのはおそらく7話です。英雄として、ザフト軍人としての凄さをアスランの中に垣間見て、それが15話でフェイスとしての形になって戻ってきた。初期のメイリンはただのミーハーですけど、ルナマリアは同じモビルスーツパイロットとして、尊敬以上の好意を割と自然に出すことが出来たんですね。15話で突然積極的になったと思われがちですが、それ以前にもフラグ用なものはあったんですよ。
ルナに欠点があったとすれば、それはアスラン・ザラという人物の内面をあまり見なかったことだと思う。まあ、アスランは自分自身の心の中を他者に見せない人でもあったけど、ルナは基本的に英雄としてのアスランと、軍人としてのアスランを見ているんですよ。もちろん、彼の中に悩みや葛藤があることも分かっているんだけど、それがアスランの弱さであることに気づかない。ルナの中で、アスランは強い英雄なわけですから。ルナはアスランのことを尊敬していたし、序盤ではかなりの好意を持っていたんだろうけど、それが概念的な、英雄としての強さに惹かれていたんではないかと、そう思うのです。
ルナマリアがアスランとの間に距離を置き、やがて離れるきっかけとなったのは間違いなく19話と21話ですけど、19話においてルナマリアがミーアに感じたのは最初は嫉妬心で、次に困惑だと考えています。まあ、ミーアというよりラクス・クラインに対してなんですが、アスランの婚約者としての知識はあっても、あんまり実感は湧きにくかったと思うんですよ。連絡を取り合っていなかったという指摘は色々な意味で正しいけど、これはルナにとっての余裕の表れで、今アスランともっとも近い存在は自分だという意識があった。けれど、すぐにラクスことミーアが現れたことでその余裕が揺らぎ、嫉妬を覚えた。そして畳み掛けるようにアスランが今夜ミーアと共に過ごすという事実を知って、急に婚約者としてのラクスの存在を強く認識してしまい、困惑するんですよ。
21話の冒頭は、そうした嫉妬や困惑を、ルナマリア並に仕切り直したかったんだと思うんです。けれどそこにあったのは、アスランの部屋で彼と一夜をともにした、一緒に寝たようにしか見えないラクスことミーアの姿。ルナマリアはミーアの勢いに圧倒されてフラフラになるわけだけど、実はアスランに対して怒っているわけじゃないんですよ。これはミーアが、そしてルナマリア自身も言ってましたが、事実はともかくアスランとラクスが婚約者である以上、久方ぶりにあった二人がそういうことをしていても、なんら不思議なことはない、普通なことなんです。まあ、ルナマリアが性的に潔癖な人であれば、そういうことそれ自体に不潔感を覚えたとも考えられるけど、それが理由のすべてだとも思えない。
ルナマリアにとってアスランは英雄だったけど、21話でとても人間臭い一面を見てしまったんでしょうね。アイドルはトイレに行かないじゃないけど、ルナはアスランを英雄視していて、英雄が性的にふしだらであるはずがないと思い込んでいた。まあ、事実なにもなかったわけだからルナが憤ることはないはずなんですが、ルナはアスランを信じることが出来なかった。仮にルナがミーアとの対決に勝っていれば違ったんでしょうが、ミーアという存在に、ラクスという婚約者に圧倒されてしまったルナには、アスランを信じきれなかった。ルナは負けたんです。ラクスという存在になっていた、ミーア・キャンベルに。
アスランという英雄像が砕かれた結果、ルナマリアとアスランの関係は複雑なものに変化します。元々、アスランはルナのことを自分好意的な後輩ぐらいの認識でしか見ていなかったし、元より女性心理、いわゆる乙女心に鈍感な男です。多分ですが、自分がルナマリアにとっての恋愛対象であり、恋愛感情を向けられていたことにも気づかなかったんではないでしょうか。ミーアはあれで普通の女の子としての感覚を持ってますから、それを察知してルナを追い払うわけですが、アスランはどこまでも鈍感だった。
思うにルナは、自分の気持をもっと正直にぶつければ良かったんですよ。これはシンにも言えることだけど、この二人は明確にアスランへ求めているものがあって、でも英雄であるという認識がそれを邪魔してしまう。英雄なら、英雄と呼ばれるほどの人なら自分でなんとかするはずだ、出来るはずだと、もちろんルナが告白したとしてアスランがそれを受け入れたとも考えづらいんだけど、その後におけるアスランの行動に一定の影響や変化は与えたに違いない。まあ、あれだよね、アスランには年長者としての自覚が足りなかった。英雄としての意識があるのは問題かもしれないけど、虚名にせよ頭の片隅に置いておくべきだったんですよ。自分が他者からどう見られて、なにを期待されているのか。ルナにしろ、シンにしろ、二人はアスランの二重の意味で裏切られたと感じているはずですから。
そうしたルナマリアとミーアに続いて、いよいよメイリン・ホークが現れたわけだけど、長くなったので明日の日記で書くことにします。アスランは何故カガリと別れたのか、そもそもこの二人は好き合っていたのか、どうしてメイリンはアスランにとってのヒロインになれたのかという本題です。まあ、この時点で私がどのヒロイン好きかバレバレですね。アスカガなんて滅んでしまえばいいんだ、ほんと。カガリ・ユラ・アスハほど好きになれないキャラもいないよ。
赤毛の女は可愛い。それだけの話しだ
2010年6月15日 アニメ・マンガ
最近、ガンダムSEED DESTINYをよく観ています。というのも、悲恋堂の店主と色々あって喧嘩して、まあ、喧嘩の内容はまた別の時に語るとして、和解する際に色々と過去のことを思い出しまして。会えば会うだけ無駄話をし続けている我々だが、さて、今までで一番白熱した話題は一体なんだったのか、という話になりましてね。話題というか、議論でしょうか。
「そんなの決まってる」
「えぇ、あれでしょうね」
「機動戦士ガンダムSEED DESTINYだろう」
「D.C.~ダ・カーポ~セカンドシーズンでしょう」
……どうやら見解の相違が発生したらしい。まあ、どちらも同時期のアニメだし、続編としては物凄く酷い出来だっただけに当時なにかと話題には上っていたんだけど、私としてはまだD.C.はマシだと思うんですよ。今更の話ではあるけど、ことしI.F.が作られましたしね? それが例え曲芸商法の一つなのだとしても、公式によって明確な救済処置が取られたことは評価しても良いと思うんですよ。特に、あの頃D.C.S.S.を視聴してやるせない気持ちになっていた私としては。アイシアだって、まあ、感じ方は人それぞれだろうけどD.C.Ⅱでヒロインに昇格しましたしね。あれはどうなんだろうね、アイシアはあくまで純一とくっ付くべきだったとか考えている人はいるんだろうか。この辺り、青空の見える丘とあかね色に染まる坂を思い出さないでもないんだけど、まあ、アイシアはアニメキャラだしなぁ。
今年の……いつだったかにことりメインのFDが発売されて、私も一応買ったんですけどね? CIRCUSのエロゲ買うのも久々だなーとか思いつつ、プレイしてみてビックリ。もう、本当に面白くないのね。七尾奈留に続いてたにはらなつきにも逃げられたらしいCIRCUSだけど、過去画像とかの使い回しを平気でやるから原画の不統一が凄いのよ。今回のFDはことりをかき集めたものだから仕方ないにしても、そもそもエロゲなのにエロイシーンでなにも感じなかった。もはや、私にとってCIRCUSのエロゲは子供騙しにしかならないのだろうかと感じて、ちょっとショック。昔はこんなのを楽しんでたんだなぁ、私。
SEED DESTINY、まあ、種死とかデス種とか、種運命とか言われてますけど、私はデス種という表現を多用してたかな。最近は打つのが面倒だから種死も使ってるけど、そういやなにがどうして種死っていうんだっけ? もう、5年も前の作品だから細かいこととか全然思い出せないや。
私は正直言って、種よりはデス種が好きなんですよ。我ながら酷いことを言うけど、種はフレイが死んだ時点で私の中で残念な作品と化してしまったので。人間爆弾にならなかっただけマシかも知れないけど、それでもフレイには生きていて欲しかった。これは私の中にある、創作物における恋愛観にも関わってくるんだけど、それに付いては明日の日記で詳しく触れます。ここで書いておくべきは、フレイ・アルスターは良いヒロインだったということでしょうか。出来る事なら、キラと再会して欲しかったね。再会が死別なんてあんまりだ。
なんでデス種の方が好きなのかというと、要するにキャラに対する魅力の差です。主人公もそうだけど、そもそもヒロインの可愛らしさが圧倒的じゃないですか? まあ、私が種のヒロインはフレイ以外好きじゃないってのもあるんだけど、ルナマリア、メイリン、ステラ、ミーアといった新規ヒロインは、種のヒロインたちよりも可愛いと思うんですよ。大半がアスラン・ザラとしか絡んでいないという事実は、この際無視するとして。見直してみると、ステラとか結構良い感じです。主に服装とか。
久々にデス種を見て、無性に語りたくなったので日記を書くことにしました。今日は半分ばかりD.C.の話も書いたから、もっと濃い話は明日以降ですね。シン・アスカに関しては非常に長くなるので避けますが、主にアスラン・ザラを語りたい。より正確にいうと、アスランと彼にとってのヒロインについてなんだけど、予め書いておくとカガリ・ユラ・アスハなるヒロイン崩れが好きな人は読まない方がいいです。私、こいつ嫌いですから。
それにしてもガンダムを見るとガンプラを作りたくなってくる。ガイアガンダムでも作ろうかな。実は、デス種のプラモってあまり持ってないんだよね。限定版のデスティニーと、ルナマリアのザクを作ったぐらいか。素組みなんてガンプラじゃないと言われて以来、どうも作る気が起きなくて。良いじゃん、凝った作り方じゃなくても。楽しみ方なんて人それぞれなんだし。
「そんなの決まってる」
「えぇ、あれでしょうね」
「機動戦士ガンダムSEED DESTINYだろう」
「D.C.~ダ・カーポ~セカンドシーズンでしょう」
……どうやら見解の相違が発生したらしい。まあ、どちらも同時期のアニメだし、続編としては物凄く酷い出来だっただけに当時なにかと話題には上っていたんだけど、私としてはまだD.C.はマシだと思うんですよ。今更の話ではあるけど、ことしI.F.が作られましたしね? それが例え曲芸商法の一つなのだとしても、公式によって明確な救済処置が取られたことは評価しても良いと思うんですよ。特に、あの頃D.C.S.S.を視聴してやるせない気持ちになっていた私としては。アイシアだって、まあ、感じ方は人それぞれだろうけどD.C.Ⅱでヒロインに昇格しましたしね。あれはどうなんだろうね、アイシアはあくまで純一とくっ付くべきだったとか考えている人はいるんだろうか。この辺り、青空の見える丘とあかね色に染まる坂を思い出さないでもないんだけど、まあ、アイシアはアニメキャラだしなぁ。
今年の……いつだったかにことりメインのFDが発売されて、私も一応買ったんですけどね? CIRCUSのエロゲ買うのも久々だなーとか思いつつ、プレイしてみてビックリ。もう、本当に面白くないのね。七尾奈留に続いてたにはらなつきにも逃げられたらしいCIRCUSだけど、過去画像とかの使い回しを平気でやるから原画の不統一が凄いのよ。今回のFDはことりをかき集めたものだから仕方ないにしても、そもそもエロゲなのにエロイシーンでなにも感じなかった。もはや、私にとってCIRCUSのエロゲは子供騙しにしかならないのだろうかと感じて、ちょっとショック。昔はこんなのを楽しんでたんだなぁ、私。
SEED DESTINY、まあ、種死とかデス種とか、種運命とか言われてますけど、私はデス種という表現を多用してたかな。最近は打つのが面倒だから種死も使ってるけど、そういやなにがどうして種死っていうんだっけ? もう、5年も前の作品だから細かいこととか全然思い出せないや。
私は正直言って、種よりはデス種が好きなんですよ。我ながら酷いことを言うけど、種はフレイが死んだ時点で私の中で残念な作品と化してしまったので。人間爆弾にならなかっただけマシかも知れないけど、それでもフレイには生きていて欲しかった。これは私の中にある、創作物における恋愛観にも関わってくるんだけど、それに付いては明日の日記で詳しく触れます。ここで書いておくべきは、フレイ・アルスターは良いヒロインだったということでしょうか。出来る事なら、キラと再会して欲しかったね。再会が死別なんてあんまりだ。
なんでデス種の方が好きなのかというと、要するにキャラに対する魅力の差です。主人公もそうだけど、そもそもヒロインの可愛らしさが圧倒的じゃないですか? まあ、私が種のヒロインはフレイ以外好きじゃないってのもあるんだけど、ルナマリア、メイリン、ステラ、ミーアといった新規ヒロインは、種のヒロインたちよりも可愛いと思うんですよ。大半がアスラン・ザラとしか絡んでいないという事実は、この際無視するとして。見直してみると、ステラとか結構良い感じです。主に服装とか。
久々にデス種を見て、無性に語りたくなったので日記を書くことにしました。今日は半分ばかりD.C.の話も書いたから、もっと濃い話は明日以降ですね。シン・アスカに関しては非常に長くなるので避けますが、主にアスラン・ザラを語りたい。より正確にいうと、アスランと彼にとってのヒロインについてなんだけど、予め書いておくとカガリ・ユラ・アスハなるヒロイン崩れが好きな人は読まない方がいいです。私、こいつ嫌いですから。
それにしてもガンダムを見るとガンプラを作りたくなってくる。ガイアガンダムでも作ろうかな。実は、デス種のプラモってあまり持ってないんだよね。限定版のデスティニーと、ルナマリアのザクを作ったぐらいか。素組みなんてガンプラじゃないと言われて以来、どうも作る気が起きなくて。良いじゃん、凝った作り方じゃなくても。楽しみ方なんて人それぞれなんだし。
dream power-翼なき者たちへ-
2010年6月14日 アニメ・マンガ
Endless Summer,Endless Radio~真夏のA&G同窓会~というイベントが8月8日にあるんだけど、先週の土曜日にアニスパ先行予約でチケットを取りました。チケット自体は全席指定の6300円なんだけど、手数料が900円以上掛かるとかで実質7000千円を超える値段でした。90年代後期のアニラジ世代の私としては夢のようなイベントだし、なにがなんでも参加したいと思ったからチケット取ったけど、流石に高いよなぁ。
面子に不満はないし、開催地であるCCレモンホールこと渋谷公会堂は、かつてDream Powerが開催された思い出の場所でもあります。Twitterによれば、どういう扱いかはしりませんがおたっきぃ佐々木の参加も確定しているようですし、イベントとしてはこれ以上にないってほど申し分ない。ないのだけど……7220円か。この手数料って、なにの手数料なんですかね? てっきりチケットの発券ができるのかと思いきや、今日はまだチケットが貰えないみたいで、引換券のようなものが出てきました。正式な引き換え期間は7月3日から8月9日らしい。8月9日とか、もうイベント終わってるじゃないか。
あまりイベントに行かなくなったから、どうしてこういうワンクッションが置かれているのかよく分からないんだけど、まさか転売対策というわけでもあるまいし。今日にはもう席番も分かると思っていただけに、肩透かしを食らった気分です。コンビニ引換にしなければよかったのかなぁ。まだ郵送の方が安く済んだ気がする。まあ、払えない額ではないにしろ、ちょっと高すぎやしないかって思わなくもないんだよね。愛が足りないのかな、A&Gに対して。
TBSアニメフェスタと被っているせいか、チケットは割とすんなり取れました。電話が繋がりにくくなっていたけど、それでも10分待たなかったかな。まあ、今の若者受けするような声優陣でもないし、若い奴らはシビックホールに行けばいいんだと思いますよ。棲み分けってやっぱり大事だと思うし。
私は、超A&Gが嫌いなので、Dream Powerに対する思い入れを書くと凄まじいことになります。私がアニスパを好んでいないのは、浅野真澄という声優というか、人間そのものを許容出来ないからでもあるけど、どうやらイベントには来ないみたいで一安心。確かに、90年代当時は声優ですらなかったしね。来られる方が迷惑というか、来ないでください。
逆に来て欲しい声優で言えば、誰がいるでしょうか? 池澤春菜や菊池志穂は来ってよさそうなものだし、やまとなでしこや椎名へきるだって、この枠組に入りそうな気がします。まあ、ドリカンはA&Gじゃなかったという意見もあるけどさ。
超機動放送アニゲマスターが終演した理由は、まあ、レーティングの問題があるにせよ、おた佐々とその周囲で起こった揉め事が関係していて、当時の日記なんかを読むと如何におた佐々が病んでいたかが分かります。色々なところを流れて、今では地元である自由ヶ丘に落ち着いてるらしいけど、かつてアニゲマスターとして名を馳せたアニラジ界のカリスマも、今ではコミケにすら顔を出さないというのだから寂しい話だ。
ドリカンが終わったことに関しては、まあ、終わるべくして終わった番組だと思う。末期のドリカンが如何に酷い内容であったかは、やまとなでしこの部屋を聴けば判るというもので、伊福部崇はもう少し真面目に構成作家をやるべきだったのではないか。別にこむちゃっとカウントダウンが面白いとは言わないし、そもそもオリコン以外のカウントダウンの順位などあってないようなものだ。最近は一部アニソンファンがCDTVを始めとした音楽番組における、アニソンの順位を気にしているようだが、アニラジのランキング番組に限って言えば、まともにランキングを重視して聴いているリスナーなどほとんどいないだろう。であれば、それ以外の部分で番組を盛り上げる必要があり、ドリカンはそれが破綻したのだ。
思い出語りのはずが、当時の二大番組を批判してしまいましたが、それでも私にとって当時のDream Powerは思い入れが強いものです。8月のイベントも楽しみだし、可能であるならばdream power-翼なき者たちへ-を歌って欲しい。かなり長いイベントになるということだし、かつての名曲を披露する機会があったとしても、良いと思うんですよ。カラオケに入っているアニゲの曲は最後のOPだから、新しいだけに新鮮味がないし、久しぶりに超機動放送アニゲマスターとか聴きたいじゃない。
イベントのコンセプトが超機動放送アニゲマスターを再び、という感じらしいから、この際、おた佐々もステージに上げた上で、大爆発して欲しいです。私たちの青春は、まだ終わってなんかいないはずだから。
面子に不満はないし、開催地であるCCレモンホールこと渋谷公会堂は、かつてDream Powerが開催された思い出の場所でもあります。Twitterによれば、どういう扱いかはしりませんがおたっきぃ佐々木の参加も確定しているようですし、イベントとしてはこれ以上にないってほど申し分ない。ないのだけど……7220円か。この手数料って、なにの手数料なんですかね? てっきりチケットの発券ができるのかと思いきや、今日はまだチケットが貰えないみたいで、引換券のようなものが出てきました。正式な引き換え期間は7月3日から8月9日らしい。8月9日とか、もうイベント終わってるじゃないか。
あまりイベントに行かなくなったから、どうしてこういうワンクッションが置かれているのかよく分からないんだけど、まさか転売対策というわけでもあるまいし。今日にはもう席番も分かると思っていただけに、肩透かしを食らった気分です。コンビニ引換にしなければよかったのかなぁ。まだ郵送の方が安く済んだ気がする。まあ、払えない額ではないにしろ、ちょっと高すぎやしないかって思わなくもないんだよね。愛が足りないのかな、A&Gに対して。
TBSアニメフェスタと被っているせいか、チケットは割とすんなり取れました。電話が繋がりにくくなっていたけど、それでも10分待たなかったかな。まあ、今の若者受けするような声優陣でもないし、若い奴らはシビックホールに行けばいいんだと思いますよ。棲み分けってやっぱり大事だと思うし。
私は、超A&Gが嫌いなので、Dream Powerに対する思い入れを書くと凄まじいことになります。私がアニスパを好んでいないのは、浅野真澄という声優というか、人間そのものを許容出来ないからでもあるけど、どうやらイベントには来ないみたいで一安心。確かに、90年代当時は声優ですらなかったしね。来られる方が迷惑というか、来ないでください。
逆に来て欲しい声優で言えば、誰がいるでしょうか? 池澤春菜や菊池志穂は来ってよさそうなものだし、やまとなでしこや椎名へきるだって、この枠組に入りそうな気がします。まあ、ドリカンはA&Gじゃなかったという意見もあるけどさ。
超機動放送アニゲマスターが終演した理由は、まあ、レーティングの問題があるにせよ、おた佐々とその周囲で起こった揉め事が関係していて、当時の日記なんかを読むと如何におた佐々が病んでいたかが分かります。色々なところを流れて、今では地元である自由ヶ丘に落ち着いてるらしいけど、かつてアニゲマスターとして名を馳せたアニラジ界のカリスマも、今ではコミケにすら顔を出さないというのだから寂しい話だ。
ドリカンが終わったことに関しては、まあ、終わるべくして終わった番組だと思う。末期のドリカンが如何に酷い内容であったかは、やまとなでしこの部屋を聴けば判るというもので、伊福部崇はもう少し真面目に構成作家をやるべきだったのではないか。別にこむちゃっとカウントダウンが面白いとは言わないし、そもそもオリコン以外のカウントダウンの順位などあってないようなものだ。最近は一部アニソンファンがCDTVを始めとした音楽番組における、アニソンの順位を気にしているようだが、アニラジのランキング番組に限って言えば、まともにランキングを重視して聴いているリスナーなどほとんどいないだろう。であれば、それ以外の部分で番組を盛り上げる必要があり、ドリカンはそれが破綻したのだ。
思い出語りのはずが、当時の二大番組を批判してしまいましたが、それでも私にとって当時のDream Powerは思い入れが強いものです。8月のイベントも楽しみだし、可能であるならばdream power-翼なき者たちへ-を歌って欲しい。かなり長いイベントになるということだし、かつての名曲を披露する機会があったとしても、良いと思うんですよ。カラオケに入っているアニゲの曲は最後のOPだから、新しいだけに新鮮味がないし、久しぶりに超機動放送アニゲマスターとか聴きたいじゃない。
イベントのコンセプトが超機動放送アニゲマスターを再び、という感じらしいから、この際、おた佐々もステージに上げた上で、大爆発して欲しいです。私たちの青春は、まだ終わってなんかいないはずだから。
中身は意外とお固いようで
2010年6月13日 アニメ・マンガ物書きの集まりに出かけて、電撃文庫で起きた盗作問題の顛末を知る。まあ、なにが恥ずかしいって、電撃の編集者だよね。グループ軽列のレーベルで、今もっとも売れているであろう作品を読んだこともなかったんだから。同じグループだから穏便に済ませるとか、そんな希望的観測も出てたみたいだけど、基本的には別会社でありライバルでもあるわけで。他社の人気作すらチェックしていないとは、電撃の編集も質が落ちたものですね。
まあ、電撃みたいにメディアミックスを頻繁に行っている会社だと、編集者一人に掛かる負担が大きいのかも知れないけど、それにしたって今回の事件はないよねーという話。破綻しているというより、極端に視野が狭まってるんだろうね。大体、最終選考から漏れた作品ということはだよ? 出版するまでに幾度となく手直しはされてるはずなんですよ。その修正過程において、編集や校正が盗作に一切気づかなかったというのがもうね。流石に首は切られないだろうけど、編集者としては恥ずかしくてしょうがないんじゃないかな。自分は被害者であると開き直ることもできるけど、編集に責任がないはずはないんだから。
作者はおそらく筆を折るでしょう。本人の意思は関係なく、作家生命は尽きました。絶筆や断筆を拒んだとしても、少なくとも10年は表だった仕事が出来るとは思えない。ほとぼりが冷めてから名前を変えて再出発も不可能ではないにしろ、処女作でこれをやった以上、現時点で既に作家としては終わっているんですよ。電撃が情けをかける可能性は皆無じゃないけど、エンターブレインはもちろん、周囲の目というものがあります。ここで許せば、会社としての秩序が保てませんし、品位が疑われてしまいますからね。4万部と少し売り上げたことは評価出来ますが、そんな目先の数字に惑わされて手元に置いておくような、そんなふざけた真似を電撃がするとは思えないし、してほしくはない。
故に、もう終わったんですよ、今回の事件は。作者が絶筆するか、それが公式として発表されるかはしりませんが、言いたかないけど作家なんて掃いて捨てるほどいるんです。問題を引き起こした作者に才能がなかったとは言わないけど、世の中には盗作なんぞしなくても面白い文章かける奴がまだまだ沢山いるわけで。まあ、本を一冊も出せないで夢を諦める奴が多い中で、盗作とはいえ一冊世に出して、更には4万部も売り上げたんだから、十分だとは思いますけどね。儚い夢だったんですよ、なにもかも。
上記の話題は若手の作家ないし、昨今の作家志望について話しているときに出たんだけど、最近の作家志望ってのはとにかく本を読まないらしい。驚いたのは、学生レベルの知識として、読んだことのある本が向こう3年のラノベに限定されてしまうというのだ。それこそ灼眼のシャナや禁書目録止まりというわけで、そう言われ見ると件の作者も最近の作品からの盗作が山のように多かった。
衝撃を受けたのは、今時の作家志望がスレイヤーズや魔術士オーフェンなどの傑作シリーズなども読んだことがないということで、そうなってくるとゴクドーくん漫遊記などなにそれな世界である。時代の移り変わりというか、世代交代をまざまざと見せつけられる感じだ。
例えば私がもっとも好きな作家は田中芳樹であるが、今のラノベを読むような世代は銀河英雄伝説など知らないし、アルスラーン戦記など聞いたこともないのだろう。そういや、田中芳樹は昨年病に倒れたらしく、気力と体力がほとんど尽きてしまったらしい。最近は少なからず回復したのか、理論社の児童書の執筆で復帰しているらしいが、60歳前とはいえ元々体強いわけでもないだけに心配である。作家は一度倒れると、尾を引く傾向があるし。
話がずれたが、過去の名作を一切読まず、映画や芝居を鑑賞することもしない今の若い世代に、果たしてまともな話というのは作れるのだろうか。最近出ているラノベや漫画しか読んでいない奴らが、次世代のラノベ作家として続々とデビューするなんてことが、現実のものになってきているのだ。電撃の事件など、そうした状況の中に生まれた一つの過程に過ぎないのではないか。なんとも嘆かわしい、目を覆いたくなるような話である。
そんな若い世代がもっとも影響を受けている作家は、やはり西尾維新だという。私も一時期、戯言シリーズなどは読んでいたことがあるものの、最近はどうにもダメだ。あの文章が読めるかどうかで、世代というのがハッキリ見えてくるのだと思う。清涼院流水なんかもそうだが、私はもう読めなくなりつつある。あれを理解するには、私の感性には若さが足りなすぎる。
まあ、電撃みたいにメディアミックスを頻繁に行っている会社だと、編集者一人に掛かる負担が大きいのかも知れないけど、それにしたって今回の事件はないよねーという話。破綻しているというより、極端に視野が狭まってるんだろうね。大体、最終選考から漏れた作品ということはだよ? 出版するまでに幾度となく手直しはされてるはずなんですよ。その修正過程において、編集や校正が盗作に一切気づかなかったというのがもうね。流石に首は切られないだろうけど、編集者としては恥ずかしくてしょうがないんじゃないかな。自分は被害者であると開き直ることもできるけど、編集に責任がないはずはないんだから。
作者はおそらく筆を折るでしょう。本人の意思は関係なく、作家生命は尽きました。絶筆や断筆を拒んだとしても、少なくとも10年は表だった仕事が出来るとは思えない。ほとぼりが冷めてから名前を変えて再出発も不可能ではないにしろ、処女作でこれをやった以上、現時点で既に作家としては終わっているんですよ。電撃が情けをかける可能性は皆無じゃないけど、エンターブレインはもちろん、周囲の目というものがあります。ここで許せば、会社としての秩序が保てませんし、品位が疑われてしまいますからね。4万部と少し売り上げたことは評価出来ますが、そんな目先の数字に惑わされて手元に置いておくような、そんなふざけた真似を電撃がするとは思えないし、してほしくはない。
故に、もう終わったんですよ、今回の事件は。作者が絶筆するか、それが公式として発表されるかはしりませんが、言いたかないけど作家なんて掃いて捨てるほどいるんです。問題を引き起こした作者に才能がなかったとは言わないけど、世の中には盗作なんぞしなくても面白い文章かける奴がまだまだ沢山いるわけで。まあ、本を一冊も出せないで夢を諦める奴が多い中で、盗作とはいえ一冊世に出して、更には4万部も売り上げたんだから、十分だとは思いますけどね。儚い夢だったんですよ、なにもかも。
上記の話題は若手の作家ないし、昨今の作家志望について話しているときに出たんだけど、最近の作家志望ってのはとにかく本を読まないらしい。驚いたのは、学生レベルの知識として、読んだことのある本が向こう3年のラノベに限定されてしまうというのだ。それこそ灼眼のシャナや禁書目録止まりというわけで、そう言われ見ると件の作者も最近の作品からの盗作が山のように多かった。
衝撃を受けたのは、今時の作家志望がスレイヤーズや魔術士オーフェンなどの傑作シリーズなども読んだことがないということで、そうなってくるとゴクドーくん漫遊記などなにそれな世界である。時代の移り変わりというか、世代交代をまざまざと見せつけられる感じだ。
例えば私がもっとも好きな作家は田中芳樹であるが、今のラノベを読むような世代は銀河英雄伝説など知らないし、アルスラーン戦記など聞いたこともないのだろう。そういや、田中芳樹は昨年病に倒れたらしく、気力と体力がほとんど尽きてしまったらしい。最近は少なからず回復したのか、理論社の児童書の執筆で復帰しているらしいが、60歳前とはいえ元々体強いわけでもないだけに心配である。作家は一度倒れると、尾を引く傾向があるし。
話がずれたが、過去の名作を一切読まず、映画や芝居を鑑賞することもしない今の若い世代に、果たしてまともな話というのは作れるのだろうか。最近出ているラノベや漫画しか読んでいない奴らが、次世代のラノベ作家として続々とデビューするなんてことが、現実のものになってきているのだ。電撃の事件など、そうした状況の中に生まれた一つの過程に過ぎないのではないか。なんとも嘆かわしい、目を覆いたくなるような話である。
そんな若い世代がもっとも影響を受けている作家は、やはり西尾維新だという。私も一時期、戯言シリーズなどは読んでいたことがあるものの、最近はどうにもダメだ。あの文章が読めるかどうかで、世代というのがハッキリ見えてくるのだと思う。清涼院流水なんかもそうだが、私はもう読めなくなりつつある。あれを理解するには、私の感性には若さが足りなすぎる。